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ランス外伝~ゼロと鬼畜な使い魔~-12



そんなわけでもう日が落ちて夜になっていた。
ヴァリエール家では負けた事を悟った公爵が帰ってきており。
敗戦で落ち延びた姫とマザリーニと会談している。

「なるほど…一時的にここを国とす…というわけですか。」
「はい、本当に一時期のみ、レコン・キスタを追い払う為なの。」

姫が撤退し、軍もいない国は直ぐに占領された。
姫がヴァリエール領内にいるという噂は直ぐに流され国民が1人、また1人と入ってきている。
占領軍に捕まれば何をされるか分からないのである。

「我がヴァリエール家は王家の血族、断る理由がありませぬ。」
「そうですか、国を代表して感謝します。」
「姫から感謝されるとは望外の極みですな。」

アルビオンから一番離れている領であるヴァリエール領は、占領軍が来るまで後1日掛かる。
マザリーニがその1日で国を奪還すると言うのだ。
にわかには信じがたい。

「で、マザリーニ枢機卿にはどのような策略がおありで?」
「もちろん、それなりの勝算がある策略です。ですが…裏切り者がいない事も想像し難い…ですからこの場では秘密です。」
「確かに…、それとこの屋敷には客室用の部屋以外にも沢山の部屋があります、活用してくだされ。」

マザリーニは頷くと、食堂から出て行った。
急に姫とマザリーニ枢機卿が来た為、冷静に話し合いが出来る広い場が食堂しかなかったのだ。
一時的とはいえ、本当にヴァリエール家がお城になった。

「姫様…。」
「大丈夫ですよ、ルイズ。枢機卿ならなんとかしてくれます。」
「…はい、それと聞きたい事が2・3あります。」
「…なんでしょう。」
「ワルド様は…。」
「……裏切り者でした…、私の首に杖を向けて…貴方の使い魔さん…いいえ、ランスさんが助けてくれたのです。」
「ランスが?」
「えぇ、何やら不思議な術とでも言うのでしょうか…それをワルドに当てて…それからランスさんがワルドを…。」
「そう…ですか。……で、そのランスと謙信は?」

姫が気まずそうに俯く、そしてその口から出たのは悲しい知らせであった。

「……隊の…しんがりを勤めて…。」
「え…?」
「自ら…とても勇敢でした…。」

ルイズが落胆する、やっとの苦労で呼び出した使い魔、憎たらしいけど結構頼りにはなった使い魔。
その使い魔が…と肩を落とす。
無理も無かった、しんがりを勤めるという事は、99%死ぬという事なのだから。
その言葉にもう1人が反応した。

「…ランス様が…?」
「えぇ…。」

シィルにとっては半信半疑だった、ランスがそんな事で死ぬような人ではないのだから。


マザリーニが自分に与えられた部屋の椅子に座り考える。
まず、ここでする事、民を落ち着かせること。
逃げ場が無く辛うじて生き残った諸侯軍の中にいる傭兵達を引き離さないようにする事。
後5時間で仕上げなければならない、そう明日の早朝には城を取り返しにいかなけえればならないのだ。
失敗したら次は無い、正に崖っぷち。

「傭兵達がレコン・キスタに入ってしまっては不味いのだ…さて、どうする。」

一つの案が出ては、それを破棄、また一つ、それも破棄…という状態が続く。

「やはり…金が一番か。」

そう、傭兵は金が1番命が2番。
いたってシンプルだが、結局この案を入れた、後はレコン・キスタは~~で始まる文を添えれば良い。
民を落ち着かせる事は姫に出てもらえばいい。
あと、民からも戦線に協力する物をつのれば…。
幸い逃げてきた人達も数は多い。
今諸侯軍と王軍+傭兵で数は2700、一応この数なら作戦は巧くいく。
今は一兵たりとも相手の陣列に加えてはならないのである。
考えがまとまると、枢機卿は席を立ちこの小さな城からでた。



「ようやく屋敷が見えてきたな。」
「えぇ、本当異常な領土してるわ。」

最初は速度の出ていたゴーレムだが、段々速度が落ちる。

「まずいわ…精神力が切れてきた。」
「む。」

ゴーレムが手を地面につけて、フーケが降りる。
すると、ゴーレムが土砂と化す。

「まぁ、こっから歩きならなんとかなるだろう。」

と言って歩き出そうとしたが、フーケがへたれこむ。

「疲れたからもう立てないわ、おんぶして。」
「む、分かった。」

確かに疲れてはいるが、フーケはそんな貧弱な体はしていない。
むしろ、平均女性よりもっと丈夫である、つまり、ランスにおんぶしてもらいたかっただけなのだ。
23歳の女性が22歳の男性におんぶしてもらうという行為…。

「んふふ~。」

フーケがそういいながら謙信を見る、だが謙信はまったくきにしてない。
反応を見て楽しもうとか思ったのに、これではつまらない。
その後も、色々な事を考えて実行するも、謙信は全然気にしていなかった。



「ランス達…本当に、死んじゃったのかしら。」
「いいえ、ランス様は死んでませんよ。」

ここはルイズの部屋、姫との話を済ませて、部屋に戻って落ち込んでいたのである。

「何で分かるの?」
「ランス様だからです。」
「…確かに…確かにそうよね、ランスだもんね、死ぬわけ無いわよね。」

ルイズはそうやって心に言い聞かせた、本当は死んでる…と心の奥ではいっている、だが、生きてると思い込まなければ。
諦めなのだ、諦め…ルイズが一番嫌いな事である。

「そう…絶対生きてるわ、死んでたら天国から連れ戻してやる。」
「んな無茶な…。」
「あぁ?なんか言った?」
「…いえ、にしてもルイズさん…やさしいんですね。」
「私は常に優しいわよ。」
「…。」



その頃アンリエッタは悩んでいた。
友の使い魔を、見殺しにした事を
自分は止める事も出来た…そう、止める事が出来たのだ。

「私は…可哀想な姫ではなく…ただ、ただ単に愚か者です…。」

考えて見れば、一番可哀想なのはマザリーニ枢機卿なのだ。
トリステインの政治の殆どを担わされ、40の齢とは思えないような容姿。
やりたい事なんて既にないのだろう、もう体が疲れているのだ。
だが、彼ほどの激務を担う気のある者なんて貴族の中にはいない。
正にトリステインの土台とも言っていいのに、国民は鳥の骨、国をのっとろうとした…。
こんな事を言って、マザリーニ枢機卿を愚弄する。
しかし、マザリーニ枢機卿は気にもしない、もう慣れているのだろう。
でも、私は姫、国民には人気があるほう…もちろん若輩と言う人もいる…。
けど彼の苦労よりは10倍…いや100倍楽な方である。
しかも、友を戦地に捨てるような行為…。
自国が最悪の危機に陥った時に気づく自身の鈍さ。
全てがいやになった…少しでも良い報告を聞いて気を紛らわせたい…と思ったときにヴァリエール領の兵士が飛んでくる。
あぁ、また嫌な知らせか…と、話を聞いていると。

「殿下!領内にて、怪しい者を3人発見その内1人は土くれのフーケです、現在捕縛しております。」
「そう…。」
「それで…少しおかしな事を言ってたのです。」
「なんと?」
「俺様はルイズの使い魔だー…と。」

その言葉を聴いて、耳を疑いたくなる。
だが、これは間違いなく良い事だ。
友の使い魔が無事だったのだ。

「すぐにその3人に会わせて下さい!!」
「は…はぁ。了解しました。」

そして兵が姫を誘導する、そして兵が着きましたといった場所に。
ぎゃーぎゃーと喚いている人1人とそれを宥めるフーケと静かな謙信がいた。

「おぉ、なんという事でしょう。」
「おー、アンリエッタちゃん。」
「なっ、貴様姫様を――。」
「良いのです彼等は英雄なのですから。」
「?」
「縄を解きなさい。」
「りょ、了解しました。ところで、フーケの縄は…。」
「フーケちゃんは俺等の仲間になったから解いても問題ないぞ、安心しろ。」
「ランスさんがそういうなら…。」

と、兵士が全員の縄を解く。
ランスが腕を適当に慣らし、姫と話す。

「いやー、酷い目にあったぞ。」
「どうやって逃げてきたんですか?」
「普通に。」
「普通に?」
「いやー、凄かったぜ敵の軍勢をたった2人で翻弄してるんだからよ、この戦いはこのデルフ様6000年生きて初めてだったな。」
「あら、インテリジェンスソードですね?この剣で?」
「…デルフは腰にさしてただけだ。」
「まぁ俺もこんな格好じゃなかったら使われてたんだろうけどさ。」
「で、適当にしんがりをつとめて逃げたらフーケに襲われた訳よ。」
「まぁ、土くれのフーケに…では何故フーケがここに?」

インテリジェンスソードと離す姫、とても滑稽だった。

「その後によ、フーケのゴーレムを崩して、ランスが自分の物にしたって訳だ、でその後にフーケのゴーレムでここまで来たって訳だ。」
「で、物は頼みなんだが、フーケちゃんを貴族にもどせるか?」

姫がその言葉に悩む。
今まで多くの罪を被ってきた者である。
で、今英雄がその罪多き者を貴族にもどしてやれと言う。それを許すとなると、多くの反感を買う。
そこで一つ提案をする。

「なら…トリステインの国を取り返してくれたら、名前を変えるという手段で貴族に戻しましょう。」
「む…一度犯らせてくれた女の願いは極力叶えてやるのが俺様の信念…。こうなったら犯ってやるぜ!」
「頼もしいお言葉です。」
「相棒。」
「…?」
「俺、お前に振り回されたい。」


剣としての意地なんだろうか、やはりこれほど強い剣豪には一度は使われてみたいという欲があるのだろうか。

「…考えては見る。」
「いやー俺の昔の姿はすげーよ、ぴっかぴか、まじで。」
「…そうか。」
「ん…ぴっかぴか…。……あれ、ぁーそうか。」

その単語にデルフはつっかかった。

「どうした?」
「俺をちょっと握ってくれ。」

その言葉に謙信がデルフを握ると、デルフがいきなり光りだした。
…そして、光が収まると、そこには磨かれたばかりかと思うほど綺麗な剣があった。

「いやー、やっぱ良く喋ると頭回るわ、ずっと鞘とか入れられてて考えるより寝てる方が多かったからよ、まーた思い出してきた。」
「で、今度は何思い出した。所で頭どこだ。」
「んー、柄じゃねぇかね、そう俺ねもう剣として生きるのがだるくなって錆び錆びの姿になったのよ。」
「ふーん、いつでも自分を磨けるのか、便利だな。」
「まぁ、そういうこったね、それと俺にゃ魔法を吸収する能力があるんだぜ、姫さんよ、なんか攻撃系でいいからぶつけてみな。」
「…良いのですか?」
「あぁ、どんどん来い!相棒は構えてくれ。」

そういわれて謙信が構える、アンリエッタが短い呪文を詠唱して、軽い攻撃系の魔法を出す。
水が一直線に謙信へ向かう、とても弱弱しく見えるが水の呪文自体攻撃系の魔法が少ないのだ。
水がデルフにぶち当たり、どんどん吸収していく。

「おー、よし売ろう。」
「ちょ、酷い。魔法吸い込むんだぜ?すごいぜ?」
「いや、魔法なんて謙信ちゃん受けないだろ。」
「いやいやいやーあたるかもしれんよ?保険でもっとこうや。」
「それより売った方が金になる、こんだけぴかぴかだしな。」
「相棒!相棒からもなんかいってくれよ!」
「ランス殿が言うなら…。」
「おぉおーい、そっちもランスか、ちくしょう…。」
「…でも、面白いから持っておく。」
「…む、謙信ちゃんがそういうなら仕方ないな。」
「おー相棒使ってくれるか?」
「…考えておく。」
「ちょおぉい。」

確かにデルフは便利なんだが、現状は慣れてる日本刀の方が使いやすいのだ。
謙信は守る戦はしない、ひたすら突撃のみ、だから慣れてる武器でないと手元が狂う事もある。
とはいえ、謙信は慣れてない武器でも十分強いが…。

「ふふ…面白いですね。」
「…ずっとこんなじめっとした所いたくないんだがねぇ。」
「あ、そうでしたね、こっちへ…。」

フーケにそういわれて環境に気づく、この部屋は特に使っていない地下牢じめじめして仕方ないのだ。
姫がランス一行を連れて、主人の元。そうルイズの元へ行く。
姫がドアをノックする。

「はい。」

中からはルイズが出てきた、ここはルイズの部屋だからそれ以外の人が出るのはおかしいのだが…。
そのルイズがランス達を見て目を見開く。

「あんたたち生きてたのね!」
「ランス様、おかえりなさい。」
「おぅ、シィル、ルイズちゃ…ぁ。」
「いいわ、なんて言ってくれてもかまわないわ。」
「うむ、じゃあルイズちゃん、ただいま。」
「…ただいま。」

姫がその感動の再開を目の辺りにして、微笑む。
その感動の再開をデルフが剣の如くぶった切る、まぁ剣なのだが。

「ルイズよぉ、重大な話があるんだが。」
「ふぇ?」
「あぁ、姫様も聞いて欲しい。」
「何でしょう。」
「その前に扉閉めてな。」



そして、姫がもしもの事を考えて…とディテクトマジックをかける。
掛けた後に扉を閉じ、全員がデルフに注目する。

「さっきな、この姿に変わった時にもう一つ重大な事思い出したんよ。」
「うん、何を思い出したの。」
「お前よ、全部の魔法が爆発するんだろ?」
「……えぇ、それがどうかした?」
「何でかわからねぇだろ。」
「…えぇ、どの系統にも属さない爆発の仕方だもん。」

どのメイジもただの失敗と言ってわらうが、その理由を知ってる者はゼロだった。
ただ、その魔法ができなかったんなら失敗…と、そこで考える事をしていないのだ。

「それよ…虚無の術なんだよ…確か…エクス…エクスなんだっけな。」
「虚無? …あれは御伽噺では…。」
「いんや、虚無は本当にある、ルイズがそうじゃないか、あっそうだ始祖の祈祷書持ってるかね。」
「…あるわよ…、えっと…ここらへんに…あった。」
「おう、それを持ってこっち来い。」
「でも、これ真っ白よ?贋作じゃないの?」
「いんや、そうだな、姫さんよその指に掛けてる指輪、水のルビーか?」
「…これですか?その通りですよ。」
「それを、ルイズに貸してやってはくれんかね。」
「えぇ、別にいいですよ。」

そういってアンリエッタがルイズに指輪をはめる。
お似合いよ。とアンリエッタに言われ、ルイズの頬が、少し染まる。
そして、何か本に変化が現れる、文字が浮かび上がってきたのだ。

「おー、やっぱ必要な時だったか、まぁ王家が倒れそうなんだから当たり前だよな。」
「どういう事?」
「それが本当の始祖の祈祷書なんだよ。」
「…という事は…私が虚無の担い手なの?それ本当?」
「本当だってば、それが光るって事と、使い魔がガンダールヴ。虚無じゃなかったらこれらの説明がつかねぇよ。」
「…ルイズ、すごいわルイズ!!」
「姫様!私虚無の担い手なんですって!」
「えぇ!えぇ素晴らしいわ!」
「大きい声はやめとけ、ばれる。」

ランスにそういわれて気づく。

「…すいません。」

突然、ドアがノックされる。
ルイズがまた出ると、そこには枢機卿がいた。

「…姫、やはりここでしたか…むっ何故土くれのフーケがそこに。」
「ランスさんが倒して、仲間にしたそうです、で帰りを手伝ったとか…。」
「ランス…む、お主生きて帰ってきていたのか、正に奇跡…。」
「俺様はあんな数じゃ死なん。」
「なんと頼もしい事よ、お主らがいるなら100人力以上だ。」
「がはは、期待しろ。」
「…土くれのフーケ…貴様本当に…。」
「別に私はただの元盗人さ、アルビオン派でもレコン・キスタ派でもない、条件があるだけさ、トリステイン王国を救ったら
 私を貴族にもどして欲しい、それだけさ。」

確かにフーケは貴族を恨んでいるが、盗人もばれて金を稼ぐ事が出来ないんなら仕送りが出来ない。だから、地盤を固めたいだけなのだ。


「む…分かった、貢献したらだぞ。」
「あぁ、一番に貢献してやろうじゃないさ。」
「で、マザリーニ話とは?」
「後3時間後、早朝に奪還しますぞ、その作戦を伝えに来ました。」
「話してみなさい。」
「はい…まず庶民に参戦を頼んだら老若男女合わせ約7000の人が集まりました。」
「7000ですか…まぁ国の非常事態でここで奪還できなかったら何をされるか分からない…貴族も年金がもらえなくなりますからね…。」
「私も予想外の数でありました今領内にて訓練をつませております、で、作戦なのですが。まず艦隊は風石の問題で飛んで
 ないでしょう、ですからそこを突きます、約半分の兵を残存の竜騎士部隊を先行させ城に突破し、城制圧後各砦、街を開放します。」


そう、砦というのは外部の敵から守るというものであり、まさか守るべき対象からの攻撃も想定して作られているわけではない。

「そして、偵察によりますと城の近辺にあのレキシントン号があるんだそうです、この船を残りの部隊で叩かせましょう。」
「なるほど…大胆でありながら繊細。そしてレキシントン号さえ取ってしまえば空の脅威は全て丸のみ…さすが枢機卿。」
「誉めても何も出ませんぞ、ランス殿と謙信殿には城の制圧を頼みたい。」
「おう、分かった。」
「そして、この作戦の優位性を説明しますと、まず早朝の奇襲
 この時間帯は人が寝る時間しかも相手はずっと戦闘をつづけて疲弊している兵の集まり。」
「…なるほど。」
「しかも竜騎士の高機動性に合わせて人がついて行く為、…まぁある程度遅くはしますが、最速での移動。
 歩兵の安全性を確保できます。」
「おぉ、それで。」
「城は私達が篭らなかった為、砲撃はされませんでした、故にここさえ取れば私達の勝ちなのです。」
「なるほど、流石です。」
「もちろん…姫様にも参加してもらいます。」
「でないと国民の士気で差が出るのでしょう?」
「えぇ…その通り、申し訳ない…。」
「マザリーニ枢機卿は悪くありません、レコン・キスタが悪いのです。」

ルイズはそんな会話を聞いていると、自分だけ必要が無いのでは…と不安になっていた。

「その…私も、私も参加していいですか!」
「ルイズ…貴方は出なくてもよいのですよ?」
「姫が参加するのに私が参加しないなんてヴァリエール家の名が廃ります!!」
「そう…まずヴァリエール公爵に問わないと…。」

姫がそういうと、ルイズは早速姫の手を取り公爵の下へ。
その姿を見て枢機卿が微笑む。

「…若いと言うのはいい、活気がある…あの姫とルイズ殿なら…この国を導けるかもしれん。」
「爺いくつなんだ。」
「私かね…、私は40の齢を重ねておるな…。」

マザリーニが自分の細ばった指をみてため息をつく。

「全然見えんな。」
「だろうな…、自分でも見えないさ…。」
「何でそんなに年老いているのだ?」
「…仕事の辛さだろう。」
「ほー…。」
「…だが、私はその激務を嫌ってはおらんよ、むしろ好いておる…何しろ、それ以外やる事がないからな。」
「変わった奴だ。」
「そうかもしれんな、何故か知らんがランスと言ったかな?君とはとても話しやすい。」
「さぁな、自分は男となんて話したくは無いがな、多分だが、性格が真逆だからじゃないのか?」

マザリーニ枢機卿が座っていた椅子から立ち上がり、笑う。

「そうかも知れんな、私にはもう活力が無い、君ほどに行動力と力がある君には…王になる席が唯一相応しいかもしれん。」
「王なんて席は縛られるだけだろ、そんなのごめんだ。」
「そうだな、全く持ってその通り、では私には軍の管理の仕事が残っておるのでな、機会があったら…。」
「おう、もう話したくないけどな。」
「ふふ…そうか、ではまたな。」
「おいじじいはなしを――。」

マザリーニが出て行くと同時に扉が閉まる。

「ちっ…シィル、俺って思うんだがよくおっさんに話し掛けられるような気がするんだが…。」
「さぁ、気のせいなんじゃないんですか?」

実際気のせいではなく、事実である。


「まぁ、あいつは良い奴だな。」



「…駄目だ。」
「何故です父上!トリステインの国を奪還する、正に名誉の戦いですよ!」
「私が出れば事は済む。」
「ですが…私は姫と…。」
「お前が死んだらどうする、私はどうすればいい。」
「…。」
「お父上の気持ちはもっともです…ルイズはお留守番をしていてください。」
「ですが…。」
「帰るところを守るのも…貴族の務めですよ?」
「うむ、姫様の言う通りだ。」
「…。」

姫と父上に言われちゃ、手も口も出ない。
しかも味方になると思って着いて来させた姫が寝返った。
もうどうしようもない。

「…分かりました。」
「うむ、分かったならよろしい。」
「では、部屋に戻りましょう?ルイズ。」
「…はい。」




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