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虚無と狂信者-20



夜になり、村中の娘を村長の屋敷に集めて守ることにした。
怪しいアレキサンドルは、ベルナドットが見張っている。
そして中庭ではメイジ役のセラスとサイトが武器を置いて酒を飲み、管を巻く。
無力を装い酒に酔ったふりをして吸血鬼を誘き出す算段である。

「何だよあいつらー。俺が何したってんだよー」
才人が飲んでいたのは葡萄ジュースの筈だったが、それでも酔っぱらっている。よほど辛かったらしい。
「何でさー、女の子に電流流れる首輪つけられる訳? 俺の国なら普通に警察動くよ?
それとも何? これがこの国の貴族のスタンダート何ですか? ねえタバサ!」
タバサは黙って石を投げる。若干正気に戻ったらしい才人はいらないことを言わないように突伏する。
そしてフラリと屋敷のトイレに向かった。

才人が廊下でバタリとすれ違ったのは、エルザだった。
「あ、貴族様」
「やあ、エルザ。早く眠りな。お兄ちゃん達まだ起きてるからさ。」
そう言って頭を撫でてやる。少女は才人の下がりかけた瞼を見る。
「貴族様眠そう」
「眠いよ」
「大変だね」
「まあね」
「ねえ。貴族様はどうして吸血鬼を退治するの? そんな大変なのに」
エルザの問にサイトはぼんやりと考える。
何故だろう。
奴らが人を殺すから?
アンデルセン神父に憧れたから?
吸血鬼に殺されかけたから?
「エルザや、エルザの友達を食べるからだよ」
そう言った才人も自分で嘘に気づいていた。
それは一つであって、全てでは無い。

俺は何故



「ねえ。お兄ちゃん。何で吸血鬼が血を吸ったらいけないの?」
「え?」
「お兄ちゃん、さっきワイン飲んでたよね? でも葡萄だって生きてるよ?」
「……まあ、そうだね」
「吸血鬼が生きる為に人を殺すのと、人間が生きる為に葡萄を採ることとどこが違うの?」
「うーん……」
その理屈で言うとベジタリアンも駄目だよなあ、などと変なことを考える。
「まあ、そうだね。人間じゃないもんなあ」
人間でないものが、人間を喰う。人間が、人間でないものを喰う。
「じゃあ、吸血鬼が間違ってるって訳じゃ無いんだ」
「ああ、けどそれはきっと」

何が正しいとか、間違っているとか、そんな次元の場所じゃない。
吸血鬼も、それを狩る者も、そこにどんな道理があれ、論理があれ、
あの行為が糞の様な闘争であることに代わりが無い。なら、

そこに行く俺は何だ。
人か? 正義か? 答えは出ない。

だから、今は、これでいい。

「俺は人を殺す吸血鬼を狩る。俺は人間だから」


セラスを見張っていたタバサは若干意識が弛緩していたが、
ベルナドットが使い魔として感覚を共有させたことで意識を張り詰める。


アレキサンドルが突然村長の家の方向へ疾走した。
ベルナドットがワルサーを取り出し、人間ではあり得ない速さで走るそれに発砲する。
足と背に着弾するも、全く動じることなく怪物は視界から消えた。
「シルフィ! 頼むぜ!」
武器を引き下げ、彼は青い竜の背に飛び乗った。

才人は夜も遅い為、エルザを寝室に送ってやった。
「ほら、ついたぞ」
エルザがドアノブに手を掛けたその時だった。
木の壁を突き破り、その怪物が姿を表す。
才人はすぐに銃剣を取り出し、その心臓を貫いた。
しかし、怪物は全く怯まずにその剛腕で才人の首を締め上げた。
「ちっ」
少年がそう毒つくと、今度は両手に銃剣を持ち、敵の両肩を貫いた。
一瞬力が抜けた瞬間を逃さずに、蹴りを放って距離を保つ。
しかしアレキサンドルは肩から銃剣を引き抜き、サイトの胸に突き立てた。
そして脅えたエルザを抱え、自分が壁にあけた穴から飛び出した。
残された彼も銃剣を抜き取り、すぐにその後を追った。

ハルケギニアの吸血鬼によりグールになった人間は才人の知るものと違い動きが早い。
無尽蔵に作るそれと、力を込め作る一体の差だ。
人間の足では普通は追従不可能だが、それでも才人は訓練の甲斐あり何とか視界に収めている。
ふと獲物を抱えたグールの前に人影が立ちはだかる。セラスが左腕を変化させ刃と為し、
少女を掴んだグールの腕を引き裂いた。呻き声を上げ、さっき以上の速さで食屍鬼が逃げだす。
フライの呪文で追いかけてきたタバサがセラスとサイトに指示する。
「追って」
才人は了解してセラスと共に追いかけた。


「タバサ嬢ちゃん! すまねえ! 大丈夫か」
「平気。セラスとサイトが追いかけている」
「そうか、なら大丈夫だ」
そして風竜の背に乗ろうとした時、異変が起こる。
ドサリと音を立て、シルフィードとベルナドットが地面に倒れ伏す。
それにタバサが気付いた時、木の枝がしゅるりとその腕をとった。

才人は食屍鬼を追いながら、ふと先程の光景を思い出し、足を止める。
あのグールの行為に感じたどうしようもない違和感。
そして彼は元居た場所に戻った。

「あなたが……。吸血鬼?」
「そういうこと」
五歳程の少女がその無邪気さ故に凶悪な笑みで答える。
「まあ、ちょっと焦っちゃった。彼がグールだってばれたし、メイジ二人だもんね。
あ、でもあのお兄ちゃんは本当にメイジかな? 剣つかってたし。」
だがタバサは納得がいかない。
「なぜ、こんなリスクを犯したの?」
「確かに危険ね。でもここは私が一生懸命契約したからね。そこにおびき寄せた時点でほぼ私の勝ちだよ。
あなた達を纏めて始末するならこうするしかないでしょ?」
「……それだけ?」
タバサのこの状況でなお冷たい瞳に吸血鬼は笑って答える。
「まあ、何て事は無いわ、私怨よ」
「私怨?メイジに対する?」
「いいえ、あの男の子。まあ、私にも色々あったのよ。
それより……」
エルザはゆったりとタバサに近づく。
「あなたがミイラみたいに干からびてたら、きっとあの子泣いちゃうわね。それでいいわ。
それじゃ、いただきます」
そう言って彼女はその口から長い牙を出し、タバサの首筋に突き立てた。


私は意外にも穏やかな気分だった。何のことは無い。戦って、負けて、終わるだけのことだ。
どうしてだろう。
私は悠長に考える。そして一つ結論に達した。

これで人として終われるからだ。

元より、永遠の命に興味など無い。ただ力が欲しかった。
母様を元に戻す力が欲しかった。それだけだ。
あの男に復讐を成す力が欲しかった。

吸血鬼になってその後どうなる。
そうすれば復讐を終えた後どの途アンデルセン達に殺される。

それでもなお戦い、戦って戦って戦って。
そう生きようとした。
そうすればきっと歓喜なのだろう。
無限に戦い無限に殺しそしていつか息絶える。
そうすればこの無限の地獄から抜け出せると。
地獄を楽しみ地獄を歓び地獄を進軍する。
正気から狂気へ向かい、狂気から滅びへ向かえたら。

戦わなければ、私の母は狂ったまま。
勝とうと思えば、私は人間では無くなる。

もはや諦めてしまえば、人間でいられないなら。
化け物として生きるのでは無く、人として死ねたら。



それでも、彼のように諦めを踏破するなら。



吸血鬼が、後から飛来した何かを弾き飛ばす。
それは銃剣。ただ一振りのバイヨネット。

「我らは神の代理人 神罰の地上代行者
我らが使命は 我が神に逆らう愚者を
その肉の最後の一片までも絶滅すること―――」

彼はきっと私を打ち倒してしまうもの。

「AMEN!!」

彼のように生きれたら、彼らのように生きれたら。
ただ己の意志のもとに、地獄たろうと何処だろうと、
どこまででも突き進めたら。


エルザは怒りの形相で毒つく。
それはもはや人間の少女では無い。ただの化け物だ。
「その言葉……!」
「何故そこまで俺を憎むんだ? 吸血鬼」
才人は間断なく構え、彼女と対峙する。
「三十年前。私のパパとママは! あんた達に殺された! 笑いながらよ……。
許せない!」
三十年前、そう言えばいつかアンデルセンに三十年前こちらの世界に来たイスカリオテ機関員がいると聞いた。
「以来三十年間。私はあなた達を倒すことだけを考えて生きてきた。今ようやく叶うわ……。願いが!」
吸血鬼が両手を広げ、木々と風がそれに従うように蠢き始めた。


才人は激昂する吸血鬼に対し、申し訳無さそうに頭を掻いた。
「いや、なんつうかさ。俺は厳密にはあの人達の仲間では無いんだよね。神父に付いてってるだけで」
「一緒よ!」
「それに多分さ、俺はあの人達よりもひどいよ」
遠い目をして彼は続ける。あの神父の姿を思い浮かべる。
「彼らは銃剣。彼らは神罰。彼らは暴力装置。けれど俺は違う」
コートから二本の銃剣を取り出す。
「俺は君が許せない。人を殺すものを、血を吸うものを、俺達でしか打ち倒せない化け物を、
だから」
一拍置き、少女の形をした怪物を倒す為の決意を口にする。
「君を狩る。身勝手なんだよ俺は。ただの人間だから」

そう、彼が戦うのは彼の意志。彼の心に反するものを全力で打ち倒す。
彼自身のバイヨネットで。そうあれかしと叫んで斬る。

「私を狩る?この状況で?話をしてて思ってたけど……脳みそはかなりおめでたいみたいね!」
先住魔法により操られた木々が枝を鞭のように撓らせ、才人に向かい襲いかかる。
その攻撃をある時はしゃがみ、ある時は飛び越えて敵の懐に近づこうとする。
苦し紛れに銃剣を投げつけるも、風の障壁によって
これに対し吸血鬼は攻撃を加えながらも、十分に才人との距離をとる。
「魔法も使えないただの人間が、本気で叶うとおもっているのかしら?」
不可視なる風の弾丸がしたたかに彼を撃つ。
ワルドの場合は呪文の詠唱によりある程度タイミングは掴めたものの先住魔法に呼び動作はほとんど無い。
衝撃に耐える為に体を硬直させる暇もなく吹き飛ばされる。
この隙に木々が彼を捕まえようとするも、その体を踊らせ束縛をかわす。
そして懐から銃剣を両手合わせて四本、おそらくこれが彼の限界の数、満身の力で投げつける。
「馬鹿の一つ覚えね。本当に脳みそはすっかりおめでたいのね!」
風の障壁が銃剣を弾き落とす。しかし、その足元に何かが転がって来る。
手榴弾
爆発により粉塵が舞い彼女の視界を覆う。


「しゃらくさいまねを!」
身を強ばらせ、敵の襲撃を待つ。そして背後に気配を察し、才人の喉元に噛みつく。

だがサイトは首を噛まれながらもがっしりとその腕を掴む。
「捕まえた」
エルザははっとルーンが聞こえた方へ顔を向ける。そこには自分が杖を奪った少女が、
節くれだった杖を自分に向けていた。彼女を拘束していた木は銃剣によって切断されている。
才人が淡々と説明する。
「視界を奪ったのは攻撃の為じゃない。タバサに杖を渡す為だ。惜しかったな」
氷の矢がエルザの腹を貫いた。


人間ならば即死の攻撃だが、それでもエルザは動いていた。
「何で、何で貴方達は私達を殺すの? 何で貴方が私を殺すのはよくて、私が人を殺すのは駄目なの?」
少女の言葉に才人は残念そうに答える。その表情は三十年前の機関員ともアンデルセンとも違う。
そこには狂気も歓喜も無かった。
「……よくないよ。殺すことにいいも悪いもない。人間で無い君が人間を食うことも、
人間が人間を食う君を殺すことも、それはもはやそういうものだ」
無慈悲な節理を口にする才人の表情は恐ろしい程に昏い。
「いやよ。仕方なかったの。生きるために。私は悪くない……」
「ああ、悪くない。君が間違ってるとか俺が正しいとかそういう次元の話じゃ無い。
この闘争とはそういうもので、これはこういうことだった」
「いや、いや……」
エルザは命乞いが通用しないと悟ったが、それでもその首を振り続けた。
才人は心痛な面持ちで銃剣を振り上げ、神に祈り、少女の首を刎ねた。

これが鉄火だ。これが俺の選んだ場所だ。
俺を知る何かのために、守るために戦うこと。
それは崇高でも、何でもない。


才人の視界にふとエルザの死体が映る。
タバサはその死体に砂をかけ、錬金して油にし、発火の呪文をかけ燃やした。
才人はその燃える死体を、顔を顰めてじっと見ていた。

吸血鬼を狩った後、才人達は隊長とシルフィードを起こそうとする。
「きゅい~~。お肉~~」
「うぇへへ……。きょ・にゅ・う。きょ・にゅ・う」
杖を振り上げようとするタバサを才人が押しとどめた。
さっき自分は死にそうに成っていたのにこんな楽しげな夢を見られていては無理もない。
「ストップ。落ち着け……っておい!」
止めようとしたタバサの体がふらりとよろけたので才人は慌てて抱えた。
血を吸われ、その後全力でウィンディ・アイシクルを唱えたため、体力は限界に近かった。
「大丈夫か!?」
彼女は無言で頷く。
「ビックリさせんなよな……もう……」
才人は大きく息を吐く、その腕に掛る重さは、酷く軽い。
か細すぎる少女にまた疑問が湧き上がる。

「なあ? やっぱりお前みたいな子どもがこんな危険なことするなんておかしいだろ」
才人の問にタバサはしばらく押し黙り、一言だけ紡ぐ。
「ごめん……」
彼はしばらく目を閉じ、苦しげに唸った後、答える。
「まあ……、言いたくなったらでいいよ。いつかな……」
タバサは、才人にまた同じ言葉を繰り返した。

その時、セラスが戻って来る。彼女の視界に映るのはよりかかる主人とそれを支える少年。
セラスに気づいた二人は彼女の姿をじっと見つめる。
(あ……。空気読めなくてごめんなさい……。)
二人は何故か暗い影を背負った彼女を不思議そうに見つめた。


結局その後、村長に事の顛末を話し引き揚げた。
といってもエルザが吸血鬼であるということは伏せ、エルザは世話をしてくれる貴族に
預けるということにした。タバサの配慮である。
アレキサンドルの母にも事情を説明した。老婆は泣きながらも才人に向けて何度も頭を下げていた。
結果を見れば大団円といってもいい。しかし。

「サイト君。大丈夫かな」
風竜の上でセラスは彼の背中を見て答える。彼は先ほどからボケっと宙空を見ている。
タバサはというと若干失血したものの、至って元気だ。彼女はそんな彼に近寄り、声を掛ける。
「何故彼女が吸血鬼だと?」
「ああ……。アレキサンドルが廊下から入って来たからな。普通なら部屋に直に入って来るだろ?
どうせぶち抜けるんだし。俺達をあの契約した場所におびき寄せるためにわざと俺の目の前で攫われた。
もともとあの子は何か様子が変だったからな。
まあ推理が外れてもグール位セラスさん一人で大丈夫だろうからさ」
説明している間も才人は夜空を見上げたままだ。
「ごめん」
タバサの口から飛び出た言葉に才人は驚いて振り向く。
「……いやな仕事を手伝わせた」
普段は感情の色をほとんど見せない彼女が神妙な面持ちでそんなことをいうから彼は驚いてしまう。
同時に自分が情けない。一体どれだけ弱弱しい姿で自分はいたのだろう。
たかだか相手が少女の形をしていた位で。
「い、いいって。好き好んで付いてきたんだから」
才人は無理に笑顔を作る。
(そうだ、勝手について来たんじゃないか。情けない)
口元を引き締め、才人はシルフィードが向かう方角を見つめた。


「ねえ、何であなたは戦うの?」
しばらくして、タバサはまた才人に尋ねた。才人は考えながら言葉を紡ぐ。
「最初はさ、ただの憧れだったんだよ。あんな風に強くなれたら……って」
逡巡なく、真っ直ぐに、ただ強く。
「……けどさ。今は違うよ」

目の前で誰かが、世話になった人や、ちょっと可愛いと思っている人や、見知らぬ誰かが危険なら、
放ってはおけない。

それを許せば自分では無くなる。

「現実にさ、吸血鬼何てのが出て、それが人を殺してて……。誰かがそれを倒さなきゃいけない。
俺が何も知らないならいい。何もできないならいい。けど知ってしまったから。
再生能力なんて力を貰ったから。だから……。」

それは自身に生まれた闘争への欲求と対をなす、また偽らざる彼の本心だった。


私は今、何故彼が気になるのかが分かった。
何のことはない。
彼と私は同じものだ。
夜に完全に染まることなどできない。
昼に完全に留まることなどできない。
薄暗がりを歩くもの。
ただ夕方を歩き続けるもの。

私と彼は同じだ。
戦わなければ己になれない。


そしてもう一つ分かったこと。
彼は吸血鬼になった私を殺せる。
私が人を殺すから、彼は私を赦さない。
その銃剣で私を殺す。

それもきっと今のように泣きながら。
私は酷い奴だ。
けど今は。


「サイト」
「ん?」
「ありがとう」
驚いてタバサを見る。その表情はやはり伺えない。才人ははにかんだ笑顔になる。
「どういたしまして……。まあ良かったよ。タバサが無事でさ。」
はにかんだ笑みを浮かべる才人。

私の友達。助けてくれて、笑ってくれて。
だから本当は、彼の敵になどなりたくない。

そして、私の親友も、きっと望まない。

タバサの視線は自然と、ゲルマニアの方向へ向いた。


セラスは考える。
主人は吸血鬼に成りたがっている。それは分かっている。
そしてその結果どうなるかも。
そうする理由も、無理からぬことだ。
例え命を捨ててでも、人間を辞めてでもやるだろう。
して欲しくない。
どうすれば止まるだろうか。
強くなればいい。
彼女が吸血鬼となって得る力の何倍も強くなればいい。
あの大尉にも負けぬほど、彼女の手を煩わせぬ程。
彼女の主人を自分と同じものにしたくない。
この力はそんなにいいものではない。
セラスは一人、拳を握って気合を入れた。

ベルナドットは考える。
彼女は吸血鬼となることを望んでいる。
しかし、それは違う。
彼女の望みは母を元に戻し、伯父の脅威から逃れること。
そうするためには力がいる。だから吸血鬼に。
馬鹿馬鹿しい。それで目的を達し何になるのか。
頼ってくれればいい。
自分や、セラスや、キュルケや、アーカードや、アンデルセンや、そこの少年に。
学院の皆に。
独りでは無い。助けてと叫べばいい。
この少女に助けてと叫ばせてくれるのは。
こいつだろうか。キュルケだろうか。
己には頼ってくれるだろうか。


ベルナドットは気を取り直し元気に言う。
「んじゃ、学院に戻るか」
学院という言葉に才人の体がピクりと跳ねる。
彼女らのスーパーヤンデレタイムは終了しているのか。
もししていなかったら。
逃げられるだろうか。

タバサがサイトの背中を優しく擦ってやる。

二人の使い魔は顔を見合わせ、揃って溜息を漏らす。

青い竜は闇夜を裂き、その空の果てに掻き消えた。





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