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ゲーッ!熊の爪の使い魔-08


第八話 その名はウォーズマン

静寂の中、最初に声を上げたのは「実況」だった。
「なんとー!
ベルモンドの中から何かが飛び出しワルキューレの胴体を圧倒的破壊とともに抉り開けたーー!
そして現れたのは……左手に爪をもつ鍛え抜かれた肉体をもった、仮面をつけた漆黒の男だーー!!」
この声を皮切りに回りも声を上げ始める。
「いやーー、クマちゃんがホラーになったー!」
「きゃーー、いやーー!!」
と女生徒が叫びをあげ、
「きゅ、きゅい、きゅいいぃぃ……ブクブク」
と、とある竜が泡を吹いて落下し、
「私、あれに添い寝してもらってたの……」
とルイズは絶句し、
「そ、そんな、嘘ですよねベルモンドさん……」
とシエスタは現実から目をそむけた。
そしてこの戦いを冷静に見ていた二人も、
「これがタバサが予感していた正体だってわけね、ってどうしたの?」
「クマちゃんが、クマちゃんが、クマちゃんが……」
「何であれだけ冷静に考察してたタバサがショック受けてるのよ!?」
とやはり混乱していた。
そんな中、ただ一人全く声を上げていない者がいた。
ギーシュである。
彼の真正面には件の使い魔。そしてその後ろには破壊されたワルキューレ。
はっきりいてこんな破壊をできる方法はギーシュにはそうそう心当たりはなかった。
ワルキューレは金属製とはいえ比較的強度の低い青銅だ。
メイジでなくとも大剣や斧でなら切り裂くこともできるだろう。
それなりのメイジなら風や氷塊を打ち出したり、より強いゴーレムで殴るなどして砕くことも可能だろう。
だが、この使い魔はワルキューレの胴体を抉り飛ばした。
完膚なきまでにずたずたに削り引き裂き、穿ち抜いた。
範囲こそ狭いものの徹底的に破壊して見せた。
高位の魔法でもそうそうできるものではない。
そしてこの行為をなした使い魔は今目の前に立っている。


何かをしゃべろうにも口からはヒューヒューと音が漏れるだけだった。
全身がすくみあがり声を出すことも指一本動かすこともできない。
そしてその漆黒の男は表情のない仮面で正面の自分をとらえ、ゆっくりと歩み寄ってきた。
ついでに
「コーホー」
といいながら。
死ぬ。
殺される。
食堂でシエスタが感じたものよりも強く、圧倒的重圧と現実感を持った実感がギーシュを包んでいた。
そして眼前に立つと、
「今度こそ負けを認めるか?」
と声をかけた。
間違いなく殺されると思っていたギーシュはこの言葉がすぐには理解できなかったが、すぐに
「はい、僕の負けです!降参です、どうか許してください!」
と必死に許しを請うた。
「その言葉、うそ偽りはないな」
「はい、ありません!もうあんな真似はしません、間違いなく僕の負けです!」
「……そうか、ならいい。だが、ギーシュよ、これだけは言っておこう。
男なら一度口に出した言葉をたがえるべきではない。
戦いにおいてはフェイントをかけることは勿論、
他にも弱ったふりなどをして相手のすきを誘うといったこともよいだろう。
だが、そのためであっても負けた、などと口にすることは許されない。
ギーシュ、戦い続けるのであればおまえは先ほど敗北を認める言葉を口にするべきではなかった。
逆にそれを口に出したのならその言葉に自ら従うべきだったのだ」
「は、はい。もう二度と、口にしたことを違えたりしません!」
「そうか、じゃあ約束どおりまずはルイズたちに謝るんだ」
「……え?あ、は、はい!」
それを聞くと漆黒の男はボロボロになったクマの着ぐるみを抱え、ギーシュをつれてルイズたちのもとへと向かった。


その周りにも生徒はいたが、彼が近付くと道を作るかのようにさっと後ろに引いた。
正直怖かったからだ。
そんな様子を無視すると彼はギーシュとともにルイズの前に来た。
なんというか、何を言えばいいのか分からないでいる二人に対し、
「その、ルイズ、君のことを侮辱して済まなかった。
それにメイドの君、先ほどはあのような振る舞いをして悪かった。
確かに彼の言う通りこのようなことは貴族のすることではなかった。
もう二度とこんなことはしないと誓う。どうか許してほしい」
とギーシュが詫び、頭を下げる。
「そ、そう、ならいいのよ。ええと、あんたシエスタっていったっけ?
シエスタももういいでしょ」
「は、はい。もう結構です、顔を上げてください」
「そうか、ありがとう。ではあっさりしているようですまないが次はモンモランシー達のところへ行ってくるよ。
僕のせいで傷つけた彼女たちにもきちんと詫びなくては」
そう言ってもう一度頭を下げるとギーシュは去って行った。
後には二人の少女と漆黒の使い魔が残された。
「ええと、それがあんたの本当の姿なの、ベルモンド?」
と、おずおずとルイズが問いかける。
「違う」
「え」
「ベルモンドではない。
俺の名はウォーズマン。
ファイティングコンピューターウォーズマンだ」


一方そのころ、学院長室では
「そっそんなーー!ベ、ベルモンド君がー!ウッウッウアーーッ!」
と、こめかみに四つの穴を持つ超人のような叫びをあげるコルベールを尻目に
オスマンは遠身の鏡を見ながらわなわなとふるえていた。
「な、なぜあの使い魔が「破壊の爪」を……!?」
オスマンの視線はウォーズマンの左手に注がれていた。







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