あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの工作員-12



「どう思う、デルフ?」
フリーダは背負ってきた剣に訊ねた。
彼女は魔法について素人だ。
だから<魔法そのもの>であるデルフリンガーを連れて来ていた。
同種の彼なら知っているかもしれないから。

「よう。相棒と」
「ルイズよ」
「娘っこ、俺はデルフリンガーだ」
「知ってるわ」
かちゃかちゃと鍔を鳴らしてデルフリンガーが喋った。

「ちょーっと待ってな」
「成程な、そーゆうことか」
ややあって鍔が大きくカッチンと鳴る。

「おでれーた!娘っ子。宝物庫の壁を調べてみな」
杖で軽く壁を叩く、硬い金属音から石壁を叩いた音へ変わっていた。

「<固定化>が少し解けてる!」
「爆発で魔法が解けたみてぇだな」
先ほど、練習の最中に宝物庫の壁へ一発の魔法が命中した。
爆破の規模そのものは爆竹程度だったので大丈夫だと無視していのだ。

「どうしよう学院のものなのに」
「良かったわね。新しい使い方が見つかって」
「良くないわよっ!」
同居人のいつも通りのやたら落ち着いた態度にむかついた。

「落ち着きなさい、ルイズ。普通<固定化>は魔法が当たって解呪されるものなの?」
「させないための<固定化>よ。
強度を上げるのと外部から<錬金>できなくするのに掛けるのよ」
「だから、あっ!……解呪」
ありえない可能性。
ドット以下の自分がスクウェアクラスの魔法解除は無理だと<現実>が否定した。

「……偶然かも」
「また試せばいいじゃない。一度壊れるも二度壊れるも同じよ」
やってしまったものはしょうがない。
「そうね。ライト!」
威力を絞った爆発が撒き起こる。魔法は壁を削り、より脆くなった。

「……やった」
「ロック!ファイヤー・ボール!レビテーション!」
軽めの精神力で魔法を唱える。声の度に地面が揺れ壁が抉れた。
フリーダにやめておきなさいと止められるまで爆発は続く。

「成功だわ!」
「それって凄いの?」
彼女の同居人、フリーダは魔法について驚くほど無知だ。
興奮冷めやらぬルイズは無い胸を張って自分の素晴らしさを教えてあげる。
「当然よ!スクウェアメイジの<固定化>を解呪したのよ!」

今日は記念すべき日だわ!

杖をタクトの様に振った、鼻歌も自然と出てきている。
彼女はコントラクト・サーバント以来、初めて魔法らしい魔法に成功したのだ。
それもスクウェアクラスの魔法を解除する偉業を。
異質だけど、キュルケやギーシュに出来ない、彼女だけの魔法。
「使えた魔法が<解除>?爆発は火に近いし、水や風とも違うわね。虚無なわけないし」
指でこめかみを叩いた。

「ルイズは物知りなのね」
フリーダがルイズを賞賛している、もっともっと褒めて欲しかった。
担任のコルベールに話して、お父様やお姉さまたちにも手紙を書かないと。
『スクウェアの魔法を<解呪>できたって』

「どうして判ったのよ」
功労者である赤錆びた古臭い剣に聞いた。
「懐かしい魔法の気配がしてな」
「俺だって伊達に数千年生きてるわけじゃねえさ」
デルフリンガーは自慢げだ。


「大抵の魔法は見るだけで理解できる、はずだぜ」
「はず?」
「長い間に忘れちまってよ。<その時>がくれば思い出すと思うぜ」
頼りになるのかならないのかはっきりしない剣ね。

「それとよう。教室では黙っていたが魔法の説明が間違ってるぜ」
「ん?」
「<偏在>のダメージはそれぞれ独立するから、他の本体や分身は無傷だ」
「ひとつづつ潰さなきゃなんね。面倒な魔法だぜ」
「まるで戦ったみたいな話しね」
「ん~~~?あるかもしれね~~な?覚えてねえや」
ルイズはデルフを安っぽい剣だと思っていた。考えを改めよう。
もしかして凄い剣なのかも。

「教室にギトーって野郎いたよな」
「風担当の教員ね」
「あの野郎、気にいらねえ」
「?」
「授業に<偏在>なんてよ、見栄張ってやがる。
 無理して実力より多めの人数出してたな。不相応な魔法使いやがって」
凄い剣かもじゃなくて、実力も見抜けるなんて凄い剣だった。

「娘っ子もメイジだからってむやみに魔法使うんじゃあねぇぜ。
 いざってときに足りなくなっちまう。貴族ってなあ態度で示すもんだ」
「昔、上流階級アホレースってなあってな。参加者は三段のマッチ箱を飛び越えたり、
 ホームレス蹴りをしたり、ゴシップ写真を撮られる競技があった」
「間抜けな貴族達ね。なんで競技に参加したの?」
「貴族に名誉で <正しい>ことだったからだ」
「………」
「人は見下す相手が必要である。違うだろ?
 娘っこは努力家だ。おめーは<正しい>判断ができそうだからな」
説教臭く爺っぽい剣は掘り出し物だった。
二束三文で叩き売った店主の顔を思い出す。
また機会があったら行ってみよう。
武器屋の悔しがる顔が頭に浮かぶ。

「あーーっ、娘っこ。コレどーすんだ?」
「……どうしよう」
<固定化>が解け穴だらけになった壁があった。

「先生に<固定化>が緩んで壊れてると報告して、寮に帰って寝ればいいじゃない」
「そうね。完全に解けたわけじゃないから。簡単に魔法で治るだろうしね。
 疲れたわ。お風呂入って寝よ」
今夜はぐっすり眠れそう。

壁に背を向けて歩き出すと、地面から突き上げるような振動が響いてきた。
月の光が陰りルイズを闇に飲み込む。
「ち、ちょっと」

立っていられなくて両手をつく。
後ろには30メールもある巨大な土人形。
頭が体にめりこんだ寸胴な体躯、体の端々に取り込んだ苔むした土や岩が混ざっている。
肩にはローブをまとった線の細い体をしたメイジ。

「土くれのフーケ!」


ロングビルが夜遅くにオスマンから買い物を頼まれ、渋々ながら引き受けて、部屋へ戻ろうとしていると
宝物庫から爆音がした。
寄ってみると信じられないことに、ヴァリエール家の三女が<固定化>の掛かった壁を壊していた。
<ゼロ>のルイズがである。
トライアングルメイジで数々の金庫破りをしてきた彼女でも、破壊を半ばあきらめていた壁をである。

眼を疑った。
厳重に<固定化>の掛かった壁が崩れるはずがない。しかし現に壊れている。チャンスだ。
部屋に急いで戻り、変装用ローブを羽織り、杖を確認する。
サボろうと思って隠しておいたアレを使えばアリバイ工作も大丈夫だ。
宝物庫での爆発をいつもの<ルイズの練習>と思っているのか彼女達以外に人はいない。
夜中で人目につきにくいのも運がよかった。
中の破壊の杖を奪えれば、オスマンのセクハラともおさらば出来る。
売った金で子供たちに美味しいものを食べさせてやれる。

「付きが廻ってきたみたいだね」

ロングビルは<土くれのフーケ>の名で怪盗をやっている。
驕れる貴族の宝物庫からマジックアイテムを華麗に、大胆に盗む。
30メール近い巨大なゴーレムを操り、金庫を<錬金>で<土くれ>に変える凄腕メイジ。
盗んだ宝物庫の壁にはサインを残していく。
トリステインで名は広まり、ちょっとした有名人だ。
巷では彼女を警戒して、貴族が騎士に武器を買い与えるのが流行っている。

てきぱきと呪文の詠唱を始め、30メールもあるゴーレムを造りだす。
地面の土を削り取り込みながらゴーレムが完成した。
会心の出来、にやりとする。
彼女はトライアングルメイジだ。
ゴーレム造りの腕に関してはスクウェアメイジクラス、
超一流の腕を持っているといわれている。

30メールのゴーレムを動かすのは難しい。
まず、30メールの土が入る枠を造らねばならない、
容を崩させないため土を固めねばならない、
倒れないようバランスよく動かさねばならない、
その他様々な条件をクリアし、全てを一人でこなす、
フーケが凄腕と呼ばれる所以であった。

ゴーレムの背中が爆ぜる、下に居るゼロのルイズが唱えたのだろう。
彼女が魔法を使えたのに多少驚きつつ、壁の破壊に集中する。
「打ち砕け!」
ゴーレムが両手を高く上げ、振り上げた腕の重さで壁を打ち抜く。
命中する直前に手を<錬金>で鉄に変える。
厄介な<固定化>が解け、穴だらけになっていた壁は簡単に崩れた。
分厚く堅牢な壁とコルベールに聞いていたが拍子抜けだ。
<固定化>が解けた壁は脆い。

足元のルイズに感謝しつつゴーレムの肩から飛び降り<破壊の杖>へまっすぐに向かい
「魔法の品にしては重いわね」
置いてある金属鞄を手に取った。

「忘れるとこだったねえ」
杖を一振り、壁に
「破壊の杖頂きました。フーケっと」

後は適当にゴーレムに自立設定で暴れさせ、夜闇に乗じて壁の外にある森へ逃げればいい。
オスマンからフーケ捜索の連絡が来るだろうから、
買い物の帰りに「偶然」村に寄っていたロングビルが「偶然」フーケの足取りを掴むのだ。
買い物の品は、定期の買い物をサボるため隠しておいたものを使えば言い訳が立つ。
森で姿を消した後、村へ寄りオスマンの連絡を受けるまで待ってから、ゆっくり帰ればいい。

胸を触られ、スカートの中に手を入れられ、
「ロングビルや結婚はまだかのう」
と結婚適齢期を過ぎた彼女を苛立たせるバカ学長。
オスマンに天罰が与えられるのは自然の摂理だ。
彼が大事にしている宝を盗むのは愉快、痛快、大喝采。
オスマンの悔しがる顔が楽しみだった。。




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