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使い魔の炎-09



グリフォンにワルドとルイズ、2匹の馬にはそれぞれ烈火とギーシュがまたがっている。
アルビオンに向かう道中、烈火はワルドとルイズの一挙手一投足から目が離せなかった。
あー! なんなんだこのキザ野郎は!!
姫とあんなにベタベタしやがって!
烈火は遺伝子レベルで自分と正反対な騎士(ナイト)タイプの人間が嫌いなのだった。
「なあ、きみ」
憤怒の形相を浮かべる烈火に、ギーシュが話しかける。
「なんだよ」
「子爵に嫉妬しているのかい?」
ニヤニヤした顔でギーシュは問いかける。
「んなわけねえだろ。」
烈火はギーシュを睨みつけ、ブスッとした口調で言った。
「ただ、俺じゃなくてあいつが姫を守ってると思うと、なんか無性にムカつくだけだ」
ギーシュは呆れたように肩をすくめた。
「それを嫉妬というんだよ」

学院を出発してからかなりの時間が経過しても、ルイズを乗せているにもかかわらず、軽々とグリフォンを駆るワルド。
馬に乗ったことはまだ数えるほどしかないが、常軌を逸した体力で何とかついていく烈火。
やがて、二人の怪物にギーシュが後れをとり始めた。
「ま…待ってくれ」
息も絶え絶えなギーシュが言う。
「自分でついてくるって言ったんだろうが…」
毒づく余裕は残っていたが、烈火も疲れは隠せない。
烈火の少し前方、ワルドのグリフォンの上では、ルイズが心配そうな顔をしていた。
「ちょっとペースが速くない? 烈火と…特にギーシュがへばってるわ」
「港町までは止まらずにいきたいんだ…限界がきたら、ふたりは置いていけばいいだろう?」
ワルドが冷静な顔で答える。

その言葉に、ルイズは眉を吊り上げた。
「そういうわけにはいかないわ」
「なぜだい」
ルイズは困ったように言った。
「だって…仲間じゃない。 それに、使い魔を置いていくなんて貴族のすることじゃないわ」
「やけにあの二人の肩を持つね。 どちらかが君の恋人なのかい?」
ワルドは笑いながら言った。
「こ、恋人なんかじゃないわ」
ルイズは頬を染めながらワルドから目をそらした。
すると、馬にしがみつきながら必死にグリフォンを追う烈火の顔が目に入り、さらにルイズが赤くなる。
ふん、そんなに必死になるならもっと頑張って追いつきなさいよね。
意地を張りながらも、本当は烈火に早く追いついてとほしいと思うルイズだった。

港町に着いた、と言われた烈火は目を丸くした。
「港なんてどこにもねえじゃねえか」
見回す限り、岩で造られた建物が並んでいる。
烈火の言葉に、ギーシュは呆れたように言った。
「きみはアルビオンを知らないのか?」
「知らねえ」
烈火がサラッと言うと、ギーシュが呆れたような表情を浮かべた。
「まさか!」
「まさか、って言われても…こんなとこに来たの初めてだし」
烈火がそう言ったそのとき。
崖から幾本もの松明が烈火たちめがけて飛んできた。
「な、なんだ!?」
火に怯えた馬がわななき、ギーシュは馬から放り出された。
烈火も馬から投げ出されたが、空中で身を翻して着地する。
「奇襲だ!」
ギーシュが再び叫ぶのと同時に、無数の矢が降り注ぐ。
烈火はデルフリンガーを引き抜いた。 左手のルーンが輝く。
ギーシュと自分に向かって飛んでくる矢を、烈火は剣を振るう風圧で弾き飛ばす。
「姫!」
そして、ルイズを守ろうと彼女に駆け寄ろうとした。
しかし、ルイズに向かってきた矢は烈火が触れるまでもなく小型の竜巻に巻き込まれてバラバラになった。
見ると、グリフォンにまたがったワルドが杖を掲げている。

「大丈夫かい、ルイズ?」
「え、ええ…」
烈火は思わず舌打ちをしてしまった。
ルイズが助かったのはいいが、守ったのが自分じゃないのが気に食わない。
わがままなのはわかっていたが、烈火はいらだちを隠せなかった。
「相棒、寂しかったぜ…鞘に入れっぱなしはひでえや」
久々に鞘から解放されたデルフリンガーが悲しそうに呟く。
「ああ、わるかったな…出番だぜ。あいつら、全員引きずりおろすぞ」
烈火はデルフリンガーをしっかり握りなおし、崖の上にいる男たちに突っ込もうとした。
しかしそのとき、突如出現した竜巻が盗賊たちを派手に吹き飛ばした。
「おや、風の呪文じゃないか」
ワルドが呟く。 彼は杖を振っていなかった。
盗賊たちの頭上に、風竜が出現した。
ルイズは聞き覚えのある羽音を聞いて、思わず叫んだ。
「シルフィード!!」
「ってことは…」
ルイズ、烈火、ギーシュの三人は目を凝らした。
風竜の上、赤毛の少女がこっちにウインクをよこしている。 その前に座る小柄な少女は、大きな杖を無表情に振っていた。
「キュルケ、タバサ!!」風竜が地上に降りると、キュルケが地面に飛び降りてきた。
「おまたせ」
キュルケが髪をかきあげながら言う。
「待ってないわよ、ツェルプストー!
どうしてこんなとこに!? これはお忍びの任務なのよ!?」
キュルケは優雅に答えた。
「朝がた、馬にまたがってるあんたたちが部屋から見えたのよ。
お忍び? そんなの私の情熱には関係ないわ…ねえレッーあら、そちらの殿方も素敵ね。
あなた、情熱はご存知?」
キュルケが寄りかかってくるのを、ワルドは冷静に押し止めた。
「婚約者が誤解するといけないのでね」
ルイズのほうを見ながらワルドは言った。
その言葉にキュルケは少し驚いた。
「あなたの婚約者なの?」
キュルケの問いかけにワルドはしっかり頷いたが、ルイズはもじもじして答えなかった。
そこに、男たちに尋問していたギーシュが帰ってきた。
「子爵、やつらはただの物取りだ、と言っております」
ギーシュの言葉を聞いたワルドは少し考えて答えた。
「ふむ…ならば捨て置こう。
とにかく、今日はラ・ロシェールに一泊する。朝一番の便でアルビオンに渡ろう」

翌日、烈火はラ・ロシェールの宿の一室で目をさました。
隣でまだグースカ寝ているギーシュを見て、烈火はため息をついた。
昨夜は相部屋になったルイズとワルドが気になってほとんど寝られなかった。
起き上がり、ベッドに座り込む。
まだまだ体の疲れがとれていないのを感じたが、眠る気にはなれなかった。
…どうすっかな?
烈火が考えたとき、ドアがノックされた。
烈火がゆったりと立ち上がってドアを開けると、背の高い精悍な男ーワルド子爵が立っていた。
「おはよう、使い魔くん」
突然の訪問の一言目がそれかよ、と烈火は少しムッとした。
「何か用か? 今日は船は出ないんだろ?」
烈火がぶっきらぼうに言い放ったが、ワルドはかまわずにっこりと笑みを浮かべた。
「君は伝説の使い魔、『ガンダールヴ』なんだろう?」
「…なんでそれを?」
烈火は当然の疑問を口にしたが、なぜかワルドは誤魔化すように言った。
「いや、あれだ。僕は歴史と兵に興味があってね。 フーケを尋問したときに、君に興味を抱き、王立図書館で君を調べた。
その結果が『ガンダールヴ』というわけだよ」
烈火はさして興味もなさそうに相槌をうつ。
「はあ…で、それがどうしたんだ?」
「あの『土くれ』を捕まえた腕がどのぐらいのものか、知りたいんだ。
ちょっと手合わせを願いたい」
ワルドが自らの杖に手を伸ばしながら言うのを聞いて、烈火はため息をついた。
「手合わせ…決闘か。 ここのやつらは本当にみんな決闘が好きだな」
烈火が皮肉るように言った。
「僕が相手じゃ不服かい?
それに、戦えばわかるかもしれないぞ」
ワルドは少し間をあけ、言った。
「どちらが彼女を守るにふさわしいのか」
挑発的なワルドの言葉に烈火の目が鋭くなる。
「おもしれえ」

「手加減はしねえ」
烈火は吐き捨てるように言った。
「もちろんだ。 全力で来い」
対するワルドは余裕の表情を浮かべ、泰然自若といった様子だった。
ふたりは、今はただの物置場と化した練兵場で距離をとって向かい合っていた。
烈火はデルフリンガーを引き抜くと、目にも止まらぬ早さでワルドに切り込んだ。
しかし、ワルドは軽々と烈火の斬激をかわす。
ワルドのスピードは、ガンダールヴの力を発揮した烈火にもまったくひけをとっていなかった。
「なかなかやるな」
烈火の攻撃をかわしながら、ワルドは冷静に言った。
コイツ…強い!
少し斬り結んだだけで、ギーシュなんかとはレベルが違うのを感じる。
烈火は内心焦りながらも、暴風のようにデルフリンガーを振り回した。
「しかし、所詮は素人。我々魔法衛士隊は戦いのプロだ」
ワルドは烈火の斬撃をかわし、杖の一撃を烈火の背中にたたき込んだ。 激痛が走る。
「がっ…」
思わず烈火は膝をつく。
「それでは、本物のメイジには勝てない…つまり、君ではルイズを守れない」
ワルドは烈火に言い聞かせるように言った。
「ぐ…、この野郎ーっ!!」
烈火はたまらず炎をだした。
「むっ!?」
とっさにワルドは身を翻したが、魔法衛視隊のマントの一部が灰になった。
「ほう。これが君の炎か」
烈火は炎に包まれた右腕とデルフリンガーを握った左腕をがむしゃらに振り回した。
しかし、ワルドは風のようにヒラリと攻撃をかわす。
「しかしその程度の炎では、風に吹き返されて君自身を焦がすぞ!」
ワルドが呪文を唱えると、突風によって炎が烈火に跳ね返された。

「くっ…!!」
烈火はたまらず防御態勢をとり自らの炎を受け流す。
しかし、ワルドは炎を跳ね返すと同時に一気に烈火に接近し、杖で烈火の右手をうった。
「ぐああああぁぁぁ!!」
思わず右手をおさえる。
「相手の隙をつく。基本中の基本だ」
烈火は痛みに悶えてながら、何とかワルドから距離をとろうとる。
「デル・イル・ソル・ラ・ヴィンデ…」
その隙に、ワルドは次の呪文を唱えた。
「相棒、いけねえ! 魔法がくるぜ!」
デルフが叫ぶも、すでに遅い。
烈火の体は、見えない空気の塊に横殴りに吹っ飛ばされた。"エア・ハンマー"だ。
「うあぁっ!!」
痛みのあまり、デルフリンガーを取り落としてしまう。
樽や箱が並べてあるに突っ込む烈火。 頭から血が流れているのを感じた。
何とか膝立ちになり、転がっているデルフリンガーに手を伸ばそうする。
しかし、烈火がデルフリンガーの柄をつかむより一歩手前、ワルドの足がそれを踏みつけ、とどめとばかりに蹴り跳ばした。
ワルドは冷ややかに烈火を見下ろした。
「…わかっただろう。 君では、ルイズを守れない」
「…っ」
ワルドの言葉が、烈火の心を抉る。
「君が姫だなんだと言ってルイズに付きまとうのは、エゴに過ぎないんだ」
「…違う」
烈火は弱々しく反論した。
「まだわからないのか? 君はただの使い魔だ。
それ以上を求めるのは、ルイズにとって迷惑でしかないんだよ」
冷ややかな目が烈火を貫く。
「君自身が、よく考えるんだね」
優雅にマントを翻し、ワルドはを後にした。
『…仕方ねえよ、相棒。相手は"スクウェア"クラスのメイジだ。
お前さんが決闘したという小僧や、意志すらないゴーレムとはレベルが違うよ。
そんなことより、アイツ蹴っ飛ばすことはねえよなー。こちとら一応伝説の…あ、おいコラ』
喋り続けるデルフリンガーを、烈火は無理矢理鞘におさめた。
ひとつの決意を胸に秘めて。


そのころ、ルイズは部屋のベッドの上、ひとり考え込んでいた。
昨日の夜、ワルドに聞いた話のことである。
あの烈火が伝説の使い魔"ガンダールヴ"であり、その主人であるルイズは伝説の魔法系統"虚無"の使い手である。
…信じられなかった。

確かに、烈火の能力はただの平民とは思えないほどに高い。
握った武器を何でも使いこなし身体能力は向上、おまけに炎まで自由に操る始末。
正直、ゼロと呼ばれる自分とは釣り合いがとれていないほど強力な使い魔だ。
それでも、あいつが伝説の使い魔だとは思えない。
自分はワルドにからかわれているのだろうか。

そして、そのワルドとの結婚。
…ルイズ、任務が終わったら僕と結婚しよう。

昨日、事実上のプロポーズを受けた。
嬉しいはずだった。 ワルドは、子供のころから憧れていた人だった。
けれど、何故か素直に喜べない。
考えても浮かぶのは、自分の忍であり使い魔の烈火のことばかり。

もう、なんでコイツがでてくんのよ…!

任務のこと、自分のこと、ワルドのこと、烈火のこと…
ルイズの頭の中は様々な問題で混乱していた。



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