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未来の大魔女候補2人-08b


 昼の城下街の大通りは、多くの人々で賑わっている。休日という事も相まって、通りの両脇には、多くの露店が軒を連ねている。
 人の波でごった返す通りには、蒼髪の少女が2人、肩を並べて歩いていた。
 片方は小柄で、自身の身長程もある長大な杖を携え、眼鏡をかけたその顔立ちは感情というものが殆ど読み取れない。まるで、凍り付いた湖面の様だ。
 トリステイン魔法学院の制服に身を包んだその少女は、タバサであった。
 もう片方は長身で、非常に女らしいメリハリのある身体つきをしており、タバサと良く似た蒼髪だ。顔立ちも、どことなく似ている。
 その少女は、コロコロと表情を変えて、常にタバサに話しかけている。

「人がいっぱい、いっぱいいるのね。ゴミゴミしてるのね。わざわざ歩くのは、面倒臭いのね」
「…………」
「飛べばひとっ飛びなのね」
「……ダメ」

 手にした杖で、騒がしい少女の頭を強めに叩く。

「きゅいっ!? 痛いのね! ぶったのね! 酷いのね、おねえさまは酷いのね! シルフィ泣いちゃうのね!」
「……飛ぶのは、ダメ」
「きゅい。解ってるのね。ちょっとしたジョークなのね。会話を盛り上げるための、ウィットに富んだジョークなのね」
「…………」

 会話から察するに、2人は姉妹か何かの関係の様に思えた。
 自分の事を『シルフィ』と言った少女は、タバサの事を姉と呼んでいる。これは奇妙なことだ、万人が万人、どう考えても逆であると見るだろう。ともすれば、親と子に間違えられる程、2人の身長差は隔たっていた。
 2人の関係は、姉妹とも、当然、親子とも違うのだが、ここでは関係ない事柄なので割愛する。

「きゅい。お腹空いたのね。もうお昼なのね。ここまで飛んで来て疲れたのね。
 本屋なんて後回しにして、とっととご飯にするのね」
「…………」
「もう! 何とか言ってほしいのね」
「……本屋が先」
「じゃあ、その後にご飯なのね。さっさと行って終わらせるのね。お肉、お肉~」

 自分の都合の良いように解釈したシルフィは、タバサの手を取って走り出す。
 タバサは特に抵抗する事無く、為されるがままに引っ張られていく。
 暫くして、本屋の場所を知らなかったシルフィが、杖で殴打されるのはまた別のお話。




未来の大魔女候補2人 ~Judy & Louise~

第8話 後編『サイトとデルフリンガー、その出会い』




 ルイズはズンズンと、路地裏を進んでいく。その後ろからは、3種類の足音がついて来ている。
 彼女が歩いているのは、先ほどサイトが地図とにらめっこをしていた場所から、二つ先にある角を曲がった狭い通りであった。
 彼女は、肩を怒らせ早足で先導する。それは、汚らしい裏通りから早く抜け出したいという理由からではない。
 ルイズの後を追いかけているのは、サイトとシエスタ、そしてジュディであった。4人は、汚らしい汚水がシミを作り、不快な悪臭がこびり付いた路地裏を駆け抜ける。
 角を曲がってさらに細い路地に入り込んでいく。しばらく進むと、今度は4つ辻に出くわした。
 ルイズはそこで立ち止まり、メモと辺りとを見比べている。

「この近くなのか?」

 3人の中でいち早くルイズに追い付いたサイトが、気軽な口調で話し掛けた。
 ルイズはそれに顔を顰める。

「ちょっとアンタ、口の利き方が為っていないんじゃなくて? 貴族には敬意を払いなさい」
「へえへえ。それは失礼をつかまつって大変悪う御座んした。
 ……これで宜し御座んすか?」
「こ、この馬鹿犬! そこに直りなさい! 直々に躾けてあげるわ!」

 不真面目におちゃらけるサイトに、ルイズは疾風の如きチョップを繰り出す。顔は怒りによって、焼けた鉄の様に真っ赤になっている。 
 予備動作なしで繰り出されたチョップは、吸い込まれる様にサイトの眉間につきささった。

「アウチッ!」
「ふん。これに懲りたら次からは口のきき方に気をつけることね」

 呻きながら顔面を抑えて痛みを堪えるサイトに、ルイズはそう言い放つ。
 もだえ苦しむサイトにシエスタが駆け寄り、肩に手を置いて励ましている。

「ルイズさん、やりすぎだよ」
「うっ…… しょ、しょうがないじゃない。アイツ、生意気なんだもの。
 ここで甘い顔したら益々つけあがるわ。だから厳しくいかなきゃ駄目なのよ。
 そう、これは愛の鞭よ。優しい私だからこれ位で済んだけど、他の貴族にあんな事言ったら手打ちにされるわよ」
「そんなものかな?」
「そういうものなのよ。大体アレには、立場ってものが分かっていないわ」

 ジュディの窘めに、ルイズは少し言葉に詰まるが、これは必要なことなのだと言い聞かす。
 多少の贔屓目に見ても、サイトの態度は失礼なモノがあった。気心の知れた者同士ならまだしも、ほぼ初対面の間柄での受け答えではない。
 それはジュディも感じていた事なので、それ以上何も言わなかった。
 しかし、ここに空気や雰囲気を読まない馬鹿が居た。

「優しいって…… あれで優しいんなら、俺は愛と平和を司る大天使になれるっつーの」
「サ、サイトさん!」

 シエスタの顔が引きつる。
 場の空気が凍った。しかしそれにもかかわらず、サイトは笑いこけている。
 ルイズは、怒りも何も感じさせない顔つきで、サイトに向かって一歩を踏み出す。ジュディは何かを感じ取り、彼女の傍を離れた。

「アンタ……」
「ち、違うんです。ミス・ヴァリエールはお優しくて、天使様みたいだって言ったんです。
 そうですよね、サイトさん?」
 必死に取り繕うシエスタだが、ルイズの表情に変化はない。その眼は氷のように冷たく、刃物の様に鋭い。
 ルイズはさらに一歩を踏み出す、無言で。背筋が凍るような視線で射竦められ、シエスタは涙ぐんでサイトから離れた。
 目の前の出来事に、毛筋ほどの関心を払っていないサイトは、指を突き付けながら、腹を抱えて笑う。

「そんなわけねー
 天使どころか鬼だね。そう、その顔なんて…… 般、若?」 

 ようやくサイトは目の前のルイズに気が付いた。突きつけた指先が彷徨うように揺れる。

「えー、もしかして、怒ってらっしゃいます?」
「当たり前よ! こ、こ、こ、この馬鹿犬ー!」

 サイトの両頬に、季節外れの紅葉が鮮やかに色づいた。


 ・
 ・
 ・


「さて、馬鹿らしいことで時間を無駄にしてしまったわね」
「ちぇ」
「あによ、文句あんの?」
「いーえ、なんでもございましぇーん。へんっ!」

 サイトは、赤く腫れあがった両頬を擦りながら、不貞腐れた顔でそっぽを向く。
 そんな険悪な2人の間で、シエスタはオロオロとしながらサイトを庇い、ジュディはルイズを何とか宥めている。

「申し訳ありません。私から良く言いつけておきますので、どうかお許し下さいまし」
「サイト君のこと、もう許してあげて。お願い」
「……ふんっ!
 まあいいわ、じっくり躾けていけばいいだけだからね」

 全く反省した様子がないサイトを一瞥して、ルイズは言い放つ。
 あらためてルイズは、四つ辻の一方向、来た道から見て右方向に体を向ける。
 そして、通りの奥、液体の入ったフラスコの看板がかかっている店を指差した。

「ほら、あれが『マリアのアトリエ』よ」

 4人は、そのまま店の前に移動する。
 秘薬屋『マリアのアトリエ』は、路地裏にある店の例に漏れず、小汚く、こじんまりとした店であった。
 そして、その門戸は固く閉ざされていて、人の気配はない。窓には鎧戸などという上等な物は付いておらず、ただ板が打ちつけてあるだけだ。

「……もしかして、潰れてる?」

 ポツリとサイトが呟く。
 せっかくお使いを頼まれたのに、これでは無駄足だ。
 他の店に行こうとも、サイトはこれ以外の店は知らないし、シエスタも秘薬屋に縁があるとは思えない。ジュディは何処か遠くから来たと聞いている。
 と、なれば、残るはルイズだ。ルイズなら他の秘薬屋を知っているかもしれないが、怒らせてしまった手前、教えてくれるとは思えない。
 目の前が暗くなる。あの先生は、怒らせると怖いのだ。以前、実験器具を壊してしまった時は、死を覚悟したサイトであった。
 しかし、そんな絶望の中にも希望の光は灯る。

「うんん。何か貼紙がしてあるよ」
「あー… 読めないや」

 生憎、サイトには、ミミズがのたくった跡のようにしか見えなかった。

「わたしにまっかせて。
 えっとぉ……
 無期休店中。ご用は、向かいの武器屋『マクシミリアン』まで。だって」
「……向かいの武器屋?」

 読んでくれたのがジュディだったことを複雑に感じながらも、サイトは振り向く。
 なるほど、その店の軒先には剣と盾の描かれた看板が下がっている。 
 その店は、通りから一段高い場所にあり、薄汚れた石段が入口に続いていた。

「汚そうな店ね」
「別に外で待ってくれてて、いいんだけどね」

 そう言い捨てて、サイトは石段を上っていく。その後をシエスタとジュディが続く。
 ルイズは入り口で暫くウロウロしていたが、1人でいてもしょうがないので、やがて、意を決して石段を上っていった。


 ・
 ・
 ・


 入口に設えられている両開きの扉を押し開く。すると、埃を多量に含んだ空気が肺腑に侵入してくる。
 店内は薄暗く、小さなランプに淡い炎が灯り、微妙な陰影を作り出していた。

「なんの ようだ !」
「うわっ! ごめんなさい!」

 店に入ると同時、乱暴な声がサイト達を出迎えた。
 声のする方へ目を向けると、そこにはカウンターを挟んで立つ2人の男がいた。
 1人はカウンターの奥に立ち、パイプを銜えて、眼帯をした店主と思しき男。もう一人は、顎髭を生やし、筋骨逞しい体格をした男である。

「客か……
 私はこれで失礼しよう」
「おう。次も頼むぜ、旦那」

 顎髭の男はそう言って、サイトのそばを横切り出て行った。男が出て行ったのと入れ違いに、ルイズが入ってくる。
 店主は、如何にも魔法使い然とした格好のジュディと、ルイズの胸元を飾る五芒星が刻まれたタイ留めに気が付くと、揉み手をしながら、引き攣った愛想笑いを浮かべる。

「へい いらっしゃい!!
 きょうは なんのごようで」
「えーと。前の店の張り紙を見て来たんですけど……」

 先程の怒鳴り声と、店主の厳つい顔付とで、腰が引き気味になっているサイトは、おずおずと用件を口にする。 

「張り紙? ああ、あれか。
 幾つか在庫を預かってはいるが、無いモノがあっても注文は受けられんよ」

 店主は怪訝な顔つきをするが、直ぐに合点がいったようで、先に断りを入れる。客ではないと知り、少し残念そうな顔だ。

「あのー?
 前のお店の人はいったい何処に?」
「あん? 知らねえよ、何処に行ったかなんて。
 ただ、星の欠片が如何とか、手抜きでホウレン草を渡したのが不味かったとか何とか言ってたがね」

 店主は首を振って、それ以上は知らないと言外に伝える。

「このメモに書いてあるモノをお願いします」
「ふんっ、ちょっと待ってな」

 店主はそう言い捨てると、店の奥へ引っ込んで行った。
 店主の鋭い視線から解放されて、人心地ついたサイトは、改めて店内を観察する。
 壁際の棚には剣や槍、そして斧が、ある程度の区分わけをされて乱雑に置かれていた。そして、中央には、立派な甲冑や黒光りする皮鎧が置かれている。
 大半の武器が無秩序に置かれている中で、整理が行き届いている棚が1つ、部屋の隅にあった。
 サイトは、その棚に近寄る。そして、ひと振りの剣を手に取ると、おもむろに鞘から抜き放った。ランプの淡い光を受けて、妖しく煌めく。
 呆けたような顔でサイトは、抜き身の長剣を眺める。剣は見事なもので、僅かに反りが入った刀身は鋭く、磨き抜かれた鏡のようだ。
 そして、その刃の照りを見ていると、何故か背中がムズムズしてくる。

「サイト君、ドウしたの?」
「ジュディ! 危ないから近づいちゃダメよ!」

 魂が抜かれたように呆けていたサイトは、その一言で正気に返り、長剣を鞘に戻す。
 剣を棚に戻してから振り向くと、シエスタが心配そうな顔で覗きこんでいた。

「ぼーっとしてましたけど、如何したんですか」
「いや、えっと…… 見惚れてたのかな? 剣に?」

 そんなやり取りをしていると、店の奥から店主が姿を現した。
 店主は手に持った紙袋をカウンターに置くと、じろりとサイトを睨みつける。

「このメモに書かれてたものは全部この中に入ってる。兄ちゃん、運が良かったな」

 店主は凄惨な笑顔を浮かべる。例えるならば、目の前に肉が転がってきた猛獣のソレだ。
 サイトは完全に腰が引けてしまっているが、勇気を振り絞って店主に話しかけた。

「あのー、つかぬことをお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あん?」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「別に謝るこたぁねえよ。言ってみな」
「あそこにある剣、おいくらするんですか?」
「若奥様は、下僕に剣をご所望で?」

 剃刀よりもなお鋭い視線のまま、店主はルイズに問いかけた。口元を吊り上げ、逆さになった三日月の様に割れる。
 それは、店主にとって最大限の愛想笑いであった。漏らしそうになったのは、ルイズだけの秘密だ。
 それを隠すためか、自然と声が大きくなるルイズであった。

「ち、違うわ。
 そいつは学院の下働きだから、私がそいつに出してあげるお金なんて、1ドニエたりともないわ!」
「そうでしたか。
 最近、貴族様の間で下僕に剣を持たせるのが流行っているので、てっきり……」

 自分の勘違いであったと、店主は眼を細め、頭を掻きながら謝罪する。
 それは、熊が樽にじゃれつくくらいには愛嬌があった。まあ、最終的には、その樽を破壊してしまうのだが。

「下僕に剣を持たせるのが流行っている? どういうこと?」

 ルイズは率直な疑問を口にする。
 剣、いや、武器というものは、平民が魔法に対抗しようと作り上げたモノだと言われている。
 事実、魔法を持つもの持たざる者というのは、貴族と平民という形で分けられ、魔法の絶対性を示すものであった。
 しかし、その絶対の優位性を突き崩さんとするモノが武器だ。例えば、熟練の傭兵には、メイジ殺しと呼ばれる物騒な輩も居る。
 だがそれは、武器の扱いに長けた傭兵や武芸者が持っての話である。
 ただの使用人や下働きに、武器を持たせる意義など無い。と、ルイズは思う。

「おや? もしかしてご存じないので?」
「何がよ?」

 まさか、知らないとは思わなかった。と、言いたげな店主の切り返しに、ルイズは不機嫌に眉を顰める。

「何でも、このトリステインの城下街を盗賊が荒しておりやして……」
「盗賊ぅ? それがどうして、下僕に剣を持たせるのに繋がるのよ?」
「へえ。その盗賊というのがですね、貴族やあくどい商人しか狙わないっていうんですよ。
 そして、どんなに警備を固めても、どれだけ強固な錠前を用意しても、そいつ等にかかっちゃ意味がねぇんですよ」

 店主は、何処か自慢げに話す。

「そいつ等って…… 何人も盗賊がいるの?」
「ええ、スゲェのが2人いるんですよ。
 『土くれのフーケ』と『怪盗ソリス』っていいやして、こいつ等が散々お宝を盗みまくってるもんで、貴族の方々は下僕にまで剣を持たす有様でして……」

 それまで黙って聞いていたサイトが、会話に割り込む。

「もしかしてそれ、義賊ってやつ?」
「まあ、フーケの方は知らねえが、ソリスは、恵まれない奴らに宝をばら撒いてるって聞くな」
「本当にそういうのって居るんだ。ファンタジー、マジパネェ。すっげー!」
「さ、サイトさん。声が大きいです。そんなに明け透けに言わなくても……」

 シエスタは、ルイズを気にしてサイトを諌めるのだが、大して功は奏していないようだ。
 はしゃぐサイトとは対照的に、ジュディは小首を傾げて疑問を零す。

「でも、盗むのは悪い事だよね?」
「そうよ。義賊とか言っても、犯罪者なのは同じよ」

 ルイズも、所詮は盗人という意見であるらしい。
 また何か難癖付けられてはかなわないと、話を剣の事に戻す。

「それで、あの剣っていくらなの?」
「エキュー金貨で500枚だ。兄ちゃんに払えるのかい?」
「ご、ごひゃく……」

 それは、おおよそサイトが耳にしたことのない値段であった。
 平民1人が1年間生活するのには、金貨120枚が必要だと言われている。そして、厨房の雑用として働くサイトの月額所得は、推して知るべし。下手をすれば平均を割っているかもしれない。

「さっき出て行った男がいただろ?
 それはアイツが作ったヤツだよ。どこぞの騎士だったようだが、今じゃ腕のいい鍛冶屋さ。
 この店にあるいいモノは、大体、奴の作だね。特にその四天王の銘は1、2を争う出来だ。そうそう手の出るもんじゃねぇよ」

 打ちひしがれるサイトに、店主はそうフォローを入れる。
 お陰で少し立ち直ったサイトは、その隣の棚を指差す。

「じゃ、じゃあ、あそこに置いてあるやつは!?」
「モノにもよるが、高いので250、安いのでも70はするな」
「しょ、しょんにゃに……」

 サイトは膝から崩れ落ちる。

「サイトさん。元気出して下さい。
 剣なんて物騒な物、持っていなくてもいいじゃないですか」

 慰めるシエスタであったが、サイトの気持ちは沈み込んだままだ。
 それを見ながら、店主は豪快に笑う。

「選んだモノが悪かったな、兄ちゃん。もっと安いヤツは、入口の近くにあるからそこから選ぶといい。
 兄ちゃんは面白い奴だし、あの剣に目をつけたってことで、2割引で良いぜ」
「……値段は?」
「一律、金貨20枚だ。2割引だから、16だな。言っとくが、これ以上安いのはウチにはないからな」
「…………」

 サイトは言葉も出ない。金貨16枚でも、およそ2ヶ月分の給料に匹敵している。
 剣は欲しい。でも、そんな金はない。
 そのジレンマで、サイトは身悶え悩む。そして、深く考えるまでもなく、それを解決する方法はひとつしかない。
 しかしそれは、サイトには許容しがたい方法である。悩んで悩んで悩みぬいた末で、彼は決心した。
 静かにルイズに向き直ると、おもむろに膝を床につけ、頭を深々と下げる。それは、ドゲザと呼ばれる東方伝来のお願いの方法であった。

「お願いします! お金貸して下さい! 一生のお願いです!」
「え? ちょ、ちょっと……」

 ルイズはうろたえる。彼女は、ドゲザの意味は知らなかったが、必死に懇願している事は理解できた。
 ルイズのサイトへの評価は、貴族を全く敬わない常識知らずの扱いにくい馬鹿であり、こうも簡単に頭を下げるとは思ってもいなかった。

「な、なに言ってんのよ! アンタなんかに貸すお金なんてないわ!」
「そこをどうにか! この通りです! 絶対に返しますから!」

 額を床に擦り付けるようにして、サイトは懇願する。

「お願いします。ミス・ヴァリエール、お金は後で必ずお支払いいたしますから、どうかここは立て替えてもらえないでしょうか!?」
「ねえ、お金貸してあげようよ。サイト君が可哀想だよ」 

 サイトの必死さに同情したのか、シエスタとジュディが援護に加わる。
 これはたまったものではない。ここでもし駄目だと言えば、血も涙もない人間だと思われてしまう。
 同情とか罪悪感などこれっぽちも感じていないルイズであったが、駄目だと言える雰囲気ではなかった。
 唸るように喉の奥から声を絞り出す。

「ぅぅう…… 分かったわよ」
「えっ?」

 サイトが勢い良く顔を上げる。

「いいわよ! 立て替えてあげるわよ!」

 吠えるように言葉をサイトに叩きつける。
 サイトはキョトンとした面持ちで、疑わしそうに聞き返す。

「ホントに?」
「どれがいいのよ! 何でも持ってきなさいよ!」
「ホントにホント?」
「いいつってんでしょ!」
「ひゃっほう♪」

 サイトは、先程の態度が嘘の様に飛び上がって、喜びを露わにする。

「何でもっていった? 何でもっていったよね!?
 言質取ったよ。ここにいるみんなが証人だから、後で違うって言っても駄目だからな!」

 その言い草に、ルイズの神経は逆撫でされる。
 有頂天になっているサイトは、それに気が付かず能天気に喋り続ける。シエスタとジュディは、既に退避済みだ。

「ああ、何でも言ってみるものだな。本当に貸してくれるなんて、神様仏様ルイズ様だね。
 待てよ。何でもっていう事は、あの名剣でも良いって事に……」
「調子に乗るんじゃないわよ。このっ、馬鹿犬!」

 絶妙なローキックがサイトの向こう脛を襲う。余りの激痛に腰を屈めると、顔は丁度ルイズの真正面にくる事になる。
 その丁寧に差し出された顎を、流れるようなフックが打ち抜いた。


 ・
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「あー、痛ぇ。冗談なのに、あんな怒ることないよな?」
「冗談でも言っちゃダメだよ」
「そうですよ、ジュディちゃんの言うとおりです」

 痛む顎を擦りながら、サイトは棚に収められた剣を物色していた。隣には、ジュディとシエスタが居る。
 何とか怒りを収めたルイズは、椅子に座ってサイトの後ろ姿を睨みつけている。

「うーん、どれがいいかな?」

 物色しながらサイトは唸る。
 棚に収められた剣は、刃毀れや錆が浮いたりしており、店で一番安いという主の言葉は嘘ではないようだ。
 そしてそこの棚にあるモノは、1つとして新品はなく、全て中古であるらしかった。綺麗にふき取られているが、柄に赤黒い染みが出来ているモノまである。
 片っ端から剣を抜くのだが、いまいちピンと来るものがない。中には中古と言い難いモノもあったが、サイトの食指は動かなかった。

「これなんてどうですか? サイトさん」
「ん?」

 シエスタが選んだ剣を受け取ると、少し離れて鞘から抜き放つ。
 剣はシンプルな長剣であった。刃には錆びも浮いておらず、良品と言える。そして、ハンドガードが付きの柄は、サイトの手に良く馴染んだ。

「うーん…… なんか違うんだよなぁ。
 やっぱ、凄えのを見た後だからかな?」
「おいおい。それは高望みが過ぎるってもんだぜ、兄ちゃん。
 もうソレにしちまえよ。前の持ち主の手入れが良かったお陰で、結構な掘り出し物だぜ?」

 それを無視して、サイトは剣を棚に戻すと再び物色を始める。
 暫くして、サイトは大剣を手に取った。それは、ジュディの身長よりも長大な、グレートソードと呼ばれる剣であった。
 サイトはまじまじと、その剣を見つめる。錆が浮いてボロボロになっているが、元々の造りがしっかりしているのか、かなり頑丈そうに見える。

「本当に、これも20?」
「ああ、そうだよ。本当なら80は欲しいんだがね、買い手が付かないからそこに置いてんだよ」
「結構気に入ったかも知んない。よし、これに決めた!」
「はは。良い選眼してるじゃないか。
 でも、兄ちゃんの細腕でそいつを振り回すのは無理だな。そいつと相性がいいなら売ってもいいが、諦めな」

 店主は奇妙なことを言う。サイトの腕ではどう足掻いても、碌に振り回すことは出来ないだろう。ならば、相性など一目瞭然だ。

「相性?」
「ああ。そいつを鞘から抜いてみな」

 その言葉に促されるままに、サイトは大剣を抜き放つ。

「ぷはー。久しぶりの娑婆だぁね」
「だ、誰だ?」

 突然響いた任侠気溢れる低い声に、サイトは辺りを見回す。サイトと同様に、店主以外の3人も辺りを見回すが、誰も見当たらない。
 謎の声はからかう様な声をサイトにぶつける。

「はっ! てめえの目は節穴かい? 俺っちは目の前にいるよ!」
「なぁ!? け、剣が喋ってる!」

 確かにその声は、サイトが持つ大剣から発せられていた。喋る度に鍔元の金具がガチャガチャと震えている。
 サイトは、目を丸くして大剣を穴が空くほどに見る。

「やめてくんな。そんなに見つめられちゃ、尻が痒くならぁ」

 剣がそう吐き捨てる。声色からして照れているらしく、人間の様に手足があれば、さぞ感情に富んだ仕草をしただろう。
 サイトとシエスタは、剣が喋るという常識では考えられない出来事に、ただ驚愕するのみだが、ルイズとジュディはそうではなかった。
 2人共、驚いているのには違いないのだが、何か心当たりがあるらしく、2人とはまた違った眼つきで、その剣を見つめている。

「もしかして、インテリジェンスソード?」
「もしかして、魔生命体?」
「「えっ?」」

 互いに呟き、顔を見合わせるその一連の動作は、全くの同じタイミングであった。



 ◆◇◆



 大通りに面したとある本屋に、タバサとシルフィの姿があった。
 シルフィの両手には、幾つもの紙袋が下げられている。 

「おねえさま~ まだなのね? もうこれで、4件目なのね」
「…………」

 タバサは、シルフィの疲れを滲ませる哀願には一切取り合わず、本棚から一冊の本を抜き取り、パラパラと流し読みをしている。
 非情な態度を取るタバサに、シルフィは縋りつき、周りの迷惑も顧みずに大声で叫ぶ。

「ずるいのね。ずるいのね! 本屋の後はご飯だって言ったのに、ずるいのね!」
「言っていない」

 タバサは本を閉じて棚に戻すと、静かで抑揚のない声で言い放つ。そして、再び本を手に取ると、流し読みを始めた。
 シルフィは頭に強い衝撃を受けたように、ヨロヨロと後ずさり腰砕けにへたり込む。

「そ、そんな、酷い、酷過ぎるのね。
 裏切ったのね! シルフィの気持ちを裏切ったのね! きゅい、きゅいきゅい!」
「自業自得」

 泣き叫ぶシルフィを、タバサはバッサリと切り捨てる。

「大人しく待っていればよかった」
「でも、シルフィは、おねえさまと一緒がいいのね。
 一緒にいれば、もっとおねえさまの事が分かるのね。それに、シルフィの事ももっと知って欲しいのね」
「…………」

 泣き真似をやめたシルフィは、タバサの事がもっと知りたいから傍にいるのだ、と零す。
 しかし、タバサはそれを無視する。
 流し読みをやめて本を棚に戻すと、踵を返して別の本棚へと向かう。

「おねえさまは、酷い人なのね。冷血人間! メガネっ娘! 本の虫娘!
 日が暮れるまでココにいるといいのね。その間にシルフィは、お腹一杯お肉を貪ってくるのね!」

 そう言い捨てて、本屋から飛び出そうとする。
 だが、その背中に静かな声が掛けられると、ピタリと静止した。
 その声は、下手をすれば街の喧騒に飲み込まれてしまうほど小さく、素っ気ない声であった。
 しかし、それをシルフィが聞き逃すことなどあり得ない。
 なぜならば、その声の主は彼女が大好きなタバサであったのだから。

「本屋はこれが最後。後の予定はない」

 それを聞いて振り向いたシルフィの顔は、喜色満面であった。素早くタバサの元に一足飛びで駆け寄ると、力一杯に抱擁する。

「シルフィは信じてたのね。おねえさまはやっぱり優しいのね。
 ドコにでもついて行くのね! きゅいきゅいきゅいきゅい!」
「…………」

 為されるがままのタバサと2人の身長差とが相まって、子供がお気に入りのぬいぐるみを抱きしめるかのように見える。
 シルフィがタバサを抱きしめると、タバサの顔はシルフィの胸の辺りに来る事になる。
 初めは為されるがままになっていたタバサだが、その事実に気が付くと、多少乱暴にシルフィの腕を振り払った。不機嫌になった理由は推して知るべし。

「ああ、待ってほしいのね」
「…………」

 甘い顔をしたことを少し後悔しながら、タバサはシルフィを置き去りにして、本棚の間をすり抜けていく。
 気が付けば、児童書のコーナーに足を踏み入れていた。タバサが求めているのは、学術書や戦術教本の類であり、こんな場所には用がない。
 踵を返し、足早に立ち去ろうとするタバサの視界の端に、ある本の表紙が一瞬映り込む。
 彼女は足を止めた。足を入れ替えて少し引き返す。
 そして、一瞬だけ視界の片隅に映り込んだ本を探し出すと、タバサは静かに持ち上げた。

「楽園への塔とイーヴァルディの勇者……」

 タバサは、幾分の懐かしみを込めた声でそう読み上げる。
 改めてその本棚を眺めると、同じような題名の本が、幾つも陳列されていた。
 『女神の像とイーヴァルディの勇者』『時を駆けるイーヴァルディの勇者』等々……
 題名から分かる通り、これらの本は『イーヴァルディの勇者』と題された作品群である。
 『イーヴァルディの勇者』とは、このハルケギニアで最も読まれている作品と言っても過言ではないだろう。おそらく、この物語を知らない子供は稀だ。
 貴族は勿論、文字の読めない平民にも口伝として語り継がれている。子供の頃に読んだことのない人間でも、少し大きな街に出れば、人形劇や演劇、詩吟として、耳にする機会も多いだろう。
 作品としては荒唐無稽で、歴史的背景など皆無であり、設定も作品毎にまちまちで矛盾も多く、文学とはとても言えない代物である。
 それゆえに、まともな研究は為されていない物語であり、今なお、新しいストーリーが粗製乱造されている物語でもある。
 だが、その単純明快で勧善懲悪のストーリーは面白い。万人に受け入れられているのが、その証であろう。
 かくいうタバサも、このストーリーに心高ぶらせた1人であった。
 タバサは多くの事をこの本から学んだ。そして、目を瞑れば、思い出すのは母の姿。夜眠れぬ自分に優しく語り聞かせてくれたのが、この物語を聞いた初めてだったかもしれない。
 そう昔を思い出したタバサは、手に取った本を元に戻し。あるタイトルを探し始めた。
 それは、今でもタバサに少なからずの影響を残している本であり、母がよく読んでくれた本でもある。
 ほどなくして、その本は見つかった。表紙には、おどろおどろしいタッチで地下都市が描かれている。
 題名は『イーヴァルディの勇者 対 不死王』とあった。



 ◆◇◆



 『美しきセイレーン』そんな名前の店がブルドンネ街にはある。
 そこは、東方伝来という触れ込みの『お茶』を出す『カッフェ』という店である。
 オープンテラスが設けられ、酒場とは違う、開かれた雰囲気を持つ店だ。
 そこには、一通りの観光を済ませた一行の姿があった。
 一行とは、ルイズとジュディ、そしてサイトとシエスタのことである。
 4人は2つのテーブルを占拠し、ルイズとジュディ、サイトとシエスタがそれぞれのテーブルで向かい合わせで座っている。
 時刻はつい先ほど鐘が4つなったばかりであり、少し遅めのティータイムであった。
 この2組がなぜ一緒にいるかというと、以下のとおりである。
 ルイズの予定としては、コルベールのお使いを終わらした後は、さっさと別れてジュディと観光をする予定であった。
 しかし、シエスタの強い要望で、2人をお供に連れて行くことになったのだった。
 色々と省略するが、簡潔に言えば、案内してくれた事へのお礼。裏の事情を言えば、サイトがした不始末のお詫びである。
 ルイズは、当然いい顔はしなかったが、結局、シエスタの案内で観光をする事と相成った。
 結果から言えば、シエスタに案内させたのは正解と言えた。彼女は裏道や裏通りを熟知しており、ルイズも知らない観光の穴場を知っていた。
 道中も、シエスタの気配りは細やかで、ルイズが不快な思いをすることはなく、満足いく観光であったと言える。この店へと案内したのも、彼女であった。
 ただ、唯一の落ち度があるとするならば、ルイズとサイトが同じ場所にいる羽目になったことであろう。
 こればっかりは、シエスタといえどフォローのしようがない。この2人の相性は、正に水と油、犬と猿の間柄である。

「結構いいティーカップ使ってるじゃない」
「湯呑みで飲みてぇ」
「このパイの焼き上がりも丁度いいわね」
「固焼きのせんべいが欲しい」
「うっ、苦いわ。砂糖を入れなきゃ」
「うげっ」
「……ミルクはどこかしら?」
「うげげっ」
「さっきから何なのよ!? 言いたい事があるなら言いなさいよ!」

 何かを言う度に、いちいちつぶやくサイトにルイズが吠える。サイトは、ルイズの飲み方に不満があるようだった。

「豆腐とワインに旅を…… っと、違った」

 サイトは慌てて言い直す。

「このお茶はね、そのまま飲むのが一番いんだって。
 そりゃ、渋いかもしれないけど、そこが、いいんじゃあないか」
「……なんで平民のアンタが、そんなこと知ってんのよ。
 これって、東方からきたお茶よ? 平民が、早々飲む機会があるものじゃないわよ?」

 疑問を口にするルイズに、サイトは口を尖らせて反論する。

「今、気軽に飲めてるじゃん」
「揚げ足取るんじゃないわよ!
 そりゃあ最近は、安値で飲めるようになってきてるみたいだけど、だからって、平民が気軽に飲めるものでもないわ。
 特に、アンタみたいな貧乏人には、ね」

 平民が口にするのは、水か安いワインが相場だ。お茶などは嗜好品の類であり、最近は見る機会が増えてきたといえど、平民の中では生活に余裕のある者ぐらいしか、口にしたことはないはずである。

「貧乏人って…… そりゃあ、そんなに持ってないけどさ、もうちょっと言い方ってのがあるんじゃないの?」
「なによ、借金持ちが人並みの意見を言わないでくれる?」
「うっ、金は返すって」

 あんまりなルイズの物言いに、サイトは力なく反論するが、痛い所を突かれて口ごもる。

「ふんっ、アンタなんてモグラよ、モグラ。モグラで十分よ!
 暗がりで、モグモグ言ってなさいよ! このモグラ!」
「くぅ~、畜生! 金さえ、金さえあれば……!」

 容赦なく追い打ちをかけられ挫けそうになるサイトに、救いの手が差し伸べられる。

「お金なんてなくたって大丈夫ですよ。
 2人でブドウを育てて、名前入りのワインを造りましょう!」
「ドサクサに紛れてなに言ってんの!?」

 綺麗な笑顔を浮かべるシエスタに、サイトは仰天する。しかし彼女は、いたって真面目な顔だ。もう既に、人生設計の真っ最中なのかもしれない。

「はっはっは、坊主はモテモテだぁね。まったく、羨ましいね!」

 サイトの背中、椅子に立てかけられて、ホンの少しだけ鞘から刀身を覗かせたデルフリンガーが、鍔元の金具をガチャガチャいわせながら、からかいの声を上げた。

「ああ、居たんだっけ? ボロ剣」

 突如聞こえてきた声に対するルイズの反応は、実に淡白なモノであった。

「平らな娘っ子は酷いねぇ、年長者を敬おうって気はないのかい?」
「あんあまり可哀想なこと言ったら、デルフ君が可哀想だよ」

 拗ねた様な声を出すデルフリンガーをジュディが庇う。

「おお、嬉しいねぇ。俺っちの味方してくれるなんて、お嬢ちゃんはいい子だぁね。
 そうそう、モノは相談なんだが、俺っちを持ってみてくんない?」
「やめなさいよ、錆び臭くなっちゃうじゃない。それに、刃物なんて危ないわ。指とか切ったらどうするのよ」
「なんだか、過保護だねぇ。俺っちが大人しく買われてやったのは、お嬢ちゃんが気になったからだっていうのに……」

 ジュディに対しての過保護な態度を、デルフリンガーは揶揄するのだが、ルイズは聞く耳持たず、バッサリと切り捨てる。
 意味深な事を言っていた気もするが、記憶が曖昧な剣の相手などする気も起らず、ルイズは捨て置くことにした。

「なによ? アンタ、ロリコンなの? 剣のくせに、このぺド剣」
「酷っ! いくらなんでも、それは酷ぇんじゃあねえかい? 平らな娘っ子は容赦ないねぇ、まったく」
「うっさい、鉄屑。それより、さっきから『平らな』っていうのはどういう意味よ?」
「そりゃあ、体の一部分を表してるに決まってるだろ」

 目など無いデルフリンガーであったが、何となく胸部に目線が集中している様な気がする。重ねて言うが、デルフリンガーに目は無い。

「こ、こ、この、セクハラ剣! 溶かして包丁にしてやるわ!」

 言わんとするところを瞬時に理解したルイズは、火メイジがお湯を沸かすのよりも早く、瞬時に顔を真っ赤にしてデルフリンガーに躍りかかる。

「うわぁ! 落ち着いて! 杖を振り回したらダメだよ!」
「大平原はないよなぁ」
「え、えっと、そのぉ…… 頑張ってください! 応援してます!」
「うるさい、うるさい、うるさーーいっ!!」

 サイトはデルフリンガーに同意し、シエスタは擁護しているようで傷を抉っている。
 何もかもが煩わしくなったルイズは、ジュディの制止も用をなさず、形振り構わず大声で当たり散らす。
 何かと騒がしい4人組+αは、周りからの奇異の目に気が付くことなく、そのまま気が済むまで騒ぎ続けていた。

「ヨハンナ、そろそろ休憩に入ってくれ!」

 ルイズの大声にかき消されることなく、店主の大声が響いた。



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 今回の成長。
  ルイズは、パンチL2のスキルパネルを習得しました。
  ジュディは、????がL2に成長しました。なお、このスキルは同名のスキルでしか上書きできません。



 第8話 -了-



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