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ゼロの社長-14


サビエラ村に新たに派遣されてきた騎士(海馬)とその従者(タバサとシルフィード)と言う設定で、3人は村へと足を踏み入れた。
村人達は早く吸血鬼を退治して欲しいため、その新しい騎士の姿を、遠巻きに眺めていた。
だが堂々とした姿でやや短めなマントを纏い、鋭い眼光で村を見回しながら村長の屋敷に向かっていく海馬を見ながらも、
村人達はおのおのの不安を隠せずにはいられなかった。

「今度の騎士様は何日でお葬式かねぇ…」
「やけに若い男じゃねえか。あんまり腕っぷしが利くようには見えねぇな。」
「あら、子供まで連れてきているわ。」
「けしからんな。あっちの娘っ子のあの胸は非常にけしからん。」
「やっぱり騎士なんか当てにならねぇ!おれたちの手で吸血鬼を…」

などといった声がそこかしこから聞こえてくる。

「きゅい。当てにならないって言われてるのね。人に頼んでおいてそう言う言い草は無いのね。きゅい。」

噂話が聞こえていたシルフィードは文句を言った。

「人間とはそう言うものだ。前の騎士とやらが頼りなかった事も踏まえて、恐怖が悪い方に作用しているんだろう。
噂話の中には、村の誰かが吸血鬼なんじゃないかとでもほざいているだろう?」
「…マゼンダ婆さんって人が怪しいって言ってるのね。
3ヶ月ほど前からこの村に来た人だけど、昼間もずっとこもりきりだって言ってるのね。
それに大男の息子が屍人鬼なんじゃないかとも言ってるのね。」

さすが伝説の風韻竜、シルフィードの聴力は、村の噂話程度なら聴けるほど高いものだった。

「ほう、なかなかの聴力だな。脳は足りないと思っていたが、少しは役に立つらしい。」
「えっへんなのね!誉めても何もでないのね!」

冷静に考えればあまり誉められてはいないのだが、胸を張るシルフィード。
だが、それにあえてつっこまずそのまま道を進むと、大きな屋敷が見えてきた。
そしてその入口では年老いた長老が待っていた。


「ようこそいらっしゃいました。騎士様」

サビエラ村の村長は、白く長い髭を蓄えた高齢の老人だった。

「ガリア花壇騎士、白竜のセト・カイバだ。挨拶は早々に、早速事件について詳しく聞かせてもらおう。」

村長が語った吸血鬼事件の顛末は、タバサが報告書で聞き、それを海馬に伝えた内容とほぼ一緒であり、特に目新しい事実は無かった。
被害者は討伐に来た騎士を含めて9人で、騎士以外は若い女。
その姿を見たものは折らず、神出鬼没の吸血鬼であった。

「どうやら吸血鬼は、夜に出歩く村人がいなくなると、今度は夜な夜な家の中に忍び込み、血を吸うようになったのです。
朝になると、ベッドに寝ていたはずの被害者は、血を吸われた死体となって、醒めない眠りについているのです。」

想像したのか、シルフィードの顔色がさーっと青くなった。

「なにより、この村の回りは昼間でも光を通さない深い森があるので、そこに隠れているのではないかと、村人達は森にも寄り付かなくなりました。
しかし…本当に恐ろしいのは、屍人鬼《グール》の存在ですじゃ。」
「屍人鬼…吸血鬼は血を吸った人間を一人意のままに操れる。見た目には生きている人間と変わらないが、事実上生きた死体…人形だな。」

タバサから借りた本の中にあった知識を海馬が口にすると、村長は頷いた。

「村の人間の中の中に屍人鬼がいるのではないかと、村中が疑心暗鬼の渦中にあります。
何かのきっかけで村人同士が殺しあうような事にもなりかねませぬ。」

村長の顔色が翳った。
実際にすでにそんな風潮が見え隠れしているからこそ、不安が尽きないのであろう。

「了解した。吸血鬼と屍人鬼を即刻見つけ出し退治する。
そのためにはまず屍人鬼が村人の中にまぎれていないかを一人一人確かめなければならん。
村長、失礼だがまず村長から調べさせてもらう。」


海馬の言葉に村長は目を丸くした。

「わしを屍人鬼と疑っておいでですか?」
「この村の長であるからこそ、吸血鬼にとって利用価値があると判断したまでだ。
もっとも、この村にいる人間は老若男女問わず調べる必要がある。
むしろ、調べられて潔白を証明できた方が好都合だろう?」
「わかりました。騎士様がそうおっしゃられるのならば。」

村長はそう言うと、服を脱ぎ生まれたままの姿となった。
もっとも、海馬は外見から屍人鬼と人間を見分ける事などできないため、それをタバサとシルフィードに任せつつ、
瞳の力を持って村長の能力を確認した。
先ほどシルフィードの魔法の力で変身した姿を確認したところ、やはり風韻竜として表示された事から、
外見に影響せず、種族も判別できる事は確認済みである。
しかし、内心海馬は、吸血鬼や屍人鬼を発見できたとしてもタバサに伝えるつもりは無かった。
理由は、あまり他人に自分の力を晒したくないためである。
瞳の力で確認して、『こいつが屍人鬼だ、吸血鬼だ』とタバサに言ったならば、その根拠を答えなければならない。
『相手の能力を情報として得る能力』というのは、知られていないからこそ強みとなる能力である。

(まぁ、仮にも騎士と呼ばれる階級にいるほどなのだ。放っておいてもタバサ自身で勝手に見つけるだろう。
俺は俺自身が不利にならないように、確認するだけだ。)

などと考えているうちに、村長の潔白が証明されたようである。
と、その時。
海馬は、村長から視点をずらし、部屋を見回していると、扉の陰に隠れ、こちらの様子をうかがっているものがいることに気がついた。
5歳ほどの金髪の少女であった。
人形のように愛らしい姿をした少女の存在に、タバサとシルフィードも気がついたようだ。
シルフィードはその愛らしさに惹かれ

「かわいい~!おいでおいで~」

などと素っ頓狂な声を上げてじりじりと近づいていった。
その状況に不安を感じたのか、少女は村長の方に目線を送った。



「お入り、エルザ。騎士様方に挨拶をなさい。」

うながされた少女は、おずおずとおびえた表情で入ってきて、硬い表情で3人に挨拶をした。
3人は、三者三様の反応を返した。
シルフィードはその様子に益々気に入り、ぎゅーっとエルザと呼ばれた少女を抱きしめた。
タバサはいつもどおりの無表情のままシルフィードと少女を眺めていた。
海馬は、少し驚いた表情をしていたが、すぐに冷静さを取り戻した。
そしてタバサにこう言った。

「あの少女も調べる必要がある。」

こくんと頷き返すタバサ。

「えええええ!この子も調べるの!?…ですか?」

と、とってつけたように敬語を交えつつ驚き返すシルフィード。
当然、と言うように頷くタバサ。
だが、そこに村長が割って入った。

「この子は勘弁してやってください。」

そうなのそうなの!と返そうとするシルフィードだったが、海馬とタバサの無言の眼力によって、
口を閉ざさざるをえなかった。

「残念だが、例外を認めるわけにはいかない。タバサ、シルフィード。俺は部屋の外に出ているから、さっさと調べておけ。」

そういって海馬は、扉の外に出た。

(なるほど…吸血鬼は老化しないというのはむこうでも良くある伝承の一つだな。
村人も前の騎士も想像はしていなかったのだろう。)

そう、エルザが姿を現したとき、海馬の瞳が映し出したエルザの名前のところには、『ヴァンパイア:エルザ』という文字が刻まれていたのだった。
さて、どうしたものかと考えているうちに、部屋からエルザが泣きながら飛び出していった。


「失礼をお詫びいたします。実はエルザは私の実の子ではないのです。
エルザは1年程前、傷だらけで、この村にやってきたのです。
なにやら詳しい事情はわからないのですが、わしも早くに家族を無くしてしまっていた。
そこでわしはエルザを引き取ることにしたのです。」

エルザの正体さえ知らなければ、ちょっとした美談に映るような話であろう。
実際、シルフィードなど、かわいそう…と言った表情を浮かべていた。

「エルザは体が弱く、あまり布団から出ることができないのです。
そのため日の当たる外で他の子供達と遊ばせてやる事もできない。
また、何があったのか、あまり笑ったりもしない。
わしはあの子が笑顔でいられる日が早く来るようにと願っている。
それなのに吸血鬼騒ぎとは…なんという…。」

そのエルザこそ吸血鬼だ、と言うわけにもいかず、とりあえず3人は村長の家を出て、調査を開始した。
まずは最後に犠牲者が出た家の部屋へ入った。
調査、とは言ったものの、海馬自身にはタネが割れている手品を一から調べるようなものであった。
釘を打ち付けてある窓や家具で厳重に封じている扉をすり抜けてどうやって入ったか?
あの小さな体だ。煙突からもぐりこむのも出るのも簡単だろう。
だが、タバサは煙突の中までもぐって、煤だらけになって戻ってきた。

「お姉さまなにやってるのね。そんな狭いところ通り抜けられるわけないのね。」

シルフィードを無視したまま、タバサは海馬の前まで来た。

「ふむ…煙突を通過できれば、決してこの部屋は密室ではない。
だが、吸血鬼に姿を小さく変身したりする魔法は使えないのだろう?」

そうなのですか?と、襲われた娘の母親がおずおずと問う。
こくんと頷くタバサ。
と、海馬が窓をのぞくと、荷物をまとめて引越しをしていく馬車が見えた。

「吸血鬼事件以来、若い娘を持つ家は次々に引っ越していきました。
私たちも、引越しの準備をしていたのですが…結局、間に合いませんでした。」

そう言うと母親は泣き出してしまった。


その家から離れ、村人から情報を得ようと3人は村の中をうろうろしていた。
そして、丁度村の真中辺りについた頃、海馬が口を開いた。

「ふむ…情報収集は別れてした方が効率がいいだろう。
そうだな…昼頃に村長の家に集合と言う事でどうだ?」

その提案にタバサは無言で賛成し、シルフィードもしぶしぶそれに従った。
そしてお互いの姿が見えなくなった頃、海馬は一路村長の家へと向かった。
村長の屋敷の前についたとき、丁度村長は出かけるところだったようだ。

「おお、騎士様。どうかされましたか?」
「少し調子が悪いのでな、いったん休みに寄っただけだ。」
「そうでしたか。私は少し家を離れますが、気にせず使ってください。」

そういうと村長はどこかへと出かけていった。
そして、海馬が向かったのは、エルザの部屋だった。
ノックもせず強引に入った扉の中は、暗闇であり、そしてその闇の中に、眠っているエルザがいた。
ばたんと言う扉の音で目を醒ましたのか目を擦りながら海馬のほうを見た。

「え…?あの…騎士様?」
「茶番はもういい、吸血鬼。」

その言葉を聞くと、エルザから怖がっていた病弱な少女の表情が消え、
笑顔になった。
どこまでも子供らしい無垢で無邪気な笑顔。
さっきまでと人が替わったような口調で話し掛けてくるエルザ。

「ふぅん…。どうやって気づいたかは知らないけど、たいしたものね。
今まで一度だって気づかれた事がなかったのに。
その功績に敬意を表してちゃんと名乗るわ。
私はエルザ。エルザ・スカーレット。闇に紛れ人の生き血を吸う吸血鬼。
って、まぁ姓のほうは私が好きで名乗っているだけだけど。」
「………意外だな、問答無用で襲い掛かってくるかと思えば、意外と紳士的な態度だな。」
「私は別に人間と敵対しているつもりはないわ。
闘わずにすむなら、その方がいいもの。」
「……?」

海馬は、想像と違うエルザの対応に少し戸惑った。
その戸惑いの間にエルザの方から口を開いてきた。

「それで騎士様?何のご用?私この時間はいつも寝る事にしているの。
眠りを妨げられるのはあまり愉快ではないのだけれど。」

と、エルザの鋭い瞳が輝き、口元からするどい犬歯が覗かせた。
殺気が一層強まり、ぞくりという悪寒が海馬の背を走ったが、それだけで逃げ出すような海馬ではなかった。

「言っておくけど、昼間だからって、室内で人間に遅れをとるようなことは決してないわよ。理解したなら―――」
「なるほど。その殺意。ここだけで9人も殺しただけの事はあるな。
ふん、やると言うならばちょうどいい。吸血鬼らしく、塵芥へと返して――――」
「違うわ。」

と、デュエルディスクを構えようとした海馬に対し、ストップをかけるエルザ。

「なに?」



「確かに私は吸血鬼だけれど、この村で起きている吸血鬼事件は私が原因じゃないわ。」




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