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はばかりのある使い魔

 奇妙な男だった。
 全身が銀色の男だった。
 イザベラの、自らが召喚した使い魔に対する率直な感想はそれだった。
 男というのは正しくないかもしれぬ。
 何故かといえばイザベラはその男を最初に見た時、人とは思えなかったからだ。
 ある意味でそれはあっている。
 何しろ、男は『人間』ではなかったのだから。
 人の形を模しただけの命なきもの。ゴーレムかガーゴイルの一種だと、イザベラは判断した。
 でも、それは誤りだった。
 男は、れっきとした生物だったのだ。
 広い意味では、人間ではないが、人ではあった。
 その背丈や、異様に細い手足からして、屈強というには程遠かった。ラインどころかドットクラスの土メイジの作るゴーレムにさえ秒殺されそうな外見だった。
 が、それも誤りだった。
 男は、恐ろしく強かったのだ。
 奇妙な格闘技を習得しており、トライアングルのメイジさえ問題にしなかった。
 何よりも、いかなるメイジにも、たとえ伝説の虚無さえ使えぬであろう恐るべき技を持っていたのだ。
 イザベラは使い魔を自分の第一の家来とし、シュヴァリエの称号を与えた。
 実際それに見合うどころか、それ以上の実力の持ち主であった。
 そのきっかけは、イザベラが暗殺されかけた事件にある。
 気まぐれから遠出の旅行をしていたイザベラは、数人のメイジに急襲された。
 「簒奪者め、天誅!!」
 そんなことを口走っていたことから、おそらくオルレアン派の生き残りであったのだろう。
 日頃から人望のないイザベラは、あっという間に侍従たちに置いて行かれ、殺されかけた。
 しかし、そこを救ったのが使い魔である。
 メイジの魔法など苦にもせず、瞬く間に暗殺者たちを消し去ってしまった。
 殺したのでも、捕らえたのでもなく、文字通り消し去ったのだ。
 このことから、イザベラはすっかり使い魔に心酔してしまい、使い魔もそれに応える活躍ぶりを見せた。
 ある時は吸血鬼退治、ある時は翼人との交渉、ある時は怪物ミノタウロスを片づけてしまった。
 人間安心すると余裕が出るものらしく、プチ・トロワではほとんどぼ暴君だったイザベラは、段々と丸くなり、侍従たちも安心して仕事ができるようになっていった。
 しかし、時代のうねりは大きくなり、イザベラたちを飲みこもうとしていた!
 イザベラの父、ガリア国王ジョゼフの暴走により、ガリアは戦火にさらされ、それに伴ってオルレアン派が蜂起した。
 濁流のように動く時流の中、ジョゼフが命を落とし、イザベラの住むプチ・トロワも敵兵に囲まれてしまった。
 だが、イザベラを捕らえんとプチ・トロワを襲った者は、誰一人として帰ることはできなかった。
 そう! イザベラの使い魔に消されたのである。
 事態を察知し、ことが大きくなる前にイザベラを捕らえようと、オルレアン公の遺児シャルロットに忠誠を誓う騎士・カステルモールは数人の仲間と共にプチ・トロワに向かった。

 しかし、彼は自分の選択を永遠に悔やむことになる。

 「カステルモール!! この、蝙蝠野郎、さんざんあたしにおべっか使って、今度はシャルロットに忠義づらかい!?」
 イザベラは罵声をもってカステルモールたちを迎えた。
 「黙れ、無能姫! 全てはシャルロットさまのため、仮面をかぶっていたにすぎぬ!」
 カステルモールはわなわなと震えるイザベラをせせら笑った。
 そこへ、イザベラの使い魔が主人を守るように進み出てきた。
 その珍妙な姿に、騎士たちは思わずあっけにとられる。
 「お前らにも言い分はあるだろうが、私は騎士の位を受けた者としてイザベラ姫を守る義務がある。早々に立ち去るなら誰も犠牲にならずにすむぞ」
 カステルモールは、それに杖で答えようとしたが、呪文を唱え、杖を振る前に、使い魔の両手が利き腕と口を封じ込めていた。
 「お前らメイジの弱点はすでに研究済みだ。百人こようが千人こようが私の敵ではない」
 使い魔は瞳のない目でニヤッと笑うと、ちょうどスリッパか何かのような形状の自分の胴体へ、カステルモールを押し込んだ。
 そして自分の体についている突起をぐいと押す。
 とたんに使い魔の胴体の中を水が流れ、そればかりかカステルモールを吸い込んでしまった。
 いや、流し込んでしまった。
 その光景に、騎士たちは絶句するばかりだった。
 「あははははははは! いいよ、ベンキマン! そいつらみんな流しちまいな!」
 「了解した」
 ベンキマンはニャリと笑い、脅える騎士たちに近づいていった……。

 *キン肉マンより、ベンキマンを召喚



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