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ラスボスだった使い魔-01



 いずことも知れぬ、造られた空間……。
 その空間を造り出した者と、そしてその彼が招いた者たちの戦いは熾烈を極めていた。
 取り込んだ光の巨人の力は、同じ光の巨人たちの捨て身の行動によって相殺され、その大部分を失ってしまっている。
 そして彼の前に立ちはだかる者たち。
 機械でありながら人の心を持った兄弟、
 兄と師との死別を乗り越え、最愛の女性と共に戦うキング・オブ・ハート、
 任務という枷を振り払い、自らの意思で戦うことを選んだ少年たち、
 一体どこから紛れ込んだのか、因果律を操るこの自分ですら全容を把握しきれないイレギュラーである日本一の男、
 赤と青、そしてかつての友である白銀の宇宙刑事、
 一歩でも間違えば諸刃の剣となりえる禁断の人型機動兵器に搭乗し、かの東方不敗をして『持てる力を全て引き出した時、その眼前に敵は存在せん』と言わしめたサイコドライバー、
 そして最後にもう一人、
「貴様が……貴様さえいなければ……!!」
「ようやく俺の存在を認めたか! 俺は貴様の複製でもなければ、影でもない!!」
「私に何かあれば、貴様もただでは済まんぞ!!」
「この身が共に消えようとも、俺は……俺は一人の人間として、地球人としてお前を倒す!
 忘れるな、俺の名前はイングラム・プリスケンだ!」
 自らの最も優れた手駒として造り出した筈の彼自身の複製でありながら、超人機の魂と共に、愚かにも創造主たる自分に楯突いた者。
 …………否、愚かなのは、果たしてどちらであったか?
「デン・ジ・エンド!!」
「石破っ! 天驚けぇええええええええんっ!!」
「ズバットアターーック!!」
「ギャバンダイナミック!!」
 銀色の身体が傷付いていく。
 神をも超えた存在―――超神形態である筈の自分が、追い詰められている。
「……トロニウムエンジン、オーバードライブ!」
「ウラヌス・システム、強制発動!」
「みんな……すまない!」
「う……うおおおおおっ!! 行くぞ!!天上天下っっ!!」
「撃て! リュウセイ!!」
「一撃必殺砲ぉぉぉぉっ!!!」
 放つ方の砲身がねじ曲がる程のエネルギーが叩きつけられる。
 崩壊していく超神の身体。
 光の巨人―――ウルトラマンの力を得て、DG細胞によって構成され、時の流れや因果律をも操るそれが、打ち破られる。

「ぐ……ぅ、ぬぅう……」
 残されたのは元々の自分の身体のみ。
 更に、本来を顔を失った為に与えられた偽りの素顔―――イングラム・プリスケンと同じ顔を隠す仮面も砕けてしまった。
「……フ、フフ……私も、ユーゼス・ゴッツォの影……40年前のユーゼスの邪念に縛られた偽りの存在に過ぎないのかも知れん……」
 自嘲の笑みが漏れる。……そして、何のためにここまでして力を求めていたのだったかを思い出す。
 銀河連邦政府の科学アカデミーの科学者だった自分が、未開の辺境と呼ばれ、危険と判断された地球圏へとやって来たのは、
「思い出したよ……ギャバン。私もお前と同じく……あの美しい星……あの青く美しい地球を、愛していたのだ……。
 だからこそ……自ら志願して地球へ来たのだ、お前と一緒に……」
 あの美しい惑星に惹かれた。
 最初は、ただそれだけだった。
 しかしそこで人間を超える存在であるウルトラマンを知り、自分自身もまた愚かな人間であることを嫌悪した。だが、
「イングラム……お前が言う通り、この世界に超絶的な力は不要だ。何故なら、そんなものがなくても……人々は生きている。そして、世界は存在し続けている……。
 この宇宙に神など不要なのだ。だからこそ……ウルトラマンたちは……人に近い存在であり続ける……。
 彼らもまた、我々と同じ存在……銀河の同胞なのだ」
「……そうだ。特別な力は使い方を誤れば……必ず不幸を生む。所詮、この宇宙に生きる者はみな弱い存在なのだ。そして……己の心の弱さに屈した者は、悪に染まる……。
 誰もが自分の心の弱さに打ち勝つことが出来れば……戦いはなくなり、力ある存在もこの宇宙には必要なくなる。
 それが単なる理想であっても……甘い考えであっても……俺はそれを信じたい……」
「フフ……私は、お前に自分が失ってしまったものを……与えたのかも知れんな。
 そして私はお前に……自分自身に負けた……40年前と同じく……。
 今の私には分かる……お前は……お前は私の良心だったのかも知れん……」
「………」
 自分自身との戦い。それにユーゼス・ゴッツォは負けたのだ。そしてその歪んだ野望もまた、彼自身の鏡像によって阻まれた。
「本当のユーゼス・ゴッツォはどちらの方だったのか……今となっては……もう……どうでもいい。
 お前は……イングラム・プリスケンという……一人の地球人だ」
「………」
「私は……お前が……うらやましい。地球人に受け入れられた……お前がな……」
「ユーゼス……」
 存在が消えていく。
 ……自分が消えることで、間もなく自分が創造したこの空間、そしてクロスゲート・パラダイム・システムによって造り出された『異なる時間と空間が混在した世界』も消えるだろう。
 そして、イングラム・プリスケンも。
 だがこの世界の存在は無駄ではない筈だ。
 それぞれの世界に、必ず何らかの結果を生み出しているだろう。
(ともあれ、消える私には関係のないことか……)
 やがてユーゼス・ゴッツォの意識は消え、因果地平の彼方へと―――――


(……む?)
 何も無い。
 光も闇も混沌も、本当に何も無い空間。
 そこに意識だけが存在している。
(私は……消えたのではなかったのか? いや、しかし……)
 よくよく考えれば、自分は因果律の鎖を超えることは出来なかったが、それに迫ることは出来た。
 ならば、ここが本当に『因果地平の彼方』だとしたら、このような場所に自分の意識が流れ着いても不思議ではない。
(……しかし完全な『無』というのも味気の無いものだな……)
 ユーゼスがそのように考えていると、
<…………ふむ、『私』か>
(何?)
 唐突に自分以外の存在の思考が干渉してきた。
 ユーゼスは瞬時にその存在の正体を悟る。
(……並行世界の『私』―――ユーゼス・ゴッツォだな)
<理解が早いな。さすがは『私』なだけはある>
(似たような存在と接触したことがあるだけだ)
 かつてユーゼスはクロスゲート・パラダイム・システムを完成させるために、次元を超え、並行宇宙を超え、自分と因果律で結ばれた者―――ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォと接触した経験がある。
 確かその時の会話は、
(……あの時の『別の宇宙に存在する者の存在を確立することになる』とは……お前のことか)
<そうだ。お前が因果律への干渉に成功したことで、並行世界の同一存在であるこの私もまた、因果律への干渉が可能になった。
 そういう意味では、お前は私の『産みの親』と言えるのかも知れないが……>
(……そんな話をするために私に干渉したわけではあるまい?)
 ユーゼス・ゴッツォ同士の会話は続いていく。
<無論だ。……お前の持っている有用なデータを私に提供してもらう>
(いいだろう。ならば一応、お前の持っているデータも渡してもらうぞ)
<……『一応』か。『私』にしては随分と謙虚なものだな?>
(……私はバード星人のユーゼス・ゴッツォだ。バルマー人であるお前と相違点があるのは当然と言える)
 時空間のゲートを検出する方法を解明することに行き詰っていた時、並行世界より自分を与えに来たラオデキヤ。
 因果律のある程度の操作が可能になった時点で、あの時に自分に接触してきた存在、およびそれが属する世界について調べた事があるため、そこにいる『自分以外のユーゼス・ゴッツォ』についても知識はあった。
<確かにな。私はゼ・バルマリィ帝国の在り方と真の霊帝ケイサル・エフェスの存在に絶望したことが因果律の操作を目指したきっかけだったが……>
(私は光の巨人の存在を目にし、人を超えた存在に憧れたことがきっかけだった)
<それ以外にも相違点を挙げればキリが無い>
(しかし我々がユーゼス・ゴッツォであることは確かだ)
<……お前とは色々と話をしてみたくもあるが、私も多忙な身でね。色々と動かねばならない>
(分かっている。では互いの情報を交換するとしよう)
 ―――互いの記憶、価値観、倫理観、感情などの全てが交錯する。
 それ自体は一瞬で終了した。
 そして、
<ウルトラマン、そしてデビルガンダムか……。……クロスゲート・パラダイム・システムの理論も、私とは食い違いがあるな>
(……ラプラスコンピューターの存在は興味深いが……。……システムの大部分をサイコドライバーに依存している感があるぞ)
<だがそれによってより効率よく因果律へ干渉が出来る。
 ではこの情報は有効に活用させてもらうが……。……お前はこれからどうする? 私と同化するか?>
(やめておこう。先程も言ったが、私とお前ではメンタリティに食い違いが多々ある。
 おそらくお前が存在の主導権を握るのだろうが、私という異物を取り込むことで存在に不安定さが生じる危険性が高い)
<……確かにな。そんな不安要素を自分から抱え込む気はない>
(私はしばらくここに留まるつもりだ。……何かの拍子に抜け出すこともあるかも知れないがな……)
<そうか。……ではさらばだ、地球を愛したユーゼス・ゴッツォ>
(取りあえず『健闘を祈る』と言っておこう、貪欲なるユーゼス・ゴッツォ)
<フ……>

 自分以外の自分との邂逅が終了する。
 有意義な時間であったが、さてこれ以降、何をすればよいものか。
(……暇潰しと情報収集も兼ねて、並行世界の情報でも集めてみるか)
 そして世界を覗き見る作業を開始する。
 とりあえずは自分の世界と似たような世界を見てみるが、
(……意外に多いものだな)
 帝王ダイダス、ゾヴォーク、ゼ・バルマリィ帝国、アンセスター、ガンエデン、霊帝ケイサル・エフェス、アインスト、シャドウミラー、デュミナス、ルイーナ、フューリー、知の記録者、修羅、AI1、アル・イー・クイス、ダークブレイン……。
 とにかく自分の手の届く範囲の世界には、やたらと驚異的な存在が多いらしい。
 例外としてラ・ギアスの軍勢やヴォルクルス、惑星エルピスという世界における『アポロン』とやらも存在するらしいが。
 ……比較的新しく誕生した世界ではジ・エーデルという存在も現れたようだが、これはどうも愉快犯に近いようだ。
 また、それらを呼び水や軸、あるいは核として多種多様な時空間から強大な力を持つ存在が引き寄せられているが、これがまた把握するのも一苦労なほど多い。
 これらの行動や世界に与える影響などは見ていて飽きないものだが、何より興味深いのはこれだけの存在がいて地球の征服、ないし世界の破滅に成功するパターンがほとんど無い、という点である(中には成功しているものもあるが)。
 自分と自分が作った組織であるバディムやネオバディム―――それに対するイングラムとガイアセイバーズのようなものが、どうしても立ち塞がるのである。
(やはり抑止力―――いや、歪んだ世界に対しての修正力のようなものが働いているのだな)
 とは言え自分には、再び因果律を支配して……などという気は起きない。
 彼の戦いは、既に彼自身の敗北という結果によって終わっている。
 どの世界で誰が戦って、誰が敗れようが―――それこそ先程の『ユーゼス・ゴッツォ』が敗れようが、大して心も動かない。
 モチベーションもほとんど上がらない。
 言うなれば燃え尽きてしまったのである。
(……このまま消えるのも悪くはないか)
 あの世界でやれる事は、全てやり尽くしたつもりだ。今更、未練はない。
 いっその事、このまま本当に―――
『――――――――――我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!!』
(何!?)
 消えてしまおうか、と思った矢先に、何者かの声が聞こえた。
(これは……!? ぬぅ、私という存在が引き寄せられる―――いや、どこかへと引きずり出されようとしているのか!? この因果地平の彼方から!?)
 強制的に『自分』が引っ張られる感覚。
 ……おそらく、よほど強力な存在が自分を必要としているに違いない。
(しかし私を必要とするだと? 一体、何が目的で……)
 かつて因果律を操る……神の領域まであと一歩という地点まで迫った自分。そのような存在を呼び出すとは、それこそ神か悪魔かという領域に手が届くモノであるかもしれない。
(……さんざん他者を利用してきた私が今度は利用される立場となる、か。これも因果と言うのだろうな……)
 ……どうせ消えるはずだった存在である。それならば神なり悪魔なりの姿を見るのも悪くはない―――と、ユーゼス・ゴッツォは呼ばれるままに自分を呼ぶ存在とやらを確認するべく、そのゲートをくぐったのだった。



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