あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

狂蛇の使い魔-02



第二話



「ここは……」
「ひっ! …あ、目が覚めたのね」
浅倉が見知らぬ部屋で目を覚ましたのは、召喚された翌日の朝であった。

「ここは、どこだ?」
「ここは私の部屋。そしてあんたは私の使い魔になったの」

昨日の騒ぎの後、ルイズたちが気絶した浅倉を苦労してベッドまで運んだことから、学院のこと、契約のこと、そして使い魔としての役割を話した。
話の途中途中で、浅倉の使い魔としての能力を確認していく。

昨日とは違い、ルイズの話におとなしく耳を傾け、応じるべきところは応じる浅倉。
当初警戒していたルイズは、やがてそれが無意味だったことが分かり、これもルーンの効力の表れなのか、と感心してしまう。

「感覚も共有できない、材料も探せない……となると、あとは身の回りの世話と護衛ね。まさか、それくらいはできるでしょう?」
「知るか」
浅倉が興味なさそうに答える。

「な、なによ! 使い魔のくせになんにもできないの!?」
「お前の世話なんて知ったことじゃないな。それより、メシはないのか?」

さも当然のように言ってのけた浅倉に、ただでさえ気の短いルイズの怒りは爆発寸前である。
あんたに食わせるメシなんてない!
と言いかけた丁度その時、部屋のドアがノックされ、開いた。

入ってきたのは、真っ赤な髪に褐色の肌を持つ、ルイズの友人キュルケとその使い魔のサラマンダーであった。
ニヤニヤしながらキュルケが言う。

「おはよう、ルイズと平民の使い魔さん」
「…おはよう、キュルケ」
ルイズは声の方を振り向き、挨拶を返す。
浅倉も振り向くが、返事はしない。

「それにしても、やっぱりあんたはダメダメだったわね。私なんか、一発ですごいの喚んだんだから。ねぇ、フレイム」

名前を呼ばれ、今までキュルケの背後に控えていたサラマンダーが、のそのそとルイズたちの目の前に現れた。
浅倉がちらりとサラマンダーの方を見る。

「平民だなんて、ゼロのルイズにはお似合いよね。よかったじゃない」
その一言で、今まで浅倉に向かっていた怒りの矛先がキュルケに向けられた。

「朝からなによ! この…」
「少し黙れ」
そう言って浅倉はルイズを遮り、キュルケの方を向いた。
ルイズがむっとした顔で睨み付けるが、浅倉は全く意に介さない。

「ところでお前、どこでメシが食えるか知らないか?」
(あら! よく見たら結構ワイルドでいい男じゃない!)
初対面の時は横目でしか見ていなかったが、いざ近くでみるとなかなかの顔立ちである。

「ええ、もちろん知ってるわ。……そうだ! そんな役立たずなんてほっといて、私と一緒に食べに行きましょうよ!」

突然の提案に、ルイズはたじろぐ。
「な、何言ってんのよキュルケ! いくら平民の使い魔でも、そんな誘いなんかに……」
「こいつよりは役に立つようだな。案内しろ」
「なっ!! あんたまで!?」

会話が終わるやいなや、浅倉はベッドから飛び降り、キュルケとともにさっさと部屋を出ていってしまった。
ルイズは完全に蚊帳の外である。

「ち、ちょっと! 本当に私を置いてかなくてもいいじゃない!! 待ちなさいよ、――!?」

使い魔の名を叫ぼうとして、ルイズは気づいた。
「名前、聞いてなかった……」
ルイズたちが食堂に着く頃には、既に多くの生徒たちが席に着き、朝食をとっていた。
貴族の子弟たちが集まるだけあって、料理も装飾も豪華である。

ルイズたちは程なくして席に着いた。
浅倉も席に着こうとする。が

「あ。あんたはダメよ。朝から散々私を馬鹿にした罰として、朝ご飯は抜き!」
ルイズが勝ち誇ったような顔で浅倉に向き合い、言い放つ。

浅倉はルイズの話を無視し、近くにある適当な料理をひっ掴むと、夢中でかきこんだ。

「いいわね! ご飯が食べたければ、これからきちんと言うことを……ってあ――!!」
ルイズは思わず立ち上がり、叫ぶ。
浅倉が目の前の料理を次々にがっつく様を、キュルケを含む数人の生徒が唖然として見ていた。
マナーもへったくれもない。

しばらくして、浅倉は何皿目になるかわからない空の食器をテーブルに置き、服の裾で口元を拭った。
空の食器がいくつも重なっている。

「久しぶりにうまいもんを食べたな……北岡のパスタ以来か」
そういうと、くるりと背を向けて、どこかへ去って行った。
その後ろ姿を多くの生徒が見つめていた。



ルイズはその場にへたりこむ。
「もういや……あんなの……」
朝食を終え、今は中庭で大の字になっている浅倉は、左腕を上げると左手の甲にある奇妙な模様を見た。

(この模様……いつの間にかついていたが、一体何なんだ?)
思えば、今日の朝、目を覚ました時から既についていた気がする。
見たこともない模様が、しっかりと手の甲に刻まれている。
契約の証だというが……

今日の朝といえば、「私がご主人様よ!」だの、「従わなければ生き残れない!」だのぬかしていた、あの桃髪のガキ。
ゼロのルイズ、とか呼ばれてたな。

偉そうに話す横っ面を、思い切りぶん殴ってやってもよかった。
が、なぜかそんなことをしてもイライラが収まらない気がしてならなかったのだ。

しかも、殴ったりすれば逆にイライラするんではないかとも思えてくる。
あいつと話している分には、イライラも溜まらずにいられるのだが……
心なしか、イライラも普段より溜まりにくくなっている気がする。

(……まあ、いい)
このなんちゃら魔法学院とかいう奇妙奇天列な場所にいれば、その内おのずと面白い奴と戦えるだろう
なんなら、こちらからけしかけてもいい……

「あんた、こんなところで何やってんのよ」
横たわる浅倉を、桃髪の少女が覗き込んだ。
浅倉はルイズに連れられ、使い魔たちが集まるという教室にやってきた。
教室に入ると、先にいた生徒たちはルイズたちを見ながらヒソヒソと話し始めた。
内容は、おそらく朝食の時のことだろう。
ルイズの顔が赤くなる。

一方の浅倉は、そんなことには目もくれず。
もしかしたら自分の他にもライダーがいるのでは、とも思ったが、いたのは見たこともない動物ばかり。
期待はしていなかったが、手応えのありそうな相手がいないことを改めて実感し、ため息をつく。



しばらくすると紫のローブを着たシュヴルーズ先生が現れ、軽い雑談の後、授業を始めた。
時々生徒を指名しては質問をし、答えさせる

そんなやりとりをよそに、浅倉はここにいる動物たちを「戦う相手」から「食べ物」へと視点を変え、考えていた。

注目なのは、あのキュルケとかいう女が連れている赤い大トカゲだ。
今まで見てきたどのトカゲよりも大きい。
ただ、常に熱を帯びているため、普通に焼いても食えそうにないだろう。

後で食えるか聞いてみよう、と決めたところで、先生らしき人物の声が耳に入ってきた。

「では、ミス・ヴァリエール。あなたに『錬金』をしてもらいましょう」
教室がざわつく。
キュルケが抗議の声をあげたものの、逆にルイズのやる気を引き出す結果となってしまった。

浅倉も、自らの主人を名乗る者の「魔法」とやらを一目見ておこうと、そちらに目を向けた。
周りの生徒たちが必死に机に隠れている。
その様子をいぶかしんだ、その刹那。

目の前で突如爆発が起こり、教室を爆音と爆風が襲う。

浅倉は咄嗟に両手で身構えた。
教室のあちこちで叫び声が聞こえる。が、絶叫というほどではなく、誰も慌てた様子はない。

しばらくして構えを解くと、爆発でボロボロになった自称ご主人様が目に映る。
シュヴルーズ先生は見事に吹き飛ばされたようで、完全にのびていた。



「成功確率がゼロ。だからゼロのルイズ、か。まさかここまで役立たずとはな」

「う、うるさい!」
罰として教室の掃除を命じられたルイズに、浅倉は言った。
馬鹿にした罰としてお昼を抜きにしてやろうか、とも思ったルイズだったが、朝の騒動もあったので、やめた。

「少しは口を慎みなさいよ! ……ところで、あんたの名前を聞いてなかったわね。なんていうの?」
ふと思い出し、ルイズが言った。
「さあな」
「さあな、って……!! それがご主人様に向けて言う……あっ、待ちなさい! 少しは手伝いなさいよ―!!」

浅倉は後ろから聞こえてくる声を無視し、教室を出ていく。



後には、こんな使い魔を喚んだ自分を呪いながら、せっせと床を拭くルイズだけが残されたのであった。



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