あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZONE OF ZERO7


王都に帰還したルイズは、取り次ぎを経てアンリエッタ王女の元に帰還した。
王女の自室で、王国軍の壊滅と恋人の生存が絶望的なことを聞き、
静かに涙する彼女の姿を見たときは、流石にルイズも胸を痛めた。
今回は彼女の仕草にも芝居っ気は見られず、ADAも自重していた。
それに重ねてワルドが裏切った事を告げると、いよいよアンリエッタのメンタルレベルは、
割と洒落にならないところまで落ち込んでいったので、
ルイズは今夜のシエスタのシチューを諦めた。
圧縮空間から割合アルコール度数の高い一本と二つのグラスを取り出すと、
片方になみなみと注ぎ、半ば無理やりに、アンリエッタに押し付けた。
しばしグラスで揺れる、琥珀色の液体を見つめていたアンリエッタだったが、
やがてそれを一度だけ睨み付けると、一息に飲み干した。
……だがそれがいけなかった。
元々限界間際だった王女の精神は、蒸留酒のストレート一杯で
呆気なくお花畑の向こう側へとゼロシフトした。
杯を差し出したルイズも、習って一杯に注いだグラスを難なく空けるが、
これはルイズが酒に強いのではなくて、ADAを召喚した際に身についた強力な自浄作用が、
体内に取り込んだ毒物(アルコール)を片っ端から分解し、酔う事を許さないからである。
なので、精神がまるでどこかの火星の指導者みたいにぶっ飛んだ幼馴染の、
愚痴と癇癪と弱音と泣き言と恨み言と八つ当たりと暴言と呪詛と覇者宣言を、
素面のままで延々聞かされ当たられ宥めすかす羽目になったルイズは、
夜が明ける頃には、完全に燃え尽きて真っ白になっていた。
しかしその甲斐あってか一晩でアンリエッタのメンタルレベルが、
どうにか正常値近くまで回復したのを確認したルイズは、
正気に返って青くなったり赤くなったりしながら、何度も謝罪を繰り返す王女に、
ルイズはやけくそ気味にいっそ爽やかに微笑み返すと、
徹夜でナチュラルハイに揺れる頭を抱え、王城を後にした。
……そして、早朝の朝焼けのなか消えてゆくルイズの後ろ姿を、
まだだいぶ頭にアルコールを残したアンリエッタは、どこか切なげな顔で見送ったのだった。



学院に帰還したルイズは、とりあえずベッドに潜り込む前に、
腹に何か詰め込もうと食堂に向かった。
中に入ると、すぐにシエスタが仕事を中断して、ルイズの元に小走りで駆け寄ってきた。
「~で、本当は、昨日の昼にはトリステインに着いていたんだけどね。
 その後の報告とか、事後処理で今までかかちゃったのよ、ごめんなさいね」
「いえ、無事に帰って帰ってきていただいて、本当に良かったです」
正直、癒される。
戦争とか陰謀とか裏切りとか政略結婚とか、ここ数日の間、
くっさくさした話にばかり巻き込まれてきたルイズは、
シエスタの木漏れ日のように優しげな微笑を見て、心の底からそう思った。
そして、アルコールは片っ端から分解されているとはいえ、暴飲明けで
荒れた胃に優しいスープをそっと差し出されたルイズは、このひと時の為にだけでも、
頑張った甲斐があったと思った。

次の日、久しぶりに出席した授業で、ルイズはコルベール師の開発した
内燃機関を目の当たりにした。
教室の皆は、総じて白けた目を向けるだけだったが、
現在数千年先を行く超技術の恩恵を受けているルイズは、
無意識のうちに、ソレが何かとんでもないモノの雛型であると理解した。
それに加え、ADAがこの世界の技術を一新しかねない物であると助言すると、
ルイズはADAと相談した末、コルベール師を支援する事に決めた。
コルベール師の発明が技術革新に繋がり、国力の増強に繋がるのであれば、
支援の見返りは果てしなく大きなものになる。
――アルビオンを滅ぼした新政府が次に狙うのは、このトリスタニアだろう。
現在は一応、不可侵条約が締結されてはいるが、これが一方的に破られる可能性は
かなり高いとADAは分析し、ルイズもまた同じように結論付けた。
それが何時になるかまでは定かでないが、そう遠い時ではあるまい。
ならばその時、そしてその後に備え、手札が多いに越した事は無いと二人は判断したのだ。
ルーンの力で無意識に技術を扱うだけのルイズでは不可能だが、
コルベール師ならばADAの知識を有効に活用する事も可能だろう。
また一つ仕事が増えた事を悟り、ルイズは嘆息した。



それから数日後、何かルイズは仲人やる事になった。
トリステインの王族の結婚式には詔を読み上げるらしいのだが、
アンリエッタ王女が何とルイズを指名したらしい。
学園長から何にも書かれてない一冊の本を手渡されたルイズは、
自室に戻った後、つい不遜にも、何の嫌がらせだコンチクショウとか思ってしまった。
結婚の祝辞なんて思いつかないし、名指しで頼まれた以上誰かに頼るわけにもいかないし、
唯一例外的なADAも、万能に見えて人間の感性によるような作業では役立たずなのだ。
だが、そこにそのADAから声がかかった。
『対象より魔法による迷彩を確認』
「迷彩って、本当は白紙じゃないってこと?」
『はい。恐らく何かキーとなる触媒が存在する筈です』
「キーと言われても……ちょっと思いつかないわ。ADA、解呪出来ない?」
『恐らくは可能ですが、かなり強力な魔力で封印されています。時間を必要とする上、
 解呪の為には、現在進行中のシステムの復旧作業を、中断及び分割する必要があります』
その言葉にルイズはしばし黙考したが、やがて頷いた。
「仕方が無いわ、あまり時間もないし。
 それに、現状では復旧を急ぐ必要も無いでしょうし、やって頂戴」
『了解、これより解呪を開始します』
そうしてルイズは始祖の祈祷書を圧縮空間に放り込むと、溜息をついた。
「全く、ほんっとうに次から次へと厄介ごとばかり起こってくれるわね。
 これ以上、何事も起こらなければいいのだけど……頼むから」
しかし当然のように、その願いが叶う事は無かった。
ルイズ超頑張れ。



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