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毒の爪の使い魔-17a


氷の矢<『ウィンディ・アイシクル』>がジャンガに向かって飛ぶ。

ジャンガはそれを避けようともしない。…ただ黙って見つめていた。

氷の矢がジャンガの身体を貫いた――と、思われた瞬間…。

氷の矢はジャンガの身体を”通過した”。

それと同時に風に吹き散らされる煙のようにジャンガの姿が掻き消える。

その光景にタバサの両目が見開かれるのと同時だった。…耳元で囁く様な声がしたのは。

「甘ェんだよ…ガキが」

チャキッ

――喉元に嘗て感じた、冷たい感触がした。

「俺の速さは前の”決闘ごっこ”で知りすぎている筈だろうが?成長して無ェなァ~」
「…ッ」
喉元に背後から毒の爪を突き付けるジャンガをタバサは悔しそうに睨む。
ジャンガはタバサを自分に向き直らせると、その胸倉を掴み上げる。
「情けねェな…、親の厚意を踏み躙って復讐に走り、それで魔法の力をつけたってのに、
俺一人にも勝てやしない…。情けねェ…本当に情けねェ」
ジャンガの自分を蔑む声が聞こえる。
胸倉を掴み挙げられた事による息苦しさを懸命に堪え、タバサはジャンガを睨みつけようと目を開く。

そこでタバサは気が付いた…、ジャンガは先程までの嘲笑いの表情を浮かべていない。

――そこにあったのは”哀れみ”だった。

タバサの表情が変わった事に気付いたジャンガは、胸倉を掴む力を若干緩める。
「…さっきの疑問に答えてやろうか?」
「疑問?」
「お前が復讐を果たせない理由についてのだよ」
タバサの脳裏に、先程のジャンガの言葉がフラッシュバックする。
そして、ジャンガは静かに語りだした。
「お前が復讐を果たせないと断言できる理由はただ一つ…」
「何?」
ジャンガは一呼吸置くと、タバサの碧眼を覗き込みながら言った。



「”ガキだから”…さ」



――その言葉に呆然となった。
「ガキ…?」
「ああ…そうさ」
タバサの呟きに、そうだと肯定する意味でジャンガは首を縦に振る。
「お前はガキだ…、年がどうのこうのじゃない。文字通りガキだって事さ」
タバサは話の意味を理解できない。
ジャンガは軽く鼻を鳴らす。
「面白い話をしてやる…、俺の知ってる奴に一人のガキがいる。いや…、”いた”と言うべきか?まァいい。
そいつはな、とある奴に親を殺されてな…復讐を誓い、賞金稼ぎとなった。…お前と似てると思わないか?」
僅かに顔を顰めるタバサ。
「そいつは、本当にお前と似てたゼ。復讐を考える余りに周りが見えずに突っ走り、復讐の為ならどんな事でもする。
自分の事は誰にも言わず、ただただ自分の親の敵を追いかけるだけだった」
「……」
「だが、そいつは親の敵に最初…まるで歯が立たなかった。軽くあしらわれ、バカにされるだけ。
…俺に適わないでいる、今のお前のようにな」
タバサは僅かに唇を噛み締める。
その様子をジャンガは静かに見つめる。
「だが……そのガキは最後には親の敵に見事勝ったのさ」
「…どうやって?」
タバサが興味深そうな表情で聞いてくる。
ジャンガは軽く鼻を鳴らしながら、笑みを浮かべた。
「ところで、話は変わるが……俺があのルイズ嬢ちゃんに召喚された時の事を覚えているか?」
突然の話題の変更にタバサは一瞬途惑ったが、頷いて見せた。
「その時、俺は気を失ってたんだが……右胸を銃で撃たれていたろ?」
「銃?」
「…そうか、”こっち”は俺のいた”向こう”と違って銃は殆ど発展してねェんだったな…」
「”こっち”…、”向こう”…?」
怪訝な表情を浮かべるタバサにジャンガは言った。
「教えてやる、俺はこのハルケギニアどころか、この世界の何処の出身でもねェ」
「え?」
「俺はあのルイズ嬢ちゃんに召喚で、こことは全く”別の世界”から呼ばれたんだよ」
別の世界……それは普通ならば理解し難い概念である。
だが、あの『土くれのフーケ』の一件で彼が使った『破壊の箱』……あんな物を自分は知らない。
それを何であるのか理解しているかの如く、彼は易々と扱って見せた。――信じない方が難しい。
理解したのか、タバサはジャンガに頷いてみせる。
「なら、話を続けるぞ。…俺は右胸を銃で撃たれていた、それは解ったな?」
頷くタバサ。
彼女を静かに見据えながら、一呼吸置いてジャンガは口を開いた。

「その銃を撃ったのは……今の話の、親の復讐を誓ったガキさ」

「……え?」

どう言う事だ?…いや、そう言う事なのだろう。

呆けた様な表情になったタバサの顔を見つめながら、ジャンガは言葉を続ける。



「そのガキの親の敵ってのは……俺の事だ」



開け放たれた窓辺から静かに吹き込む風が、カーテンとタバサの髪を揺らした。



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