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蒼い使い魔-32


夜、バージルがルイズの部屋へと戻り、ソファに座ると
タバサから受け取った伝説が書かれている文献を静かに読み始める。
そうして本を読んでいるとその横にルイズが座り中身を覗き込むのもいつの間にか習慣になっていた。
「何を読んでいるの?」
「イーヴァルディの勇者…、子供向けの文献、童話か…こんなものなんの参考にもならんな…」
「その本、平民に人気がある本よね、あんたがそんなものを読むなんて思わなかったわ」
「…タバサが持ってきた本だ、こんな文献に興味はない」
バージルはそう言うと本をパタンと閉じ、テーブルに放り投げソファの背もたれに背を預ける。
「…ねぇ、ちょっと読んでみてよ」
ルイズはその本を手に取るとバージルに差し出す
「…なぜだ」
「いいから、私が聞きたいの、読んで聞かせなさい」
ルイズの要求にバージルは一瞬眉を顰めるも渋々と本を開き読み始めた。
イーヴァルディの勇者の内容は、有体に言えば英雄譚の一種。
始祖ブリミルから加護を受けた 勇者イーヴァルディが剣と槍を武器に竜や悪魔などの強大な敵を次々に倒していく物語だった。
静かに聞いていたルイズは不意にバージルへ話しかける
「イーヴァルディって」
「………?」
「案外、スパーダだったりしてね」
「親父が? まさか」
くだらない、といった感じにバージルが鼻で笑い否定する。
「案外否定もできないんじゃない? あんたのお父様、
スパーダは人間界ではどういう姿をしていたの? まさか悪魔の姿のままってわけじゃないでしょ?」
「…人間の姿をしていた、この世界に降臨していたころはどうだか知らんがな」
「あー、スパーダは人間の姿をしてたぜ、そのままでも十分強いくせに相棒みたく姿が変わった瞬間
見てわかるぐらいに強さが跳ね上がるんだからな…。マジに折られるって思ったね、あんなのとは二度と戦いたくないぜ…」
今まで黙っていたデルフが思い出したかのように口を挟む
「でもその息子がこんな性格してるんじゃちょっとそのイーヴァルディの伝説もありがたみが薄れるわよね」
ルイズがクスクスと笑いながらバージルを見る、
「好きに言え、お前も似たようなものだろう…」
つまらなそうにバージルが言うと今度こそ本を閉じテーブルへと投げる、
「終わりだ、寝ろ」
ぶっきらぼうにバージルは言うとソファへと背中を預ける。
ルイズはソファから立ち上がるとベッドへと歩いて行く、そして着替え終わるとベッドに横になりシーツをかぶった。
「それじゃあ、明かりを消すわ、おやすみ」
「あぁ」
バージルはそう言うとソファに横になり目をつむった。

―深夜
誰もが寝静まり明かり一つない夜の学院にひとつの大きな影が舞い降りる
「(確か桃髪の部屋は…ここらへんかしら?)」
その影は何やらぼそぼそと呟きながら、寝ている人間を起こさぬように羽ばたく音を極限まで抑え窓から内部を覗き込んでゆく、
ベッドに寝ているおめでたい桃色の髪をもつ女の子…ビンゴ、この部屋の主であるルイズだ、
「(見つけたのね!)」
目的の部屋を見つけたのかちいさな声を上げると、目的の人物がいるかしっかりと確認した。
「(あら? 窓が開いてる、不用心!)」
ルイズの部屋はどういうわけか窓がほんの少しだけ開いていた、どうやら戸締りを怠ったのだろう
それを確認すると、口で器用に窓をあけ、侵入を試みる。
大きな影はぼいんっ! と音をたて一糸まとわぬ女性の姿へと変わりながら部屋の中へと転がり込む。
その姿は今日の昼にバージルの前に現れた女性だった。
女性はすすっと部屋の中へと忍び込み中を確認する、
「起こさないように、そーっとそーっと…」
そして本当の目的であるソファで眠っている銀髪の男を見つけた。
「うふふ、寝てる時は眉間にしわが寄ってないのね…」
小声でソファで眠るバージルの頬を優しくなでる。
普段ならこの時点で飛び起きるはずのバージルだったがどういうわけか目を覚まさなかった。
彼はこの世界に来てようやく安眠を得ていたのだ、つまり、熟睡である。
それでも殺意や敵意というものを少しでも持っていれば跳び起きるのだろうが、
この女性は敵意や殺意、といったものをまるで持っていなかった。それゆえバージルが跳び起きることはなかったのである。
そして女性は静かにバージルに抱きつく様にソファへ横になると
「ふぁああ…眠くなっちゃったのね、おやすみなさい…」
そう言いながらバージルの頬へ口づけし眠りへと落ちて行った。

朝、やわらかな朝の陽射しが部屋の中へと差し込む、外はさわやかな晴天である、
そんな中、珍しく二人は同時に目を覚ました、
部屋の主、ルイズは優しく頬をなでる風と、さわやかな朝の陽射しに気が付き、むくりと起き上がる。
もう一人、バージルは自身にのしかかる妙な重さ、そして柔らかさに目が覚めたのだった。
そして、驚きのあまり二人の声が見事に調和した。
「「なっ!!」」
この部屋にゲリュオンでもいるのか、時間が、空間が停止する。
そんな時の止まった空間を動く、この部屋にいるはずのない人間が一人…
「あ…おはよう…おにいさま…」
バージルの上に覆いかぶさるようにして眠っていた全裸の女性が目を覚まし艶っぽく声をかけたその瞬間
ドンッ! とバージルが女性を突き飛ばし瞬きする間も与えずに即座に閻魔刀を抜刀する。
「い…痛いのね~…」
「なんだ貴様は! どうやって入った! いや、なぜここにいる! 答えろ!」
バージルは殺意全開で閻魔刀を女性の首に突き付ける。
「ひどい! おにいさま! 私を忘れるなんて!」
「ウッヒョー! やるじゃねぇか相棒! いつの間にそんな美人捕まえたんだよ! 見直したぜ!」
茶々を入れるデルフを無視し、バージルは女性を睨みつける
「貴様など知らん! 真面目に答えろ! さもなくば…! …っ!?」
凄まじい魔力を感じバージルがとっさにルイズの方向へ顔を向ける
「ふっ…うふふふ…ふふふふふ………」
ゴゴゴゴゴ…という音がルイズから聞こえてくる
「何を考えているかは知らんが、俺はこんな女など知らん」
油断なく閻魔刀を女性に突きつけながらバージルが静かにルイズに話しかける。
「へぇ…驚いちゃったわ、バージル…」
「ルイズ」
少々うんざりした表情でなだめるようにルイズの名を呼ぶ、穏やかな口調とは裏腹にルイズからはドス黒いオーラがあふれ出ていた。
「わたし、あんたのこと誤解していたみたい、こーゆー事に関してはとことん無関心な奴だと思ってたけど…まさかそんな女を捕まえてくるなんてね…」
ルイズはにっこりとほほ笑むと、両手を胸の前で組み演じるように女性の真似をする。
「『ひどい! おにいさま! わたしを忘れるなんて!』 ふふっ…最っ高…恋愛小説みたい…
劇のコンテストがあったら入賞間違いなしね!」
「だからこんな女知らんと―」
そこまで口を開いた途端、ルイズから何かが弾ける音がした
「不潔! 変態! なによ! いつの間に女なんて作ったのよ!
しかもよりにもよってわたしの部屋に連れ込むなんていい度胸してるじゃないの!!!!
スパーダの血がなによ!! そんなもの今ここで絶やしてやるわ!!!!!
こぉぉぉぉぉのぉぉぉぉ……………馬鹿犬ーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
ついに真魔人に覚醒したルイズは部屋中所かまわず虚無を乱射する。
もはや部屋の中は戦場だ、前回タルブの上空で虚無を放った際に16年分の精神力を使い果たしたが
現在のルイズの精神力は今起こった現象ですでにフルチャージになったようだった。
「落ち着け!」
彼には珍しく声を荒げ、ルイズから杖を取り上げる。
「なによこのエロ犬!!!! じゃあそこの女は一体何よ!」
「これから聞き出すところだ! そもそも、そんなくだらんことをしている暇も余裕も、俺にはない! それはお前がよく知っているはずだ!」
荒い息をつきながら掴みかかってくるルイズをバージルがなだめる、
「た…確かに…ここ最近あんたは私のそばにいたし…それに…こんな女、学院で見たことないわ…」
その一言でなんとか落ち着きを取り戻すとルイズが殺意のこもった目で女性を睨みつける、
しかし見れば見るほど目の前の女性は腹が立つスタイルをしている、特に胸とか! 胸とか!! 胸とか!!!
「あああああ!!! もう許さない! なによなによ! そんなに胸の大きい女がいいの!?
わたしだって成長するわよ! あとで後悔しても知らないんだからぁ!!!!」
再び暴走魔人化を始めたルイズをなんとかなだめ、とにかくこの女性から話を聞くことにする。
油断なく閻魔刀を突きつけながら、バージルは数歩下がり顎でクローゼットを指す
「まずは…ルイズ、お前の服の予備があったな? こいつに着せてやれ」
「ええっ!? きっとサイズ合わないわよ…?」
「他に着せるものがない、仕方がないだろう」
なにせ目の前の女性は生まれたままの姿だ、このままにしておくのはいろいろとまずい、
それにルイズとしても、女性の持つキュルケにも勝るとも劣らない体つきを見ているのもなんだか面白くないので渋々服を出すことにした。
「…き…きついのね…」
女性が無理やり着たルイズの服に文句を言う、サイズが全然違うせいでもうぱっつんぱっつんだ。
これはこれでかなり際どい格好である、しつこいようだがとくに胸のあたりとか…。
「しょうがないでしょ! あんたのサイズに合うものなんてない… って何言わせんのよぉ!! 悪かったわね! 成長はこれからよ!!」
再び杖を抜こうとしたルイズをバージルが腕で制する。
「落ち着けと言っている…、では、答えてもらう、少しでも妙な真似をしてみろ…、即座に首を斬り飛ばす、
貴様は誰だ、昨日も俺の前に現れたな、何が目的だ」
バージルは表面上は冷静を装っているが、殺気は全開だ。もし女性が妙な動きをしたら即刻斬り捨てるつもりだろう、
「バージル…いつでも手伝うわよ…塵一つ残さないんだから…」
ルイズまで始祖の祈祷書を開き臨戦態勢に入っている。
しかしその殺気を感じているのかいないのか、床に女の子座りをしながらあっけらかんとした口調で女性は口を開いた。
「もう…忘れるなんてひどいのね…わたしはシルフィなのね!」

「シルフィ…? …シルフィード…? タバサの使い魔のか?」
「えっ…? ど…どういうこと? だってこの人、人間じゃない」
女性が名乗った名前に少々驚きながら二人が聞き返すと女性は大きく頷く
「きゅいきゅい、そうなのね、でももうシルフィはおにいさまだけのものなの!!」
抱きついてこようとするシルフィードを名乗る女性の頭を押さえ近寄れないようにしながらバージルは質問を続けた。
「俺が知るシルフィードは竜だったはずだ、なぜそんな恰好をしている」
「"変化"の魔法を使えば人間の姿になるくらいかんたんなのね! えっへん!」
「…本当か?」
バージルがルイズに視線を戻すと、ルイズが軽く頷く。
「えっと…先住魔法には姿かたちを自在に変える魔法があると聞くわ、でもそれじゃあ…シルフィードは風韻竜…なの…?」
「そう言えばそんなことを言っていたな、タバサが他言するな、と言っていたが…、この際そうも言っていられん」
「むっ! 信じてないのね? 元に戻って証拠を見せるのね!」
「なっ! ちょっとやめてよ! 服が破けるし第一部屋の中が大変なことになるわよ!」
元に戻ろうとするシルフィードをルイズが全力で止めている横で閻魔刀を納刀しながらバージルは考えた。
「(こいつが本当にシルフィードだとして…なぜこうなっている? タバサにはしっかり忠誠を誓っているように見えたが…)」
少々疑問を感じつつもバージルは質問を続けた
「で、貴様が本当にシルフィードだとして…だ、なぜここにいる、そもそもどうやって入ってきた、答えろ」
「窓から入ってきたのね、窓が半分開いていたの、不用心!」
確かに、昨日は窓には近寄っていない、開いていたことに気がつかなかったのだろう。
「……それで? 何故ここにいる」
「目的? んもぅ、シルフィの目的は…お・に・い・さ・ま、なのね!」
シルフィードはそう言うが否やバージルに抱きつこうとするも
当然受け流され、シルフィードはそのままルイズのベッドへとボンっと倒れこんだ。
「きゅいきゅい…おにいさまったら積極的なの…、シルフィ…ついに奪われちゃうのね…
いいの…望むところなのだわ! あ、桃髪、出て行ってくださる? きゅい」
「ルイズ…やれ」
「Alright...」

「急にバージルに会いたくなったぁ? なによそれ…」
「けほっけほっ…そうなの、昨日からおにいさまのことが頭から離れないの…これが恋なのね! 愛なのね!」
ルイズの虚無をくらいボロボロになったシルフィードから事情を聴くと、昨日バージルに文句を言いに行ったところ
顔を見た瞬間、急にバージルのことが愛おしくて仕方がなくなってしまったらしい、
それでついに耐えきれなくなり深夜に部屋へ忍び込んだのだという。
「ねぇ、バージル、何か心当たりないの? 昨日あんたに文句を言いに行った、とか言ってるけど…」
「…知らん、昨日俺の前に突然現れ、はしばみの茶を飲んで逃げて行ったことくらいしか覚えていない」
「…どういうことなのかしら?」
「そんなことはどうでもいいのね! シルフィはおにいさまと一緒にいたいの!」
シルフィードはそう言うやいなやバージルの腕にしがみつく、振り払おうとしてもなかなか振りきれないほどガッチリと腕をホールドしていた。
シルフィードの豊満な胸がバージルの二の腕に押し付けられているのを見てルイズが凄まじい目つきで睨みつけてくる。
相手がシルフィードではさすがのバージルも手が出せない、
シルフィードは重要にして貴重なハルケギニアにおける移動手段だ、
今までもシルフィードのおかげで助かってきたし、この先も必ず必要になる。
そんなわけで閻魔刀でバッサリ解決…というワケにはいかないのである。
「とにかく…タバサに話を聞くぞ、まずはそれからだ…」
痛む頭を押さえバージルがドアノブへと手をかける
「バージル、ちょっと待って…」
「なんだ」
腕にしがみつくシルフィードをそのままにドアを開けようとしたバージルをルイズが呼びとめる
「その…そのまま廊下を歩くつもりなの?」
「この状況だ、仕方あるまい」
「ま、待ちなさいよ! そのままでていったら…その…いろいろと問題になるわよ!」
「何が問題になるというんだ」
バージルが(美人でその上とんでもなくスタイルのいい)恋人を連れて歩いている、
などという噂が流れてはバージルは兎も角、
プライドの高いルイズにとって耐えられることではない、むしろ許せないことである。
特にキュルケに見られた日にはもう目も当てられないだろう。
「タバサは私が呼んでくるから、あんたはここにいなさい! いいわね! 一歩も外に出ないこと!
それと、絶対に変なことしないでよ!? したらお仕置きだからね! っていうか塵一つ残さないから!!」
その言葉とともにバタンッ! と勢いよくドアを閉めルイズが部屋から出て行ってしまった
「そんなくだらん事をすると思ってるのか…?」
少々イラついたように吐き捨てると、腕に絡みつくシルフィードを引きはがし
ソファへとドカっと腰を下ろし大きくため息を吐いた。
「うふふ…やっと出ていったのね! 二人っきり!」
シルフィードはついに邪魔ものがいなくなったことに喜び、ポンっとバージルの隣に座ると
これでもかと腕を絡め脚を絡め体を摺り寄せてくる、耳元や首筋にシルフィードの熱い吐息がかかる。
健全な男子ならばこのままR指定ライブ…と行くところだが生憎とバージルはそうはいかなかった
生物の三大欲求のうちのほとんどが力への欲求へとベクトルが働いている彼にとっては
今のシルフィードは非常に鬱陶しい存在でしかない。
「こういうのは…ダンテ…お前の役目だ…」
吐き捨てるようにそう言うと仰ぐように天井を見上げた。


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