あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの社長-06




「さて…ルイズを預けたは良いものの、寝床を確保せねばならないか。」


ルイズを医務室に預けた海馬は、学園をうろうろしていた。
とはいっても、勝手に建物の中をうろうろしているわけにも行かず、警備員がいる以上学院の外に出ることも駄目。

(ふむ、モンスター召喚のほか、これについて色々と調べておきたい事はあるが、ここでまたやたらに騒ぎを起こすわけにもいかん。
しかたがないが、それは後に回すとして…)

ドンッ

などと考えていると、後ろから何かにぶつかられた。

「あいたぁ…うわ、洗濯物がっ!」
「ぬぅ、人にぶつかっておいて先に洗濯物の心配とは…」

海馬が振り返ると、そこには凄い量の洗濯物が散乱し、それを拾っているメイド服の少女がいた。
少女は海馬の声を聞き、しまったという顔をしながら慌てて立ち上がり頭を下げた。

「もっ申し訳ございません、前がよく見えなくて。失礼しました、ミスタ…あれ?」

そこで少女は海馬のほうを見たが、少女にとって海馬は見覚えの無い相手だった。
だが、出で立ちや全身からあふれ出る威圧感。そして何よりその眼差しから、貴族に間違いないだろうと判断した。
見覚えの無い相手だろうと貴族は貴族。
平民である自分が貴族に不快な思いをさせた。
その事に恐怖した少女は必死に謝罪をした。

「申し訳ございません!平民風情が貴族の方にとんだ失礼を!どうかお許しください!」

目に涙をため海馬に許しを請う少女。





「何を勘違いしているかしらんが、俺は貴族などではない。確かに貴様の不注意ではあるが、そこまで気にするような事ではない。」
「貴族じゃない?え?だって…」

確かに良く見ると、羽織っているのはマントっぽくはあるが実際はコートである。

「それでも、すみませんでした。でも…あれ?おかしいなぁ、私、この学院の人の顔は大体覚えているのですが…。」
「知らなくても無理は無い。俺は昨日ここに呼びだされた、使い魔だからな。」
「使い魔!?え?だってあなたは人間で…」

と、少女が言い終わる前に、海馬は左腕のルーンを少女に見せた。

「あっ!もしかして。ミス・ヴァリエールが平民の使い魔を召喚したって言う噂をさっき耳にしたのですが、あなたが?」
「そうだ。俺の名は海馬瀬人。今はルイズの使い魔をしている。」
「あ、申し遅れました。私はシエスタ。この学院でメイドとして働かせて頂いてます。」

礼儀正しく頭を下げるシエスタ。

「ところで、瀬人さんはどうしてこんなところへ?もう時間も遅いですし、ミス・ヴァリエールのところに戻られたほうが…。
それに、さっきなんか凄い音がして、何でもドラゴンが学生寮につっこんだとかで、大騒ぎになっていましたよ。」
「ふむ…そのドラゴンが突っ込んだ部屋というのが、ルイズの、つまり俺もいた部屋でな。
ルイズは気絶してしまったので医務室に運んだは良いものの、あの半壊した部屋に戻るわけにも行かず、どうしたものかと思ってな。」

もっとも、部屋を壊したドラゴンを呼び出したのは他ならぬ海馬であるのだが、もちろん口にはしない。

「ええっ!?良くご無事でしたね?…あっ、そう言うことでしたら…少し待っていただけますか?」

そういうとシエスタは、ぱぱっと落ちている洗濯物を拾い上げ桶に詰めこみ、持ち上げた。

「よいしょっと…。瀬人さん、もしよろしければ、私の部屋にいらっしゃいませんか?
ちょっと狭いですけれど、外で寝るよりはましかと思うんですが?」
「ふむ…寝所を貸してもらえるのは願っても無いが、迷惑ではないか?」
「大丈夫ですっ。それに、困ったときはお互い様ですよ。それじゃあ、私はまずこれをおいてきますので、少し待ってていただけますか?」

そういってよたよたと重い洗濯物を持って行こうとするシエスタ。
流石に量が多すぎるのか、見るからに危なっかしい。
これでは先ほどのように誰かとまたぶつかりかねない。
海馬は無言でシエスタから桶を奪い取った。




「えっと、瀬人さん?何を…」
「困ったときはお互い様なのだろう?それで?これはどこへ運べば良いんだ?」
「そんなだめですっ!これは私の仕事ですし、貴族の使い魔さんにそんなことをさせるわけには…」
「勘違いするな。俺は早く寝床に就きたいだけだ。」

シエスタに目を合わせず、先へどんどん進もうとする海馬。

「あぁっ!そっちじゃないです。…すみません、じゃあお願いします。」




洗濯物を片付けた後、海馬はシエスタの部屋へと招かれた。
その後どちらがベットで寝るかで一悶着があったりするのだが、結局シエスタがベットで、海馬は毛布だけを受け取り床で寝ることになった。








翌朝、海馬は何かカチャカチャという音で目がさめた。

「ぬ…?朝か…?」
「あっ、起こしちゃいましたか?」

シエスタは朝食の用意をしていたようだ。

「瀬人さんの分もいっしょに作っちゃったので、よろしければ食べてください。」

小さな机の上には、二人ぶんの朝食が用意されていた。
海馬は椅子を引き腰掛ける。
その向かいにシエスタが座る。

「大した物じゃないですが…お口に合えば良いんですけど。」
「わざわざすまないな。頂くとしよう。…ほぉ、これは。」

そういえば、これが海馬がハルキゲニアに来て最初の食事となる。
一口口に入れただけで海馬は感嘆の声を上げる。

「あの…口に合いませんか?普段どおりのものしか作れなくて…」
「いや、なかなかの味だ。そんなに謙遜する事は無い。」

(食事の姿もなんていうか…あれ?こういう時どう表現するんだっけ?
整ってる…?ん~なんか違うなぁ。あぁ!あれだ!)




「ふつくしぃ」
「?あまりじろじろ見られるのは、愉快ではないのだが…?」
「はえっ!?あっ、すみません。」

気づかないうちに、シエスタは海馬のことを見つめていたようである。
慌ててごまかすように朝食を取るシエスタ。



「うむ、なかなかの味だったぞ。礼を言う。」
「いえいえ、お粗末さまでした。」

そういって食器を片付けるシエスタ。

「しかし、起床の時間が早いのだな。まだ日が登ってそうたってなさそうだが?」
「私たちはまず、貴族の方々の朝食の時間までに、食堂でその準備などをしなくてはなりませんから。
ですから、普段からこのぐらいの時間に起きているんですよ。
…って、まっずーい!急がないとお仕事に遅刻しちゃいます!」

空模様を見て時間を察すると、シエスタは慌てだした。

「まだ時間はありますけれど、もう少ししたら貴族の方々の朝食の時間なんです。

「ふむ、そうか。仕事ならば邪魔してはまずいな。
それにルイズの様子も見ておかなければならないしな。
世話になった。この借りは必ず返させてもらう。」
「そんな、借りだなんて思わないで下さい。困った事があったら、いつでも言ってくださいね。」
「ならばシエスタ。貴様が困ったことがあれば、俺にも声をかけろ。
できる限り力になってやる。」
「はいっ、ありがとうございます。瀬人さん。」







シエスタの部屋を後にし、海馬はルイズが眠る医務室へと向かった。
医務室の扉をノックしてみたものの、中からは返事が無いため、勝手に入ることにした。
そのとき、廊下の向こうから見覚えのある顔がこちらに向かってきているのに気が付いた。
コルベールである。
コルベールは海馬の姿を確認すると、こちらへ駆け寄ってきた。

「瀬人君。ミス・ヴァリエールの容態はどうなんだい?」
「いや、俺も今ここに来たばかりだ。ノックをしたが返事がないのでな。」
「そうか。いや、ミス・ヴァリエールに部屋の修理ことについて連絡してくるようにと、オールド・オスマンに命じられてね。
しかし大変だったね。君は、怪我は無いのかい?」
「問題ない。とりあえずルイズの様子を見に行く。」

そう言うと医務室にずんずんと入っていく海馬。
ベットの上にはぶつぶつと寝言を言いながら寝ているルイズがいた。

「うにゅ~…もう食べられない…」
「…みたところ重症というわけではなさそうだね。」
「そのようだな。」

そう言うと海馬は気持ちよさそうに寝ているルイズの頭をガシッ!っと鷲づかみにし、そのまま数度シェイクした。

「うぼあっ!?なっ!なにごと!?」

予期しない謎の攻撃に慌てて目を醒ますルイズ。

「目はさめたか?」
「ちょっ…瀬人君。元気そうに見えても一応怪我人なのだから、あまり無茶な起こし方は…」
「醒めるに決まってるでしょう!!!!ああああんたはご主人様を何だと思って…って、ミスタ・コルベール!?」
「おはようございます。ミス・ヴァリエール。」

怒りを海馬にぶつけようとしたとき、ルイズは海馬以外に意外な人物が部屋にいる事に気が付いた。



よく見るとここは自分の部屋ではない。
そうだ、医務室だ。なぜ自分はこんなところに?
などと考えているうちにコルベールから口を開いた。

「昨日のドラゴン騒ぎで気絶した君を、彼がここまで運んだんだそうだ。
しかし災難だったね。ドラゴンに部屋に突っ込まれるなんて。」

そうだ、昨日!
ルイズは昨日の惨劇(主にルイズの部屋が)の事を思い出した。

「なにぶん急なことでしたが、あなたの部屋の修理は今日中には終わるとのことです。
体調に問題がなければ安心して授業を受けなさい。それじゃ、お大事にね。」

用件を伝えるとコルベールは医務室から退室しようとする。

「あっ、ミスタ・コルベール!お聞きしたい事が…」
「うん?なんだい?」
「あのドラゴンは…その…」
「あぁ、確かに不思議な話だね。この付近にはドラゴンが生息しているような場所は無いのに、一体どこから現れたのか。
そもそも目撃者は君と君の使い魔である瀬人君。そして飛び出す瞬間に部屋に入ったというミス・ツェルプストーの3人だけだ。
もしかすると、いまだ発見されていない新種のドラゴンかもしれない!
そう考えたらわくわくしないかい?」

教師と言うより、未知の生物に心躍らせる少年のような笑顔の禿げたおっさんがそこにいた。
コルベールはドラゴンそのものに興味を抱いているようで、事件そのものの不審点には気がついていないようだった。

「それでは、ミス・ヴァリエール。お大事に。」

そういうとコルベールは医務室から去っていった。





「……なんかややこしい事になっちゃっているような気がするわ。」
「ふむ…それで、これからどうする?」
「とりあえず着替えて朝食に行くわ。制服の代えは大丈夫かしら…」
「そうではない。俺がどうすると聞いたのは、俺の力の事だ。」

的外れな解答を返すルイズに呆れながら、海馬は自分の左腕のデュエルディスクを指差しながら尋ねた。

「うん、そうね。正直このままでもいいような気がするわ。」
「と、言うと?」
「そのままの意味よ。結果的にばれなかった物を、わざわざ公表する事も無いでしょ?」
「ふむ…意外だな。珍しい力を持った使い魔として表沙汰にすれば、自分の評判につながるとでも言い出すかと思っていたのだが。」
「確かに、そうしたいって少しは思ったわ。でも、ものには限度がある。」
「強力すぎる力は、安易に晒すものではないと?」
「ええ。ミスタ・コルベールの話を聞いている間に少し考えたの。
あんたは無作為にあのドラゴンを召喚したわ。
そしてあの時あんたは言った。
『モンスター、魔法、罠の3種類のカードを組み合わせた40枚のカードのデッキを
これに装着し、知恵と勇気をもって戦う、それがデュエルだ!』
つまり、40枚のカードがそこにはセットされている。
40種類の、私たちには未知の『魔法』をあなたは使えるといって差し支えないはずよ。」

このルイズの洞察力に、そして何よりも、未知の事を自らの常識の殻で否定せず受け入れる柔軟な思考力に海馬は素直に感心した。

「ふむ、なかなかの洞察力だ。」
「あんたの力はまだ未知だけど、故に下手に知られればアカデミーなんかにつれていかれちゃう可能性だって否定できない。
だから今はこのまま。無理してばらさなくてもいいと思うの。」
「ふっ、なるほど。見た目などよりは意外とモノを考えられるようだな。」

微笑を浮かべて医務室を後にしようとする海馬。
心なしかその表情は満足げだ。

「ちょっと!見た目よりとは何よ!見た目よりとはーっ!」
「朝食の時間に遅刻するぞ、ルイズ。」
「話を変えるんじゃないわよ!」



廊下をにぎやかにしながら、珍しい使い魔とその主人は、医務室から去っていった。











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