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狂蛇の使い魔-05



第五話



浅倉が広場を後にした、ちょうどその頃。

本塔最上階の学院長室では、魔法によって映し出された広場の光景に、二人の人物が見入っていた。

「オスマン殿、やはり彼は……」
「……概ね間違いはないじゃろう。」

一人は、サモン・サーヴァントの際にルイズたちの監督をしていた、禿げた頭が特徴のコルベールという男。

もう一人、コルベールにオスマンと呼ばれたその人物は、白い髪に白い口髭の年老いた男。
彼こそが、この学院の学院長である。



そんな二人が、なぜこんなことをしているのか。

それは、ギーシュと浅倉が決闘を始める少し前。
コルベールが慌てて学院長室に入ってきたのが始まりである。

コルベールが手にしていたのは、珍しい形のルーンが描かれた一枚のスケッチ。
サモン・サーヴァントの際に騒動を起こした、ルイズの使い魔の平民のものであるという。
コルベールはそれを、伝説の『ガンダールヴ』のものと一致した、と言った。

「なるほど……。じゃが、たまたま似た形のルーンが現れただけかもしれんぞ?」
「しかし、オスマン殿……」

コルベールが言いかけた時、部屋のドアがノックされた。

「失礼します、オールド・オスマン」
入ってきたのは、オスマンの秘書であるミス・ロングビルであった。

「なんじゃね?」
「ヴェストリの広場にて、生徒が決闘をしているようです。」
オスマンが呆れた顔をして、やれやれと呟く。

「して、誰が決闘をしておるんじゃ?」
「一人は、我が校の生徒、ギーシュ・ド・グラモン。もう一人は……」
「もう一人は?」
「ミス・ヴァリエールの喚んだ、平民です」

その言葉に、オスマンとコルベールは顔を見合わせる。
「噂をすれば、ですな。」
「全くじゃ。……丁度いい。様子を見てみるかの。」
そう言うとオスマンは魔法を唱え、広場を映し出した四角い画面を眼前に出現させた。

「駆けつけた教師たちが、『眠りの鐘』使用の許可を要求しておりますが……」
尋ねてきたロングビルに、オスマンは映像を見たまま、振り返らずに答えた。
「平民相手なら使わずとも十分じゃろ。そう伝えといてくれ」
「……分かりました」
失礼します、と一礼すると、ロングビルは映像に夢中な二人を残し、部屋を出ていったのだった。



そして、現在に至る。

決闘の結果は圧倒的なものであった。
様々な武器を自在に操り、瞬く間に敵を蹴散らして退けた、あの平民。
これなら、彼が『ガンダールヴ』だというのも頷ける。



(それにしても……)
窓際に移動し、オスマンは考える

あの平民が持っていた、紫色の奇妙な箱。
色や描かれた模様は違えども、この学院に存在する『破滅の箱』と形状が酷似している。

つい最近手に入れた、手にした者は呪われるという秘宝……
彼なら、何か知っているかもしれない。
(あとで尋ねてみる必要がありそうじゃのう……)



「ところでオスマン殿。この事を王室に報告しないのですか?」
オスマンの思考が一段落した時、コルベールが思い出したように尋ねた。

「なに、あんなやつらにわざわざ報告せんでいい。そんなことをしたら、彼の身が心配じゃ」
「それもそうですな」
コルベールはそう応えると、そろそろ授業がありますので、と言い部屋を出ていった。



(最近は奇妙な出来事が多いのう……)

そう考えながら、オスマンは白髭を撫でながら、窓の外に広がる空を見上げた。
晴れ渡った青空の中に、幾ばくかの薄雲が漂っていた。

その日の夜。
「ねえ、昼間のあの変な格好、何? あ。あと、あのでっかい蛇! 教えなさいよ!」
ルイズは自室で浅倉を質問攻めにしていた。

「うるさい奴だ。俺はもう寝る」
そう言うと、浅倉は部屋の隅で寝転がった。
両手を頭にあて、すぐに目を閉じる。
「ち、ちょっと待ってよ! せめてあんたの名前くらい教えなさい! それぐらいならいいでしょ!?」
「浅倉だ」
目を開けずに、浅倉は答えた。
「アサクラ? アサクラね。それと……」
「じゃあな」
「あああ待って! 最後に一つだけ!」

浅倉が目を開け、ルイズを睨む。
「しつこい奴だ。そんなに俺をイライラさせたいのか?」
その形相に、ルイズは思わずひっ、と声をあげた。

「ほ、本当に最後よ! ……あんた、私のことどう思ってる?」
真剣な目付きでルイズが問う。
浅倉はしばらく天井を見て考えると、目だけをルイズの方に向け、答えた。
「この生活は悪くない」

「え? それってどういう……」
ルイズが言い終える前に、浅倉は再び目を閉じた。

(結局、よく分からなかったわ……)
満足のいく答えを得られなかったルイズは、両手で頬杖をつき、ふぅ、とため息を吐いた。
もう一度、寝ている浅倉を見る。
「でも、私と一緒にいるのは嫌じゃないみたいだし……大丈夫、かな」

そう自分を納得させるように呟くと、ルイズは浅倉から視線をずらし、窓の方へと目をやった。

雲に覆われた二つの月が、その隙間から弱々しい光を放っていた。



所変わって、部屋の片隅に大きな置き鏡がある、学院のとある一室。

その鏡の中に広がる虚像の世界に、銀色の鏡のような空間が出現していた。
それは少しずつ大きくなっていき、しばらくすると、人型の白い物体を四つばかり吐き出した。
吐き出すと同時に、謎の空間は跡形もなく消滅した。

二メイルほどもあるその四つの物体は、しばらくすると不気味な呻き声をあげながら、ふらふらと立ち上がった。
鈍重な動きで顔を動かし辺りを見回すと、おぼつかない足取りでどこかへと去っていく。



後には、何事もなかったかのように部屋の様子を映し出す、その大きな置き鏡があるのみであった。



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