あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔の炎-02


目覚めた烈火は、昨日の出来事が夢じゃないことに少しへこみながらも、
健気にルイズの服の洗濯に向かうことにした。
忍者とは"忍ぶ者"。耐えることが仕事なのである。
洗濯物を抱えて部屋を出ると、メイドの格好をした黒髪の少女が立っていたので烈火は声をかけた。
「なあなあ、洗濯物って何処で洗えばいいの?」
「お洗濯ですか? 私も今から洗濯に行くので、一緒に行きましょう」
烈火はありがとう、とお礼を言った。
なんだ、普通の子もいるじゃん。
召喚されたときから一時も落ち着けなかった烈火も、女の子の優しさと黒髪に安らぎを覚えた。
女の子は烈火の左手に刻まれたルーンを見て、
「あなた、もしかして、ミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう…」
と呟いた。
「知ってんの?」
「ええ、召喚の儀式で平民を呼び出してしまったって、噂になっていますよ」
女の子はにっこり笑った。
烈火は、彼女の笑顔にしばらく見入ってしまった。
「そ、そう。君も魔法使いなの?」
「いえ、私は貴族の方々をお世話するためにここでご奉公させていただいているんです」
「そっか。俺は花菱烈火。よろしく」
「変わったお名前ですね… 私はシエスタといいます」
烈火はシエスタに手伝ってもらい、なんとか洗濯を終えた。


部屋に戻った烈火は、ルイズを起こすことにした。
「姫、朝だよ。とっとと起きろ」
「むにゃ…そ、そう…って誰よあんた!」
大丈夫かよコイツ。
「花菱烈火。姫の忍だ」
「ああ、使い魔ね。…って、姫ってなんなのよ!?」
「これからそう呼ばせてもらう。お前は俺にとって君主、つまり姫だからな」
残念なことに、と心の中で付け加える烈火。
ルイズは、始めこそ"姫"と呼ばれることを嫌だと思ったが、これも忠誠のあらわれと考えればいいか、と思い始めた。
「…まあいいわ。とりあえず、服」
烈火は制服と思われるシャツを放り投げた。
「下着」
「そ、それぐらい自分でとれよ」
「クローゼットの一番下の引き出し」
どうやら、烈火をとことん使い倒すつもりらしい。
渋々、烈火は引き出しを開け、顔を赤くしながらルイズを着替えさせた。

二人が部屋を出ると、近くの部屋のドアが開いて、中から赤髪の女の子が現れた。
制服のボタンを3つほど外し、スタイルの良さを際立たせている。
彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。
「おはよう。ルイズ」
ルイズは顔をしかめながら挨拶を返した。
「おはよう。キュルケ」
「あなたの使い魔って、それ?」
烈火を指さして、バカにした口調で言った。
「そうよ」
「あっはっは!ほんとにただの平民じゃない!すごいわね!」
烈火は心の中で、平民平民うるせえ、とか、使い魔じゃなくて忍だ、とかボヤいた。
目は、彼女のはだけられた胸元に釘付けだったが。


「『サモン・サーヴァント』で平民を喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがゼロのルイズ」
ルイズの頬に朱がさす。
「うるさいわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰化さんと違って、一発で呪文成功よ」
「あっそ」
「やっぱり使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」
キュルケの部屋から、真っ赤で巨大なトカゲが姿を現した。
「うわ!なんだコイツ!」
烈火は慌てて後ずさった。
「おっほっほ! あなた、火トカゲを見るのは初めて?」
「火トカゲ…すげえな、オイ」
まるでゲームの世界だ。
「熱くないのか?」
「あたしにとっては涼しいぐらいね」
「これって、サラマンダー?」
ルイズが悔しそうに尋ねた。
「そうよ。見て?この尻尾。間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?
素敵でしょ? あたしの属性ぴったり」
「そりゃよかったわね。あんた『火』属性だし」

「ええ。"微熱"ですもの。男なんかささやかな情熱でイチコロ。あなたと違ってね」
「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど暇じゃないのよ」
キュルケは余裕のある笑みを浮かべ、烈火に目を向けた。
「あなた、お名前は?」
「花菱烈火」
「ハナ…ビシ? ヘンな名前」
「うっせえ」
「じゃあ、お先に失礼」
サラマンダーと共に、颯爽とキュルケは去って行った。
キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握りしめた怒鳴った。
「くやしー!なんなのよあの女!自分がサラマンダー召喚したからって!」
「いいじゃねえか、言わせとけば」
「よくないわよ!メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われてるぐらいよ!
なんであの色ボケ女がサラマンダーで、わたしがあんたなのよ!」
「落ち着けよ。姫たちも人間なんだから、人間が使い魔って凄いんじゃねえの?」
「メイジと平民じゃ同じ人間でも全然違うのよ」
ルイズは得意げに言う。
そんな態度にも慣れてきた烈火は、ルイズの高圧的な台詞をさらっと流す。
「そうかよ。…そういえば、『ゼロ』って何なんだ?
俺を召喚したときも、周りからそう呼ばれてたような…」
「…ただのあだ名よ」
ルイズは少し恥ずかしそうに言った。
「変わったあだ名だな…あ」
烈火は、ルイズの可哀想な部分に目を向けた。
「そうか、だから"ゼロ"か」
ルイズのかかと落としを喰らって、烈火はしばらく意識を失った。


罰として食事を抜かれた烈火は、空腹をこらえながらルイズと共に教室へ向かう。
腹と頭をおさえながら、烈火は席に座る。
「いて~、何もかかと落としまですることねえだろ」
「主人をバカにしたんだから、当然の罰よ!! 席に座れるだけで感謝しなさい!」
「へいへい」
授業が始まった。
基本的に優等生であるルイズは、授業が始まると勉強に集中する。
勉強が大嫌いな烈火も、初めのうちは見たことのない他の生物(使い魔)の様子を観察していたが、高校とは全く違う内容の授業に次第に聞き入っていた。
とりわけ、"火"の魔法についての解説には、熱心に聞き入った。
ルイズは、そんな烈火の様子に疑問を抱いた。
いつになく真剣な横顔の烈火を見つめていると、
「ミス・ヴァリエール!」
「ひゃ、ひゃい!」
「授業中によそ見をしない!」
「すいません…」
どうやら、ルイズが使い魔を見つめている間に"火"についての講義は終わっていたようだった。
「よそ見をする暇があるのなら、あなたにやってもらいましょう」
その瞬間、教室の空気がかわった。
ん? なんだこの空気。
突然変わった教室の雰囲気に烈火は戸惑う。
「先生」
「なんです?」
「やめといた方がいいと思いますけど…危険です」
キュルケはきっぱりと言った。周りの生徒が一斉に頷く。
「危険? どうしてですか?」
「ルイズを教えるのは初めてですよね?」
「ええ」
「ええ。でも、彼女が努力家ということは聞いています。さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。失敗を恐れていては、何もできませんよ?」
「ルイズ。やめて」
キュルケが蒼白な顔で言った。
しかし、ルイズは立ち上がった。
「やります」
緊張した顔つきで、教室の前へと歩いていった。「さあ、ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」
こくりと可愛らしく頷いて、ルイズが手に持った杖を振り上げた。
やっぱり可愛い顔してるな、姫は。
真剣な顔で呪文を唱えるルイズを見ながら烈火は思った。
ルックスは合格なんだけどな…これで性格が良ければ完璧な"姫"なのに…まあ、日本人じゃないけど。
そんなことを考えていると、烈火は服の裾を何かに引っ張られた。
振り向くと、そこにはキュルケの使い魔であるフレイムの姿があった。
「あなたも隠れたほうがいいわ」
二列ほど後ろの席から、キュルケが烈火に声をかける。
ふと周りを見回すと、普通に席に座っているのは烈火だけで、あとの生徒は全員机の下に隠れていた。
なんなんだ? 一体何が始まるんだ?
烈火が他の生徒に合わせて机の下にしゃがもうとした、その瞬間、
爆風が烈火を襲った。

「ちょっと失敗したみたいね」
ハンカチで顔を拭きながら、淡々とした声でルイズが言った。
「だから言ったのよ!あいつにやらせるなって!」
「もう!ヴァリエールは退学にしてくれ!」
「また失敗かよ!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないか!」
昨日から心身共に既にボロボロだった烈火は、
「…そういうことか」
と呟いた直後、トリステインにきて早くも三度目の気絶を味わった。


「姫は頑張ったと思うよ! がんばってやってみた結果ならしょうがないって!」
罰として言い渡された教室の掃除をこなしながら、烈火は続ける。
「ほら、姫は頑張り屋さんだってあの先生も言ってたじゃん?
こういうのはさ、最後は絶対努力してるやつのほうが絶対優秀になるんだよ。
だからさ…」
「…顔がウソついてる」
ルイズは泣きそうな声で言った。
「え…」
「本音を言いなさいよ。私は魔法を一度も成功させたことのない"ゼロ"のルイズ。
魔法も使えない貴族なんて、貴族じゃないわ」
「……」
「バカにしなさいよ。落ちこぼれの私を。…落ちこぼれなりに、必死で努力もしたわよ。でも、どうにもなんないこともあるのよ」
ルイズの目が潤み始める。
「アンタも、ホントは私のことバカにしてるんでしょ? "魔法も使えないのに何が貴族だ"って…」
ついに、ルイズは泣き出してしまった。
予期せぬ出来事に、烈火は完全にテンパってしまった。
なんとか、姫を励ましてあげたい…烈火はポケットに、元の世界から持ってきたものがあるのをい出した。
「そうだ、いいもん見してやるよ」
烈火は、服の中から線香花火を取り出した。
「うちの親父、花火職人なんだよ」
烈火は花火に火を灯した。
「ほら。これ、俺の世界の花火。キレイだろ?」
そう言って、烈火はルイズの手に花火を持たせた。
「…うん、キレイ…」
ルイズが知ってるそれとは違う、儚い光を放つ花火。
その輝きを見ているうちに、ルイズの心も落ち着いていった。
「あ…落ちた」
微かに煙をあげる花火の残骸を、ルイズは残念そうに見つめていた。
そんなルイズに、烈火が声をかける。
「…努力、してきたんだろ?」
「え? …うん」
「だったらいいじゃんよ。一生懸命やってるお前を、バカにする権利なんてあいつらにはねえよ」
「アンタ…」
「もし、あいつらが姫のことバカにしても、俺はお前の味方だから。
どんなことがあっても、俺は姫を守ってやる。それが忍の務めだから。これ、約束な」
ルイズは、また泣きそうになってしまった。
家族の他に、ここまで自分を思いやってくれる人がいただろうか?
「ふん、使い魔なんだから、それぐらいは当然よ」
ルイズは、照れを隠すためにわざとぶっきらぼうに言った。
烈火はその台詞を聞いて、安心する。
やっぱり、こいつに泣き顔は似合わない。
きっと、これぐらい素直じゃないほうがちょうどいいんだろう。
「よし、じゃあ飯行こうぜ? 早く食わないと、次の授業遅れちまうだろ」
「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」
駆け出した烈火を追いかけるルイズ。

ルイズはそのとき気づかなかった。
烈火が、マッチもライターも使わず、花火に火を灯していたことに。


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