あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

メトロクロス0

「宇宙の果てのどこかにいる 私の下僕よ
 神聖で美しく そして強力な使い魔よ
 私は心より訴えるわ! 我が導きに応えなさい!」

ルイズの出鱈目な詠唱が響き渡る。
ゼロのルイズがどんな使い魔を召還するのか、居合わせた一同の注目が集まる。
しばしの沈黙。痺れを切らした学友の一人が、罵声を浴びせようとした…… その時!


ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃん ちゃちゃー ちゃちゃちゃん!


という、妙にレトロなBGMが、天空より響いてきた。

「なんだ! この郷愁を誘うメロディは?」
「見ろ! ルイズの前に真っ赤なゲートが!」

鳴り止まないポップなメロディ、未だかつて見た事がない深紅のゲート。
ルイズは一体、何を召還しようとしているのか。
固唾を飲んで、一同がゲートを見守る。

「この色は 何の兆候…… ぐはッ!」

引率役のコルベールが不用意に近づいた瞬間、それは起こった。
突如、ゲートの色が赤から青へと変わり、ヘルメットをかぶったツナギ姿のアゴ男が一名、
コルベールの禿頭を足蹴にしながら登場したのだ。

「へ 平民ですって! ……って ちょっと待ちなさいよッ!?」

男はルイズの言葉も聞きもしない。
まるで、何かに取り憑かれたかのように、ギャラリー目掛けて突進する。

「誰かッ 誰かそいつを止めて!」

ルイズの叫びで我に返った生徒が数名、慌てて杖を構える。
未だ修行中の身とは言え、彼等は皆、有望なメイジの卵である。
走る事しか能の無いアゴ男など、簡単に打倒せる筈だった。

だが、キュルケの放った火の玉は、男の流れるような横移動にあっさりとかわされた。
タバサの横薙ぎのエア・ハンマーも、男の見事なジャンプで飛び越えられる。
そしてギーシュ自慢の七体の戦乙女は、男の爆走の前に、空き缶のように弾き跳ばされた。

「くッ……! アンタ 止まりなさいよ!」

ここで使い魔に逃げられてはたまらない。
あいつを捕まえ、無事に契約を結ばなければ、ルイズは留年なのだ。
馬を取りに行く時間はないが、幸い彼女は徒競争には自信があった。

「待ちなさいってばアァァァー!」

呆然とする一同を置き去りにして、二人は校門の外へと飛び出して行った。


二人が走る。
街道を駆け抜け、草原を乗り越え、道なき道を突き進む。

男の尋常ならざるスタミナにルイズが驚愕する。
既に全身は汗だくで、薄桃色の髪は大きく乱れ、
上等なマントもスカートも、泥まみれで大きく破れているが、そんな事を気に留めている余裕は無い。

「くっ…… 何なのよ アイツ……」

やがてルイズは、奇妙な異変に気付いた。
走りにくい湿地帯に入ったと言うのに、男のスピードがぐんぐん加速しているのだ。
と言うか、遠目には足を動かしていないようにすら見える。

「あっ!?」

ルイズが思わず叫ぶ。
男はいつの間にか、偶然落ちていたスケボーに乗って湿原を疾走していた。

「卑怯よッ!」

怒鳴りつつも、ルイズはやはり、たまたま落ちていたスケボーを目ざとく見つけ、颯爽と飛び乗った。
スケボーに乗るなど初めての体験だったが、なにせ、男を捕まえられねば留年である。
おっかなびっくりの及び腰ながら、物凄いスピードを出して追走する。

荒野を爆走し、狭い森林地帯を突き抜け、巨大なゴーレムの股下を間一髪ですり抜けながら、
やがて、二人は港町ラ・ロシェールへと到達した。

町中に入り、流石にスケボーを乗り捨てこそしたものの
男の腱脚は一向に衰える気配を見せない。
酔っ払った傭兵崩れが乱闘騒ぎを起こす中、飛び交う酒瓶をかわし、椅子を飛び越え港へ進む。
ここで国外に逃亡されては、ルイズは一巻の終わりである。
荒くれどもに揉みくちゃにされ、安ワインを頭からひっかぶりながらも、執拗に男を追いかける。

「なっ!」

港内に突入した途端、ルイズは再び驚愕した。
どれだけ鬱憤が溜まっていたのか、階段の最上部から、飲んだくれどもが大量のドラム缶を投げつけてくるのだ。
流石のアゴ男もこればかりはどうしようもなく、派手にズッこけたりペシャンコにされたりしながら、一歩一歩昇り続けていた。

ルイズも思わず躊躇う。
ルイズはあの男のような頑健な体は持ち合わせていない。
ドラム缶が直撃すれば、生身の肉体ではひとたまりもないだろう。
だが、ここは男に追いつく最大のチャンスでもある。
どうせ男を逃せば、ルイズにはロクな未来が無いのだ。
ルイズは覚悟を決めると、転がってくるドラム缶を気合いで見切りながら、階段をかけ始めた。


運命の女神は、ルイズに味方したかに思われた。
港では、船が既に出港した直後だったのだ。
これで男に逃げ場は無い、ルイズは胸を撫で下ろしたが、そこに大きな落とし穴があった。

あろうことか、先の船のクルーが、積み荷であるジャンプ台を置き忘れていたのだ!

男のサングラスがキラリと光る。
迷いの無い動きでジャンプ台を踏みしめると、勢いよく30メイルほど前方に跳びはね、
クルクルと回転した後、見事、甲板の上へと着地した。

「なッ! アイツ…… 人間なの……?」

だが、ルイズも躊躇ってはいられない。
くどいようだが、男を取り逃せばルイズは留年なのだ。
ヴァリエールの家名に泥を塗るくらいなら、この場で墜死した方がマシであった。

「どりゃあああああああああああああああ!!」

凄まじい絶叫を上げながら、ルイズが飛ぶ。
フォームもへったくれもない勢いだけのジャンプであったが、十年に一度の上昇風にも助けられ、
かろうじて、船の欄干へとしがみついた。

「やっ やったわ…… お母様 ちい姉さま……」

喜びの声を洩らしながら船内に転がり込んだルイズに、船員たちの歓声が浴びせられる。
言い知れぬ達成感がルイズの全身を駆け巡る。
気が付いた時、彼女は周りの祝福に、全身を使ったガッツポーズで応えていた。
見れば件のアゴ男も、前宙したりマッスルポーズを披露したりして周囲にアピ-ルしている。
溢れんばかりの感動に、船上に居合わせた人々がひとつになっていた。

「――じゃないわよッ! アンタ 一体何者な……」


ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃん ちゃちゃー ちゃちゃちゃん!


ようやく我に返ったルイズのツッコミを遮り、悪夢のようなメロディが再び響き渡る。

第二ラウンドの始まりだ!

突如現れた空賊の戦艦が、船上に容赦ない砲撃を浴びせてくる。
船内がパニックに陥る中、男が再び甲板を駆ける。
華麗なステップで飛び交う砲弾を交わし、例によってたまたま落ちていたジャンプ台に飛び乗ると
その素晴らしい跳躍で、見事、敵船へと乗り移った。

「クソッ やって…… やってやろうじゃないのッ!」

もはやルイズもヤケクソである。
逃げ惑う人々を蹴散らしながら、ジャンプ台を踏みしめ風となる。
たちまち展開される空中での激しいチェイス。
迫りくるレコン・キスタの大艦隊を次から次へと乗り換えながら、
やがて二人は、アルビオンの地へと到達していた。


一体、何が男を駆り立てるのか?
白き国へと到達しても、男の逃走心は一向に冷める気配を見せない。
ニューカッスルで失敬した怪しいドリンクを一息で飲み干すと、
立ち塞がる謎の遍在軍団を蹴散らし、韋駄天の如き速さで荒野へと消えた。

もっとも、ルイズも既に、単なる貴族の令嬢ではない。
男同様、ニューカッスルで拝借した胡散臭いドリンクを一気に呷ると、
ようやく立ち上がろうとしていた遍在軍団を再び踏みつけ、虚無魔法の如き加速で荒野へ消えた。

「誰か…… 誰かッ! そいつを止めてェ!」

ルイズの悲痛な叫びは、遂に天に通じた。
たまたまアルビオンを旅行中だった学院長の使い魔、モートソグニルが、ルイズの声を耳にしたのだ。

主人の教え子を救うため、勇敢な鼠が大地を駆ける。
無人の野を行く男の胸元目掛けて飛び込むと、その全身を、ちゅうちゅうと駆け回り始めたのだ。
さしもの傷だらけのランナーも、鼠だけは苦手だったか、
その動きが、傍目にも分るほど緩慢なものへと変わっていった。

「もらったあアァァァァッ!」

千載一遇の隙を付き、ルイズが裂帛の気合いを込めたタックルを浴びせる。
これには男もひとたまりもない。
二人はもんどりうって倒れこみ、そのままゴロゴロと揉み合いながら、
やがて、たまたまジャイアントモールがねぐらにしていた大穴へと落下した。

「くっ もうこれ以上 足掻くんじゃないわよォ!」

尚も走り出そうと必死で暴れる男の、その特徴ある大顎をがっしりと掴むと
ルイズは口早に詠唱を唱え、ズキュウゥゥンとばかりに唇を奪った。

直後、稲妻のようなファースト・キスの衝撃が二人を襲う!

これは比喩ではない。
キスと同時に発生した謎エネルギーが、二人の体を貫いたのだ。
たちまち全身黒コゲとなり、黒煙を吐きながら呆然とする二人と一匹。

「…………」
「…………」


ちゃっ ちゃー ちゃー ちゃー


「なんでよ!」

悲しげなメロディが響く中、ルイズのツッコミがアルビオンの空へと消えた。



ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃんか ちゃん ちゃ ちゃちゃん! ちゃー……



           【 GAME OVER 】



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