あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの平面-3

 ゲーム&ウオッチがひしっとルイズに抱きつく。
 比較的背の低いルイズだったが、さらに一回り小さいぺらぺらの体は丁度ヘソ辺りに擦り寄った。

「ちょっとキュルケ! 人の使い魔に何してくれるのよ!?」

 ルイズが辺り気にせず声を荒立てた。
 といっても、今は朝食の時間。
 皆食堂に集まっていて人が居ないため
 特に周りに気を使う必要も無いといえば無いのだが。

「誤解しないで頂戴。私はただこの使い魔くんと仲良くお話してただけよ」   
「何がお話よ、何が。……大体こいつ、『ビ――ッ』ってしかしゃべれないのに何がわかったって言うのよ?」

 全く悪びれた様子も無く、髪を掻きあげて余裕の態度を見せるキュルケに対し、
 ルイズは額にデフォルメで血管が浮き出るほど怒っていた。


                 ~ゼロの平面3~


「とにかく、こんなのでも私の使い魔なのよ。金輪際こいつには近寄らないで!」

 猫のように毛を逆立てる気迫のルイズに、キュルケは肩をすくめてけだるげに答えた。
 毛頭、そんな約束を守る気などないのだろう。  

「じゃあさ、ルイズ。それ守ってあげるけど、代わりに一つ、教えてくれない?」
「…………何よ?」

 あくまで妖艶に微笑むキュルケになんとなくに苛立ちを感じた。
 ルイズはこの、いつでも余裕を保って人(特に自分)の揚げ足をとるとき態度が
 少し嫌いだった。
 だからつい、口が強くなって怒りっぽくなってしまう。 

「彼の……あの使い魔くんの名前、なんて言うの?」
「…………えっ!?」

 反射的に戸惑い、素の声が漏れた。

「あ、あいつの名前? 名前…………」 

 正直、考えたことが無かった。 
 恥ずかしい限りだが、今のルイズは自分の使い魔の名前すら知らないのだ。
 そりゃああいつが使い魔として現れたことのショックや、
 あいつ自体に時折見える、ある種の不気味さを無意識に感じ取ってたからなのか、
 まともに考えたことが無かった。ふと気づけば、『あいつ』『こんなの』扱いしていた。

「知らないのかしら、まさか? いくら『ゼロ』のアナタでも、使い魔の名前ぐらいは把握してるわよね?」
「あ、あたりまえよっ! ……でも、あ、アンタなんかに教えてやるもんですかっ!!」

 負けん気だけで支えた言葉はしどろもどろだ、動揺丸出しである。
 ふん反り返る様に背を向けるが、実際には顔に浮き出た焦りを
 キュルケに悟られないようにするための、ささやかな抵抗だ。

 当たり前のことを、よりにもよってあの“ツェルプストー”に教えられたのだ。
 “ヴァリエール家”の人間ルイズにとって、これほど屈辱的なことは無い。

「そ、なら別にいいわ」

 すかしたように息をつくなり、彼女にしては珍しくやけにあっさりと身を引いた。
 意外なほど、あっさりとだ。
 ルイズが思わず呆けた顔になってしまうのも無理はない。 


 ゲーム&ウオッチはとっくにルイズの腰から離れていた。


「ほんとは私の使い魔を紹介してあげようかと思ったんだけど……気が変わったからまた今度にするわね」
「丁重にお断りするわ。紹介と名ばっかりで、人の自慢話なんて聞いてるほど暇じゃないから」

 言い終わると同時に背を向けたまま来た道を辿る。
 まだ朝食を食べてない、いろいろ考えていると、おなかも空いてきた。

「あ! 待って、ルイズ」
「今度は何? ……ってあいつはどこ行ったの!?」

 ようやく気づいて見れば、いつの間にやらあのぺらぺらの姿がどこへなりと消えていた。
 また縦になっているかもしれないと目を細めて辺りを見回すも、
 それらしい者は一つとして無かった。

「また……、あんのバカ―――――ッ!」

 二度目の叫び、
 今度は『ビ――ッ』と言う音(声)は、聞こえてこなかった。

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