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いぬかみっな使い魔-22


いぬかみっな使い魔 第22話(実質21話)



 その日の朝。
段取りをあらかじめ整えていた啓太は、軍議の席で満を持して
アンリエッタ姫たちにかねてよりの計画の核心を提案した。

「姫様、明日は決戦です。故に姫様には、一肌脱いでいただきたい。国家百年の
繁栄のため、本日ご入浴なさり、入念に体を磨き上げていただきたいのです。」

 軍議の主だった顔ぶれは、戦列艦の艦長達、艦隊指令とその副官達、ルイズ、
啓太等だ。いずれもわかったようなわからないような顔できょとんとしている。

「失礼、最初から説明いたしましょう。連合艦隊がアルビオンに上陸した際には
レコンキスタ艦隊の戦列艦は本隊45隻、分散警戒に40隻程度ありました。
このうち、我々は10隻を大破もしくは撃沈。8隻が中破拿捕して後送修理中、
17隻をほぼ無傷で捕らえ補修の後連合艦隊に組み込んでおります。」

現在(偽装)連合艦隊の陣容と司令官はこのようになっている。

ロマリア黒色枢機卿艦隊(=トリスティン第1艦隊)司令マザリーニ枢機卿。
旗艦:戦艦メルカトール号改 戦列艦9 等

トリスティン艦隊(=トリスティン第2艦隊)司令アンリエッタ・ド・トリスティン王女
旗艦:元レコンキスタ戦艦ニューヤーク→タイコンデロガ 戦列艦9 等

アルビオン親征艦隊(=元レコンキスタ艦隊)副司令サー・ヘンリー・ボーウッド
旗艦:元レコンキスタ重巡洋艦ワシントン→ヴァンガード 戦列艦9 等

ゲルマニア武装商船団(=ツェルプストー商船団+)司令キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー
旗艦:大型武装商船 我が愛しのヒルディア号 戦列艦4 等

ガリア輸送船団(ガリア商船の寄せ集め)司令ガリア義勇傭兵団長シャルロット・シュヴァリエ・ド・エレーヌ・オルレアン(タバサ)
旗艦:大型客船シャンパーニュ 戦列艦2 等

 戦列艦合計33隻。
いずれの艦隊もピケット艦、輸送船、客船等の補助艦艇多数、
他にスループ船やガレー船、大型武装商船などが補助戦力、という陣容である。
 元レコンキスタ艦隊の半分はアルビオン親征艦隊の名の下に配備されている。
残るレコンキスタ戦列艦は他艦隊の戦力増強のため分散配備されていた。
アルビオン親征艦隊とトリスティン(第2)艦隊は大抵行動を一つにしていた。
アンリエッタの元では、彼らの士気と忠誠が大いに上がるからだ。

 これに、当事者たるアルビオン本国艦隊の生き残り40隻を加えると、
戦列艦の数は73隻にまで膨れ上がる。

 対してレコンキスタの戦列艦は80隻から50隻に激減。
しかし艦のサイズと砲門数、竜騎士数で言えばなお連合艦隊と充分に渡り合える。
特に全長200メイル、砲門数100に及ぶ巨艦レキシントンの存在が
この数の差を補う中心であり、連合艦隊にとっての脅威だ。


「さて、計画は、いよいよ最終段階一歩手前まで来ました。ほぼ予定通りです。
艦隊は補給と将兵の休養のために1日こちらで待機。そして明日はいよいよ
スコッチ城のレコンキスタに総攻撃をかける、という予定となっております。」
一同、うなずいた。
現状通りの戦略を、いくつかの予想の一つとして以前聞かされていたからだ。

 が、啓太の目算としてはかなり予定が狂った、と考えている。
本来ならスコッチ城までの間に追撃で大きな戦果を上げて戦力差を大きくし、
包囲兵糧攻めの構えを見せることで寝返りを誘い、スコッチ城を内から開門させて
一気に殲滅するつもりだったのだ。敵を城に追い込んで一網打尽。
これなら、後顧の憂いはきれいさっぱり無くなる。
計画では明日で完全勝利だったはずなのだ。

 しかし、意外と統制が行き届いているのか、あるいは充分な金を渡しているのか
(おそらく後者だろうと予想しているが)レコンキスタに雇われている
傭兵達の離散が予想よりはるかに少ない。レコンキスタ貴族の離反も少ない。
その上内通貴族からの情報がさっぱり入ってこなくなった。
(「上のほうのかなりが心を操られているのか? だとすればかなり厄介だ。」)
と啓太は考えている。しかも、後ろに控えるサウスゴータには
運び出しきれなかった兵糧が充分あり、街を奪い返されてしまった。
現在兵糧の輸送が行われている。妨害部隊を出してはいるが、どうなるか。
そしてスコッチ城は防御のしやすい都市だ。
市民兵を集められでもしたらさらに厄介な事になる。
それでも、やるしかないのだ。策は、まだまだ尽きていない。

「すでに我が方の地上部隊はアルビオン軍と共に陸上を移動しつつあり、
今日の夕方にはスコッチ城近辺に展開予定です。
また、アルビオン本国艦隊、地上軍に輸送船を差し向けて補給を行っており、
明日の決戦に必要な物資は充分、感謝するとの返書を受けております。」

 啓太は、黒板にチョークで図解し、明日の戦略をいくつかの想定ごとに書き、
いずれの場合でも主だった者達が間違わずに動けるよう入念な説明を行った。
質疑応答の時間も随時とり、間違いや見落としがあれば随時変更を加えていく。
しばしの時間の後、少なくとも前日としては最高の意思疎通が図られた。

「さて、問題はこの後です。」
一同は、又も怪訝な顔になった。ド・ゼッサールが質問する。
「この後といっても、勝利の後は宴をはって祝うのではないのかね?」
「さすがですな、ド・ゼッサール殿、満点の答えでございます。」
啓太は、にこりと笑った。

「ですが、それは軍人としての採点であれば、でございます。」
啓太は、顔を参謀の表情から教師の表情へと変えた。

「そも戦争とは政治的問題解決手段の一つに過ぎませぬ。話し合いでどうしても
合意妥協できぬ相手、解決出来ぬ相手に力ずくで要求を飲ませる手段です。
そして政治とは国家の経済活動を円滑に発展させるために存在するのです。
貿易によって足りないものを買い取り、余ったものを売ってやれば物価が安定する。
生産性が良くなり下層の国民が豊かになれば経済が活性化する。
生産、輸送、売買が活発になれば税は増え、貴族は豊かになる。
もちろん、領地が増えればそこからの収入が増えるのでより豊かになる。
これらを推し進めて貴族の収入を増やすことこそが政治の目的です。」

 啓太は、普段公の場ではけして言われぬ統治の核心をずばりといった。
名誉在る戦いと慈悲と賢明さによる統治。美化され、糊塗された本質をさらした。
身もふたも無い言い方であるが、統治を学ぶ者は知るべき真実である。


「すなわち戦争とは商売のための交渉手段が一つ、ともいえるのです。
であれば戦争をするからには儲けねばならず、赤字を出すなどもってのほか。
政治的背景を考え、必要な戦果と費用対効果を推し量って、戦争の後どうなるか、
と常に考えねばなりませぬ。」

軍人達が、納得の顔になったり、興味なさそうになったりと千差万別の顔をしていた。
対して政治家の分類に入る思考を持つものたちは大いにうなずいている。

「我々は、風石と硫黄を初めとする秘薬や兵糧などの軍需物資、金貨を大量に
手に入れました。ですが足りません。姫様が救援に来た以上領土を奪うはならぬ、
それでは道義に外れると難色を示しておられますしね。
よって私はここに、史上最大の戦利品を手に入れるための作戦を提案したい。」
啓太は、アンリエッタの顔をひたと見つめた。

「姫様には、体を磨き上げ、着飾って戦勝の宴にご出席いただき、
プリンス・オブ・ウェールズ殿下よりプロポーズの言葉を引き出していただきたい。
そして、戦勝の宴をそのまま結婚式の宴とするのです!」

「「「「な!!!」」」
一同、絶句した。
啓太の計画の意味を、皆の脳味噌が理解するまでの間に、説明を続ける。
「勝ち取る戦利品はすなわち未来の王! トリスティンが失って久しい国家の要、
女王の隣に立つべき国王を、姫様の美貌を武器として手に入れていただく。
そして、両国ともただ一人しか正当な継承者がいない以上、いつかアルビオンと
トリスティンは一つとなり、水と風の連合王国が誕生する事になる!」
すでに立つ事すら間々ならぬといわれるジェームズ一世が崩御した暁には。

 啓太はアルビオン系艦長達の顔を見渡した。
「我らはレコンキスタの占領する領土を数多く解放しました。普通ならそれは
占領した者、開放した者の領土であり、トリスティンの物となる。
姫様は渋い顔をなさいますがそれが通常。これだけの軍を動かし犠牲を払い、
領土の一つも得られないとなれば逆に姫様の責が問われましょう。
王子の持参金として、一部領土を、という申し入れをした場合、
ジェームズ一世陛下はどのようにご判断をなされると思われますかな?」

 彼らアルビオン貴族は、“アルビオン王女”アンリエッタの元で戦いながら、
常に領土を失う不安を抱えていた。しかし。ウェールズ王子の持参金ということは、
彼の直轄領として機能することを意味する。これは両国の仲が険悪となり、
離婚ということになればアルビオンに領土が復帰することを意味する。
王子が二人以上生まれれば、片方にアルビオン王として立ってもらい、父王から
領土を継承した、という形でアルビオン領に復帰させることも出来る。
できずとも2代に渡ってアルビオンの血を受けた“アルビオンの王子”
の所領となるだけ。血脈でトリスティンを乗っ取ることすらありえるという
願っても得られ無い素晴らしい提案だ。しかし、これにまともに答えるのは僭越だ。
促されたサー・ヘンリー・ボーウッドは、慎重に答えた。
「わたくしは軍人、そのようなことを判断する立場にありませぬ。
ですが、お二人のご結婚に関しては、真におめでたいと感じる次第であります。」
これで彼らは、充分な根回しに動いてくれると思われた。



 啓太はトリスティン貴族達の顔を見渡した。
誰もが、実にうれしそうな顔をしている。王太子の持参金となれば
広大な領土が得られる。王太子の直轄領とはいえ、戦争で貴族の減った
アルビオンなら人材が枯渇しているだろう。領主としてトリスティン貴族を
滑り込ませるのは容易だ。貧乏貴族あるいは次男三男以降で軍人として安月給で
働くしか生きる道の無かった彼らが爵位持ちとなる道筋が示された事になる。
そして、最前列に座るアンリエッタは。
「ケータ殿、素晴らしい妙案ですね。わたくし、がんばってみるつもりですわ。」
事前に聞かされていて心積もりしていたとはいえ、衆目の前で公にされると
また格別だ。アンリエッタは真っ赤な顔でこの上なく満足そうに微笑んだ。

 啓太は、マザリーニを中心とするロマリア神官達を見た。
偽ロマリア艦隊の体裁を整えるために乗り込ませた彼らは、浮き立っている。
「挙式の際には、是非とも皆様にご尽力いただかねばなりませぬが、
ご了承願えますかな? 無論、取りまとめはマザリーニ枢機卿にお願いしたい。」
事前に相談を受けていたマザリーニが、冷静な目でうなずいた。
「無論です。戦場ゆえ満足な式は挙げられませぬが、なに、方法はあります。
荘厳かつ質実剛健な式を取り仕切って見せましょうぞ。」
「お任せあれ!」「見事な式にして見せましょう!」「大任じゃな!」
名目上とはいえ艦長として幾多の手柄を立てた上に華やかな式典を取り仕切る。
彼らロマリア系神官達の目には、栄光の未来と寄進の山が見えていた。

 啓太は、ゲルマニア武装商船団の船長達を見た。
彼らは、巨大な儲け話が目の前にあることに気づき、舌なめずりをしていた。
 「結婚式は戦場でやる以上戦勝の宴とさして変わらないものになりますな。」
「はい。ですので、落ち着いたら披露宴を別に行う事を提案するつもりです。」
 「(儲け話を目の前に積んでくださるか!)物資の調達はお任せくだされ。」
 「万難排して必要な物を調達しましょう。(両王家に取り入るチャンスだ!)」
「おお、お引き受けくださいますか。実に頼もしい、ありがとうございます。」
 強大な軍事国家となるトリスティン=アルビオン王国がゲルマニアを圧倒し、
さらに領土を大きく広げようとするかもしれない。
しかし彼らは気にしていなかった。ゲルマニア皇帝にとっては災難だろうが、
彼ら商人にとっては好機だ。今回の手柄を武器に連合国の商人として軍需物資を
供給して勢力を拡大すれば良いだけだ。ゲルマニアはもともと成り上がりの
寄り合い所帯、一体感の希薄な国なのだ。キュルケは、うっそりと笑っていた。

 啓太は、ガリア義勇傭兵艦隊より打ち合わせのためにこちらに来て、
ただ一人会議に参加しているタバサを見た。
タバサは、啓太がここまでしてくれた事に感動していた。
(「両国が合併すれば、なんとかガリアに対抗できないこともなくなる。
ゲルマニアやロマリアが牽制をしてくれるのが前提とはいえ、正面からガリアと
戦うことも可能。ほんの数日でここまで状況が好転するなんて!」)
タバサは、無言で立ち上がると、啓太に向けてお辞儀をした。

一同を見渡した啓太は、問うた。
「偉大なる指揮官、勝利の女神の化身、アンリエッタ姫殿下を女王と仰ぎ、
アルビオン本国艦隊総司令官として活躍するウェールズ殿下を国王と仰ぎ、
いずれはアルビオン=トリスティン連合王国国民となる事に賛同するものはいるか!」

「「「「「「諾! 諾! 諾! 諾! 諾! 諾!」」」」」」」
すさまじい拍手と口笛、軍靴踏み鳴らす足音とともにシュプレヒコールが
部屋を満たした。全員総立ちである。
「明日、勝利をアンリエッタ姫殿下の名の下祝おうぞ! トリスティン、万歳!」
「「「「トリスティン、万歳! トリスティン、万歳! トリスティン、万歳!」」」」
「アルビオン、万歳!」
「「「「アルビオン、万歳! アルビオン、万歳! アルビオン、万歳!」」」」




この後、啓太はアンリエッタ姫の部屋で男を追い出すと、説明を行った。 
「明日から3夜はウェールズ殿下を離しませぬ様、心してくださいませ。」
新婚となるのだから当然睦まじく過ごすのに?
と疑問を呈するアンリエッタに、啓太は東方の秘占儀だといって、オギノ式で
計算したアンリエッタの受胎確率の高い3日間をもっともらしく伝えたのである。

 ちなみに、姫の生理周期はルイズに調べさせた。
姫の女官として、姫が体調を崩される周期を知っておかなければならない、
とうまいこといって、姫様付きの女官達から聞き出させたのだ。
目的はもちろん、コマした姫様と効率よく子供をこさえて愛人(できれば国王)
の座を不動のものとするためである。
これが、別の男相手ではあるが非常に役立ったわけである。

 こうして啓太は、姫様に
「是非ともお風呂に入らなければならない!」
と思い込ませたのである。早速バスタブの手配をと騒ぎ出すルイズに、
啓太は待ったをかけた。
「それはちと無理がある。」
「え、なんでよ? 姫様がご入浴なさるだけなら充分でしょ?」
「何を言ってるんだ、ここにお姫様が4人も揃ってんだぞ? それで済むもんか。」
(中略)
「じゃあどうするのよ? 危ないから港の宿でお風呂に入るのは無理なんでしょ?」
「うん。その通りだ。つい先日まで敵地だった故に地の利が悪すぎる。
老舗故に宿の内部構造が敵によく知られていて、モグラ戦法なり抜け穴なり
隠し部屋なりで侵入や工作をしやすい場所で姫様を無防備な裸にする
なんてとんでもない。警護をする武闘派女官もいないしな。」
「ブトウハ女官って何、ケータ?」
「私も始めて聞くわね。何なのダーリン?」
「要するに護衛役もできるように戦闘メイジとしての訓練を積んだ女官だ。
男じゃあ女性を護衛できない場所や場面がどうしてもあるだろう。
…そうか。女官は戦闘訓練なんて積まないのか。つまり姫様のご入浴時の護衛は
元からいないと。道理で止めるはずだ。そうなると、やっぱりあれしかないか。」
「あれ?」
ルイズの問いに、啓太が説明した。
「浴場を荒野のど真ん中に一から建てる。それも数時間で。これなら
地の利の差は無いも同然。新しいから内部構造は探られようが無い。荒野だから
地上や空中から近づけば一発でわかるし、モグラ戦法で穴を掘ろうにも
時間がかかりすぎて無理だ。やっつけ仕事で装飾なんかはほとんど無い、
質実剛健な作りになるけど、たった一度のご入浴のために浴場を建てるなんて
贅沢もまず無いだろうからその辺りでグダグダ言う権威主義者も黙るだろう。」
そういうと、ルイズからアンリエッタに向き直った啓太は請合った。
「建設に従事した者達が周囲の警戒もしますので、安全性は保障できます。」
 女性陣は、ぽかんとして啓太に聞いた。本当に出来るのかと。
すでに段取りを万端整えていると胸を張る啓太に、女性陣は反対できようも無く。
啓太の要求した極ささやかな褒美、すなわち建設に従事した者達に二番風呂を許す、
との許可はすぐに下りたのであった。



「何とかできたね、これも兄さんのおかげだよ。」
「いつでも頼れ。俺はお前の兄なんだからな。」
ギーシュ・ド・グラモンとルルーシュ・ド・グラモンは、完成した浴場を
見上げて肩を組んでいた。お互い土ぼこりで薄汚れ、へろへろに疲れている。
しかし、その顔はやり遂げた爽快感に満ち溢れ…もとい、これから得られるだろう
すばらしい“ご褒美”を想像して欲望にぎらついていた。
本来なら一生一度すら得られぬであろう千載一遇の好機、期待するのもわかるが、
ドットで二股がばれて恋人に振られ、いまだよりを戻しきれていない
ギーシュはともかくとして、トライアングルで王軍の高級士官たるルルーシュが
なぜ欲望をぎらつかせてこんなところにいるのは大いにナゾである。
聞いてはいけない。特に本人に直接聞くのはタブーである。そっとしておいて
あげなければならないので説明は省略だ。けして妹のナナリーは関係ない。

 小型のスループ船が荒野のど真ん中に建てられた浴場へ向かって移動してくると、
いくつもの美しい花が飛び降りた。白銀のマントをまとった白百合、アンリエッタ。
襟だけ赤い青と白のドレスをまとった青い水仙花、シャルロット。
黒と緑を基調としたドレスをまとった桃幻花、ルイズ。
真紅のマントとスカートをなびかせた大輪の赤い薔薇、キュルケ。
おまけに元気一杯黄色のキュロットスカートとツインテールの犬神ともはね。

一泊の間をおいて男たちの間から「「「おお~~」」」とどよめきが走る。
次いで姫様達が地に降り立つと、浴場の前まで人垣がざざっと割れ、
素早く整列が行われる。玄関前に待っていた啓太から号令がかかった。
「一同、姫様方に、捧げ~杖!」
ざっと全員が杖を構え、直立不動の姿勢になる。
アンリエッタ、シャルロット、ルイズ、キュルケ、ともはねという順番で
お姫様方が静々と歩む。この順番は何の打ち合わせもなく、極自然にそうなった。
居並ぶ男たちはシャルロットが通り過ぎると杖を下ろし、キュルケが通り過ぎると
顔を正面入り口のほうに向ける。これもまた極自然にそうなった。

啓太が出迎え、施設内を一通り案内する。
「左右のテントは作業のために設置したものです。後で将軍や士官方を
お入れする際にはこちらで順番をまっていただくつもりです。
入り口は念のため青銅製の分厚いものにしました。トライアングルの固定化も
施してあります。外壁もかけてありますがラインどまりです。
こちらが玄関ホール、左右の入り口が脱衣場へのドアです。
女性用と男性用に分けましたが、浴室そのものは時間の関係で一つのみです。
まあ、姫様方が1回使うためだけに脱衣所を別に作ったということです。
(中略)こちらが女子脱衣室です。トイレは一つのみですがご容赦ください。
ロッカーはそれぞれ専用のものをご用意しました。紋章を施してございます。
お着替えもご用意させていただきました。ダストシュートはこちらです。(中略)
伝声管はこちらも含めて給湯室に通じておりますので、御用の際はなんなりと
お声をおかけください。返事はこちらの管から(後略)」

4人とも、装飾までは施されていなかったものの小さな邸並の浴場に大満足した。
ちなみにともはねは一人だけ護衛兼お背中流し係ということになっている。
しかし、事実上世話を焼かれるのはアンリエッタのみだ。他の3人は
トリスティン魔法学院で身の回りの事を自分でできるよう学んでいるし、
アンリエッタには女官のルイズが、シャルロットにはキュルケがついているという
体裁にすることも出来るのであるから本来不要なのである。
啓太は、念のため杖を浴室内まで持ち込むように頼むと、
「では、ごゆっくりどうぞ。」
と言い残して退室した。



 4人の美姫達はきゃあきゃあ言いながら浴依に着替え始めた。
やはり女性、お風呂はうれしいものだ。ずっと我慢していたのならなおさらである。
「ふ~~ん、そこそこの浴依ね。戦争中に手に入れたにしては、だけど。」
とキュルケ。
「姫様にはちょっと。紋章の一つも刺繍してないなんて。」
「いいではありませんの、ルイズ。これで充分ですわ。それよりも明日のために。」
とルイズをたしなめるうっとりしたアンリエッタ。
「替えの下着は、さすがに上等。」
と用意してあった紋章付きの下着を確認すると着替え始めるタバサ。
キュルケの肉感的極まりない豊満で扇情的な肢体が、アンリエッタの豊かで
清楚な肢体が、ルイズの…あ~~~、えっと引き締まった肢体が、タバサの
幼い肢体がドレスの下から露になり、ついで裾がなまじなミニスカートより短く、
脇が空きまくって体を洗うために手を入れやすいように設計された浴依に包まれる。
丁度程よいサイズの浴依がロッカーの中に入っていた。
ともはねは時折手伝ってと言われたときのみだれかれと無く手伝っている。
マロちんはここでお留守番だ。暑いのが苦手だからである。
皆はタオルを取ると浴室へ移動した。ともはねは各人が脱衣かごに入れた下着を
かごごと重ねてダストシュートに放り込み、タオルや石鹸セットを持って
浴室に入った。こちらは着替えない。湯女役だからだ。

その頃。
 「おい、蓋は閉まったな?」
地下で、ひそひそ話す声がした。
 「下蓋も閉めろ。隣室に移動するんだ。」
 「うん。」
そして。無駄に防音を施した地下の隣室に移動した脱衣かごを持ったクラブ員は。
静かだか熱烈な歓迎を受けた。
 「よ、よくやった!」「こ、これが姫様方の脱ぎたてほかほか下着!」
 「ううう、す、すばらしい!」「ケータ君、あなたすごすぎるよ!」
「ふ、俺に惚れるなよ。」
 「こここ、これ、触ってもいいのか!?」
「おう、くじの順番どおりにな。喧嘩するなよ。」
 「に、匂いを嗅いでも!?」
「おう、くじの順番どおりにな。喧嘩するなよ。」
 「ああああ、あまつさえ顔に被っても!?」
「おう、くじの順番どおりにな。喧嘩するなよ。」
 「ここここ、これが女性の!」「ううう、見てるだけで立ってきた!」
 「俺も!」「お、俺もうしんぼうたまらん!」
「別にかまわないがたこ部屋か男子トイレでやれ。男子トイレは脱衣場から入らず
必ず玄関ホールから入れ。脱衣場に足を踏み入れたら覗きと誤解されかねん。」
ちなみにたこ部屋は本来イカ部屋とでも呼称するのが正しいのだが(検閲削除) 
 「りょ、了解!」「行ってきます!」「仕切りの無いたこ部屋よりトイレに!」
ダッシュする者が多数出た。ちなみに先頭は金でアンリエッタの下着1番の権利を
買い取ったルルーシュ・ド・グラモンだったりするのであるが、トライアングルで
王軍の高級将校である彼がなぜそこまでするのかは深く聞いてはいけない。
けして妹のナナリーは関係ない。



 さてその頃、アンリエッタ達はお風呂で寛いでいた。
「姫様、薔薇の香料をもっと入れますか?」
「充分よ、ともはね。」
リラックスした顔で返事をするアンリエッタ姫は、髪をたゆたうようにお湯の中に
広げてぷかっとお湯に浮いていた。顔はお湯の外に出ているわけだが、
当然というかなんと言うか、その豊満な二つの丘とその頂も薄い浴依の(検閲削除)
覗いている男がもしいたら鼻血をジェット噴射して失血死間違いないだろう。
しかし苦い経験の在る啓太が厳禁事項だと懇々と諭したため、不心得者はいない。
「は~~いい湯ね、タバサ。」
「(無言でコクリ)」
こちらは普通にお湯に浸かっているキュルケとタバサである。
お湯の揺らぎと浴依でその肢体はほとんど見えない。
しかし胸の上部や滑らかな肩等はお湯から出ており、薄い浴依越しに見て取れる。
水着で泳ぐことすらネタのかたまりのコンシューマゲームか一発ネタのイラスト
でしかありえ無いハルケギニアにおいて、これだけでも結構そそる光景である。
「姫様、お湯加減はいかがですか?」
「ありがとう、ルイズ。丁度いいわ。」
「じゃあちょっとお湯を止めたほうがいいですね。」
ともはねがすいっと宙を飛んで伝声管に取り付き、蓋を開ける。
「丁度いい湯だそうですので熱いお湯を止めてください。」
「了解しました。」
伝声管からややくぐもった返事が来ると、ややあってお湯が止まった。

 この浴室の間取りだが、北側に大きな浴槽が部屋の幅一杯にある。
浴槽が終わる所からは体を洗うために給湯口が東西の壁に沿ってずらりと並ぶ。
蛇口とコックは無いので、熱いお湯を流す溝と冷たい水を流す溝があり、
そこから樋でお湯や水を桶に入れる仕組みだ。樋の口は木の板を上下させて
開け閉めする方式で、当然ながら完全に閉めることは出来ない。
しかしハルケギニアであれば充分なギミックだ。何しろその場で水とお湯を
両方汲めるのだ。普通は浴槽からお湯を汲み、熱いときは水を張った大きな桶から
水を取る程度でしかない。まあ、使用人を雇える貴族かブルジョアしか
お湯を貼った浴槽でお風呂に入る等という事は出来ないので、
その程度で充分という意味でもあるのだが。
南側の壁の左右には脱衣室への扉がある。曇りガラスが填められており、
覗きをするものなどがいれば即座にわかるようになっている。
東西の壁に設けられた明り取りの窓も分厚い曇りガラスでサイズは小さく
人が侵入する事が出来ないと同時に外部からの狙撃に対処している。

「タバサ、いらっしゃいよ、体洗ったげるわ。」
「(無言でコクリ)」
キュルケが浴槽から立ち上がって誘うと、その豊満すぎるほどの双丘とY(検閲削除)
タバサの若いというより幼い(検閲削除)紋章付きの風呂用椅子に腰掛けた
二人はお互いに体を洗い、背中を流し合った。当然ながらそれは
お湯を吸って肌に張り付いた浴依の隙間から石鹸をつけて
ぬるぬるしたタオルと手を入れて(検閲削除)ということでり(検閲削除)
それに誘われたかのようにアンリエッタとルイズが(検閲削除)
二人はキャーキャーいいながら戯れるようにして(検閲削除)
ちなみに、浴室の声は伝声管の給湯室側の蓋を開ければ丸聞こえになる。
あるいみ非常に生々しいその会話は、特に本人達のご容姿を良く知る男達、
すなわちくじに負けて地下ではなく給湯室で待機していた連中にとって、
鼻血をジェット噴射して失血死間違いないだろうほどにすばらしいもので、
給湯室を飛び出し、トイレやたこ部屋に駆け込む者が続出したりしたのであった。



「いい湯でしたわ、ケータ殿。」
「恐縮にございます、アンリエッタ姫。」
「それでは私たちは戻ります。」
「は。では、我々はこの後少し掃除をした後二番風呂を使わせてもらいたく
存じますが、かまいませんでございましょうか。」
「ええ、もちろんですわ。」
「ありがとうございます、アンリエッタ姫。」
こうして、アンリエッタ達は大満足してスループ船に乗って帰っていった。

アンリエッタ達を見送った啓太達は。
「よし、計画は第5段階に突入する。者ども、かかれ!」
「「「「サー・イエス・サー!」」」」
男たちが即座にてきぱきと動き始めた。

ちなみに。
人を募集したり設計図を用意したり場所の選定をしたりした準備が第1段階。
姫様達をたきつけて誘導、浴場建設と2番風呂の許可を得るのが第2段階。
目的達成のためにとても都合のいい浴場を建設するのが第3段階。
第4がご入浴中の役得を堪能することである。

テントの中から、いくつもの大きな樽が運び出された。
テントで順番待ちしている士官などへ供出するワインを準備している、
との名目で積んでおいた樽の中に隠しておいたのだ。
てきぱきと運び込まれたいくつもの大樽に、浴漕のお湯が一杯にくまれた。
「よし、売却用のお湯は充分汲んだ。後は好きにしていいぞ。」
「「「サー・イエス・サー!」」」

女日照りの続いていた薬草クラブ員男子達は浴槽に殺到した。

 「ああ、なんていい匂いなんだ!」「こ、これが姫様達の匂い!」
 「スーハースーハー」「スーハースーハー」「スーハースーハー」
 「スーハースーハー」「スーハースーハー」「スーハースーハー」
 「スーハースーハー」「スーハースーハー」「スーハースーハー」
お湯に入れた薔薇の香料の匂いをいつまで吸ってんだと突っ込んではいけない。
 「そそそそ、それではちょっと一杯最上の白湯を!」「俺も!」
 「お、俺も!」「ぷは~~~、う、うまい!」「神の飲み物ネクタルだ!」
 「今まで飲んだどんな美酒よりうまい白湯だ!」「うむ、格別だ!」
 「なまじな蒸留酒より酔いそうだぜ!」「すでにベロンベロンだよ!」
一応、人は強い感動などでも酔ったような状態になる事があることを記載する。
 「そ、それよりも姫様が生尻で座った椅子!」「ほおずりほおずり。」
 「俺もほおずりほおずり!」「ほおずりほおずり。」「ほおずりほおずり。」
 「お、俺はやっぱりキュルケ嬢の!」「あの胸はすごいよなあ。」
「ほおずりほおずり。」「ほおずりほおずり。」「ほおずりほおずり。」
「ほおずりほおずり。」「ほおずりほおずり。」「ほおずりほおずり。」
 「俺はあの氷の美貌たるシャルロット姫の椅子を!」「俺はルイズだ!」
 「タバサはさすがに幼すぎだよ。」「ルイズくらいが丁度いいよな。」
 「君たちはわかっていないな。」「紳士たるもの胸に惑わされずにだな。」
 「うむ、あの青い髪はなんとも言えず…」「ちっぱいは偉大だ!」
ともはねに触発されてロリコンになってしまった多数のクラブ員が
長蛇の列を作っていた。そしてこのロリコンたちは皆啓太の弟子である。
 「胸の大きさはやはり男の本能で!」「胸のいいキュルケの椅子だよな」
 「いやいややはりだな」「それより俺は」

皆思い思いのお目当てに夢中である。変な談義も始まっていたりするのであるが、
別室にダッシュする者が多数なのは先ほどまでと同じである。



 こうして。啓太は、薬草クラブ男子の尊敬と人望をさらに集め。
それまで面識のなかった実力者達とのコネを作るきっかけをも得たのである。

この後には、姫様達を旗艦まで送ってきたともはねのシャンプータイムである。
幼い体とはいえ女性の生裸体を間近で堂々と見れる。その手の事にうとく、
恥じらいというものをまだ知らないともはねは、まったくの無防備であられもない
姿を無邪気且つ惜しげもなくさらして一部の男子達に強力なインパクトを与えた。
ともはねは今回のシャンプーで、多数の男性達の陰性だった幼女趣味やケモノフェチ
属性を陽性にしてしまうという罪深い事を意識せずに達成したのであった。

赤道斎のマントの呪いは深く、啓太の周りにいるものたちをどんどん変態として
嗜好改造(思考改造にあらズ)してしまうようなイベントが頻発していた。
地球と同じく、啓太を慕う変態紳士が群れ集い、あるいは発症しつつあった。
そして当然のことながら、啓太からしばしばマントを借りていたアンリエッタの
周りにも、変態紳士が増えていたのであった。
その大多数が戦争が終わると共に学院に帰るため、啓太ほど多数が
周りに増えるのでない点は、啓太と違ってたまにしか着ない分、増しな点である。

 さてその夜のことであるが。
今回手に入れた姫様汁入りのお湯や使用済み下着、使用済みタオル、
使用済み浴依等を、啓太達は高額で艦隊将兵達に密売。褒美をもらって
懐のあったかい男たちは高額でこれを購入。膨大な儲けを得る事になる。

後に啓太は雑貨屋チェーンをハルケギニア中に展開し、
収入源と情報源とすることによって一大勢力を築くのであるが。
「ほう、“あの”ケータ殿系列の店を出したい?」
「ええ、ご領主様。もちろんご許可をいただければ例の方面の商品も
お取り扱いいたします。」
「ほう! 性なる伝道師、エロアイテムのエンパイヤ、変態道のオーソリティー
と呼ばれたケータ殿の店が! つまりはその手のグッズが手に入りやすくなると!」
と、出店をスムーズにするのに大いに役立ったり。
逆に蛇蝎のごとく嫌われて出店が不可能な地域が出来たりしたのであるが。
それはまた、先の話である。


おまけ:

「お姫様が4人? 二人じゃないのですか、啓太様?」
ともはねが、ちょこんと首をかしげて疑問を呈した。
「お。わからないか、ともはね。いい機会だ、ちょっと教えておくか。」
歴史が得意な啓太は、社会システムについて簡単に教授することにした。
「ともはね、昔日本の江戸時代や戦国時代で、大名の娘はお姫様といったか?」
「はい啓太様、お殿様の娘ならお姫様です。」
「うん、正解だ。けど、日本国の王様の娘じゃないのにお姫様だよな?」

「それは、お父さんが一国一城の主ですから…いっこく!?」

「そうだ。日本という国の中にまた国がある。語弊を恐れず言えば、
大名領が一つの国だ。なぜなら独立した統治権と立法権、軍事権、徴税権、
裁判権等を保有しているからだ。これは立派に国として通用する社会システムだ。
藩札といって、お札の発行もしていたりする。戦国時代なら本当に独立してた。」

ともはねがふんふんうなずく。
ムジナのマロちんもうなずいているが理解しているかははなはだ怪しい。

「徳川幕府を開いた徳川家も、元は一大名だった。うまく同盟を組んだり
手下を増やしたり、なにより関白豊臣家をうまく翻弄して全国の大名を従わせた。
そして、征夷大将軍に任命され全ての大名達のまとめ役になった。
将軍職を朝廷に返上した後はまた普通の大名に戻った。

全国統一していた頃の徳川家が、西洋で言う国王に相当する。
対して、大名が伯爵に相当する。大名領が西洋での伯爵領に相当するんだ。
王様ってのは、伯爵(=大名)連合のまとめ役の大伯爵(=大大名)でしかないともいえる。

伯爵ってのはある意味格の低い王様で貴族の基本となる爵位なんだ。
現に、公国、候国の例がるのは当然として、トリポリ伯国、エデッサ伯国
ねんて例もある。伯爵領程度で一国を構えられるほど軍事力の在る
場合はほとんど無いから、大抵は伯爵連合を組んで国王を立てるんだけどな。

侯爵ってのは強力な伯爵、公爵は王家の傍流の伯爵、子爵は伯爵の長男。
男爵は村の一つも治めていればいいような伯爵の庇護下に在る下級貴族。
準男爵は男爵に準ずる者でしか無いからさらに下。
騎士は土地を持たないか持っていても地名を個人として占有できない者。
さらに爵位持ち貴族の親族であるだけの平貴族、というのが主な分類だ。

さてそこでだ。
トリスティンで絶大な権力を持ち、王家の傍流である公爵家の娘であるルイズ。
成り上がり帝国の中でヴァリエールに対抗できる程の家の姫、キュルケ。
この二人もまた、立派なお姫様なんだよ。
シャルロット姫とアンリエッタ姫を合わせれば4人なんだ。」
「なるほど。わかりました、啓太様。


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