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狂蛇の使い魔-11




第十一話



ミラーワールドに降り立った王蛇は、木々の合間から迫り来る、四体の白い怪物をその目で捉えた。
学院にも現れた怪物、シアゴーストである。

王蛇は右腕に持ったベノサーベルを構え、怪物たちに向かって駆けだした。
対する怪物たちは、腕を振り上げて迎え討とうとする。
その腕が振り下ろされるよりも速く、王蛇は右手の大蛇の尾を突き出すと、怪物の一体が火花を飛び散らせながら吹き飛んだ。
地面に叩きつけられた怪物が呻き声をあげる。
続く二体目も、王蛇に向かって伸ばしたその白い腕を振り払われ、横になぎ倒された。

残った二体は前後から両腕でしがみつき、王蛇の動きを封じようとする。
王蛇は前から抱きついてきた怪物に膝蹴りを当て、自身の体から引き剥がした。
後ろの怪物にも、脇腹に向かって左腕で肘鉄をくらわせ、怯んだところに回し蹴りを叩き込んだ。
怪物は一回転して地面へ倒れこむ。
拘束から脱した王蛇が周りを見回すと、倒れていた怪物たちがのろのろと起き上がろうとしていた。

すかさず攻撃を仕掛けようとしたその時、後ろから何かが回転するような音が聞こえてきた。



王蛇が振り返ると、こちら目掛けて突撃してくる、一台の半円形をした二輪車の姿が目に飛び込んできた。
仮面ライダー専用の異次元転送マシン、ライドシューターであった。
「止めてっ! 誰か止めてぇっ!!」
搭乗者の悲鳴とともに近づいてきたその二輪車は、王蛇や四体の怪物がいる場所に向かって、超スピードのまま突っ込んだ。

「うおっ!?」
王蛇は横に転がり回避したものの、四体の怪物たちは突然の出来事に反応しきれず、弾き飛ばされてしまった。
それでも勢いの衰えないライドシューターは、そのまま一直線に進んでいくと、一本の大木に激突した。
そして、その木をへし折りながらようやく動きを止めたのだった。

「いててて……。もう、何なのよコレ!?」
タイガが額に手を当て、文句をいいながらライドシューターから地面に降り立つ。
途中何かを轢いたあたりを振り返ると、起き上がった怪物たちと王蛇が再び戦闘を始めていた。

ふと、怪物の一体がタイガの存在に気づくと、標的を王蛇から変え、タイガの方に向かってくねくねと歩き出した。


「か、怪物! 倒さなくちゃ……」
近づいてくる異形の生物を前にして、タイガがここにやってきた目的を思い出す。
何か武器は……と心の中で呟くと、左手に何かが触れた。

慌てて掴み、持ち上げると、それは前回のゴーレムとの戦いでも使用した不思議な武器、デストバイザーであった。
タイガはそれを両手で持ち直すと、こちらに向かって来る怪物を見据え、駆け出した。

「えいっ!! このっ!! このぉっ!!」
怪物の目の前まで迫ると、タイガはデストバイザーを上から何度も振り下ろした。
斧の刃先に触れた怪物の表皮から火花が飛び散り、不気味な悲鳴をあげながら後退していく。
「やあぁぁぁっ!!」
思い切り持ち上げた斧を振り下ろすと、怪物が吹っ飛び、地面を転がっていった。



「そろそろか」
三体の怪物がよろよろと起き上がろうとしているのを見ながら、王蛇は紫の杖を取り出した。
デッキからエイの紋章が描かれたカードを引くと、杖に装填する。

『FINAL VENT』

音声とともに、どこからともなく赤いエイが飛来する。
王蛇はその背に飛び乗ると、猛スピードで怪物たちに突っ込んでいった。

辛うじて逃れた一体を覗き、怪物たちはその身を赤い刃のようなヒレに切り裂かれ、轟音とともに爆発し、消滅した。



「そうだ、私も!」
王蛇がいる方向から聞こえてきた音声に、タイガは思い立つと、デストバイザーにある虎の顔を押し上げた
そして、デッキからカードを引く。
引き当てたのは、デッキと同じ白虎の紋章が描かれたカードであった。
バイザーにカードを差し込むと、虎の顔を元の位置に押し戻した。

『FINAL VENT』

王蛇のものと同じ音声が鳴り響くと、起き上がったばかりの白い怪物の背後から巨大な虎の怪物が出現した。
銀と青で彩られたボディと、両手に生えた長く鋭い爪。
小さめの青い顔には、鋭く光る二つの黄色い目があった。
タイガと契約したミラーモンスター、デストワイルダーである。
「!!」
出現と同時に、タイガの両腕に白虎の爪を模した武器、デストクローが装備された。

デストワイルダーは、その気配に振り向いた白い怪物に飛びかかると、その胸部に右腕の爪を立て、地面に押し倒した。
押し倒したまま、白い怪物をタイガに向かって引き摺っていく。
白い怪物は抵抗を試みたものの効果がなく、そのままガリガリと背中から火花をあげながら、地面に引き摺られていった。


「えっ? えっ?」
こちらに向かってくる二体の怪物を前に、タイガは何をすればいいのか戸惑っていた。
(両腕の武器を使うのかしら? でもどうやって……)
考えあぐねているうちに、二体の怪物がすぐ目の前まで迫る。

タイガは思考がまとまらないまま、顔をあげた。
「もういいわ! ええいっ!!
半ば投げやり気味に、タイガが引き摺られてきた白い怪物に向けて、右腕の爪を突き出した。
デストワイルダーが怪物を持ち上げ、タイガの構えた爪に突き刺すと、その場から飛びのく。
すると、白い怪物の全身が輝きだし、次の瞬間、怪物の断末魔とともに爆発した。

「うわっ!」
目の前で起こった爆発の衝撃に、タイガは思わず左腕で顔を覆った。



しばらくして、顔を覆っていた手を下ろすと、そこには僅かな白煙しか残されていなかった。
「終わった……」
ふぅ、とため息をつきながら、タイガはデストクローを装備したままの両腕をだらりと垂らした。
これで自分が食べられる心配は、当分ないだろう。
タイガはそう思いながら、そういえばアサクラはどうなったのかしら、と彼のいた方を振り向く。

それと同時に、巨大なサイの角がタイガに向かって振り下ろされた。



「わっ!! な、なにするのよ!!」
タイガが両腕のデストクローで王蛇の攻撃を受け止めながら、叫んだ。
わなわなと震えながらも、押し込まれないよう武器を持つ腕に力を込める。

「ようやくライダーと戦えるんだ……これ以上の快感はない! 例え、相手が貴様のような馬鹿でもなっ!!」
そう言い放つと、王蛇はがら空きの腹部に思い切り蹴りを入れた。
「ぐっは……!!」
タイガが両腕で腹部を抑え、数歩後退りする。
その隙を突いて、王蛇は手に持った角を左から勢いよく振り回した。
角はタイガの左肩に直撃し、火花を散らしながらその体を地面になぎ倒した。
倒れたタイガに追い討ちをかけるように、王蛇はその右脇腹を蹴り飛ばす。
地面を二転三転し、仰向けの状態でタイガの体は動きを止めた。

「ぐぅっ……!!」
鈍い痛みが腹部と左腕に広がっていく。
タイガは、仮面の下で苦痛に顔を歪めながら立ち上がった。
(なんで、なんでこんなこと……)

『FINAL VENT』

考える間もなく聞こえてきたその音声に、タイガははっと顔をあげる。
見ると、巨大なサイの怪物に乗り、此方に向かって猛スピードで駆けてくる王蛇の姿が目に飛び込んできた。



「いやあっ!!」
悲鳴をあげながら、タイガは両腕のデストクローを目の前に並べ身構える。
直後、凄まじい衝撃がタイガを襲った。
重圧を乗せたサイの角が、立ち塞がる白虎の爪を粉砕し、タイガの体を弾き飛ばす。
宙を舞ったタイガは、背中を大木に叩きつけられ、地面にどさりと倒れこんだ。



「う……あぁ……」
満身創痍の体を無理矢理立ち上がらせようとするが、腕にうまく力が入らない。
それでもなんとか目の前の脅威から逃れようと、必死に手足を動かして地面を這い進もうとする。
すると、耳元で砂を踏み潰す音がした。

「無様だな、お前」
タイガが顔をあげると、そこにはメタルホーンを構えた王蛇が立っていた。
フン、と鼻で笑うと、王蛇は足をあげタイガの左腕を踏みつけた。
「うわああああああ!!!!」
タイガの絶叫をよそに、王蛇は笑いながら、足にぐりぐりとさらに力を込める。

「ッハハハハハ! そうだ! この感覚だ……!! 全身から沸き上がる、この快感が俺は欲しかったんだっ!!」
この時の浅倉は、契約を交わした主、ルイズを虐げることで生じるイライラよりも、ライダーとの戦いで感じる快感の方が上回っていた。



王蛇は踏みつけていた左腕から足を離すと、代わりに右腕のサイの角をタイガの頭に当てた。
「戦う相手がいなくなるのは残念だが……そろそろ消えろ」
そう言うと、王蛇はタイガの頭目掛けてメタルホーンを振り下ろそうとした。

が。
「ん? ……時間切れ、か」
サラサラと砂がこぼれ落ちるような音とともに、王蛇の体のあちこちから粒子が発生し、消え始めていた。
王蛇は舌打ちすると、地面に落ちている手鏡に向かって歩きだした。
「運が良かったな、お前。……だが、戻れないと死ぬぜ?」
それだけ言うと、王蛇は手鏡に飛び込んでいった。

(かえら……なきゃ……)
タイガはデストバイザーを右手に持ち、杖代わりにしてよろよろと立ち上がると、おぼつかない足取りで手鏡に向かって歩き始めた。



「ルイズ!!」
手鏡から吐き出されるようにして出てきたルイズを、タバサとキュルケが出迎えた。
鏡の割れるような音とともに白虎の鎧が消え、ルイズの姿が現れる。
「ルイズ、大丈夫……」
キュルケが声を掛けると同時に、ルイズが地面に向かって崩れ落ちた。
「ルイズ!? ねえどうしたのよルイズ!! しっかりして!!」
キュルケとタバサが慌てて駆け寄った。
そんな光景を尻目に、浅倉は両腕を広げ、歓喜に満ち溢れた表情をしながら、大声で笑い始めた。



人気のない静かな森の中で、浅倉の笑い声だけが、辺りに響き渡っていた。




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