あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔オーフェン-6-2

入ってみると息苦しい、見た目からしてそんなに広くはないと思ってはいたものの、
武器が所狭しと並べられている為に、普通以上に狭く感じるのだろう。
換気もあまりよくない、幸いなのは商品の一つ一つはきちんと手入れされているようではあったことだけだ。
「さぁ、好きなの選んでい~わよ」
「・・・んじゃ、お言葉に甘えて」
(どちらにせよ、武器は必要だ 魔術だけじゃ如何ともし難い状況というものは必ずあるからな)

「貴族のお客様にお売りするもんはそちらにはありませんよ」
いつの間にかカウンターに立っている店主のような風貌の男が口を開いた。
「使うのは俺だ」
「はぁ・・・そうでございますか」
「ふ~ん、ついでだから貴族用ってのも持ってきてよ」
「おいおい、貴族用ってのは恐らくだが高いんだろ?そんな高価なもんはいらんぞ」
「そんなの気にしなくていいのに」
「そもそも高いから良質とは限らん、自分にとって使いやすいものをだな・・」
「それに見るだけならタダだしさ」
「まぁそれは・・・そうだがな」

(やっぱり携帯性に優れてるのはナイフだな・・・投げる事も可能だし利便性が高い
 剣や槍は持ち歩くのもダルいし、なにより邪魔だ)
「オーフェン、こっちきなよ」
いつの間にやら店主が出してきた武器をキュルケとタバサが物色していた。
(とりあえず見るだけ見てみるか)

剣だった 各所に装飾の施されたそれは、明らかに実戦向きには見えない。
「これは・・・使い物にならんだろう、常識的に考えて」
店主はその言葉を聞き慌てて注釈をし始めた。
「ちょっと旦那、これは歴とした業物ですぜ、かのゲルマニアのある刀匠が・・」
「薀蓄はどうでもいい、大体そんなの言われても知らんし、そもそも俺は剣を使う気はない」
店主は苦い顔していた、これ以上説得しても無駄だと悟ったのだろう。
「ホントにいいの?」
「あぁ、とりあえずこの短剣を・・」


「あっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

その声は、ただでさえ狭い店中に大いに響き渡った。
「あ・・・」と、これはオーフェン
「げ・・・」と、これはキュルケ
「・・・」そしてタバサ
「?」ついでに店主
三者三様ならぬ四者四様のリアクションと同時に、入り口に立つ声の主を見ていた。

「か・・・勝手にどっかに行って・・・迷子だと思って探し回って・・・」
肩がプルプルと震えているのが遠目でも見て取れた。
「ようやく見つけたと思ったら・・・」
なんとなくやばい雰囲気を感じ取ったタバサは一人耳を塞いでいた。
「よりによってキュルケなんかと一緒にいるなんて・・・」
「お・・・おい・・・」
なんとか宥めようとするが言葉が出てこない。
「この・・・この・・・バカ犬ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
耳をつんざく叫びが店内を駆け巡る
なるほど、魔術に必要な要素の一つ、声量については申し分ない。

「っ痛・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
ルイズは肩で息をしている、キュルケも自分同様今更ながら本能的に耳を抑え、タバサは涼しい顔をしていた。
次に口を開いたのはキュルケであった。
「まったく、うるさい主さまだこと、私がどこの誰と買い物してようと自由でしょ」
「なっ・・・」
ルイズは引きつった声をあげる 頼むからこれ以上刺激するな。
「だだ・・・大体、いつの間にキュルケやタバサと仲良くなってんのよっ!」
「それは話すとちょいとばかし長くなるんだが・・」
「昨夜、涅槃を共にしたのよ♥」
オーフェンを遮りキュルケはその言葉を口にした。

「んがっ・・・」
「んなななっ・・・」
「てめ・・キュルケ、これ以上余計なこと・・」
「不潔よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
またもオーフェンの言葉は遮られる。
「ぐぅ・・・落ち着けルイズ! 少しは冷静になってだな・・・」
「アンタのことちょっとだけだけど信頼してたのに!
 使い魔のくせに主を裏切ってキュルケなんかに発情して!」
「だから違うっての!」
キュルケは隣りで声を押し殺し笑っている。

「た・・・タバサ、助けてくれ!」
ギロっとルイズはタバサを睨む。
「昨夜・・・外で会った」
「そうそう」
「少し話しをしてフレイムに連れてかれた」
「って、おい~~~!」
(確かにその通りではあるが、この状況でフォローくらいッッッ!!!)
アイコンタクトをするが通じない、そして時既に遅し。
「それで~私の部屋にきて~熱~い夜を・・」
「~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!」
ルイズの顔が紅潮していく、無論怒りで。
「だぁあああああああああああああああああ」
一体どのくらいの時間が経ったのだろう。
キュルケに事実を証言させ、怒り心頭のルイズを説き伏せるのに。

「つまりオーフェン、アンタは食い物に釣られたわけね」
「まぁ・・・そういうことになる」
「まったく、ルイズはお子ちゃまね 不潔どころかとっても高尚なことなのに」
「なっ・・・ッッッ!!!」
「あーもう、これ以上言い争いはやめにしろって」
「はいはい」
本当にわかったのか、それともわかってないのか、
キュルケはルイズをおちょくりたいだけなのかもしれない。

「とりあえず!アンタは私の使い魔!!キュルケなんかの施しを受けるいわれはないわ!!!」
「私は好きな人に振り向いてもらう為にプレゼントしようってだけよ、それがいけないこと?」
「必要ない!主人である私がいらないって言ってるの!!」
「あなたの使い魔といえどオーフェンは人間よ、人間らしくあるべきじゃない?」
「こ・・・こんな誰彼構わず発情するようなバカ犬を人間扱いする必要ないわ!」
「ちょっと待て、誰がいつ発情した!?」
「してるじゃない!今!!!」
「だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁああ」

「さっきからぎゃーぎゃーうるせー娘っ子だな」

「なっ・・・誰よ!」
ルイズは店主を睨む、心身疲れ切った表情だった店主は必死に首を振る。
「違うわよルイズ、声は向こうからしたもの」
「くぐもった変な声だったな」
スッっとタバサが入り口脇を指差した 全員の視線がそこに集まる。

「人が寝てりゃぁぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー」

「剣が・・・喋ってる?」
「インテリジェンスソードね」
「なんだそりゃ?」
「知性のある剣って言えばわかる?」
「そもそも武器に知性ってのが聞いたことない、ここではそれが普通なのか」
「まぁあまり多くはないけどね」
「そういえば・・・」
「なになに?」
「喋る紙なら見たことあるな」
「喋る紙?」
「まぁ紐やら糸やら爪楊枝やら折れたマッチやら・・・でもあるな」
「ごめん、意味わかんない」
「わかられても困る」

「この駄剣!」
「なんだと小娘!」
ルイズと件のインテリジェンスソードはあーだこーだ言い争いをしている。
「よし、あれいくらだ?」
店主はきょとんとした顔をしていた。
「あんな剣うっさいだけだと思うけど」
「俺はこう見えて日曜大工が趣味なんだ」
「ほほ~う」
「あれを見ていたら無能部下自動罵声浴びせ機ボンバー君九号というアイデアが・・・」
「無能・・部下?」
「こっちの話だ」
キョトンとしているキュルケを尻目に郷愁に浸る、とそこでルイズが戻ってきた

「はぁ・・・はぁ・・け・剣なんかと言い争いしてもしょうがないわ」
「あら、お似合いだったわよ」
もはや喋る気力も果てたのか、ルイズはキュルケを睨みつけるだけだった。
キュルケはキュルケで、「こわいこわい」と軽口を叩いている。

「ルイズ、武器買ってくれるんだろ?」
「へっ?あ・・・うん」
どうやら先程のキュルケ達との一件は忘れているようである。
「あそこに置いてある短剣と」
カウンターを指差し口にする、オーフェンはそのまま入り口脇へ歩いていった
「これを頼む」
そう言いながらインテリジェンスソードを持つ
「は?」
ルイズとインテリジェンスソードの声が被った
「そそそ、そんな剣お断りよ!」
「じゃぁ私が買ってあげるわよ」
と、キュルケ。
「なっ・・・アンタの施しは受けないわ!」
「だって~、ルイズはオーフェンが頼んでるのに買ってあげないんでしょ」
「そ・・それは・・・」
「おい、目つきの悪い兄ちゃん」
「一言余計だ」
「俺ァデルフリンガーってんだ、アンタになら使われてやってもいいぜ」
「使い手を選ぶ武器・・・か、本来ならそんなもんお断りだがな」

ルイズは葛藤していた、が決心がついたようである
(キュルケは私が買わなければどう言ったってオーフェンにプレゼントする・・・、
 どちらにしてもあの剣がオーフェンのになるのなら、キュルケなんかに施しを受ける謂れはないわ)
「し・・・仕方ないわね、買ってあげるわよ」
「すまねぇな」
(尤も、武器として使うつもりは殆どないが・・・)


事が一通り収束し店主はやつれた顔だったものの、そこは商売人の性なのかアフターケアの案内まできっちりしてくれた。
(俺だったら二度と来て欲しくないけどな)


4人並んで街を歩く、ルイズとキュルケに挟まれ空気が重い。
「ところで、少しは荷物持ってくれないか?」
「アンタが使い魔なんだからアンタが持ちなさいよ」
服屋から一時的に預かっていてもらった荷物、かなりの量がある。
「大体魔法で持ち上げれば済むんじゃないか?そういうのも出来るんだろ」
「ぬぐ・・・」
「どうした?」
横でキュルケはニヤニヤと笑っている。タバサは我関せずといった表情であった。
「そうね~、これくらいできるわよね~『ゼロ』のルイズちゃん」
ルイズは苦虫を噛み潰したかのような顔で唸っている。
「オーフェン!アンタも魔術士なんだから自分でやりなさいよ」
「いや、俺の魔術は声を媒体にするから持続時間は基本的に短いんだ、
 声が霧散したら終わりだからな」
「うう・・や・・・やればいいんでしょ!!!」
と言うとルイズは詠唱を始めた、後、黄昏時の街中に爆発音に似た轟音が響き渡った。
「だァーはっはっはっは」
デルフリンガーが笑い声を上げている。
「お前ら・・・二人ともちゃっかり逃げてやがって・・・」
「あはは、ごめんごめん」
「ごめんなさい」
デルフとキュルケは笑い、ルイズは落ち込み、タバサはいつものことといった感じである。
「なるほど『ゼロ』のルイズ・・・か、言いえて妙だな」

「う"う"・・・どうせ私なんて・・・」
「そう卑屈になるな」
「へっ?」
「どんな奴にも得手不得手ってのはあるもんだ、努力してればいずれ報われる日もくるさ」
ルイズの顔がパァッっと明るくなる。一方キュルケは憮然とした表情になった。
「オーフェン、アンタなかなかいいこと言うわね」
「ええー、ルイズじゃ無理でしょう」
「そうとも限らんさ、基礎が不得意で応用が得意って奴も中にはいるしな、
 それに天才ってのは意外となにか欠落していたりもする」
オーフェンは自分の師を思い出す、天才といえば彼であり彼といえば天才であった。
優秀揃いな牙の塔の教師の中でもさらに別格、隙がなく思考が読み取りづらく無愛想だったが紛れもなく天才だった。

「そうよね、私もまだまだこれからよね」
「まっ、落ちこぼれはなにをやっても落ちこぼれだったりするが」
オーフェンはとある無能警官を思い出す、無能といえば彼女であり彼女といえば無能であった。
優秀とは言いがたい派遣警官の中でもさらに別格、常に隙だらけでまともなこと考えず他人の迷惑を顧みないまさに無能だった。

「? なにをうずくまってるんだルイズ」
「うぅ・・・アンタってひどい奴ね」
「まぁ相手が至福の絶頂に達した瞬間、容赦なく致命的な一撃を叩きつけるのは快感だからな」
キュルケは大いに笑っていた。一方、ルイズの肩がプルプルと震えている。
「ふ・・・ふふ・・もう一発喰らいたいようね」

「いやいや待て、冗談だ それにまた使い物にならなくなる服が増えるぞ」
先程の爆発で既に原型を保ってるのは半分程度になっていた。
「それに俺の見たところ、お前は才能があるタイプと見た」
「・・ホント?」
「あぁ、きっと切り倒された老木の年輪を数える才能とかがあると思うぞ」
本日二度目の爆発音が響き渡った。


「一緒にシルフィードに乗ってけばいいのに」
「まぁ一応ルイズの使い魔なんでな、それに空を飛行して移動なんて怖い」
「あらら、意外と臆病なんだ」
「己の力で御せないものってのは怖いものさ、どんなものでも・・・な」
「シルフィードは大丈夫」
タバサはしっかりとした瞳で見つめながら言った。
「別にタバサやシルフィード信用してないわけじゃないさ、
 それに機会があったら乗せてもらうつもりだ、ただ今は・・・」
「乗ればいいじゃない!私は一人で帰るから構わないわよ!!!」
憤慨し半ばやけくそ気味に叫ぶルイズ。
「あんなだからな、暴走して馬が転倒して怪我でもされた日には寝覚めが悪くなる」
「はいはい、それじゃ行きましょうかタバサ」
コクとタバサは頷く。
「それじゃ頑張ってご機嫌取りしてちょ~だいね、あっ夜になったら私の部屋にきてもいいわよ♥」
「・・気が向いたらな」
てきとーに返事をする。二人を乗せたシルフィードは瞬く間に上空へと昇り視界から離れていく。

「さてと、帰るか」
二度の爆発で残り少なくなった服とデルフリンガーを積む。
「・・・別に一人でも帰れるもん」
「まぁそう言うな」
「ひゃっ」
ヒョイとルイズをいわゆるお姫様抱っこで持ち上げ馬に乗せる。
「おかしな声を出すな」
そう言いつつ、次いでオーフェンも馬に乗った。
「いいい・・・いきなり持ち上げるからびっくりしただけよ!」
心なしか顔が紅いルイズ。
「がはは、天然か?わざとか?いずれにせよ隅に置けんなぁ」
横に積んでいるデルフリンガーが口を開いた
「なっ・・・」
「いきなり喋るなビビる、それに俺はガキには興味ない」
「ガっ・・・レディに向かってガキとはなによガキとは!」

      フェミニスト
「俺は性差廃絶主義者だ、レディだろうがなんだろうがガキはガキだ」
「今度のガンダールヴは容赦がないねェ」
「ガンダールヴ?」
二人して首を傾げる。
「オーフェン、お前さんの左手にあるルーンのことさ」
言われて左手を見る、読めない。と、ルイズが左手を覗き込む。
「確かに書いてあるけど・・・どういう意味?」
「俺が使われてやるのはガンダールヴだけだ」
「それだけじゃ意味がわからないわよ」
「詳しくは自分で調べな、俺ァ誰かさんに眠りの邪魔をされたからそろそろ寝る」
「無責任な・・・」
「俺を使う時になったら起こしてくれや、オーフェン」
そう言ってデルフリンガーは黙ってしまった。
「一体なんなのよ」
「さぁな、俺に聞かれても」
ルイズはしばし考え込んでいる。
「なぁ、召喚とかそういうの詳しい教師っているか?」
「え?・・・う~ん、わからない・・けど、ミスター・コルベールなら詳しいかも」
「そうか」
「聞きにいくつもり?」
「あぁ、自分で調べてもいいがやはり聞いた方が早いだろう」
「でも、私授業あるし・・・」
「別に一人で十分さ」
「そ・・・そう・・」

ルイズはそれっきり喋らなかった。日没も近かったので馬を飛ばし学院へと向かう。
こうして虚無の曜日の波乱な一日は終わりを告げた。

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