あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

THE GUN OF ZERO-15


 その日、クォヴレーはアルビオンに向かっていた。
 王党派の軍勢の様子を見るためである。流石にあそこまで肩入れしては、行く末が気になっていた。
 だが、その途中
「!?エネルギー反応!」
「あん?何だ、相棒?」
「近くで戦闘が発生している」
「そりゃ、今戦場に向かってる訳だからな」
「違う、『俺たちの』戦いだ」
 ディス・アストラナガンの進行方向を歪め、反応のある方角へ向かう。
 向かう先に爆光が見えた。
 Z・Oサイズをディス・アストラナガンに握らせ、更に近づく。
「! あれは!」
 20機近くのメギロートに囲まれた機体には、見覚えがあった。
「念動集中ぅ!リュウセイオリジナル!ナックルパァーンチッ!」
 森の中、飛び上がった人型ロボットが、手近なメギロートを叩き落とす。
「AR-1,いやR-1か!」
 数回程度だが、見たことのある機体だ。そしてそのパイロットは一人しか思い浮かばない。というか今全力で名乗った。
 ここまで接近してきて判ったのだが、R-1が立っているのはただの森ではない。開けた場所で、4軒ほどの家がある小さな小さな村だった。
 そしてそこで、R-1の後ろ。死角になっているところにメギロートが一機降り立ち、その村の住人だろうか。金髪の少女に迫っていた。
「切り裂けっ!そして打ち砕けっ!」
 瞬時にメギロートを分断し、念を入れてラアム・ショットライフルも至近で撃ち込む。
「大丈夫かっ!」
 外部音声出力を入れ呼びかけると、尻餅をついた少女はかくかくとしきりに頷いていた。そこへ緑色の髪をした女性が駆け寄り、引き起こして離れていく。
「新手か!?」
 振り返り様にG・リボルヴァーを向けてくるR-1の右腕を左手で軽く押しのけつつ、銃口をR-1のコクピットすぐ脇を通して、ライフルを一射。すぐそこに迫っていたメギロートを撃破した。
「味方だ」
 外部音声のままでそう呼びかける。
 するとR-1の右腕が動いてやはりディス・アストラナガンの後ろに迫っていたメギロートを打ち抜いていた。
「そりゃすまねぇ」
 そのまま互いに機体をくるりと回転させ、背中合わせになる。
「へへ、いいねぇこういうノリ!」
「村人は?」
「そこにいるのが全員だ」
 リュウセイの言葉に右下を見下ろす。先程の少女と女性の他は子供ばかりで10名ちょっと。
「下手に動けんな」
 ディス・アストラナガンには広範囲のディフレクト・シールドがあるとはいえ、それも広さには限界がある。
「いや、何か考えがあるみたいだけど?」
「なに?」
 尋ね返すクォヴレーの横で巨大な土のゴーレムが立ち上がった。頭頂高だけならディス・アストラナガンやR-1よりも大きい。
「メイジが居たのか……!」
 今まで出ていなかったと言うことは、クォヴレーは本当に戦闘が発生した直後に来たのかも知れなかった。
 そのゴーレムは、村の面々を守るように蹲る。
「成る程、これなら多少の破片は問題ないか」
「この世界の魔法って、こんな事まで出来るのか!んじゃ、心おきなく!おちちゃいなちゃ~い!」
 残っていたメギロート達は、またたく間にラアム・ショットライフルとG・リボルヴァー、ブーステッド・ライフルで、駆逐されていった。


 戦闘で飛び散ったメギロートの破片のため、村の家々は全てある程度傷ついていたが、奇跡的に破壊された家は皆無だった。まぁ、最初クォヴレーが切り払ったメギロートを除いて、全てを村の外で打ち落としたという部分が大きいが。
 機体から降りたクォヴレーだが、そこへ積極的に近づこうとする者はあまり居なかった。やはり外見が悪魔であるディス・アストラナガンから降りてきたのが問題だろう。
 話しかけてきたのは、
「なんか敵っぽいデザインだなーって思ったけど、かっこいいなぁ。こう、ダークヒーローって言うの?名前は?……ディス、アストラナガン……なーんかどっかで聞いたことがあるような。あ、写真とって良い?」
 クォヴレーの許可を貰うと、機体のカメラで撮影するのだろう、R-1の方に戻っていったリュウセイと
「誰だか知らないけど、一応礼は……ってあんたは!?」
 クォヴレーの顔を見て驚く緑色の髪をした女性だった。
「……ようやく思い出した。確か、学院長秘書の、ロングビルだ」
 先程の戦闘中見かけてからずーっと気になっていた。
「何だ?相棒知ってんのか?」
「ああ。俺が使い魔になって間もなく、止めてしまったが、それまでに何度か見かけたことがある」
「な、何でこんな所に……!いや、あんたもあんなゴーレムを持ってたのかい!?」
 驚きに目を見開くロングビル。
「ああ。これは俺のアストラナガンだ」
 どうする?と思考を走らせるロングビル、もといマチルダ・オブ・サウスゴーダ。自分の『妹』のことがばれては厄介だ。何しろこの男は、ばりっばりの大貴族の使い魔なのだ。
 ……まぁ、平気でネビーイームの事をルイズに黙っているクォヴレーには、実に杞憂な心配だったのだが。少なくとも彼女にとっては大問題だ。
(とりあえず、まだテファの事は気づいてないはず……!このまま帰せば……!)
 子供達には、近づかないように言ってある。どうにかなるだろう。
「先程子供達を守っていたゴーレムは、そちらの出した物か?おかげで助かった」
「あ、ああ。まぁね。そっちこそ、あのリュウセイっての同じで、人が乗るゴーレムを持ってるんだねぇ……随分、その、怖い顔だけど」
 若干引きつりながら話を振る。実際、あんまりあの悪魔のような姿は夜闇の中では視界に入れたくはない。
「ところで、何しに来たんだい?」
「先程の戦闘を関知したので、助太刀に来ただけだ」
「そ、そうかい!ああ、おかげでみんな無事さ!何の礼も出来ないけど、ありがとうよ!」
 ついでにとっとと帰りやがれ!と内心叫ぶ。
「そうか、それは良かった」
「いやー」
 そこへ後頭部をかきながら現れるリュウセイ。
「こんな魔法の世界に連れてこられて、俺のスーパーロボットライフはどうなるんだって思ってたけど、捨てたモンじゃないなぁ」
 満面の笑みで微笑む。
「酷いなぁ。『マチルダさぁ~ん!』ロボットなんか知らないって言ってたくせに、敵も味方もロボットばっかりじゃねぇか」
「そのおかしな呼び方止めろって言ってるだろ!?」
「いや、やっぱロボットオタクとして、例えリアル系だろうとその名前の人を見た以上やらない訳にはいかねぇよ」
 何故か妙に真面目な表情でうんうんと頷くリュウセイ。
 実に哀・戦士。
「連れてこられた……やはりお前も召喚されたのか」
「おう、ついさっきな。って、『も』ってことはそっちも?」
「ああ。一月と少し前になるか」
 こくりとうなずくクォヴレー。
「それと、先程言っていたことだが、彼女がロボットを知らないのも当然だ。理由は不明だが、ああいったロボット兵器が、この世界に入り込んでいる」
「んじゃつまり、ここはやっぱり本来は剣と魔法の世界な訳?」
「ああ……少々魔法の比重が大きいがな」
「そんでもって!つまり俺やお前ってのは、そういった本来存在しないロボットをどうにかするためにこの世界に呼ばれたのか!?燃える展開じゃねぇか!」


「……違うと思うが」
(というより、こいつ……本当にリュウセイか?)
 何というか、ノリが軽すぎる。そういや戦闘中もやけに軽い発言が目立っていた。『おちちゃいなちゃい』だの『こ、こいつ……弱すぎる』だの。
「すまないが、お前の名前はリュウセイ・ダテで合っているか?」
「あれ?俺、名前言ったっけ?」
 一応言っていたが、フルネームまでは口にしていない。
「極東支部SRXチーム少尉の?」
「あれ?何で知ってんの?」
 不思議そうな顔をするリュウセイと顔をしかめるクォヴレー。
 何というか、自分の知ってるリュウセイならば、ここまでプロフィールを言い当てられたら少しは不信感を抱くと思うのだが……。
(つまり、このリュウセイは俺の知っているリュウセイとは全く別の歴史を辿った世界のリュウセイ、ということか)
 いくつもの世界を回っていると、時たまこういう事がある。
 特に、流竜馬なんかは世界によってその人物像に差がありすぎる。
「おっかしいなぁ。あんな特徴的なロボット、一目見たら忘れないと思うんだけど……おたく、なんてーの?」
「俺の名はクォヴレー・ゴードン。いくつもの世界をまたぐ旅人で、今は使い魔をやりながら、先程のロボット部隊を追っている」
「いくつもの世界?あ、それで俺のことも知ってる訳か。平行世界の俺に会ったことがあるってことね。俺のことをちゃんと理解してくれる奴が居る、やっぱその辺はお約束だなぁ。
 ってことは……おお!異世界に呼び出された俺!そんでもって目の前には今後の行動を示してくれそうな先導キャラ!ついでに可愛い魔法使いのヒロインも居て、正にRPGの王道的展開!?」
「相棒、こいつが何言ってるか通訳してくれねえか?」
「悪いが俺にも半分も判らん」
 デルフリンガーの問いかけに首を横に振る。
「とりあえず、お前の居た世界がどの次元か特定出来れば、すぐにも送り返せるが」
「本当かい!?」
 何故か、これにはリュウセイよりもマチルダが反応する。なんというか、クォヴレーをとっとと帰す考えもどこかにすっ飛んでいる。
「あんた、こいつを送り返せるのかい!?」
「ああ。少々時間はかかるが……」
「え~?やだやだぁ~。せっかくこんな面白そうな世界に来れたのに、すぐにかえっちまうなんて、ありえねぇだろう?」
 逆にこちらも何故かごねるリュウセイ。あまりの反応に絶句するクォヴレー。
「冗ッ談じゃないよ!テファだって何を間違えてこんな男を召喚したんだか!とっとと帰ってくれ!」
「いいじゃねぇか。今の見ただろう?俺は強いぜ?ちゃんとティファも守るからさぁ。使い魔の契約、させてくれよ」
「使い魔の契約をどうやるか知っててよくそんなことが言えるね!?テファのファーストキスをお前みたいな男にやってたまるもんかい!」
 元学院長秘書と、戦友の平行世界同位体の口げんかをしばし絶句したまま眺めていたクォヴレーがようやく口を開く。
「……ライやアヤが心配するんじゃないか?」
「へっ!いいんだよ。いつもいつも人のこと馬鹿にしてさ。ここらでいっちょ、普段どれだけ俺が役に立ってるか思い知らせてやる。誰がオフェンス担当してると思ってんだ」
 呆れるほど仲が悪い。
(……このリュウセイの居る世界のSRXチームは、これで大丈夫なのか?)
 他二名も十分すぎるほど強烈なので中和されている。
「あの、姉さん、リュウと喧嘩しないで?」
 そこへ金髪の、やたら巨乳な少女が仲裁に入る。なお、クォヴレーから見れば少女のサイズも『まぁ大きい方か』である。
 しかし、と首をひねるクォヴレー。
 彼女の声でこのバストには些か違和感がある。こう、無限の開拓地のヘソ出しルック的意味で。
「テファ!?あっちでみんなと待ってろって言ったろ!?」
 先程から会話に出てくるテファだかティファだかは彼女のことらしい。

「ん?その耳は……」
「!?しまった!」
 慌ててロングビルが少女の頭を抱えるが、もう遅い。
「ああ、あの子が俺を召喚したティファニアってメイジなんだけど、ハーフエルフって奴なんだってさ。ほら、やっぱエルフと人間って仲が悪いのがお約束だろ?だからこんな風に隠れ村で暮らさなきゃならないんだって。嫌だよなぁ、イジメって」
 と、自身もつい先程教えられた、この隠れ村が隠れ村である理由をべらべらとしゃべり出すリュウセイ。最悪である。
「こんの馬鹿ーっ!」
「どわぁっ!」
 力一杯蹴っ飛ばされるリュウセイ。パイロットスーツを来ていても、物理的運動までは殺せず、倒れてしまう。そこへ容赦なくスタンピングを敢行するマチルダ。
「何、考えてんだい!?余所の人間にべらべらべらべら!」
「いててっ!大丈夫だってえ!あだ!俺と同じであいた!異世界から来た奴はったぁ~!この世界の連中みたくいてっ!エルフだとかこだわんねえから!あいたたたた!」
「こいつがそうだからって、こいつの主はこの世界のメイジだろうがぁぁぁぁ!」
 まぁまぁと、今度はクォヴレーが止めに入る。
「話して都合が悪いなら別にルイズには言わない。それにリュウセイの言うとおり、俺は別段エルフに対して何ら含むところはない」
 クォヴレーとて、この世界に一月もいるしルイズの授業を聞いたりでエルフのこと、人間との確執も知っている。そして本日昼間に助けたマサキ・アンドーからもエルフの話を聞いていたところだ。
 それらから総合すれば、クォヴレーにとって人間がエルフを敵視するのも、エルフが人間を見下すのも、それぞれが白眼視すべきものと思える。
 バルシェムとしての自身の出自も、この考え方には無関係ではあるまい。クォヴレーもまた、人間のなかでは異質なのだ。
「そうだといいんだがねっ!?」
 蹴り疲れたのか、肩で息をしながらマチルダが怒鳴る。。
「うう……、アヤといい、緑がかった髪の女にはろくな奴がいないぜ……」
「しっかり聞こえてるんだよ!」
 再度踏みつけてくるロングビルの足を、体を回転させて避けるリュウセイ。
「はっ!」
「なにっ!?」
 そのままぽーんと反動を付けて立ち上がり、ぎゅっとティファニアの手を握る。
「ティファ」
「え?な、何?リュウ」
 真面目な顔のリュウセイに、とまどい気味に尋ねる。
「あのクォヴレーって奴の話によると、さっきみたいなロボット軍団が、この世界を征服しようとしているらしい」
 そんなことは欠片も言っていない。
「そうなの?」
「ああ。だから、君を守る意味でも、俺を君の使い魔にしてくれ!」
「い・い・加減にしろーっ!」
「がはっ!?」
「リュウ!?」
 ゴーレムがリュウセイを殴り飛ばす。
「やりすぎだわ!姉さん!」
「殺す気か!?死ぬぞ!ふつー!」
 助かったのはパイロットスーツのおかげである。
「何であれを喰らってぴんしゃんしてんだい!?アンタは!」
「殺す気満々かよ!?」
 それでもふらつく頭を抱えながら立ち上がる。
「リュウ、ここに居ちゃダメよ。あなた、姉さんに殺されちゃうわ」
 心底心配そうな顔をしながら美少女にそういわれるのは、本気で恐ろしいので勘弁して欲しい。
「んなこと言ったってさぁ。俺、ここを出たら行くところ無いんだぜ?」
「そっちの使い魔に、帰してもらえば良いだろう!?」
 ばい菌のように扱うマチルダ。まぁ、気持ちは判る。
「まぁ、無理矢理帰したりはしないが……俺と来るか?リュウセイ。一応食うに困らないくらいの働き口は口添えしてやるが」

「はぁ~、やる気出ねぇなぁ……」
 ぐでーっとした態度をとるリュウセイに、本気でぶっ殺しそうな顔をしているマチルダ。心配げに姉とリュウセイを見比べるティファニア。
 これはいけない、とおもって頭をひねる。
「……俺と行くと、もう一機、かっこいいロボットが見られるぞ」
「やだなぁ、そういうことは早く言ってよ、久保くん」
 ガッと肩を組んでくるリュウセイ。
「クォヴレーだ」
 一応、訂正しておく。
「んじゃティファ、こんな面白い世界に呼び出してくれてありがとな?こっちの世界で悪者退治が終わって、元の世界に帰る時にはまた声かけるからよ」
「二度と来るな!」
 マチルダの心温まる一言を最後に、ディス・アストラナガンと、R-WINGに変形したR-1は東の空に飛び去っていった。
「まったく……!」
 忌々しげにマチルダは舌打ちをした。二度とあんな男に会いたくはない。
「しかし……こいつはまいいったねぇ……」
 二体のゴーレムが暴れ、巨大な虫共の破片が降り注ぎ、建物はともかく小さな畑は壊滅状態である。
 この村を放棄するのも止む無しか?実際、貴族の使い魔に見つかってしまってもいる。
「とにかくみんな!片づけるよ!」
 自身のゴーレムを小さく分割して、大きい破片の撤去に当たらせながら、言いつけ通りに一カ所に居た子供達に声をかける。
 はぁーい、とばらばらに返事を返しながら子供達が辺りに散る。
 そんな中でティファニアが一人、二体の飛んでいった夜空を見上げていた。
「リュウ……無事でいてね」
 ……大切にしてきたのは良いけど、ちょっとは世の中の男って物を教えといた方が良かったかなぁ?と今更ながらに後悔するマチルダ。
 とりあえず声をかけようとしたその時、森の方から人影が駆けてきた。
「! 何だい!?」
 とっさに手近なゴーレムの一体をそちらに向かわせる。
 頭全部を覆うヘルメットのような仮面を付けた人影はスライディングの要領でゴーレムの股下をくぐると、勢いを殺さずに再度立ち上がり、尚駆ける。行き先は
「テファ!逃げろ!」
「え?」
 マチルダの注意に、振り返る間もなく、その人物がティファニアを担ぎ上げる。
「きゃあ!?何!」
 速度が落ちることなくそのまま走り抜けようとする。
「待ちな、お前!」
 また手近なゴーレム一体を自分の近くに寄せ、その肩に乗って仮面を追う。その他のゴーレムも追撃に回す。
「嫌っ!姉さん!下ろして!下ろしてっ!あっ!?」
 小さく悲鳴を上げて、ティファニアの声が聞こえなくなった。殴られて気絶でもしたのだろうか。
「テファ!貴様ぁ!」
 森の中、ゴーレムを左右から先回りさせ、囲い込む。
 そこでスッとその仮面の男が懐から出したのは、杖だった。
「メイジ!?」
 現在自身を囲みつつあるゴーレムの一体、進行方向右側にいる物に向けると、なにやら呟く。と、風が吹いて水を飛ばし、土くれのゴーレムが泥になって流れ出す。
「水と風のラインメイジかい!?」
 慌ててそのゴーレムに修復を施すが、明らかにそちらの移動速度が鈍った。
「くぅ!させるかい!」
 一番手近な数体のゴーレムを組み合わせて、10メイルを越えるゴーレムを作り上げて自身もそちらに移る。歩幅が広がり、一気に距離を詰める。
「にがしゃしないよ!?」
 木々の間から、仮面の男が見えた瞬間、火の玉が飛来した。
「うわぁっ!?」
 ゴーレムの上でバランスを崩し、落っこちそうになったところで、ゴーレムの腕で自身を捕まえる。

「火!?そんな馬鹿な!?」
 今の魔法は火のドットクラス、ファイア・ボールの筈だ。だが、先程あの仮面の男は水と風で自身のゴーレムを泥にしようとしていたはずだ。
「あいつはいくつの系統が使えるんだい!?」
 火・水・風の三系統が扱えるメイジなど聞いたことがない。
 普通そのメイジにとって主軸となる系統があって、系統を増やしていく。他の系統を操る術を身につけたとしても、その主軸となる系統をメインとした組合せ魔法が定石だ。後から習得した系統は単体で使う場合にはずっと力が落ちてしまうためだ。
 だから、普通メイジはこんな系統の習得方法はしない。何か一つに絞るか、せいぜい二つの系統を組み合わせて駆使するのが最も効率が良い。
 実際、仮面の男が先程から駆使しているのもドットやラインクラスの魔法ばかりだ。
 なおも逃亡を止めぬ仮面の男に再び追いつこうとした時、今度はニードルの石が飛んで来た。
「土まで!?」
 4系統全てを扱う正体不明の仮面のメイジ。一体、何者だ?だが、そんなことは関係ない。
「何を考えてるんだかは知らないけどね!そんなむちゃくちゃな系統で、虚は突けても勝てはしないよ!」
 今回は先程のファイア・ボールもあったので、反撃には警戒していた。ニードルが飛んで来たくらいで驚きはしない。距離も開かれなかった。至近!
 スッとゴーレムの腕を伸ばし、捕まえようとしたところでくるりと仮面が振り返る。
「系統選択、火・水・風」
 そして口早にルーンを紡ぎ、
「フリーティック・エクスプロージョン!」
「何だって!?」
 仮面の向けた杖の先で、ゴーレムの右腕肘から先がふきとばされた。フリーティック・エクスプロージョン(phreatic explosion)即ち水蒸気爆発。
 水の系統で集めた水分を、火の系統で急激に熱する。これにより一瞬で水分が気化し、爆発が発生する。とはいえ、ラインレベルの術式では普通そこまでの反応は起きない。
 そこで風の系統で爆発の術者側を高圧の空気で覆い、指向性を持たせることで、ゴーレム側に爆風を集中させたのだ。
「系統選択、土・風」
 先程よりも短いルーン。砂埃が竜巻状に、一気にマチルダへ迫った。
「うわっ!目がぁっ!?貴様ぁ!」
 驚きに固まってしまっていたので反応が遅れた。
 ゴーレムの右腕修復に意識を向けながら必死に目に入った埃を払うが、目を開いた時には仮面の男、そして勿論ティファニアの姿も、無かった。それまで村を守ってくれていた森が、今はあの仮面の足取りを判らなくさせていた。

 村に戻ったマチルダに、半泣きの子供達が尋ねた。
「マチルダ姉ちゃん、テファ姉ちゃんは……?」
「テファ姉ちゃんはどうしたの?」
 血が出そうなほど唇を噛み締め、マチルダは子供達を出来るだけ抱き寄せる。
「……いいかい?テファはね、絶対にあたしが連れ帰るよ。だから、それまで、みんなで村を守っててくれ。出来るかい?」
「うん!」
「出来るよ!ちゃんと、村をやってく!」
 しきりに頷く子供達に、優しい笑顔でマチルダも頷き返す。
「よし……」
 もう一度ぎゅっと抱きしめると、マチルダは立ち上がって、歩き出した。拐かされた『妹』を、助けるために。
 ――もし、この場にクォヴレーが居れば、全力で彼女を止めるか、自分も付いていくと申し入れていただろう。クォヴレーなら、あの仮面が、かつてバルシェムと呼ばれていた自分が付けていた事もある仮面だと、気づいただろうから。




おまけ ガンゼロにおける機体 対メイジ戦の考察 その3

REAL PERSONAL TROOPER TYPE-1(R-1)

防衛軍、連邦軍、呼称はいろいろあれども、ともかく地球軍の極東支部、SRX計画の下で開発された機体。
対異星人用であったり、対怪獣用であったりするが、基本的に同計画他二機との小隊連携、あるいは合体形体で真価を発揮する機体。
……その前提で判るが、単体のポテンシャルとして見ると味方三機中最低ランク。
しかも呪的な防御は皆無に等しい。パイロットの思念によって発動される念動フィールドならば、魔法を防ぐことも出来るが、ひとたびリュウセイが降りるとその脆弱さを露わにする。
物質的に形を持つ系統魔法による攻撃はまだ装甲で防ぐことが出来るが、『錬金』で装甲材質そのものを劣化されては手も足も出ない。
火力も乏しく、本来確実に敵にダメージが与えられるようにと装備されている実体弾のリボルバー、ライフルが完全に裏目に出ており、弾切れの危険性がある。

あんまりといえばあんまりな状況に、リュウセイの設定とは相反するが作者より天上天下念動破砕剣を贈らせてもらった。が、それでも割と焼け石に水の観が強い。
ゲーム中の数値的火力はともかく、設定的にはコスモ・ノヴァ、アイン・ソフ・オウルとくらぶるべくもない武器であるためだ。
一発しか撃てないコスモ・ノヴァやアイン・ソフ・オウルに比べて燃費が良いのは魅力ではあるが、サイバスターにはアカシック・バスターがあるし、ディス・アストラナガンはエネルギー切れの心配が殆ど無いため、やっぱり見劣りしてしまう。
まぁ対メイジ戦やハルケギニアの戦力を相手取るには、十分すぎる火力なのだが。生憎と今回の敵はそれに留まらない……



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