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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-22


22. The Nightmare Before Marriage

泣きはらして一夜が過ぎた。ルイズは泣きながら寝ていたらしい。
ベッドに入った覚えがない。きっとマーティンが運んでくれたんだろう。

立派な貴族になる。そう決めたがやはり出来ないのだろうか?
私は、やはり「ゼロ」のまま。泣くしか出来ない子供なのだろうか。

嫌な事が続くと、頭の中まで嫌な考えに染まる。
ふと周りを見ると、何故かワルドがいた。


「いやはや、死ぬ前にこのような事を頼まれるとはね」

良い記念になる。そう言ってウェールズは笑った。
マーティンは隣で礼拝堂を見渡している。

「なるほど。これが始祖ブリミル…」

様式こそ色々と違ったが、やはりこういった神像みたいな、
神を奉る物がないとな。そんな事を思いながら、
今日の主役の登場を待った。

「ああ、いらっしゃった。では式を始める」

マーティンは備え付けの長いすに座り、二人の門出を静かに祈る事にした。


「姐御!艦船二隻、今出て行ったぜ!!」

フーケは笑う。さぁて、と沸き立つ盗賊共に言った。

「騒ぐんじゃないよ!今からが大事な所さ。
帰りの事は考えなくていいから、残っているお宝は全部もらってくよ!」

話はついているはずだからね。予定通りここに集めてるはず。
とフーケは城の見取り図の一カ所を指差した。

「姐御ぉ!いっちょ号令を頼むぜ!!」

にぃと顔を歪ませて笑う。確実に悪人の笑い方である。

『エマー・ダレロス号、アルビオン城へ潜入せよ!』
「お前が言うなぁぁぁぁぁ!!!」

美味しいところだけを持って行くノクターナルに、
どこから取り出したのか、ハリセンでツッコむフーケ。
爽快感のある音が空に響いた。
ノクターナルは頭をさすりながら、恨めしそうな声で言った。
いつの間にか、肩に停まっているカラス達も痛そうに鳴いていた。

『痛いぞ…』
「ああ?何だったらもう一回やってやろうかい?」

これだから粗忽者は。守護するのも楽じゃないのね。
人外共め。そうフーケは思いながらまぁ、アレだから。
こいつこれでも盗賊ギルドの守護神らしいから。
何でこんなのが…そう思いながら号令をかけ直し、
船は秘密の通路を通るのであった。


「き、貴様…『レコン・キスタ』…」

マーティンもルイズも、一体何が起こったのか分からなかった。
ルイズが我に返り、結婚の取り消しを求めたところ、
ワルドが激昂し、そして3つの目的を言って後、
ウェールズに魔法を放ったのだ。
そして、彼は倒れた。おそらくもう息はないだろう。

「…想定外とは正にこの事か。あの白い仮面は君だったのだね?ワルド」

マーティンは立ち上がりデルフリンガーを抜く。
ワルドは、ルイズの事を気にする素振りもなく、
マーティンの方を向いた。

「おお、お解りでしたか。いやはや、異国とはいえやはりメイジ。風の『遍在』の特性はご存じでしたね?」

そう言って、ワルドは二体の遍在を造り出す。

「ああ、風は遍在する。風の吹くところ、何処ともなくさ迷い現れ、その召喚距離は意志の力に比例するのだったな」

「その通り。残念ですがこの至近距離だとほとんど精神力を使わず造る事ができるのです。
私はあなたの手の内を知っている。苦しまずに済ます事も出来ますが?」

マーティンはにらみつけ、笑った。皇帝として号令を飛ばすあの雰囲気に戻ったと、ルイズは理解した。

「そういう事はもう20年は生きてから言え。青二才」
「言うねぇ相棒。なんだい、カッコイイじゃねぇか。こりゃ、俺もウカウカしてらんねぇな!」

急に、デルフが光を放ち始めた。光が収まると、まるで今研がれたかの様に光り輝いていた。

「やはり、そういう剣だったのだね。さて、マーティン・セプティムが参る。命が惜しければこの場より去れ!」

豪と唸るは皇帝の叫び声。デイゴン子飼いのドレモラ部隊に我先にと突撃した勇敢なる皇帝の声。
圧されながらも、ワルドは負けじと言った。

「ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドが参る!行くぞ!」
「その名は変えろ。お前はただのジャックだ」

王家を裏切り、あまつさえ婚約者の命まで奪おうとしたこの男を許す気など、
最初からみじんもない。ルイズがワルドから離れたのを見て、
マーティンは赤い球体の魔法を放った。

「ふん。所詮は老いぼれの口だけか!当たっても何も起こらんぞ!!」

三人のワルドの内一人が『エア・ニードル』でマーティンに向かい、
二人が杖を構えた。魔法を使うつもりらしい。

「遍在の使い方だ!ライン二つでスクウェア一つぅ!」

『風』の系統が強いと言われるのは訳がある。
遍在による多重連続攻撃。それとその中でも、
一部のスクウェアにしか使えない合体魔法があるからだ。



本来のスクウェアスペルは、消費精神力が尋常でないため、
そうバカスカ使える物では無いが、
彼らはラインスペルを重ねる事で消費精神力を落として、
大量に使う事が出来るのだ。

タイミングを合わせ、ワルドは風のラインスペルを同時に放った。
接近戦を仕掛けたワルドが離れたとき、もう目の前まで風の嵐は来ていた。

「くぅっ、しまった!」

防御の魔法をかけても、これの中無傷で済むとは思えない。
そうなると次の一撃でワルドに倒されてしまう。
マーティンは、咄嗟にデルフを構えた。

「正解だ相棒!俺に任せとけ!」

風の嵐は刀身にのまれ、消えていった。ワルドは訳の分からない様な顔をしている。
不意に、爆発音が鳴り一体ワルドが消えた。ルイズの爆発だった。

「おのれぇぇぇ!」
「よそ見とは、まだまだ青いな」

激昂したワルドの一体に素早く詰め寄り、斬りかかった。
音もなく倒れ、そのまま消える。残っているのは、
赤い魔法がかけられたワルドだけである。

「そろそろか…?」
「ふん、まだだ。まだ終わらんよ!!」

ルイズは先ほどの爆発の反動で気絶しているらしい。
後で感謝しないとな。そう思いながらマーティンはワルドを見た。

「さっきの魔法だが、私の国では色々こことは違っていてな」
「ほう?」

「攻撃の為の魔法は『破壊』の系統と呼ばれるのだ。そして、
それには純粋に相手に攻撃する魔法と、相手の耐性を下げる魔法、それと――」

ワルドの杖が、急に崩れた。ワルドはハッとしてマーティンを見る。

「相手の武具を破壊する魔法だ。チェックメイトだな、ただのジャック。どう死にたい?一応聞いてやろう」

タムリエルの魔法は、即効性よりも遅効性の方が消費を少なくでき、
大量の変化をもたらしやすいのだ。また、マーティンはアルケイン大学に、
長い間通っていたため魔法構呪装置が無くても、
自身の覚えている魔法なら作り直す事が出来る。

「ハハハ…まさか、ここまでとは。いやはや、僕の負けです。潔く認めましょう」
「そうか。ならば行くぞ」

ご心配には及びません。そう言ってワルドはまだ笑う。
何がおかしいのだ?マーティンは聞いた。

「なに、最初から僕はここにいなかったということですよ。では、また会いましょう。ここを突破出来たなら、ですがね」


そういって、ワルドは消えた。全て、遍在であったのだ。
ああ、マーティンは納得した。
そう言えば、私が何か言う前に彼は私に握手を求めてきたな、と。
そして私は、あの時先に喋ってしまったな、そう思った。

「遍在の遍在って…そんな事よりウェールズ様は!!」

いつの間にか、気が付いていたらしいルイズが、ウェールズの下へ駆け寄った。

「ああ、もう息をしてらっしゃらないわ…」
「せめて、戦場で死なねばならなかったというのに…」
「ええ、全くです。惜しい人を亡くしました」

二人が悲しそうに言っている中、背後からうんうん頷いて、
ウェールズが言った。

「ウェールズさまぁぁぁ!?お、おばけぇぇ!!」

気付いて、ルイズは叫び声を上げる。マーティンもハッとして剣を構えた。

「心配しなくて良い。それはスキルニルさ」

ああ、こちらのマジック・アイテムを調べた時に何度か聞いた名前だ。
古代の王家が、これで争ったり何かやましい事に使ったりしていたらしい。
今もそれなりに発見報告があり、時たま魔法店に売られたりもするようだ。

「すまなかったね。もしかしたらと思ってすり替わっておいたんだ」

何か嫌な気配が彼からしていてね。
ウェールズの言葉に、ああ、とマーティンはうなだれた。

基本的にマーティンは人を信じる性質である。
そもそも、身元が分からない人間に、
あなたは皇帝のお世継ぎだから着いてきて下さい。
と言われて、何かよく分からないけど、
嘘と思えないから着いていくよ。
と言い切った人物である。相当お人好しの部類なのだ。

「ミスタ・セプティム。貴方を悪く思うつもりは無い。
かの祈りは確かに聞いた。さ、行きなさい。先ほど賊の船らしいのが、
港に入ったようだ。おそらく盗賊ギルドだろう」

何故知っているのかは知らないが、まぁ、彼らなら君たちを乗せるだろうとも。
そう言ってウェールズはその場を後にした。


「しかし…盗賊ギルドか」
「どうしたの?マーティン」

港へ向かって走る。そう言えば、フーケも盗賊ギルドか。
そんでもって、グレイ・フォックスか。

「いや、こっちにもグレイ・フォックスという名前の盗賊がいたなぁと」
「ええええええ!?」

まぁ、落ち着いて。そう言ってマーティンは走りながら叫ぶルイズに言う

「落ち着いてられないわよ!どうしてそう言うこと先に言わないのよ!!」
「いや、だって伝説で、本当にいると信じている人なんてほとんどいないよ」

盗賊が組み合いを造るっていうのも変な話じゃないか。
まぁ、確かにそうだけど。そう言って二人は走る。
決して腕組みしながら足だけを高速で動かしたりしない。
そんな事出来るのは大きな炎の十人だけだ。


「殿下!何処へ行っておられたのですか!?貴方様がおらねば何も始まりませんぞ!!」
「いや、全くだ。すまないね、パリー」

戦の準備を整えたウェールズはパリーに笑ってそう言った。

「さぁさぁ、殿下がいらっしゃった。各々方!王家の生き様、
かの下劣なる貴族派の連中に思い知らせましょうぞ!!」

応!!と号令がかかる。その傍らにはジェームズ王もいた。

「すまぬな、ウェールズ。この様な事になってしまって」
「何を言うのですか父上。何も問題ありませぬ」

そう言って戦場へ出ようとした。その時だった。

「もし、そこの方」

見慣れぬ司祭服を着た老人が立っていた。
呼び止められたウェールズは、はて、と思いながらも立ち止まった。

「貴方様の勇敢なる活躍に、どうかこれを持って行ってはもらえないでしょうか?」

手に乗るはコインが一枚。受け取れるのなら受け取ろう。ウェールズはそう思い、
それを預かった。

「ご武運を、貴方はエセリウスに行く事が出来ませんが、私は見ていますからね」

老人はそう言って消えた。場所とタイミングさえ合えば、良い話になる例である。
ちなみに、彼はこれが本人だと思っている。

不思議そうにコインを見て、気が付いたら老人はいなくなっていた。
何かは分からぬが、まぁいいか。と、もう一人の『スキルニル』のウェールズは思い、
戦場へ行った。


「くそったれが!!大赤字だぞ!スキルニル一つ1000エキューだ!それを三つも使ったんだ!!」
「今は金の話より命の話じゃないのかいマスター!」

砲撃の音が響く中、フーケと合流したフォックスが、
砲撃の音よりも大きな声で叫び、負けじとフーケも大声で叫んだ。

どうやっても説得出来なかったため、二人とも気絶させて数人がかりで運んでいる。
タバサとキュルケも目的地まで連れて、お宝を魔法で運ばせながら、
船の近くまで持って行く。そして近くではノクターナルとシルフィードに運ばせる。
ブチブチ言っているが気にしない。しないったらしない。

盗賊ギルド総掛かりの今回、さて、次の一手はと思ったとき、
フォックスとしては見知った顔がいた。

「皇帝陛下!」
「え、本物のグレイ・フォックス!?」

驚くのも無理はない。著者不明の『伝説か脅威か』を始め、
様々な文献から、フォックスの存在は否定されているのだ。
もちろん、それは工作である。有名になりすぎると、
伝説になった方が、色々しやすいのだ。
何せ300年前からいるのである。
もういないと考えてもらった方が盗みをしやすい。

「ここで会ったのも何かの縁!ささ、我が船にてお運び致しましょう」
「ああ。ありがたいけど、気のせいかな、あそこで物体浮遊の魔法使っているのって」
「お気になさらず!」

どう考えてもアレだよな。デイドラ王の。あれー?とか何とか思いながら、
船に乗り込みホッと一息付くマーティンだった。

『おお、竜の子か。よくぞデイゴンを打ち倒した。竜になった気分はどうだった?』

個人的には何であなた様がいらっしゃるのか。そちらの方が聞きたいのですが。
マーティンはそう思いながらも、なかなか素敵でしたよ、と無難に解答しておいた。

デイドラ王は何を考えているのか基本的に人間には理解出来ない。
そして更に、機嫌を損ねると死に繋がるパターンが多いのだ。

「ホラ!!口動かさずに魔法使え、魔法!!」

フーケに言われ、粗忽者の癖に…と恨み節を吐きながら念動の魔法を使うノクターナル。
ああ、そう言えば彼女はアレな子という学説があったなぁ。
流石にそれはないだろう。と言う意見が圧倒的多数な中、
むしろそれが良い。とするカルト的な人気を誇った学説だったな。

以前、大学にいた時代に見たデイドラ論文の一つを思い出しながら、
マーティンは、真実って何があるのか分からない物なんだなぁ。
と思いながら荷物運びを手伝い始めた。

「よし、十分だ。逃げるぞ!」
『後は任せたぞ、我より頭巾を奪いし者よ』


もー疲れた。寝る。と言ってそこら辺でぐうぐう眠り始めた。
あれか、本当にアレなのか。マーティンは、
何となくデイドラ王に対する考えを改めるべきなのか、
少し考え始めた。

「ああ、お疲れさんノクターナル。後は…『リコール』!」

グレイ・フォックスが叫ぶと、船の紋様が光り始め、空間が歪んでいく。

『神秘』系統の転移魔法。シロディールでは治安上と機密保持の為に、
使用することも教える事も禁止されている魔法である。
『マーク』という魔法と対になっており、それでどこか特定の場所を指定し、
この『リコール』を唱えるとそこへ戻る事が出来る。
登録している場所はタルブ。気が付けば船は、ワインとオレンジの名産地に着いていた。


「さて、とと」

王宮の自室にいた女官を殺し、ワルドは確認を始めた。

「アンリエッタをさらい、僕のグリフォンで撤退。完全じゃないか」

邪魔だったから殺した。それだけの話である。
自身の『使い魔』のグリフォンも既に待機状態。
そして、ここに姫が来る手はずになっている。

「最後に笑うのは僕ですよ。マーティンさん」

彼は知らない。最近特別訓練官として、
先代マンティコア隊長が、マンティコア隊に特別訓練という名の、
悪魔も泣き出すしごきをやっていると言うことを。

「勝ったも同然じゃないか。あっはっはっはっは!」

彼は知らない。今、彼女はマンティコアに乗り、
隊のメンバーを絶妙な加減で死なない程度に特訓しているのを。




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