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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-18


18.ブルースカイ・ハイ

とぉぉんでるよ~そぉらぁをとぉぉんでるんだ~
クリフ・レーサーは空高く飛ぶんだぁ~とぉぉんでるよぉぉ~
ところで、クリフ・レーサーってなんなんだろう。後でマニマルコに教えてもらおっと。


「なぁ、犬」

レキシントン内の密室。吐き気をこらえるクロムウェルに向かって、ぞんざいにマニマルコは言った。
犬きた。クロムウェルはさて、何かしたっけと自分の秘書兼雇い主のマニマルコを見た。

「何かご用でしょうか?マニマルコ様」
「ワルドだったか。本当に使えるのか?」

いや、そんな事言われても連れてきたのはあなたですし、
水の精霊を従わせる為に、ラグドリアン湖に行ったのも俺・ワルド・貴女様でしょうに。
とは言えず、柔らかく言うクロムウェル。

「あなた様と一緒に水の精霊をどうにかしたのですから、使えるのでしょう?」
「ああ、そういえばそうだったな」

彼女は興味の無いことをすぐに忘れてしまうらしい。
その性格は便利だろうなぁ。最近胃薬の使用が絶えない彼からしてみれば、
羨ましいことこの上ないものだった。

オリヴァー・クロムウェル。今や貴族派の首領となった彼は、
元々はアルビオンで、司教という高い地位についていたのだが、
本人曰く「何で俺こんな席に座っているのか未だに分からない」だそうだ。
元々彼は、口の上手く手先の器用なこそ泥で、当時はオリヴァンと名乗っていた。
彼はアルビオンを渡り歩いて、少々ばかりの金銭を得て暮らしていた。
孤児院生まれの孤児院育ちだった彼は、働くことを嫌って小悪党になったのだ。

ある時、ひょんな事からある村の司祭を助け、それからトントン拍子に出世が続き、
いつの間にやらこの地位を得ていた。棚からぼた餅と一緒に大量の金塊が落ちてきた様な物である。
ちょっと調子に乗った彼は酒場で一言もらした。「王になるのも悪くないかもしれないな」と。
本当に現在進行形でなりつつある。少々マズイと思っていた。
自分はそんな器じゃない。司教の通知が届いた時も寝込んだというのに。

口の上手さは演説の上手さ。彼のそれは多くの民衆を魅了し、
信心深き者は尚更に敬虔なブリミル教徒へとなっていった。
俺の経歴知ったら傷つくだろうなぁ…今となっては誰にも言えない話である。

「マニマルコ?ここにいたんだ。クロムウェルも」
「ああ、イザベラか。どうしたのかね?」

マニマルコが唯一優しく接する彼女――青い髪のイザベラ。
凄まじい「先住魔法」の使い手にして、火竜すら素手でなぎ倒せるだろう程の力を持った彼女。
しかし――とクロムウェルは思う。あの薬を本当に使い続けて良いのだろうか。


「クリフ・レーサーって何?」
「ああ、空を飛ぶ化け物だ。人を襲う」

人ならざる気配を放つマニマルコは、イザベラの発作を押さえる為と称して、
赤い液体をクロムウェルに渡していた。飲ませろとの事だった。

どうにも危険な気がしてならない。以前見たスクゥーマなる薬に似た匂いだからだ。
エルフの地にある木。それの樹液が原料だという薬を飲むと、
とてつもない高揚感と共に幻覚を見て、飲み過ぎれば死ぬと言う。
自分は飲めなかった。怖いから。

時たま彼女が帰ってきた時、苦しそうに呻きながら暴れるのを、
クロムウェルはどうにか押さえ、薬を口に流し込む。
すると少々頭のネジがはずれたいつもの状態に戻るのだ。
大抵、彼女を押さえ込むときに骨をいくつかやったりするが、まぁ慣れた。
その後涙ながらに治してくれるし。可愛い女の子の涙は反則なのである。

「さっき教えてくれた歌って素敵ね。おもしろくて……」
「ん?どうかしたのか」

目の色が変わり、獣が怯えるだろう笑みをイザベラは浮かべた。

「いる」「どこに」「あっち」「ワルドは?」「いる」

たった三言でマニマルコは理解できているらしい。
話によると先住の魔法の中には生命力を放つ存在を、
探知する魔法まであるとか。おそらくイザベラは、
それを使って探知していたんだろう。
メイジでないクロムウェルにはあまり分からない事だった。

「ならダメだ。そいつらはワルドの獲物だ」
「えー…あ、もう一ついるよ!」

マニマルコの表情が変わった。私は何も聞いていないのだが。そんな顔だった。

「犬?」
「お、おそらくワルドが女官を使って姫殿下を操ったときに用いた『盗賊ギルド』の船かと…」
「そうか。ここにもいたか」
「は?」

メイジギルドにすら劣る連中を助けて何が起こると言うのか。
まぁ、そんな連中でも潰しておくことは大切だ。
もうあのような失態を犯すつもりは、マニマルコにはなかった。

「いや、いい。イザベラ、場所は分かっているね?」
「うん。やっつけていいの?」
「ああ。ジョゼフ様もお喜びになるだろうしね」

心からの笑みを浮かべて、イザベラは辺りを飛び跳ねだした。

「では、後を任せたぞクロムウェル。私は少々こいつをいじりたいんだ」
「ええ。分かりました…では」

先ほどから続く吐き気をおさえつつ、クロムウェルはイザベラと部屋をでた。
密室の名は遺体保管室。マニマルコのコレクションルームともいえるそこで、
舌なめずりをしながらどんなアンデッドにするか、考えるマニマルコであった。


人を殺し過ぎた人間は、ある日凶悪なドラゴンになるという。
ただでさえ酷い力を持つ蠱の王は権力と金を持ち、
さらなる力を求めてさまよっている。
もはや、人の言葉が通じぬ彼女を倒すドラゴンころしは、
未だ一人も目覚めてはいない。


「いぬ~いぬー。クロムウェルは何いぬなの?」
「さぁ、何だろうね?」

むーと口を膨らませるイザベラ。可愛らしい。まだ二十代のクロムウェルは、
いかんいかんと思って彼女から目をそらした。命令は伝えた。後は目的地に着くのを待つのみと思いながら。

「犬の癖にこのあたしに逆らうってのかい?」

うわ、スイッチ入った。彼女は時たま思い通りにならないと口調が荒くなり、目が赤くなる。
マニマルコの話だとこっちの方が素らしい。ガリア王家はどういう教育をしているのだろうか?
いや、あの無能王の――

「きいてんのかい!」
「あ、ああ。聞いてるよ。だから少し落ち着いて。皆怯えている」

イザベラははっとして辺りを見回した。戦場での彼女をよく知る兵達は震えを止めようともしない。

「あ、その、えと、ごめんなさい。駄目だなぁ。わたしって」

おしとやかじゃないとだめなのに。そう言って床に座り、のの字を書き出した。
彼女は、色々あったらしい。決して全てを語ろうとはしないが、
しかし、『エレーヌ』という子にとてもひどい事をしたと、悲しそうに話してくれた事があった。

「大丈夫だよ。君はとても優しい女性だとも。始祖に誓って言おう」
「本当!?クロムウェルってお上手なんだから!!」

よくもまぁ、あんなのにそんなセリフを吐ける物だ。
流石は聖職者、ネジが飛んでやがる。そこにいた兵士は一人残らずそう思った。

少しして、レキシントンが目的空域に到達した後、
甲板まで出たイザベラとクロムウェル。そこにいた兵達は敬礼して、一人が言った。

「クロムウェル様。『ブルー』を出すのですか?」
「ああ。彼女が敵を見つけたからね。すぐに片付けて来るとも」

ガリア王家とは絶対に言えないから、偽名である。
彼女は美しかったが、決して誰も近寄ろうとはしなかった。
別に、マニマルコに何か言われた訳でもなく、彼女と話すクロムウェル以外は。

どことなく、昔の自分を見ているのかもしれない。
そう思って彼は話しかけているつもりだが、
彼は未だに恋をした事がなかったりする。
つまり、そういうことなのだ。彼自身気がついていないし、
イザベラも…まぁ気がついていないだろう。おそらく。


「分かりました。ミス・ブルー。どうかお気を付けて」
「ええ、ありがとう。それじゃクロムウェル――」

クロムウェルの首根っこを、強引にひっつかんでその場に座らせると、彼女は頬にキスをした。

「いってきまーす!」

風を切る音のみが響く。竜すら越える速度で飛ぶ彼女から逃げ切れる存在など、
少なくともハルケギニアにはいなかろう。

「だ、大丈夫ですか閣下!」
「ん?ああ、慣れっこだとも。なかなか役得だと思えてきた」

こいつ筋金入りの変態だ。一部でそう思われている事を、
クロムウェルはこれっぽっちも知らないのだった。


エマー・ダレロス号は現在雲海の狭間を航行中である。
グレイ・フォックスが乗る船より彼の定期的な通信がフーケに届くため、
今の所遭難等の問題はなかった。

「しっかし、このマジックアイテムは便利だね」
「何ですの?それ」

キュルケはフーケの持っている人形を見た。
手あかの付いたそれは良く使われているらしい。

「ああ、サウスゴータの宝物庫にあってね。
これに向かって話すと遠くにいる相手に声が通じるのさ。
あたしが持ってる様なのはいくつかあってね。
ギルドの中で特殊な任務に就いてる奴が持って、
いつでも持ってる者同士で話が出来るって訳さ」

「なるほど、ところで――」
「姐御ぉ。何かまずいんだが」

哨戒ルートを知っているはずの太っちょが言った。

「何があったんだい?」

「さっき雲の隙間から見えたんだが、近場に何故かレキシントンがいる。
今日のルートは、ここより遠い場所でニューカッスル城を撃つ予定のはずなのに」

「ガセを掴まされたってことかい…?」
「いや、それならこっちがバレてるはずなんだが…」
「何もしてこない?」
「そうそう。賢いねゲルマニアのお嬢さん」

ふむ、とフーケは頭を捻らせる。
相手の狙いが何か、だ。
そもそも傭兵は誰から頼まれて襲撃した?
今徹底的に調べさせているから誰かが尻尾を掴むだろうけど――


「姐御!相手が分かった。メイジだ!風のメイジ!」
「風…ねぇ」

まさか――ワルドという男はグリフォン隊の隊長で、風のスクウェアメイジと聞いた事がある。
最近どうも王宮の動きがリッシュモンを中心にきな臭くなっているが――

そう考えてみれば、あの姫様がいきなりあまり知らない野郎に、おともだちの婚約者と言っても頼み込むか?
フーケの思考は疑惑から確信へと変わりつつあった。

「ちょいと聞きたいんだがね、ゲルマニアの。ワルドって男はどんな奴だったんだい?」

「そうね。何かヤな感じがしたわ。私になびかなかったし、
婚約者って言っていたけれど、ルイズの事、物としてしか見ていなかったもの」

「何か言ってなかったかい?力がどうのとか」
「聞いてないわね」

押しが弱い。それなら家名の為に物扱いしていると考えられる。
う~んとうめくフーケに、二回目の報が入った。

「姐御、スカロンからの連絡だ!人相が割れた。聞いた感じだとこんな奴みたいだ」
「流石は『影滅』のスカロン。平民なのに二つ名持ちは伊達じゃあないね。見せてみな」

言って、頭巾の男が持ってきた紙に書かれた人物を見る。ふむ…白い仮面を被った黒っぽい服とマントでこの体格の男は――

「ワルドじゃない!」

キュルケが叫んだ。フーケは即座にグレイ・フォックスを呼び出し、
そいつが裏切り者である可能性が高い事を教えた。

「分かった。まぁそれならこの船は大丈夫ということか」
「何がだい?」

「『蒼い死神』の話だ。もしかしたらここら空域に現れるかもしれん。
レキシントン周辺での目撃回数が多いからな。そっちは気を付けろよ」

蒼い死神。クロムウェルが東方から呼び出したと言うそいつは、
数週間前から現れ、王党派の船を単騎で轟沈させてきたと言う。
また、杖も無く空を飛び、竜騎兵を素手で竜ごと葬り、
空からの魔法の一撃は、地上の兵を跡形無く消し去ったという。
そんな、それ何て『烈風』?という話から付けられたあだ名が『蒼い死神』なのだ

「…マジかい。それ」

「心配するな。その船にはノクターナルの魔法がかかっている。
色々とアレなデイドラ王子だが、付呪の腕前だけは絶対に間違い無い」

「その言葉信じるよマスター。それじゃ、影の導きがあらんことを――」
「きゅいー!!!」

通信を閉じてから、急にタバサのシルフィードが暴れ出した。


「な、何だい?」
「おねーさま!だめなのね!早く逃げるのね!あれは、あれは――」
「しゃべったぁ!?お前韻竜なのか?」
「そんな事どうでもいいのね!きゅい!大いなる意志の敵がくるの!シルフィ達が敵いっこないのね!」

それは、初め風の音だった。だが、それが近づくにつれてもっと違う音だとタバサは分かった。
空を飛ぶ音。しかも高速で何かが近づく音。やがて皆が気付く。何かがいるという事に。
しかし、暗い雲海の狭間では音はすれども姿は――いや、見えた。
赤い目の残光が、船の後方を亡霊の様に走る。
全身が青で統一された軽鎧に身を固め、
肩のみを真っ赤に染めている。暗くてまだ顔が見えない。
ゴクリ、と誰かがつばを飲み込んだ。何が東方だ。
あんな奴この世の存在じゃねぇ。冥府の死神に違いない。そう思いながら。

船が雲海を抜けた。
未だに尚それの音が近く、大きくなる。
タバサがその音の方を見ると、見知った顔がいた。

「イザベラ…?」

彼女はタバサに気づく訳でもなく、船を楽しそうに眺めていた。
どうしようかなぁ。炎で燃やす?氷でカチンコチンもいいなぁ。
稲妻でしびれさせて――ゾクゾクしちゃう!

「蒼い…蒼い死神だ!まずい、船長!スピード上がらねぇのか!?」
「こんな時だけワシ頼りかいっ!ダメだ。これ以上はもう上がらん!!」

すぐに追いつくだろう。曲線と直線を混ぜながらイザベラはこっちに飛んでくる。
遊んでいるらしい。上昇したり下降したりしながら、
速度に緩急をつけつつこちらに近づいていた。
船の鼻の先まで近づいたイザベラは、ふいに手を掲げた。
船より大きな火の球が手の先より現れる。

「なぁ船長。ちょっと聞いてくれるかい?」
「何だフーケ」
「この船にかけた魔法効果って何だっけ?」
「敵から逃れる奴だろ?」

忘れてしまったか?という風に船長はフーケを見る。

「発動条件は?」
「ノクターナルかグレイ・フォックスが乗っていること」
「どっちもいないじゃないかぁ!マスターのばかぁぁぁぁぁ!」

基本的に抜けているデイドラ王ノクターナル。それの性格は灰色狐にも伝播しているようだった。
フーケの嘆きを余所に、火球はイザベラの手を離れてエマー・ダレロス号へと向かう。

「回避!回避ぃぃぃぃぃ!」
「無理だ!!追ってきやがる!ちくしょうがぁぁぁぁぁぁ!」

本来、シロディールの魔法に誘導性能は無い。
そう、シロディール『だから』無いのだ。
マニマルコ秘伝の魔法は、彼女が万全な時であっても、
マジックアイテムの補助無くしては唱えられない物も多い。
この誘導性能付き炎魔法もそれの一つだった。

「燃えちゃえ!燃えちゃえ!船ごと燃えちゃえぇぇぇぇ!」


イザベラは楽しそうに笑っている。タバサは彼女が怖くなって震え始めた。
それを見たキュルケがタバサをきつく抱きしめた。あれには敵わない。
本能的に理解できたため、無駄な抵抗ができなかった。

「ちょ、ノクターナルゥゥゥ!何とかしておくれよ!!」

しかし、返事は無かった。

「いやぁぁぁぁ!!」

フーケが叫び、船が炎で包まれるかと思われたその時、
炎は止まり、少し小さくなった

「へ?何よ。何よそれぇ?」

何が起こっているのか、イザベラすら分からない。
皆の時間が止まり、炎球を見る。色が段々と変わり始めた。
みるみる内に灰色へとそれは変わり、炎に照らされた船とその乗組員やイザベラは、
脈打ちながら降り注ぐ灰をかぶったようになった。
炎の色はますます暗くなり、炎球の周りはまだ昼だというのに、
まるで真夜中の森のような暗さになっていく。しかし、
未だその変化はとどまる所を知らず、とうとう炎の色は漆黒よりも黒い、
『虚空のような名付けようのない色』になった。

炎は周りの全てを照らしたが、しかしその光は普通のそれとはほど遠い物だった。
タバサとイザベラの青い髪は白く輝く色になり、透き通る白い肌は闇よりも黒く光る。
キュルケの髪の色は緑色に輝き、肌は本来のタバサの様に白く輝いた。
フーケの髪は真っ赤に変わっている。

夜の女王ノクターナルが色のない色の炎から進み出ると共に炎の球は消えて、全てが元に戻る。

『待ったか?』

とても気楽そうに言う。フーケは少し怒鳴り気味で言った。

「ああ、もう寿命が10年は縮んだね」
『なに、英雄は・少し遅れて・やってくる。と聞いたからな』
「誰にだい?」
『決まっているであろう。英雄だ』

フーケは頭が痛くなってきた。いつもこいつはこんな感じだ。
神様特有というかそんなもんだとグレイ・フォックスには聞かされたが、
しかし、こう、何というか…そうフーケが考えていると、蒼い死神が動いた。

「何よ、何よあなた。邪魔よ、邪魔なんだよ。どけよそこうざいから。いや、もういい。失せろぉぉぉぉぉ!!!」

イザベラの目が赤く光って魔法を放つ。先ほどよりさらに大きな炎がノクターナル目掛けて投げられた。
しかし――ノクターナルがどこからか取り出した盾が、まるで吸い込むかのように魔法を消し去った。

『「灰色のイージス」なり』

その効果、全魔法完全無効化。その力、完全なるメイジ殺しの為の盾。
作りし者が不明の闘技場の戦士の品は、
最近ノクターナルが普通の盾に付呪して造った物であった。
勿論、これを持たせて闘技場に行かせたのも彼女である。
装飾はともかく、付呪師としては驚異的な才能を誇るノクターナル。
デイドラ王と超リッチの戦闘が、今、ここに始まろうとしていた。




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