あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの社長-13


上空3000メイル。
見下ろせば世界がとても小さくなるような高さのこの空中に2匹のドラゴンが舞っていた。
2匹とも背中にそれぞれの主を乗せ、目的地へと向かって風を切り飛んでいた。
普段ならば、シルフィードは無口な主人に対して楽しげな言葉を放つものだが、今日に限ってはやけに静かだった。
と、いうのも、主人であるタバサはいつもどおり黙々と本を読んでいるが、
隣にいる海馬瀬人もが沈黙を守っているため、なにやら口を開いてはいけないような気まずい空気が流れていた。
こうなると普段は気にならない周りの風も、妙に冷たく感じるから不思議である。
何か喋りだすきっかけを探そうと、うずうずしながら海馬とタバサに視線を移すも、その微妙な空気に口を開けずにいた。

「そっ、そうなのね!確か貴方はこの間ギーシュ様と決闘をした人なのね!」
「……」

無言の返答。取り付く島も無い。
だが、シルフィードは、この嫌な空気を脱するために、何とか次の言葉を繋げる。

「最初のドラゴンもかっこよかったけど、やっぱりその白いドラゴンは凄いのね!
シルフィびっくりしたのね!きゅいきゅい!」
「……」

再び無言の返答。
沈黙に耐えられなくなったシルフィードは、大声でわめきだした。

「もーいやなの!シルフィこんなくらーい雰囲気嫌い!お姉さまもお姉さまよ!
いつもの事だけどじーっと本ばっかり読んでないで、たまには自主的にお話に加わるべきなのね!きゅいきゅい!」
「五月蝿いぞ、お喋り竜。ドラゴンならドラゴンらしくもっと知的に寡黙に振舞ったらどうだ。
口が軽いと頭が悪く見えるぞ。」

口を開いたかと思えばこの調子である。

「お、お喋り竜じゃないのね!シルフィは風 韻 竜 !
ただのドラゴンと違って、高い知性と高度な魔法を使い、人間の言葉も喋れる古代種なのね!褒め称えるのね!大喝采なのね!
そのシルフィを捕まえて頭が悪いとはなんと言う言い草なのね!」


「そこは間違ってない。」

ボソッと的確に突っ込みを入れるタバサ。

「お姉さままでひどいのね!ぐれてやるのね!」
「そんなことよりもだ。」

自分の事をそんなこと呼ばわりされて、きゅいきゅい怒鳴っているシルフィードをよそに、海馬は続けた。

「吸血鬼退治といったが、そもそも吸血鬼とはどういうものだ?
俺は実際に目にしたことが無いから伝承程度しか知らん。
血を吸う人間の形をした化物で、太陽の光と十字架とニンニクに弱い…そんなところか。」
「吸血鬼も知らないような人間が、よくもシルフィを頭悪いとか言えたのね!
第一、吸血鬼には太陽の光以外の弱点なんか無いのね!
ニンニクなんかで倒せるなら、わざわざお姉さまが出張るような事じゃないのね!
ってお姉さま!?」

シルフィードは驚愕した。いや、それは海馬も一緒だった。
タバサがすっと立ち上がると、シルフィードの背中からジャンプしてブルーアイズの背中へと飛び移ったのだ。
そして、さっきまで読んでいた本を海馬へと差し出した。

「大まかな事はこれに載ってる。読んでおいて。」

そういうとタバサはまたジャンプしてシルフィードの背中に戻った。
そして、どこに隠し持っていたのか、別の本を取り出し読み始めた。

「危ないのねお姉さま!いきなりあんな事して落っこちでもしたらどうするのね!」
「……」

必死なシルフィードの言葉も右から左へ流し、タバサは本へと視点を固定した。
海馬は、受け取った本のタイトルを確認した。
コルベールから文字を習っておいたとはいえ、2日で他国…どころか他世界の
の文字を読めるようになるのは、
幼少期からの英才教育による知能の高さゆえであろうか。
本のタイトルは、『ハルキゲニアの多種多様な吸血鬼について』
なるほど、今回の相手を知るのにこれほど間違いの無い本も無いだろう。







所変わってこちらはアルヴィーズの食堂。
海馬がタバサと共に空のかなたへと旅立ってからそんなに経っていないものの、
海馬に置いてけぼりにされてしまったルイズは、とりあえず食堂に来ていた。
海馬を追いかけようにも、目的地はわからない上に、たとえわかっても馬ではブルーアイズには追いつけないだろう。
途方にくれているルイズに、後ろから声がした。

「あら?ルイズ。今日はセトは一緒じゃないの?」

声の主は、赤く美しい髪をなびかせたキュルケであった。

「うるさいわねぇ…。今朝早くからブルーアイズに乗ってどっかにいっちゃったわよ。
全く…ご主人様をほっぽり出してどこにいったのやら。」
「なに?逃げられたの!?」
「違うわよ!!!ちょっと出かけてるだけよ!!」

ものすごい大声で怒鳴られたキュルケだが、もう慣れたのかどうということも無く、言葉を続けた。

「そういえば、タバサもどっか行っちゃったのよねぇ。あの子、気づいたらふらっとどっか行っちゃうし。
もしかして、セトといっしょにデートだったりして?」
「冗談。あのタバサとセトよ?どう考えたって一緒に出かける要素がないわ。」
「全くね。あの二人が会話してる図が想像できないわ。」

けらけらと笑いながら、キュルケはルイズの傍を離れた。

(…あれ?でもあの時『2匹』ドラゴンが飛んでたような…?もしかしてあれタバサの使い魔の風竜?
まさか。さっきも言った通りタバサとセトが一緒なんてありえないわ)

とりあえず何も解決していないが一通り納得がいった様で、手元にあった飲み物に口をつけるルイズ。
だが、その後も度々

「あれ?セトは一緒じゃないのかい?」

と、ギーシュが。

「あれ?海馬君とは一緒じゃないのかい?」

と、コルベールが。

「あの、瀬人さんは今日はご一緒じゃないのですか?」

と、シエスタが。
同じような事を繰り返しているうちに、ルイズの怒りは頂点に達していた。

「セト…私に何も言わず勝手にいなくなるなんて…帰って来たら絶対に許さないんだからー!!!」

オシリスのサンダーフォースのようなの怒りの雷が、帰ってきた海馬に降り注ぐのは、もはや確定のようだ。








ハルキゲニアでの『吸血鬼』とは、人間の血を吸う怪物、『妖魔』と分類される生命体である。
外見は人間と全く変わらず、牙も血を吸うとき以外は隠しておける。
その上魔法でも正体を暴くことはできず、その狡猾さとあいまって最悪の妖魔と称されるのであった。
人間よりも強い力と生命力を持ち、先住魔法をも扱う。
弱点は太陽の光のみと、厄介この上ない生き物である。
現実世界では、昔話など本や映画の中にしかいない伝説上の存在だが、このハルキゲニアには普通に存在する。
そして、今回その吸血鬼が存在する舞台となるのは、ガリア首都リュティスより南東に500リーグほどにある片田舎の村。
このサビエラ村に吸血鬼の被害者が出たのは、2ヶ月ほど前であった。
森の入口で死体となった12歳の少女をはじまりに、1週間おき程度に1人、犠牲者が増えていった。
現在の被害者は計9名。
いずれも全身から血を吸い取られ、その首筋には吸血鬼に襲われた証である牙の跡があったのだった。
そして、その中にはガリア正騎士も混ざっていた。
トライアングルメイジの火の使い手である彼もまた、タバサと同じように命を受け、吸血鬼退治へと向かい、
3日後その怨敵に血を吸われ枯れ枝のように喰い捨てられていた。
そして、今海馬たちが降り立っている森こそが、最初の被害者が出たという、サビエラ村より少し離れた森であった。



「なるほど、吸血鬼の生態と事の顛末は理解した。で?どうやってあの村から吸血鬼を探し出すのだ?」

タバサはシルフィードの方へと向き直り、命令した。

「化けて」

首を左右に振りながら拒否するシルフィード。

「いやいや!」
「化けて」
「いやいや!」

何度か同じ問答が繰り返された後、しぶしぶシルフィードは呪文を口にした。

「むぅ~…我を纏いし風よ。我の姿を変えよ。」

シルフィードの体を風が包み、青い渦が纏い、そして晴れたときには巨大な知るフィードの姿は消え、
替わりに20代くらいの青い髪の女がそこにいた。全裸で


「う~~~~やっぱりこの体嫌い!きゅいきゅい」

シルフィードは文句をいいながらも、準備運動に勤しんでいた。
子供のように走ったり飛んだり無邪気にそこらじゅうを動き回っていた。全裸で

「ほう…あれが風韻竜の魔法という奴か。がっ!何をする!」

走り回るシルフィードを興味深く眺めていた海馬の頭に、タバサの杖がヒットした。

「向こうを向いていて。」

言いたい事を察した海馬はシルフィードから視線を変え間逆を向いていた。
故に音声だけでお伝えします。



「なにこれ?」
「服」
「!?やだやだ、動きづらいから着たくない!きゅいきゅい!」
「人間は服を着る。」
「う~…ごわごわするのね。」
「!?」
「お姉さま?どうかしたのね?」
「まちがえた。」
「きゅい?」
「しかたない。このままいく。」


とんとん、と海馬の肩を叩かれる。

「もういい。」

海馬が振り向くと、シルフィードは水色のローブを…ではなく、タバサと同じ魔法学院の制服を着ていた。
サイズが若干小さいのか、プリーツのついた白いシャツは、その大きい胸によって閉じれず、胸元が大きく開いている。
また、スカートの丈も若干短く激しく動けば、中身が見えてしまいそうである。

「で、その格好にどういう意味があると言うのだ?」

当初の予定では、タバサはシルフィードに「まさにメイジ!」といえるような格好をさせ、吸血鬼の油断を誘う作戦であった。
が、どこをどう間違ってしまったのか、もって来たのはサイズ違いの制服であった。
とりあえずタバサは当初の目的どおり、自分のマントをシルフィードに付け、杖をシルフィードに持たせてみた。
が、どうみてもちょっと発育のいい魔法学校の生徒にしか見えず、
騎士としてだますには若干無理があった。
タバサはマントと杖をシルフィードからマントと杖を戻すと、海馬をじっと見た。
海馬はその視線の意図を察し、その杖を奪い、マントを纏った。

「いいだろう。貴様の三文芝居に、俺の一役買ってやろう。」





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