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第二話 無残の宴舞台裏・前編


 深夜はとうに過ぎ、これから朝方にさしかかろうとしている。
 灯りを落とし暁闇が忍び寄る部屋の中、寝台に腰掛けた王女が一人考え事にふけって
いた。トレードマークともいうべき大きな冠を脇に置き、整った眉根にしわを寄せ、あ
ざやかな青色一色の髪をかきむしる。考えが全くまとまらない。
 そもそも考えるという習慣を持たない王女である。面倒なことは人に任せ、任せた者
が失敗すれば厳しく叱責し、興がのればあざけり、笑い、時には鞭で打ち据える。失敗
がなくとも、虫の居所が悪ければ誰彼かまわず当り散らし、狩りに賭博にと飽くまで遊
び、世界各地の美味珍味に舌鼓、プチ・トロワの造りから家具小物類、召使いの服にい
たるまで趣味を押し通し、血税の上に胡坐をかく。周囲の評価はともかく、本人にとっ
ては当たり前のことで、反省も後悔も思い悩むこともなく、放恣放埓に生きてきた。数
日前に使い魔召喚の儀式を終えるまでは。

 あいつをどうする。どうすればいい。
 このままではまずい。すごくまずい。それは承知している。
 かといって誰かに相談することはできない。恥を触れて回るようなものだ。
 一人でどうにかしなければいけない。何をどうすればこの問題を解決できるのか。

 役に立たないことが浮かんでは消えていく。何も思いつかないが、かといって眠くも
ならず意識が冴える一方、まぶたは軽く、気は重い。ワインをあおろうという気にもな
らない。ここ数日、まどろみは彼方に逐電していた。ああ、と呻いて頭を抱える。
 深く考える習慣を持たずに生きてきたとはいえ、王女を責めるのは酷というものだろ
う。哲学者だろうと宗教家だろうと政治家だろうと科学者だろうと大魔法使いだろうと
ならず者だろうとペテン師だろうと、この悩みを解決できるとは思えなかった。
 爪を噛み、膝を上下に揺する。寝台の上に転がり、寝返りを打つ。
 もう一度ああ、と呻き……。

 ――ぺにょん

 魂が身体に引き戻された。そんな気がした。
 瞬時に脳が覚醒、身体を全力で機能させようとしたが追いつかず、足をもつれさせ、
転げまろびつ扉に張り付き、聞き耳を立てる。

 聞こえた。聞き間違えようがない。あの気の抜ける忌まわしい音。
 あいつだ。あいつの足音だ。あいつが来た。来るなと命じておいたはずなのに。

 心音は早鐘、汗腺は湿原、王女の心は麻のように乱れ、針の落ちる音さえ聞き逃さな
いよう、全身全霊を聴覚に集中させている。

 ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん

 来た。近づいている。

 ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん、ぺにょん

 音がどんどん近くなり、やがて止まる。王女の緊張は頂点に達した。ノックか、声を
かけるか、いきなり開けるか。どう出るつもりか。
 扉から耳を離し、一歩退き、二歩退き、三歩退いたところで天井がミシリと軋んだ。

「フェイントォォォォオオオオオオオオ!」
「ぎゃぁぁぁァァァァアアアアアアアア!」

 扉に集中していた王女は、それ以外への注意力を欠いていた。だが王女でなくとも同
じことだったかもしれない。誰が自分の枕に急襲される事態などを想定できるだろう。
「ハーッハッハッハ、びっくりしただろ? 退屈そうだから驚かせようと思ってさ、枕
のフリして待ってたんだ」


「あ、あ、あ、あ」
「イザベラってば全然気づいてくれないからさ、体切り離して足音だけ立ててみせたけ
ど……どうよ俺の驚かせテクニック」
「お、お、お、お」
「いいよね、悲鳴あげる女の子って。でもさ、できたら『ぎゃあ』より『きゃあ』の方
がいいな。俺の好みの問題だけど」
「お、ま、え、と、いうやつは……!」

 肩を震わせ怒りをあらわにする主に対し、使い魔の方はいささかも動じていない。扉
から、化粧台から、寝台の下から、カーテンの隙間から、小さな、だが形は同じ使い魔
達がわらわらと現れ、イザベラにまとわりつく。

「なーなーイザベラー、遊ぼうぜ」
「わーいわーい」
「くすぐってやるぞ。こちょこちょ」
「らんらんらん」
「朝っぱらからみんな元気だなー」
「そういえばイザベラ、ちょっと悩んでるっぽかったぞ」
「マジで?」
「年頃の女の子だもんな」
「髪の毛いいにおいー」
「悩み事があるなら俺に打ち明けてみればいいじゃん」
「るんた、るんた」
「そうだよ、三人寄れば文殊の知恵って言うだろ」
「百人乗っても大丈夫とも言うよな」
「使い魔と主は一心同体」
「主の悩みは使い魔の悩みだ」
「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物ってやつだな」
「GペンのGって何の略なんだ?」
「おでこぺちぺち」
「いい音するな。さすがはイザベラのおでこ」

「お前ら……!」
 顔の色は憤怒の真紅に染まり、太い血管がドクドクと血液を送り続けていた。
「いい加減に……!」
 肺いっぱいに空気を吸い込み、それに倍する勢いで吐き出し、あらん限りの力を込め
て怒鳴りつけてやろうとしたその時、再び天井がミシリと軋んだ。

「も一回フェイントォォォォオオオオオオオオ!」
「ごぶっ!」

 天井板を破って降りかかる圧倒的質量に押し潰され、哀れな王女が倒れ伏す。やんや
と喝采で闖入者を出迎える使い魔の群れ。全身をぴくぴくと震わせ、絨毯の上に突っ伏
す主。彼女を心配できるだけの配慮を持った者はこの場にいない。

「天井なんかに隠れたもんだから微妙に出るタイミング逃しちゃってさー」
「いや、今のタイミングはナイスだったんじゃねえか?」
「イザベラもびっくりだ」
「本当だ。びっくりしすぎて寝ちゃったぞ」
「寝てるイザベラもかわいいなあ」
「おいおいイザベラは俺のご主人様だぜ? おかしなこと言わないでくれよ」
「違うぞ、イザベラはみんなのイザベラだ」
「そうだそうだー」
「おでこぺちぺち」

 薄れゆく意識の中、イザベラは思った。やっぱりこのままじゃ殺される、と。


 世の中には人生を賭して召喚に臨むメイジもいるが、イザベラはもっと軽い気持ちで
杖を振るった。自分の実力にはうっすらと気づいていたが、気づいていないフリを決め
込んだ。
 王族である自分が呼び出すものがつまらない犬猫小鳥などであるわけがない。きっと
竜、それも韻竜だろうから、人形娘に自慢してやろう。ただの竜しか召喚できない実力
不足を嘲笑し、韻竜をけしかけてチビな風竜を追い回してやる。
 傲岸不遜で自信過剰な考えだったが、結果としてイザベラの願いが叶ったかどうかは
誰にも分からなかった。呼び出された使い魔が何であるか、強いか弱いか良いか悪いか
可か不可か甲か乙か判断できる人間がいなかったからだ。

 主の腰までギリギリ届かない体長は不満だ。使い魔は竜のように大きなものがいい。
 人間の言葉を話す点は素晴らしい。知性の高さは韻竜に通じる。
 幾人か目を逸らすものがいたように、あまり見目麗しいとは言いがたい。イザベラは
感じなかったが、不定形生物が無理やり人間の頭部を模したようなその姿に生理的嫌悪
感をもよおす者もいるのだろう。
 ディテクト・マジックで魔力が感じられないのも残念だった。先住魔法の一つや二つ
使ってくれてもかまわなかったのだが。

 当たりと断言することはできないが、外れと言い捨ててしまうこともできない。その
辺はこれからじっくりと見極め、当たりなら大事にかわいがり、外れなら打ち捨ててお
けばいい。召使いが適当に世話をするだろう。
 神聖な使い魔召喚の儀式など屁とも思わない不届きな王女は、「もう少し調べさせて
ほしい」と言い募る学者を捨て置き、キョロキョロと落ち着かない使い魔の腕――と思
しき箇所――を引っ張って自室へ連れ込んだ。

 乗馬用の鞭を振るって質問――イザベラ以外はこれを詰問と称する――したところ、
いくつかのことが分かった。
 魔法を知らない。杖の先からちょろちょろと水を出してやったら大いに感動していた。
 自分が何であるのか知らない。生物であることは確かだが、それ以外不明とのこと。
 死ぬ方法を知らない。死に方を探してさまよっていたらしい。

「ああん? 死ぬ? なんで死ぬんだい」
「みんなから嫌われるし、俺なんて生きてても意味ないし、なんだか疲れちゃったしさ。
そろそろ死にたいなーって」
「はん、くっだらないね」
 ここまで何も知らない使い魔とは思わなかった。人語を解すからにはそれなりの知性
があるはずなのに、これでは白痴魯鈍もいいところではないか。
 どうやら使い魔が外れだったらしいことが分かり、イザベラのいらつきが増す。その
矛先は目の前にいる使い魔へと向けられた。

「嫌われたからなんだってのさ。嫌われて死ぬなんて負け犬もいいとこじゃないか。わ
たしだったら嫌ってるやつを引き裂いてやらなきゃ死んでも死にきれないね」
「強いな……あんた」
「お前が弱すぎるんだよゴミクズ。死にたいところでお生憎様だけどね、使い魔っての
は主のためだけに生きることが許されるんだ。勝手に死ぬことなんて許されやしないか
らよおっく覚えときな」

 大きな目のふちに涙をためている使い魔に指を突きつけ、イザベラは言い切った。相
手を思いやる気など毛の先ほども無いため、全く悪びれていない。使えない使い魔を憂
さ晴らしに使ってやっているのだから感謝してほしいくらいだとさえ考えていた。
「ああそれと。今度わたしのことをあんたなんて呼んだりしたら歯糞の詰まった口を鋼
線で縫いつけやるからそう思え。わたしはイザベラ様だ。これもよおっく覚えときな」


「……ありがとう」
「ああ?」
 聞き間違いではない。感謝の言葉だ。なぜ?
 不審げなイザベラに気づいているのかいないのか、使い魔は涙ながらに感謝した。
「ごめんな、泣いたりして。こんなふうに励ましてもらったの初めてでさ」
「いや、べつに励ましたわけじゃ」
「俺みたいなのってほとんどいなくて……ずっと一人ぼっちで寂しかったんだ」
「聞いてるのか」
「これが使い魔と主の絆ってやつか。俺もファーストキスを捧げたかいがあったよ」
「おいこらさらっと気持ち悪いこと言うな」
「そうだな。ファーストキスだけじゃ申し訳ないな。受け取ってくれ」

 どこから取り出したのか、赤ん坊の拳ほどもある大粒の宝石を取り出した。どうやっ
て加工したのかその形はつるりとした球状で、見る角度を変えるたびに輝きの質を変化
させ、千変万化の美しさで見るものを魅了する。これだけ大きなものならば、城の一つ
や二つではすまないだろう。辺境の小国が買えてしまう。
「へぇ……悪くないじゃないか」
 手にとって眺めてみる。悪くないどころではない。これほどの品、ガリアの王女でさ
え見たことがない。つまり、世界中どこを探しても無いということだ。

 なるほど、この種の手合いだったかと内心頷いた。ちっぽけで愚かな使い魔だが、小
利口な処世術は心得ていたということだ。強いものへ貢ぎ、媚び、へつらって生きなが
らえようとはせせこましくもいじらしい。
「悪くはないが……これで終わりとは言わないだろうね」
「欲しいならもっと出すけど」
「出す?」
「ああ」

 言うなり使い魔はテーブルの上にあったワインの空瓶を手に取ると、ものの一口で飲
み込んだ。数秒後、軽い音とともに美しい球体を生み出した。尻から。
「ほら、出てきただろ」
「お前、これ……」
「綺麗だろ。ウンコの専門家もこんな美しいウンコは認めないって言って……」
 悲鳴と怒声を足して二で割らず、そこに発情した火竜をかけてからオーク鬼の咆哮を
絡めた叫びがプチ・トロワを貫いた。イザベラつきの侍女は後に語る。この世の終わり
を告げるかのように恐ろしい……でもどこか悲しい声だった、と。

「どうしたんだよ急に大きな声出して」
「き、貴様……貴様というやつは……」
「何かあったのか、イザベラ」
「このわたしに……よくも……下賤な……!」
「あ、ひょっとしてそんなに嬉しかった? ハッハッハ、照れるなあ」

「いかがなされましたイザベラ様!」
 使い魔は笑い、主は怒る。絨毯の上には巨大過ぎる宝石が落ちていて、部屋の中は荒
れ放題に荒れている。駆けつけてきた騎士が見た光景は以上のものだった。変事を察し
て駆けつけたのだが、それにしても変事が過ぎたと言わざるをえない。
「これは……いったい……何事でございますか」
「いや……なんでもない。なんでもない……」
「ですが」
「いい。気にするな。それよりも」
 口調こそ落ち着いているが、その表情は正視に耐えるものではない。王家に仕える騎士
として王女の癇癖を把握してはいたが、ここまで怒りに燃える王女は見たことがなかった。
「地下に出る。準備をしておきな」
「そ、それは……」
「おいたの過ぎた使い魔にはきっちりと教育してやるのが主の責務ってもんだろう?」
「……はっ」
 地下。即ち拷問部屋。痛めつけるだけではけしてすむまい。確実に死者が出る。そして
それは、イザベラが怒る原因を作った者になるだろう。


 光あるところ影あり。光が強ければ強いほど影の色は濃くなる。華やかなヴェルサルテ
イルの地下にある陰惨な拷問室は、あやふやな噂が立つことこそあれ、実際どうだったと
体験に基づいて語られることはまず無いと言っていい。行って帰ってくるものがいなけれ
ば、想像以上のことを語るわけにもいかないからだ。
 使い魔を黒光りする鎖と見た目以上に重い鉄輪で縛りつけ、動きを封じる。地下である
というだけでは説明のつかない薄ら寒さが、ここで何が行われてきたかを如実に物語って
いた。
 正式な拷問であれば、情け容赦を母親の腹の中に置いてきた熟練拷問吏の出番と相成る
が、これはあくまでも使い魔のしつけである。実際のところ、自分で打ち叩かなければ腹
の虫がおさまらない王女のわがままだったのだが、怒り狂うイザベラを止められる者がい
ようはずもなかった。

 小さな燭台のみが照らす石造りの部屋の中、鞭がしなり、間を置かず肉を打ち据える。
これで聞こえる音がもう少し生々しければ随分と陰惨な光景になったことだろう。
「おい」
「なに?」
「なんだこれ。さっきから叩くたびに『ぽにょん』とか『ぷにゅん』とか気の抜ける音が
聞こえるんだけど」
「そう言われてもな」
「おまけにお前はなんか嬉しそうだし」
「そりゃ美少女のスパンキングサービスなんて嬉しくないわけないじゃん」
「……よし、やめよう」
「ええぇー! 途中でやめるなんてそりゃないよ。延長料金いくら?」
「お前もう口きくな」

 全身を針で突き刺されて泣き叫ばない者はいなかった。今日までは。
「おお、なんか肩こりがとれた気がする」
「なんで眼球に針打たれて肩こりが治るんだよ大馬鹿! 次!」

 体の端から寸刻みで削られていく。もはや拷問ではない。処刑だ。人間相手なら。
「……どうしよう、これ」
「どうしようって言われてもな。イザベラがやったんだから責任持てよ」
 わらわらと散っていく使い魔を前に、王女は呆然と立ち尽くす。

「わーいわーい」
「あははー」
「こら逃げるなー」
「うっほほーい」
「おでこぺちぺち」
「集まれー」
「よいしょ、よいしょ」

 切れば切っただけ数が増えるなどという非常識な生物のことまで考慮している拷問方
法があるわけがない。
「……とりあえずくっつけて元に戻すか」

 猛獣をしつけるための器具で電気を流してみる。
「光ってる……意味が分からない」
「心が休まる明るさだろ?」
「そうかもしれないけど、お前の得意げな顔が腹立たしい」
「抱き締めてもいいんだぜ?」
「わたしに感電しろってのかい? よし、次!」

 ガチガチに凍らせてやろうとすれば、
「もっさもっさだな。やたら長い毛だ」
「うーむ。実に不思議ですぞ」
「なんで喋り方まで変わるんだい」


 酸で溶かそうとしても、
「クソ! 酸かよ! なんで酸なんだよ!」
「不機嫌になるだけでダメージ無しか……次だ」

 石を抱かせてみたが、
「ぺらっぺらだな」
「昔のアニメとかであったろ、重いものに潰されてヒラヒラーっと宙に舞うの」

 車輪で伸ばしてみる。
「二つに切れた……」
「あれ? 声が」
「遅れて聞こえるよ」
「遊ぶな」

 水責め。
「膨らんだ……」
「夏場はいいウォーターベッドになるぞ」

 三角木馬。
「なんだいその期待に満ちた表情は?」
「え? い、いや別に期待なんてしてないって。嫌だなー、次は三角木馬かー」
「そうかいそんなに嫌かい。それじゃやめとこう」
「そんな! ひどい! あんまりだ! 楽しみにしてたのに!」
「……やっぱりやめとこう」

 いっそ魔法で洗脳すれば……。
「よし! 魔法! いいぞイザベラ! 俺のご主人様! すごい! エロかわいい!」
「テンション高っ! うざっ!」

 餌をやらなければどうだろう。
「俺、空気からも栄養摂取するから。痩せはするけど死なないよ」
「くそが!」

 今度はガスで窒息させる。
「もうちょっと自分というものを真面目に考えてだな」
「なんでお前に説教されなきゃならないんだい」

 毒を飲ませる。
「おかわり!」
「ない!」

 ガクリと肩を落とし、前のめりにくず折れた。息があがり、蓄積した疲労が身を苛む。
意味の無い努力、つまりは徒労。これほど人を疲れさせるものはない。
「なんなんだお前は! デタラメじゃないか! どうすりゃいいってんだい!」
「だから言っただろ。俺、自分がどうすれば死ぬのか知らないんだよ」
 「死に方を知らない」とは知的レベルの低さからくる発言だと思っていた。まさかこ
こまで死ににくい生き物が存在しようとは。この生命力に比べれば、ミノタウロスやト
ロル鬼、サラマンダーやワイバーンでさえ柔弱のそしりを免れない。
 冷静になって考えてみれば、不死に近い生物を召喚したのだからメイジの実力も相当
なものだと満足することもできたのだろうが、それで満足するにはイザベラの頭に血が
のぼり過ぎていた。

「残る手段は……火だな。あれで死なない生き物はいないはずだ」
「火ってボウボウ燃えるあれ?」
「火を使うなら地下でやるわけにゃいかないね。とりあえず表に戻るか」
「よーし行こう行こう」

 目的が変わってしまっていることには主も使い魔も気づいていない。

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