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蒼い使い魔-29


バージルはシルフィードから降りた後、バージル達はタルブの村人達と合流、
ルイズの介抱をタバサや村人に任せ、ゼロ戦が奉納されている祠へと向かう。
アルビオンの竜騎兵により焼き払われたものの、
固定化がかかっているためもしかしたらゼロ戦は無事ではないか?
という淡い期待を抱き様子を見に来たのである。
「…………」
「あー…相棒…こりゃダメだな…」
バージルが焼け落ちた祠へと足を踏み入れる
そこにはわずかに原形は保っているものの無残に焼け落ちたゼロ戦の姿が。
それを見たバージルが眉間にしわを寄せそれに触れる。
「……エンジンはかろうじて無事みたいだが…これではどうしようもないな」
ルーンの力で確認すると舌打ちし踵を返す、人の気配を感じ顔を上げるとそこにはシエスタの姿があった。
「バージルさん…あの…ひいおじいちゃんの竜の羽衣は…?」
「見ての通りだ」
泣きそうな表情でうつむきながら話しかけてきたシエスタににべもなくそう言うと横を通り過ぎようとする。
「もう飛べない…んですよね…」
「…これでは聖地へは行けん」
「バージルさんは…これで…聖地に行くつもりだったんですか?」
「そうだ、それももう叶わないがな」
それだけ言うとバージルは泣きそうな表情のシエスタへのフォローもなしにさっさと来た道を戻ってしまう。
それを見送りながらシエスタは小さく呟く
「バージルさん…まだ学院にいてくれるなら…壊れてしまったほうがよかったのかなぁ…?」
そう呟くと、ゼロ戦へと力なく歩み寄り、今は亡き曾祖父へ想いを馳せ、涙を流した。


場面は変わり魔法学院、タルブから帰還したルイズ達を待っていたのは
戦勝で沸く城下町とは裏腹にいつもと変わらぬ日常であった。
王軍の勝利を祝う辞が朝食の際オスマン氏の口から出たものの取り立てて特別なことも行われなかった
やはり学び舎故、政治とは無関係なのだろう、生徒たちものんびりとしている。
ハルケギニアにおいて戦争はとくに珍しいものでもなく、いつもどこかで小競り合いが起きている
いざ始まれば騒ぎもするが、戦況が落ち着けばいつものことである。

そんななかバージルは一人学院を出て、少し離れた場所にある人気のない森の中へと足を運ぶ
そして周囲に人の気配がないことを確認すると、左手をじっと見つめた。
あの日、タルブの草原上空でルイズ放った魔法を見て以来、自身の魔力に変化が起こったのだ。
あの時、ルイズを支えるために左手でルイズの手を握った時に何かが起きたのだろうか?
それを確かめるべく、自身の魔力を開放し、魔人となる。
「試してみるか…」
静かに呟き左手に魔力を集中する、すると突如彼の左掌の上で漆黒の炎が燃え上がる。
さらに集中し魔力を凝縮させ、目の前の岩目がけ左手を前に突き出し放出する。
―ドォン! という爆発音、バージルが放った魔力の塊は爆発し岩は粉々に砕け散った。
「やはりか…」
それをみて得心がいったようにバージルは呟き、再び左の掌を見つめる
「どう思う?」
魔人化を解除したバージルが立てかけておいたデルフに尋ねる。
「おでれーた…なんでお前さんが使えるんだよ…? 虚無だぞ? 伝説の系統だぞ?」
「倒した悪魔の魔力を自分のものとして使うことはある、武器であれ能力そのものであれ形は様々だがな。
この『ベオウルフ』もそうだ。俺の弟…ダンテも時を操る悪魔を倒しその能力を得ている。
あの時、俺は手と魔力の媒体となる杖を握っていた、おそらくその時にこの力を吸収したんだろう」
事もなげにバージルはさらりと言った。
「ってことはアレか? 虚無の力は悪魔の力だってのか?」
「知らんが、恐らくは違う。もっと別な理由だろう」
ルイズの魔力がルーンを伝わってきたのだろうか? それが流れ込み自身の魔力と同化したのだろう。
バージルはそう見当をつけると左手を握り締める。

「しっかし…スパーダの血族は何でもアリなんだぁね…まさか虚無の力まで取り込んじまうなんて…」
「所詮劣化コピーだ、100%引き出せるわけではない、撃てたとしてもこの程度だ。それに少々勝手も違う、
俺のは魔力の塊自体が爆発しているだけだ、虚無の力はトリガーに過ぎんのかもしれん」
先ほどの爆発で粉々になった岩を一瞥しバージルは言う。
「それに、虚無が悪魔の力であるか否かなど俺とってはどうでもいいことだ、
利用できるものは利用する、今までもそうしてきた。そして、これからもだ」
そう言うとデルフを背負い、学院へと戻っていった。
学院へともどったバージルはその足で図書館へと向かう。
聖地についての本は粗方読み終わり、今度は魔界への手がかりを探し伝承の部類を探しているのだ。
生徒はおろかオスマンの許可がなければ教師すら立ち入りを禁じられている禁書エリアにまで足を運ぶ。
「なぁ相棒、これ以上なんの本を読むって言うんだよ?」
暇さえあれば図書館へ足を運び本を読み漁るバージルに呆れたように背中のデルフが声をかける。
それを無視し興味深い本がないか物色していると…
ふと埃にまみれた一冊の薄汚れた本が目に留まった、それを手に取り降り積もった埃をはたき落とす。
本の題名を調べると、彼には珍しく驚きのあまりそのまま本の題名を口にした。
「『魔剣文書』…?」
かつてヴァチカン禁書図書館で読んだ本が何故ここに? "題名は"ハルケギニアの古代言語で書かれている。
「なぜこんなところに…」
疑問は尽きないが逸る気持ちを抑えつつページを捲る。
中身にはとても文字とは思えない難解な模様が何行も、否、全てのページに亘り描かれていた。
「おい相棒、なんだよその本」
「黙ってろ」
話しかけてきたデルフを短く一蹴しつつ、文章の中から食い入るようにあるフレーズを探す。―あった。
「スパーダ…」
「お? スパーダだって? その本、スパーダについて書かれてるのか?」
「俺の世界にもあった本だが…中身が少し違う? どういうことだ…?」
その『魔剣文書』はかつてヴァチカンで読んだものとは中身が違う様だった。
どうやら同一のものではないらしい。
「へぇ、なんでこんなとこにあるんだろうな、スパーダ関連の本っつったら見つかったら焚書だぜ。なぁ、ちょっと読んでみてくれよ」
「無理だ」
読み聞かせるよう急かすデルフに短く答える。

「なんでだよ?」
「前に一度解読を試みたが…、これは俺には"読めない"。『スパーダ』という単語は知ることができたがな…
どの古代言語とも違う言語体系…おそらくこれは、言語ですらない」
「どういうこった?」
「文字に見えるのは伝説を象徴するレリーフの集まり。しかも比喩が深い。これを読み解くには膨大な知識が必要になる。
…おそらくはそう簡単に読ませないためだろう。」
そう言いながらパタンと本を閉じる。
「なるほどな、中身が意味不明なんじゃ検閲のしようもないか、焚書を免れてるわけだぜ」
デルフが納得したように呟く。
「だが中身はスパーダの伝説について語られている、この『魔剣文書』にもスパーダのフレーズがあった。」
そう言うと魔剣文書を持ち図書館を後にすべく踵を返す。
「読めるかどうかはわからんが…、解読を試みるのも悪くはないだろう、もしかしたら、魔界への手がかりがあるかもしれん」
そう言いながら『魔剣文書』をコートに忍ばせ司書の目を掻い潜る。
「今度は俺が本で頭を悩ませることになるとはな…」
「違いねぇや」
外に出て吐き捨てるように呟いたバージルにデルフがカタカタと笑うように音を立てた。
『魔剣文書』を手に図書館を出たバージルだったが、やはり手がかりもなしにいきなり解読に挑むのは難しい、
地図と方位磁石なしで砂漠を横断するのと同じくらい無理がある。
まずは中身だけでも目を通してみるか、そう考え一度部屋へ戻りデルフを壁に立て懸け、外に出る。
普段あまり人が来ないヴェストリの広場に行き、ベンチに腰かけ『魔剣文書』を開いた。
空には雲ひとつなく青空がどこまでも広がっており温かい日差しが心地よい、だが彼にはそんなことは関係なく
眉間に深い皺をよせ『魔剣文書』を睨みつけページをめくっている、
やはり、と言うべきか、どのページにも彼の知る言語は書かれておらず、難解な幾何学模様が何ページにもわたり描かれていた。
ハァ…と大きくため息を吐き目頭を軽く指で押さえる、魔界への手がかりがあると思い期待して持ってきたが…
前途多難だ、いきなり難破したといっても過言ではない。
「やはりそううまくいくものではない…か…」
静かに呟きふと横を見ると、何時の間にいたのだろうか、隣にタバサが座り静かに本を読んでいた。
「何を読んでいるの?」
バージルがようやく自分の存在に気がついたからか、
タバサが読んでいた本から顔をあげ、バージルが読んでいた本について尋ねる。
彼が周りに気が付けなくなるほど真剣に読んでいた本だ、多少気になったのだろう。
「これだ、お前に読めるかはわからんがな…」
そう言うとベンチの背もたれにドカッと背中を預け、タバサに『魔剣文書』を手渡す
タバサはそれを手に取るとページをめくり…静かに閉じた。
「お前にも読めんか」
もしかしたら…と思い少々期待したが、やはり無理だったのだろう。
「あなたは読めるの?」
「無理だ。これが読める人間がいるかどうかすらも疑問だな、大方オスマンも読めんのだろう。でなければ図書館にあるはずがない」
いや…一人だけ、彼の世界に居た。既に死んでいるが。

「(殺す前にアーカムから解読法を聞き出しておくべきだったか…)」
死人に口なし、今さら悔やんでも仕方がない、そう考えながらタバサから『魔剣文書』を受け取る。
「何故読めない本を?」
タバサが当然の疑問を口にする。
「これがスパーダについて書かれている本だからだ、俺のいた世界にもこれはある。
中身は違うがな…ここだ、ここの部分が『スパーダ』を意味している。」
そう言いながらページをめくり、『スパーダ』を意味する部分を指でなぞりタバサに見せる。
はたから見れば身を寄り添い合っているように見えるその光景、それを背後から睨む魔人の姿があった…。

バージルとタバサが腰掛けたベンチの後十五メイル程離れたところにぽっかりと大きめの穴があいている。
その中で荒い息を吐き続けるルイズの姿があった。
ルイズは穴の中で地団太を踏んだ、その隣にはこの穴を掘ったギーシュの使い魔のヴェルダンデと
先ほど「邪魔だ」の一言とともに部屋に置き去りにされたインテリジェンスソードのデルフリンガーがいた。
ルイズはヴェルダンデに穴を掘らせ中に潜み、こっそりバージルを監視していたのであった。
デルフはいろいろ聞きたいことがあったのでついでに持ってきたのだった。
「なによ! あの使い魔!!」
ルイズは穴の壁にストレイトをたたき込みながら、う~~~~~~! っと唸っている。
壁にはギルガメスでフルチャージでもしたのか惨たらしい窪みが出来上がっていた。
本来ならばデルフを使いバージルの心臓目がけソードピアスを放っていたところだが、
それよりも先に次元斬か幻影剣が飛んでくることを危惧したデルフによって止められていたのであった。
事実、バージルの手元には閻魔刀が置いてある。
「なによう! あいつなら心臓貫かれたって死にゃしないわよ!」
「だからって娘っ子! この穴に幻影剣の雨が降ってきてもいいのかよ!」
「あんたかそこのモグラを盾にすればいいじゃない!」
「あ…悪魔…」
デルフとヴェルダンデがガタガタと恐怖で震える、ルイズからはデビルトリガーを開放したのかどす黒いオーラが立ち上っていた。
「な…なぁ貴族の娘っ子?」
「あによ…、ところであんた、いい加減私の名前覚えなさいよ…、その呼び方あいつ思い出すから気に食わないんだけど?
人のこと小娘小娘って! なんでタバサだけ名前で呼んでんのよ! あんたもワルドのこと言えないじゃない!
あんたこそもっとマシな趣味持ちなさいよ!! あのヴァカ~~~!!!」
ドゴォン! ともう一発、壁にストレイトを叩きこむ。今なら大悪魔ですら裸足で逃げ出すであろうオーラがルイズからあふれ出ていた。
「よ…呼び方なんてどうでもいいじゃねぇかよぉ…。ところで、最近は穴を掘って使い魔を見張るのが流行りなのかね?」
「流行りなわけないじゃない」
「だったらなんで穴を掘って覗くんだね?」
「見つかったらかっこ悪いじゃない」
ルイズは剣を睨みつけ話しかける。
「だったら覗かなきゃいいんじゃねーのか? 使い魔のすることなんざほっときゃいいじゃないか…
それに…あの相棒のことだ、多分気がついてるぜ…?」
「そう言うわけにもいかないの! あいつったら…あの馬鹿使い魔! 私の相談にも乗りもしないで…
いちゃいちゃいちゃいちゃ…」
「相棒の性格を考えろよ…別にいちゃいちゃしてるわけじゃねーと思うんだが…」
「あんたは黙ってなさい!!!」
「ヒィッ…!」
ルイズの迫力にデルフが恐怖ですくみあがる。
「私ってば伝説の『虚無』の系統使いなのかもしれないのに、でも誰にも相談できなくて、
仕方なく、身勝手で気がきかなくてこれ以上ないほど朴念仁な使い魔相手に相談しようとしてるのに
タバサなんかといつまでもいちゃいちゃ…!!」
「やきもちか?」
「殺すわよ?」
「すいませんでした」
本来ならルイズを茶化すところだがそんな度胸はデルフからは霧散していた。
「ねぇ…仕方ないからあんたに尋ねてあげる、由緒正しい貴族の私が、
あんたみたいなボロ剣に尋ねるのよ、感謝してね?」
「はいっ! なんでございましょう!?」
ルイズはこほんと咳ばらいをし、顔を真っ赤にしながら精いっぱい威厳を保とうとする声でデルフに尋ねた。
「わたしより、タバサが魅力で勝る点を述べなさい、簡潔に、要点を踏まえ、わかりやすくね。」
「やっぱやきもち…イデデデデ! 折れるっ折れるっ! わかった! 答えます!」
ミシミシッという音がデルフから聞こえてくる、このままでは本当にへし折られかねない。
「ったく、しょうがねぇ娘っ子だな…、うーん…なんだろうなぁ…まず、あのタバサって娘っ子は優秀だ」
「どこら辺が優秀なのよ?」
「身の回りはほとんど自分で片付けちまう、頭の回転も速いしな。おまけに戦闘能力もそこそこ高い。
相棒は自分の身の回り以外のことは一切関与したがらないからな、言いかえれば、手間がかからないってところさね。
多分とことん尽くすタイプだぜありゃ」
「次」
「あとは…魅力か? って言わればちと疑問だが、無口ってところかねぇ、相棒と似てるんだよ、無口で無表情、
感情的になることがほとんどない、お前さんとは正反対だぁね。」
「次」
「顔はまぁ、好み次第だあね。お前さんもタバサもまあまあ整ってるしな。
けど相棒の好みは…これがまたわからんね。おそらく今までそういう環境に一切身を置いていなかったんだろうな。
敵かそれ以外か、敵でなければ己にとって利用できる存在か否か、それが相棒にとっての判断基準だろうよ。
あの相棒の眼を見りゃわかんだろう? あの眼には何も映っちゃいないよ」
「……………」
たしかにこのボロ剣の言うことにも一理ある、確かにバージルはこの学院に召喚されたころに比べれば、ずいぶん穏やかになった。
召喚されたころは寄らば斬る、といったオーラ全開だったのだが最近は閻魔刀を抜くことがめっきり減った。
それでも片時として閻魔刀を左手から離さないが…。
だが一つだけ変わらない点がある。それが眼。召喚された時からあの眼つきが変わっていない。
何者も映さぬ氷のような、半人半魔である自己の存在に一切の価値を見いだせず、深い怒りと悲しみを湛えたあの眼。
そこまで考えたとき、ルイズは頭をブンブンと振ってその考えを吹き飛ばす。
「ちょっとヘヴィな話になってきたわね…、まぁいいわ、次は対等と思えるところを言ってみなさい。」
「うーん…」
デルフは少し考え…そして気がついたようにその言葉を口にする
「むね」
「たっ…確かに対等ね…って何言わせんのよ! それに人間は成長するわ!」
ルイズは胸を張って答える、だがそれはみごとに平坦だった。
「ところでお前さん、幾つだね?」
「16よ」
「タバサは?」
「15じゃなかったかしら?」
「…相棒の趣味が分からんから何とも言えんが…成長は絶望的だな…」
キッと睨むルイズをよそにデルフはさらに続けた。
「つか、お前さんさっき相棒にもっとマシな趣味をもてって言ってたが…お前さんもタバサと一歳差じゃないか…
それに相棒もそんなに歳いってないと思うぜ?」
「むっ…そういえば…あいつって幾つなのかしら? あんたは知らないの? 相棒って呼んでるくらいだから知ってるんでしょ?」
「いや…悪いが実は俺っちも知らねーんだ、たぶん20は行ってないと思うんだけどな…18…いや19くらいか?」
確かに、普段眉間にしわを寄せた仏頂面のおかげで少し歳が上に見えてしまうが、
髪を下ろすだけで随分若く見える、髪型を変えるだけで印象もずいぶん変わってくるものだ。
「ま、俺っちが言うのも何だが…相棒はかなり手ごわいぜ? さっきも言ったがお前さん達みたいな環境にいままでいなかったんだ。
常に悪魔共との戦いの中にあった、信じられるのは己の力と信念、そして刀のみだったんだ。
そんなだから色恋に関しては天然のロイヤルガード、下手すると超反応のジャストブロックでぜーんぶ受け流しちまうだろうよ。」
「意味が分からないわよ」
「まぁなんだ、お前さんも、相棒を振り向かせたいんなら、腕の一本くらい失う気持ちでいかんとダメってことさ。
同じ嫉妬する者としてお前さんの気持ちもよーく分かるぜ、相棒の野郎…俺っちより閻魔刀ばっか使いやがって…」
「なによそれ、腕一本って、タバサは無傷じゃない」
「あー…娘っ子は知らないんだったな…あのタバサって娘っ子、実は一回、相棒に腕へし折られてるんだぜ?」
「えっ!?」
「俺っちが相棒に買われたその日、タバサが相棒に喧嘩吹っ掛けてな。
それを相棒が返り討ちにして腕へし折ったんだよ。ま、授業料ってところさね。」
「よく殺されなかったわね…」
バージルにデルフを渡した時期といったら反抗期真っ盛りの時期だ、腕一本で済んだのがタバサにとって幸運だったのだろう。
「でも、たしか次の日タバサはどこも怪我してないみたいだったけど?」
「そうなんだよなぁ、あん時相棒がなにか落としたが…たぶん秘薬だったんだろ?」
「ふ…ふーん…や…優しいのね…アイツ…私にはそんなこと一度もしてくれたことなんてないわよ…?」
再びルイズの中の魔人が目を覚まそうとしていると…
隣のモグラががばっと頭を出した。自分を捜しに来ていたギーシュが歩いてきたのだ、
ギーシュはズサッと地面に膝をつくと自らの使い魔を抱きしめ頬ずりをする。
「あぁ! 捜したよヴェルダンデ! こんなところに穴を掘ってどうしたんだい?
おや?ルイズじゃないか、なんで穴の中にいるんだね?」
ギーシュは穴の中にルイズの姿を発見し怪訝な顔をする。
ヴェルダンデは困ったような目でギーシュとルイズを交互に見比べる、
まるで主にこれ以上詮索するなと言いたげな目で。
ギーシュはうむと頷くと分別くさい口調で言った。
「わかったぞルイズ、きみはヴェルダンデに穴を掘らせてどばどばミミズを探していたんだな?
それで美容に良く効く秘薬を調合するつもりだったんだね? なるほど、君の使い魔はタバサと仲がいいようだしね」
ギーシュはちらりとベンチから立ち上がり図書館へと歩いて行く二人の姿を見つめて言った。
「あっはっは! 精々美容に気をつかって取り返さないと! 
君の家の恋敵はツェルプストー家だと聞いていたけど、これは意外な伏兵だったね!」
「おい…それ以上はマズイ…」
デルフが警告の声を上げるよりも早く、ルイズのスナッチがギーシュの足首をガシリと掴み穴の中へ引きずり込む。
「You shall die...!(―死になさい…!)」
ギーシュを穴の中に引きずり込むや胸倉を掴み薔薇を奪い取る。
そこでギーシュが見たものは…ニューカッスルでみたバージルと同じくらい恐ろしい…魔人の姿だった。
「ちょ…やめっ…ぎゃああああああ!!!」

「Let's rock!」   【Dope!】
「Die!」       【Crazy!】
「Blast off!」  【Blast!】
「Go down!」 【Alright!】
「Crash!」  【Sweet!】
「Be gone!」    【SShow time!】

「Adios.(―さよなら)」
倒れ伏したギーシュに背を向け奪い取った薔薇を上空に放り投げる、そして―
「And the rest is silence. ("そして残るは、沈黙のみ")」   【SSStylish!】
素早く杖を抜くと、ボンッ! と軽い音とともに薔薇が爆発、花びらがひらひらと舞い落ちた。
モグラが心配そうにルイズのクレイジーコンボのフルコースを食らい肉塊と化したギーシュの顔を鼻先でつつく。
「あーあ、運が悪かったな…」
そんなギーシュだった"もの"を見てデルフが呟く、
「まぁいいわ、今ので多少頭も冷えたことだし…とりあえずあいつから直接問いたださないとダメね
タバサなんかには絶対負けないんだから…」
ルイズはそう呟くと穴から這い出て、寮塔へと歩きだした。
バージルが図書館から部屋へと戻るとルイズはベッドの上で正座をして窓のほうをじっと見つめていた。
時間的にはもう夕方で部屋の中は薄暗いのにも関わらずルイズは灯りをつけていなかった。
そんなルイズを気にかけることもなく、バージルは最近手に入れた古びたソファへと腰をかけ『魔剣文書』を開いた。
そこには解読を試みたのであろう、彼による注釈がいくつか書き足されていた。
ルイズはそんなバージルを見ずに静かに口を開いた。
「遅かったじゃない、今までどこで何をしていたの?」
「図書館だ」
それにバージルは一言だけで済ます。
「そう、図書館で、誰と、何をしていたの?」
「本を探す以外に何がある。それより灯りをつけろ、見づらくてかなわん」
少々呆れ気味にバージルは言うとぺらりとページをめくった。
「それに誰といたか、など、お前は知っているはずだが? 気が付いていないとでも思ったのか?
監視をするならもう少しうまくやるんだな…」
「ありゃぁ、娘っ子…ばれてるよ」
デルフにまで言われ顔をかぁっと真っ赤にしたルイズが勢いよく立ちあがりバージルに詰め寄った、
「そ…それはあんたが私のことほっといてふらふらどっかにいっちゃうからでしょ!?」
「なにをしようと俺の勝手だろう…」
バージルは詰め寄るルイズに気だるそうに視線をやると小さく呟く、
「何言ってるのよ!? 使い魔はご主人様のそばにずっといなきゃダメなの! 他の誰かといるなんてもってのほかよ!」
ルイズの金切り声に眉間にしわを寄せ方耳を抑えながら適当に受け流す。
「わかった…考えておく…」
「え…? そ…そう? わ…わかればいいのよ…」
ルイズはバージルのその態度に拍子抜けしたような声を出す、あのバージルが譲歩した?
どういう心境の変化だろう? いつもなら何かしら悪態をつくはずなのに…
「気は済んだか? 俺は忙しい、まだ話があるのなら後にしろ…」
「後って…あんたいつも私のこと相手してくれないじゃない…」
「…特に話題がない、…つまらん話題しか浮かばん、仕方ないだろう…」
バージルはそう言うと『魔剣文書』に再び視線を戻す、
「つまんなくてもいいから、なんか話しなさい、め…命令よ」
顔を真っ赤にしながらルイズはバージルから『魔剣文書』を取り上げ、バージルの隣にどさっと座った。
バージルは小さくため息を吐くと、天井を見上げる、それを見たルイズは彼なりになにか話題を探しているのだと感じる。
それがなんだか嬉しくて、無愛想な使い魔の意外な一面を見れた気がして、自然と笑みがこぼれる。
「つまらん話だが…スパーダの…親父の話でかまわんな? 生憎、人に聞かせられる話は、それしか知らん…」
「何でもいいわ…話して…」
バージルはぽつぽつと、スパーダの伝説をルイズに語り聞かせる。

ルイズはスパーダの伝説について語るバージルの横顔をじっと見つめた、
その顔は、いつもと同じ仏頂面だが、どこか誇らしげで、楽しそうな表情をしていた。
夜、消灯の時間になりルイズはネグリジェに着替え部屋の明かりを消すとベッドに横になると
いままで気になって仕方がなかった事をバージルに聞いてみることにした。
「ねぇバージル、あんたタバサのことどう思ってるの?」
ルイズはシーツから顔を出しバージルに尋ねる。
「…なぜそんな事を聞く」
「だって…あの子のことだけ名前で呼んでるし…それになんか親しいみたいだし…」
「別に何も思っていない、…強いて言うなら、まともな存在といったところか…」
「え…? そ…それだけ…? あの、じゃあ名前で呼んでるのはなんで?」
「そう呼ぶよう頼まれただけだ、断る理由もない」
即答である、バージルの口調からは一切感情は感じられない。
「じゃ…じゃあ、いつも一緒にいるのは? き…今日だって一緒にいたけど…」
「知らん、気がつけばいる、誰かとは違って喧しくないからな、気にもならん」
「ちょっ! 喧しいってどういうことよ!」
「…自覚はあるらしいな、そう言うことだ。」
「うっ…」
ちょっと痛いところを突かれた、だがすぐに気を取り直し考える、
バージルは本当にタバサのことをそれだけにしか見ていないのだろうか?
だけど嘘をついているようには見えない。どうでもいいことは口にしないし、
第一バージルは嘘は言わず思っていることを正直に言うタイプだ。
それが本人を目の前にしようとも…。
そしてルイズは勇気を振り絞り最大の疑問を口にする
「あ…あのさ、そ…それで、私のことはどう思ってる…の?」
「……考えたことがない」
「っ……」
一刀両断である、あまりにも冷たい一言にルイズが凍りつく、ちょっと涙まで出てきた。
「だが…」
そんなルイズをよそにバージルが口を開きそこで一度区切る。
「少し興味がわいた」
そう言いながら自らの左手のルーンを見つめる。
バージルの顔は相変わらず無表情で感情をうかがい知ることはできない。
ルイズは恐る恐るバージルにその言葉の意味を尋ねる。
「それって…利用できるって意味?」
「……それは違う、少なくともお前を利用する意味がない」
その言葉を聞いたルイズの胸中は心臓が破裂するのではないかというくらい高鳴っていた。
あの無口で無愛想で冷徹なバージルが自分に対し興味を持ってくれた。
バージルが人間の心を持ってくれたのかもしれない、そんな希望が生まれる。
顔はもう真っ赤っかだ、とてもじゃないがバージルには見せられない。
それを隠そうとシーツを頭からかぶると…、急に何かを思い出したかのように
もう一度頭を出し、バージルに話しかける。
「ね…ねぇ、バージル?」
「何だ…」
「あ…あの…その…、こ…これからは私のことも名前で呼びなさい…いいわね!?」
「別にかまわんが…急にどうした?」
「べっ…別になんでもないわよ! お…おやすみっ!」
そう言うとルイズはまたまたシーツを頭からかぶってしまった。ベッドの中で足をバタバタさせているのが見える。
「妙な奴だ…」
バージルは小さく呟くとソファに横になり目をつむった。


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