あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

THE GUN OF ZERO-07


 予想は外れて、目が覚めたルイズは、クォヴレーを怒ることはなかった。
「おはよう、ルイズ」
「おは……ななななななな何でアンタが一緒にベッドに居るのよぉっ!?」
「昨日、抱きついたまま放してくれなかった」
 ピッと未だにクォヴレーの背に回されている腕を指摘され、昨晩の出来事を思い出すルイズ。
「あ……」
 何だか恥ずかしげもなくわんわん泣いてしまったような……。
「わ、忘れなさい!昨日の夜のことは全部忘れなさい!それで一緒のベッドに入ってたことは見逃してあげるわ!」
「わかった」
 顔を真っ赤にしながらまくし立てるルイズに、頷き返す。
 ベッドから降り、そういえばと昨日ずれてしまった時計を室内のものに合わせておく。
「それじゃあ、洗濯をしてくる」
 駕籠を持ち上げ、階下に向かう。昨日よりも起きたのが遅かったため、ちらほらと既に動き出している小間使い達が見え、転移陣の展開が難しい。
 あちらこちらと場所を探しているうちに、見知った顔を見つけた。
「あ、クォヴレーさん!おはようございます!」
「ああ、おはよう、シエスタ」
「もしかして、もうお洗濯が終わっちゃったんですか?」
 と、こちらは洗濯樽に洗い物を入れているシエスタ。
「いや、これからだ」
 首を横に振る。
「あの、それなら私が洗っておきましょうか?」
 手を休めながら提案してくる。
「あ、でも、クォヴレーさんには、特殊なやり方があるんですよね……お節介ですか?」
「いや、そんなことはない。やってもらえると助かる」
 いくら金が有り余っているからと言って、まさか毎日コインランドリーに行く訳にもいくまい。
「ふふっ、そうですか?頼ってもらえると、私も嬉しいです」
「それと、出来れば後学のために見学したい。ここでの流儀というのも身につけておいた方がいいだろう」
 クォヴレーの申し出にシエスタは変な顔をした。
「別にここでの流儀ってものも無いですよ?普通に洗剤と洗濯板で……え?洗濯板の使い方が判らない?はぁ、クォヴレーさんの特殊なやり方って、すっごく不思議なんですねぇ」
 洗濯物を突っ込んでボタン押すだけであるからそりゃ彼女からすれば不思議で一杯だろう。

 シエスタから洗濯のやり方を学んで部屋に戻り、朝食を摂りに行くルイズに伴われて再び廊下に出る。
 とたんにルイズが心底嫌そうな顔をした。
「……あら、おはよう。ツェルプストー」


 だが、隣の部屋から出てきたキュルケはそんなルイズなどほとんど視界に入っていないようで。
「おはよう、ルイズ。そしておはよう、ダーリン」
 語尾にハートマークを付ける勢いでクォヴレーの腕に抱きつく。
「? ああ、おはようキュルケ……何だ?ダーリン?」
 おかしな呼び方だが、視線から言っている相手が自分だと判ったので、動じずに挨拶を返す使い魔。
「ななななな何やってるのよ、キュルケ!?」
 突然のキュルケの行動に面食らうルイズ。
「ふふふふ……何って、見て判らない?あ・い・じょ・お・ひょ・う・げ・ん」
「俺はお前と恋人関係になった覚えも婚姻関係を結んだ覚えも無いが……」
「んもう!つれないんだから!でも、そんなクールなところが、またいいわぁ……」
「とりあえず離れてくれ。少し歩きづらい」
 クールというか、冷淡である。
 それでも「あら、ごめんなさい」と素直に離れてくれるキュルケ。
「ちょっとキュルケ!どういうつもりよ!」
「私ね、この人に恋をしたの」
 うっとりした目で自分を見てくるキュルケから、クォヴレーはスッと目を逸らす。
 別段タイムダイバーは恋愛禁止だとか言われていた訳ではないが、クォヴレー自身が、薄々自分のような時空の旅人では普通の恋愛などおぼつかないことを察している部分が大きい。
 生きる時間の流れが違いすぎる。
「はぁ!?」
「だってそうでしょう?こんなに美形で、強くって、しかも普段の性格は穏和だなんて、そうそういやしないいい男よ?」
「アンタねぇ!人の使い魔に手を出さないで頂戴!」
 ルイズが二人の間に割って入り、キッとキュルケを睨みあげる。だが、キュルケの方はルイズのことなど目に入っていないようで。
「ホントは昨晩お誘いしたかったんだけど……お子様なご主人あやすので大変そうだったから、遠慮させてもらったの」
「なななななな何でアンタが知ってるのよぉぉー!?」
 顔を真っ赤にして怒鳴るルイズ。
「あなたねぇ……隣の部屋で、しかも窓を開けながらあんなに大泣きして、聞こえない訳無いでしょう?」
 心底呆れた表情で見下ろすキュルケの一言に、顔を赤くしたり青くしたりしながら廊下の隅にうずくまるルイズ。
「ううう……そんな、下手したら学院中に知れ渡ってるじゃないのぉ……」
 何を今更、とため息つくキュルケ。
 魔法の失敗やゼロと呼ばれた事が堪えたために泣いていたことも今までしょっちゅうだ。今回はとりわけばらすタイミングがあっただけで、ルイズの感情の起伏の大きさが知れ渡っていることも合わせて、少なくともこの女子寮内では何も珍しくない。


「さ、お子様は放っておいて……ね、ダーリン。今晩は空いてる?」
「悪いが夜は忙しい」
 タイムダイバー的な意味で。
 視線を合わせないままにやんわりと拒絶の意を表す。
「ふふふ……そんなに必死になって視線逸らさなくってもいいのよ?……ついつい見ちゃうんでしょう?私のむ・ね」
「朝っぱらから何盛ってるのよアンタは!」
 どうにか自我再構築を果たしたらしいルイズがきゃんきゃんとキュルケにかみつく。
「……胸がどうかしたのか」
 ようやく視線を戻しながらキュルケに尋ねる。
「ルイズなんかじゃ、こうはいかないでしょう?……結構、自信あるのよ。胸」
 両腕で抱え上げるようにし、より強調させてみる。引き合いに出されたルイズは顔を真っ赤にしながら怒鳴りつける。
「う、うるさいわねぇっ!」
 キュルケの言葉に、胸へ視線を移動しつつ、しかしクォヴレーは首をかしげた。
「? 大きさか?……平凡、だと思うが」
「なっ!?」
「!?」
 衝撃を受ける女性陣。
 流石はクォヴレーである。育った環境が特殊すぎた。
 クォヴレーの自我形成時、身近にいた女性は、第2次スーパーロボット大戦αにて猛威を振るい、スパロボを大して知らん同人作家にまでスパロボを描かせる切っ掛けとなったスパロボ乳揺れ娘その2ゼオラ・シュバイツァーである。
 最も近しい肉親の女性も、やはりニルファより乳揺れ属性装備のヴィレッタ・バディム。
 フラグを立てた巫女姫様も、キャラクターグラフィックで判るきょぬーのアルマナ・ティクヴァー。
 そうでなくともαナンバーズにはグラマラスな女性の方が多い。(乳揺れ的意味で)
 なんとも見事な布陣であり、恐るべき事にこれがクォヴレーにとって基準となっていた。
 頽れて膝を突くキュルケ。
「く……こ、これで平凡……相手は強敵だわ……」
 ルイズは無言のまま自分の胸元に手を持って行き、空中で手を握ったり開いたりし、勝手に自滅して石になっていた。
「余りモタモタしていては、授業にまで遅れるぞ、ルイズ」
 半ば強引に、石化している主人の腕を引いてクォヴレーは食堂に向かった。
 何とも平和な朝の風景であった。

 学院長室。
「確かに、はっきりと言ってました。この銃を作り上げる文明は遠く、ここまで来ることは出来ないと」
「ふーむ。で、君はそれをあっさりと信じた訳じゃな」


 胡散臭そうに、報告に来たコルベールを見るオスマン。
「オールド・オスマンには信じられないと?」
「やれやれ……」
 首を振りながら、ため息をつく。
「教職の椅子に居りすぎて、かつての切れある火勢を失ったかね?コルベールくん」
「どういう意味ですかな」
 些かムッとしたように言うコルベール。
「そう怒るな。まぁ或いは、君が信じてしまうほど、かの使い魔の気性が穏やかなのかも知れんが……それは実際に会って居らん儂には何とも言えん」
 じゃがな、とコルベールの目を見る。
「召喚された時点で、彼はあれらの銃を持っておったのか?」
 オスマンの言葉に、ハッと目を見開く。
「いえ……素手でした」
 そうじゃろう。と頷く。
 決闘事件の際、銃を大量に持ってきたクォヴレーを見て、コルベールは感心したように「どこから持ってきたのだろう」と呟いていた筈だ。
「よしんば、彼の言っていることに嘘はないにしても、何か我々に隠していることは間違いないじゃろうな」
 目を細めて虚空を睨むようにオスマンは呟いた。
「もうしばらく彼の行動を注視した方が良いかもしれん」
 ちらりと、今はカーテンの掛けられている遠見の鏡へ目をやった。
 同意し、頷くコルベール。
 そこで、軽快なノックの音が響く。
「お話中のところ申し訳ありません。オールド・オスマン」
「い、いえ。私はもう戻るところでしたのでお気になさらずに、ミス・ロングビル。」
 顔を出した美人秘書に、ついつい表情が和らぐ中年と老人。
「何かね?ロングビルくん」
「私の仕事が一段落付きましたので、先日お話ししていた宝物庫の目録作りを始めたいのですが……」
 足下の鼠を思い切り蹴っ飛ばしながら、にこやかに用件を述べるロングビル。
「おお、そうじゃったな。これが、宝物庫の鍵じゃよ」
 鍵を渡すついでに手を握ろうとしてくるオスマンの手をさっとかわす。
「ありがとうございます」
 なんじゃいなんじゃい、少しぐらいいいじゃろう……といじけるオスマンを尻目に退出しようとするロングビル。
「あー、ミス・ロングビル。よろしければ、私がお手伝いいたしましょうか」
 咳払いで間をおいて、コルベールがそう尋ねる。
「え?まぁ、よろしいんですか?ではお願いします」
 にっこり人好きのする笑みで笑いかけるロングビル。
「あ、あ~、ロングビルくん何なら儂も……」


「学院長にはまだお仕事がありますでしょう?無理にとは言いませんわ」
 要するに、とっとと仕事やりやがれと言っているのである。
「い、いや。急ぎの仕事じゃなし……」
 バンとデスクの上の書類の束を叩く。
「こちら、急ぎの仕事ですのでよろしくお願いします。オールド・オスマン」
 尚も食らいつこうとする老人へ最後通牒の笑みを向けるロングビル。
 年寄りを蔑ろにすると罰が当たるぞとか愚痴をこぼす老人を、今度こそ置き去りにして美人秘書と中年教師は学院長室をでた。

 宝物庫に入りながら、ロングビルがコルベールに尋ねる。
「こんな鍵一つで、ここの警備は大丈夫ですの?」
「なに、心配はいりません。ここは扉も四方の壁も『固定化』がかけられていますからね。加えて壁は厚くしておりますから、ちょっとやそっとのことでは破られませんよ」
 自信たっぷりにコルベールが言う。
「まぁ、それなら安心ですわね」
 にっこり微笑むロングビルの顔の裏で、怪盗土くれのフーケは考え込んでいた。
(ふーん、練金で壁を土くれに変えちまって、ってのは無しか……)
 曲がりなりにも魔法学院を名乗る場所の宝物庫にかけられた固定化だ。トライアングルの自分では太刀打ち出来まい。
(あとは、あたしのゴーレムでどうにかなるかの確認だが……)
 流石に壁ばかり気にかけていては不審がられるだろうし、この頭髪寂しい中年教師の誘いに乗った理由は他にある。
 ひとまずそちらの用件を済ませて、壁はまた次の機会としよう。
「コルベール先生、こちらが『破壊の杖』でよろしいですね?」
 目録を付けつつ、今回の『目標』を確認する。
「ええ、そうですね」
「ところでこの杖、どうやって使いますの?」
 スッとロングビルの目が細くなる。
「え?ああ……それはですね……」
 とたんにしどろもどろになるコルベール。
「……もしかして、ご存知ない?」
 使えないおっさんだね。と心中舌打ちする。
「い、いや……あの……そうだ!」
 破壊の杖の金属質的な部分が、昨日散々いじくり回した超技術の銃をコルベールに連想させる。
「彼なら、判るかも知れません!」
「彼?」

 昨日と同じく、ルイズの隣で床に座りながら漫然と授業を聞いていたクォヴレーは、いきなり授業に顔を出したコルベールに呼ばれて、学院の宝物庫とやらにまで連れ出された。


 そこでコルベールと初めて会う女性に見られる中、とあるものの使い方を尋ねられた。
「これは……」
 驚きの目を向けるクォヴレー。
「M72 LAW……それも初期型だな」
「ああ、やはりクォヴレーくんは知っていたのか!」
 喜びの声を上げるコルベール。
「これはここに置いてあったのか?」
「ああ。我々はこれを破壊の杖と呼んでいるのだがね……」
 だが、クォヴレーはコルベールの言葉を最後まで聞かずに、険しい表情で尋ねる。
「ここの総管理者は誰だ?」
「うん?ここは学院の宝物庫だからね。一応ここにある物の扱いについては、学院長であるオールド・オスマンが……」
「学院長室に案内してくれ。すぐにだ」

 あっちへ行ったりこっちへ行ったりしているうちに、ロングビルは何やら事態がおかしな方向に進みつつあるのを感じ取っていた。
 自分はこの杖の使い方が判ればそれで良かったのだが……
「オスマン学院長。聞きたいことが一つと、申し入れしたいことが一つある」
「それは……破壊の杖か。成る程な。君の持つ銃を生み出した文明と、関わりのある代物か……後々こちらからも二、三質問させて貰うが、それでもかまわんかね?……それで、何が聞きたい?」
 使い魔の少年の言葉と共に、いきなり破壊の杖の由来が語られ始めてしまった。
 曰く、30年前にワイバーンに襲われていたところ、この破壊の杖を持った人物によって助けられたと言うこと。だが、彼は深い傷を負っており、その後に死んでしまったということ。
 彼の持ち物であり、残ったもう一つの破壊の杖を、宝物庫にしまい込んだのだという。
「まぁ、恩人の思い出の品なのだよ。……これでいいかね?」
「あぁ……」
 ふぅ、とため息をつくクォヴレー。先程までの険しさが抜けている。
「クォヴレーくん、一体何をそんなに慌てているんだい?君は」
「昨日言った万が一の可能性だ。あの銃を作り上げた文明が攻めてくる可能性を見つけたかと思ったが……どうやら違うようだ。30年も前に侵攻を始めたのなら、とっくの昔に蹂躙されている」
 攻めてくる?一体何のことを言っているんだと首をかしげるロングビル。
「威力を知っているのなら話が早い。学院長、これは危険な代物だ。誤って誰かが使えば、タダでは済まない」
「使えるのかね?それは」
 驚きで目を見開くオスマン。
「使える。使えてしまう。一つめの誤解を解いておくと、これは杖ではない。筒状になっていることが示すとおり、銃の亜種だ」


「銃!ワイバーンすら倒せる銃なのか!」
 それは凄い!とコルベールが感嘆の声を上げる。
 武器や戦いの好きな性分ではない筈なのだが、超技術に対しての興味の方が勝っているらしい。
(マジックアイテムじゃないのかい……だけど、ワイバーンも倒せるほどの銃。こいつは凄いね……)
 フーケが内心でほくそ笑む。
「むぅ……あれが、銃……」
 オスマンはかなり渋い顔をしている。
「そうだ。杖ではない。メイジでなくても良い。手順を踏めば誰でも使うことが出来る。このまま置いておいては、いつ誰が誤って使ってしまうか判らない」
「……で、どうしろと君は言うのかね?それが、君の言う進言だろう」
 こくりと頷き返すクォヴレー。
「先程も言ったとおり、これは銃の亜種。つまり弾が無くなれば、何も危険性はない。加えてこれは威力と携帯性を優先したために、総弾数は一発限り。
 一度使ってしまえば、残るのは単なる筒だ。思い出の品として飾っておくのも良いだろう。とにかく、このままでは危険すぎる」
 クォヴレーの言葉に、深くオスマンはため息をつく。
「……仕方あるまい。少々惜しいが、まぁ、あんな代物がいつ使われるか判らん状況で宝物庫に仕舞っておくのも危険じゃしのう……。コルベールくんにどこか適当な場所を見繕って貰って、後腐れ無く使ってくれ」
「わかった」
 にこやかに頷き返す。
(って、冗談じゃないよ!)
 使われてしまったら、ただの筒になるのである。慌てるフーケ。
「が、学院長?宜しいのですか?思い出の品なのでしょう?」
「なに、外見は残るんじゃろう。それならまぁ構わんし、あれを万が一、危険性を理解しておらん生徒が使ってしまって、人死にでも出られては敵わんからのう」
 ふぃーと緊張の糸が抜けるように口から空気が零れる。尚もロングビルは食い下がる。
「しかしその……彼がウソをついている場合、学外へ持ち出した貴重な杖が破損してしまうことも考えられますが……」
「なに、実際わしらの知らん銃を持っていた彼からの忠告じゃし、それにダテに歳は喰っておらん。人を見る目はあるつもりでな」
(ねぇっつうのー!)
 心中、この場でただ一人全力でツッコミを入れるフーケ。凄い説得力である。
「君が悪意で言い出してきたのではないことは判るよ」
「そうか、助かる」
 では、すぐに作業に入ると学院長室を出るクォヴレー。
「あ!そうだ、クォヴレーくん!是非、その銃の説明をだね……!」
「それでは……失礼します」


 コルベールがそれについて行き、ロングビルは力なく秘書室に戻る。
「おーいコルベールくん、あとで彼も連れてくるんじゃぞー?」
 オスマンの言葉は彼に聞こえたのかどうか……
「成る程な……確かに穏和な性格じゃ」
 先程まで目の前にいた少年の穏やかな笑みを思い出しつつオスマンは呟いた。
 ――ところで一週間後。故郷に残してきた家族が心配だと言うことでロングビルが急に秘書を辞めてしまい、後々オスマンは書類仕事で非常に苦労することとなるのだった。

 30分後。
「そうか、弾の内部に火薬を仕込んでおいて、先端がぶつかると同時に火薬に引火する機構を作り上げれば……大きさもそれなりに取れるし、練金でも何とかなるかも知れない!」
 興奮しっぱなしのコルベールが一応それでもちゃんとクォヴレーを連れてきてくれた。
「さて、今度はこちらが尋ねる番じゃな」
 オスマンがクォヴレーを見据える。
「君は召喚された時手ぶらだったそうじゃが……昨日の決闘で用いた銃は一体どこから持ってきたのかね?」
 その問いかけにハッとしたような顔をしたあとしばし黙っているクォヴレー。だが、沈黙はそう長くは続かず、すぐに自嘲気味に口を開く。
「どうもここに来てから気が弛みすぎているようだな……俺はとある乗り物を持っている。その乗り物の荷物入れから、あれらの銃は持ってきた」
「乗り物?君一人で召喚されたのでは無かったのかね?」
「俺の自由意思で、あれは好きに呼び込むことが出来る。どれだけ距離があろうとも」
 クォヴレーの質問に、オスマンとコルベールは顔を見合わせる。
 好きに呼び込むことの出来る乗り物?しかも、荷物を載せておくことが出来る……。
 二人の頭には何やら馬車のような物が思い浮かんでいた。
「それらしい物を見た覚えはないんだが……?」
「人目に付かないようにしている。外見が少々人に畏怖を与えるデザインをしているのでな。無用な摩擦が起きては困る」
 人に畏怖を与えるデザイン……?
 疑問符を浮かべる二人。
「う~む、その乗り物、いっぺん見てみたいのう」
「見るだけなら……今晩八時頃、呼び込む際に声をかけよう」
「ふむ、今晩八時か。本塔の入り口付近で待ち合わせて良いかな?」
「ああ」
 こくりと頷く。
「それとな、クォヴレーじゃったか。お前さんは結構穏やかな性格をしとるようじゃが、目上の者にそんな言葉遣いでは要らぬ誤解を与えるぞ?」
 再びハッとしたような顔をして、何かを振り払うように首を振った。
「すみ……ません。こういった、話し方をする……相手と、しばらくしゃべ……話していなかったので、忘れていました」


 つっかえつっかえながら非礼を詫びるクォヴレーに、よいよいとオスマンは手を振った。
「なに。儂はかまわんのじゃがな。この学院にはそういった細かいことを気にする器の小さい連中もおるんでな。老婆心ながらの忠告じゃよ」
 頷き返すとコルベールとオスマンに距離を取って一礼した。
「それでは……今晩八時に」
「うむ」
「ああ。待っておるよ」
 使い魔の少年が退出し、中年と老年が向き合う。
「乗り物……ですか」
「あんな得体の知れぬ銃をもっとった奴じゃからな……おそらく、その乗り物とやらも非武装ではあるまいて……」
 眼光鋭く、オスマンは告げた。






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