あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔法陣ゼロ-03


3 異世界 


 ルイズの部屋。
 テーブルをはさんで、ルイズとククリが座っている。
 ルイズはククリに聞きたい事が色々とあったので、授業はサボることにした。


「あんたは、貴族じゃないけど変な魔法が使える、でもサモンサーヴァントは知らない。
 エルフや吸血鬼じゃなさそうだし、一体何者なの? 親が元貴族ってこと?」
「ママもパパも貴族じゃないよ。ミグミグ族っていう、グルグルの魔法が使える民族なの。」
「さっきから言ってる、そのグルグルって何なのよ。そんな魔法は聞いた事ないし、先住魔法?」
「先住魔法ってなぁに?」
「そんなことも知らないの?先住魔法は、エルフや精霊などが使う魔法で、」


 その後小一時間ほど、ルイズによる先住魔法およびコモンマジック、さらに四系統の魔法に関する講義が行われた。


「契約の儀式では、『サモン・サーヴァント』で使い魔を召喚して、『コントラクト・サーヴァント』で契約を――」
「ふーん、そんな魔法があるんだ」

「水の魔法は秘薬を併用することで――」
「……こっくりこっくり」

「土の魔法による錬金は――」
「……zzz」


「わかった?」
「え? は、はい」
「それで、何の話だっけ? 
 えっと……そう、グルグル。
 グルグルって結局何なのよ?」
「グルグルは、闇の魔法の――あれ? 闇の魔法じゃないんだっけ?」
「いや、わたしに聞かれても」
「わかんなくなっちゃった。とにかく、よく『変な魔法』って言われるよ」
「ふーん……って、それじゃ何も分からないじゃない!」

 ルイズは呆れている。情報が増えていない。

「じゃあ、質問を変えるわ。グルグルは魔法陣でどうとか言ってたけど、ちゃんと説明しなさい」
「グルグルを使う時は、まず魔法陣を描くの。
 ふつうは杖で地面に描くんだけど、レベルが上がるとどこにでも描けるようになるわ。指で空中に描いたりとか。
 それから魔法陣を杖でトンってやると、いろんなものが出てきたり、魔法陣の中が変化したりするのよ」
「さっきの飛ぶやつの他にもあるわけ?」
「うん。さっきのは『ヨンヨン』っていうの。
 他にも、おっきな火が出てくる『とかげのしっぽ』とか、いろいろあるよ。
 でも、魔法によって描く魔法陣が決まってて、間違えると変なものが出てくるの」
「変なものって、ヨンヨンもかなり変だけど?」
「そうかしら? すっごくヘンなもの」
「あれが変じゃないって言うあんたがすっごくヘンって言うなんて、よっぽどの物なのね」

 ルイズは呆れつつも、ククリの話に惹かれていた。ちょっと楽しそうだ。

「わたしにもできるかしら?」
「ムリよ。グルグルは、ミグミグ族の子どもしかできないの。
 ミグミグ族はちょっとしかいなくって、今グルグルを使えるのはククリだけ」
「そう……。まあ、いいわ。わたしが使いたいのは……」

 ルイズの口が止まる。
 泳いだ目が、ニケを捉えた。

「そ、そしたら、次はあなた達のこと。あいつとは知り合い?」
「うん。ククリは、ニケくんと二人で旅をしててね、」

 ククリが、ニケとの旅の思い出の一部を語る。
 多少の美化を交えながら。


「ジミナ村でね、ニケくんがククリを――」
「そこの出身なのね」

「剣がビローンと――」
「ビローン?」

「溶岩の海の中で、火をつかんで、目から光線を出して、みつあみが超のびて――」
「えっと?」

「なべやき姫とアヒルマンが――」
「……」


~~~


 最初は旅の思い出だったのが、いつのまにか、のろけ話に突入していた。
 ルイズはぐったりしている。どこまで本当なのか判別できなかった。

「……と、とにかく、ずいぶんあちこち歩いたのね。(ニケの活躍の話になると急にウソ臭くなるのは気のせい?)
 でも、ジミナ村に、コーダイ国に、コパール――聞いたことない地名ばっかり。もしかして、ロバ・アル・カリイエの地名なのかしら?
 メイジじゃなくても貴族どころか王族にもなれる国なんて、想像できないわ」

 ルイズは魔法の実技に関しては壊滅的だが、座学には自信があった。
 もちろんハルケギニアの地理にも詳しいつもりだったが、都市どころか国名さえも、全く聞き覚えが無いものばかりだった。
 ククリがいた場所を探そうと、逆にハルケギニアの地図をルイズが描き説明する。だが、ククリが知っている地名が存在するはずもない。

「ぜんぶの大陸を通ったつもりだったんだけど、まだ知らない大陸があったのね。ここがハルキゲニア大陸? ロバ借りある家ってのも聞いたことないよ。
 そうだ、ニケくんを起こさなきゃ! ククリは世間知らずだから、ニケくんなら知ってるかも」

 ククリがニケを揺さぶり、起こす。
 目を覚ましたあと、ククリを見て若干挙動不審になったニケに、ルイズの魔法で遠く離れた場所に召喚されてしまったことを話した。


「契約は成功したんだから、あんたは私の使い魔よ。視覚の共有は……できないみたいだけど、秘薬を取ってきたり、わたしの身を守ったりはしてもらうわよ。
 この子の話だと、あんた結構強いみたいね。そうは見えないけど」
「やだよ、そんなの。オレは旅を続けたいんだ」
「そうよ、ニケくんとククリは旅を続けるって決めたの!」
「儀式は絶対なの、拒否はできないわよ。それに、もし使い魔がいなくなったりしたらわたしが留年しちゃうじゃない。
 左手にルーンがあるでしょう? それが契約の証よ。
 さっき言ったことができないなら、少なくとも雑用ぐらいはしなさい」
「ルーンってこれか? でもなあ……」

 ククリとの旅の楽しさを知ったニケには、ルイズの元で定住するなど考えられなかった。

「やっぱり使い魔なんかにはなれないよ。なあ、オレ達を元のところに返す魔法ってないのか?」
「ないわ。『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元に戻す呪文なんて存在しないのよ」
「マジかよ! じゃあ、せめてこの契約を解除してくれよ」
「それも無理よ。……まあ、方法がないわけじゃないけど」
「どうやるんだ?」
「使い魔が死ねば契約が解除されるわ。わたしも新しい使い魔を召喚できる」
「……とりあえず、ギップルを呼ぼうぜ。あいつなら帰り道が分かるかもしれない」
「そうね。ギップルちゃーん、出てきてーっ!」


 ……返事がない。


「肝心な時に役に立たないヤツだな。じゃあ――」

 ニケは窓を開けて身をのりだし、大きく息を吸う。
 そして、すでに暗くなった空を見上げて、思いっきり叫んだ。

「知らないことだらけの扉が開き、たちまちに吸い込まれた。
 鏡をくぐれば戸惑いだらけ、帰り道も消えてしまった。
 まだ見ぬ大地に胸がざわめく。見えない予感が膨らんでいく。
 キスに込められた不思議な気持ちを、オレはあの二つの月に捧げる!」



 ……



 …………



 …………へんじがない。



「何よそれ? クサい台詞ね」
「あれ? これだけやって出てこないなんて、おっかしいなあ」
「ちょっと待ってニケくん、二つの月って?」
「え? ――あれ!?」

 ニケは再び顔を空に向ける。ククリも窓に駆け寄り、空を見上げた。
 見たこともない、赤と青の月が輝いていた。

「月が二つある……?」
「そんな、まさか――!?」
「あんた達、何言ってんの?月が二つあるのは当たり前でしょ?」

 ニケとククリは気付いてしまった。ここは単に遠い大陸なだけではない、異世界だと。

「ルイズさん。あたしたち、ちがう世界に来ちゃったみたい。前は黄色い月が一つだったの」
「え? ちがう世界?」
「これだけやったのに、あのギップルが出てこないんだから、間違いない」
「ニケくん、どうしよう? 帰り方も分からないし」
「うーん……とりあえず、使い魔ってやつになっておくしかないんじゃないか?
 旅に出るにも、行くあてがないし」
「別の世界から来たってのは信じられないけど、とにかく使い魔になるのは認めたのね?」
「言っておくけど、一生こんなところにいるつもりはないぜ?
 帰り方が分かったら帰るからな」
「そんなの無いって言ってるでしょ! とにかく、今日は疲れたからもう寝るわ」

 ルイズはそう言うと、服を脱ぎだした。

「お、おぉ!」
「見ちゃダメ~っ!」

 突然の出来事に目を見開くニケの後頭部に、杖による会心の一撃が入った。
 ルイズはニケに向かって脱いだ服を投げ、ネグリジェを着る。

「朝になったら起こしなさい……それと顔を洗う水の用意も……
 ククリ、あんたはベッドに入ってもいいわよ……」

 そう言いながらベッドに入ったルイズは、すぐに寝息をたてた。ククリはルイズに従い、ベッドの空いた場所に入る。

(もし「お姉ちゃん」がいたら、こんな感じなのかな?)


~~~


 そのころ、ククリたちが行方不明になったとの知らせを受けて、闇魔法結社は大騒ぎになっていた。
 天界や魔界にも彼らの気配は無く、ギリが復活しククリ達を襲ったのではないかという憶測も、真実味を帯びていた。
 新たな魔王が、それもギリよりも強力な魔王が誕生したのだろうと考え、悲嘆に暮れる者もいた。
 しかしそんな中で、ギップルは彼らの生存を確信していた。

 総裁の部屋にギップルが出現し、報告する。

「さ、さきほど、勇者さんが何かクサイことを言ったような気がしましたっ! 発言内容は分かりませんが、間違い無く勇者さんです。
 単に遠いだけではなく、どうやら別の次元というか、違う世界というか、そんな感覚でした」
「でかしたぞギップル! では、プードル3号の勇者探知器を使うのじゃ!
 おぬしの能力と組み合わせれば、勇者とククリ様の居場所が分かるかもしれん!」

 総裁の命により、プードル3号にギップルを接続するための改造が始まった。少し前までは諸事情により指示しかできなかったが、今回は総裁も積極的に手を出している。
 その夜、闇魔法結社の明かりが消えることはなかった。



新着情報

取得中です。