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魔法陣ゼロ-01


1 新たな旅立ち

 勇者とグルグル使いが魔王ギリを封印し、世界中の空に祝福の花びらが舞い踊った。
 世界を覆っていたギリの魔力は消滅した。かつてギリの魔力により支配されていたモンスター達の多くは、今は魔境の住人たちのように平和に暮らしている。
 しかし、モンスターの脅威が無くなったわけではなかった。

 かつてギリの魔力が世界を覆っていた頃に、モンスターの個体数が大きく増加していた。
 その中には、ギリとは関係なく人間を襲う者が少なからず存在し、いまだに各地で人々を苦しめていた。
 さらに困ったことに、ギリの支配によるタガが外れたため、逆に活動を活発化させた者まで存在した。

 闇魔法結社には、そんなモンスターを退治して欲しい、という依頼がしばしば届けられる。
 それを聞いたニケとククリは依頼を横取りし、モンスター退治のために再び旅を始めた。
 平和すぎるアナスタシアで刺激に飢えており、「いっしょに旅を続けたい」という願いをもつ二人にとっては、悪いモンスターの存在は好都合だったのだ。


~~~


「あ~、疲れた。それにしても、さっきのやつは強かったなあ」
「でもニケくん凄かった! 土の剣で真っ二つだもん」
「あれは、ククリが新しいグルグルで動きを止めてくれたからできたんだ。ククリのおかげだよ」
「ふふ、どういたしまして」

 薄暗い森の中。
 苦悶の表情を浮かべる風の精霊に先導されて、ニケとククリは、次の目的地までの道を歩いていた。

 ククリの右手には、旅の途中で手に入れた新しい杖が握られている。
 ククリ自身の魔力が向上したため杖の魔力に頼る必要はないが、適当な杖があったほうが魔法陣を描きやすいからだ。
 アナスタシアのミグミグ族から貰った魔法陣の杖もあるけれど、もう一度冷静に見てみると、やっぱりあの杖のデザインはイヤだった。

「ねえギップルちゃん、次の町までどれくらい?」
「あと1時間ほど歩けば、この森を抜けられます。そしたらすぐですよ」

 二人は手をつないで、森の中の道を進む。
 以前なら、このような森ではしばしばモンスターに出くわしていたが、現在はエンカウント率が大幅に下がっている。
 今回も、何事もなく歩き続けられていた。

 しかし、もう少しで森を抜けようという時。突然目の前に大きな鏡が出現した。
 横を向いてニケと話しながら歩いていたククリは、鏡に気づかず歩き続ける。
 ニケはあわてて、ククリの手を強く引っ張った。

「きゃっ! な、なに!?」
「前見ろ、前!」
「え? ……なにこれ、鏡?」
「鏡、だな。でも、なんでいきなり出てきたんだ?
 前に時々出てきてた、ガルニエの予言板とは違うし……。ククリ、わかるか?」
「ううん、さっぱり」

 ククリが杖で鏡をつついた。杖の先端は抵抗なく鏡の中に沈み、二人のククリが長い杖の両端を持っているように見えた。

「ククリさん、気を付けてください。鏡の中から未知の魔力を感じます。うかつに触るのは危険です」

 ギップルに警告されて杖を引っこめると、鏡も杖も何事も無かったかのように元に戻った。
 鏡に近寄ったギップルがウネウネと触角をのばし、鏡を調べる。

「これは――どこかにつながってるようですね。恐らく、これを通じて遠くまで移動できるのでしょう」
「遠くまで移動……。
 まさか、総裁たちがまた変なものをこっちに送ろうとしてんのか?」
「いえ、違います。これは闇魔法によるものではありません」

 誰かがこちらに来ようとしているのかと思い、少し待ってみる。だが、何も変化はなかった。

「ねえ、もしかしたら、あたしたちに来て欲しいんじゃない? 入ってみようよ!」
「え~? どっちにしろ関わると面倒そうだから、無視して先にいこうぜ。日が暮れるまでに町まで行ければ、宿に泊まれるし」
「そうね、そうしましょ」
「おや、そこにいるのは勇者殿にククリちゃんではないですか? お久しぶりですな!」

 背後からの懐かしくもおぞましい声に、先を急ごうとして足を踏み出した二人は一時停止した。そして、恐る恐る振り向く。
 アラハビカで見かけて逃げ出して以来、数ヶ月ぶりのキタキタオヤジがあらわれた。

「それでは再会のキタキタ踊りをとくと見てくだされ! わしの踊りもかなりレベルアップしましたぞ!」

 ギリとの最終決戦の時、オヤジはギリの空間に進入し攻撃を受けていた。
 そのためオヤジはパーティーの一員としてカウントされ、少なくない量の経験値が入っていたらしい。

 踊りは以前よりもテンポが上がり、キモさが加速していた。手足が千手観音のような残像を残して高速動作するたびに、風が起こり土煙が舞いあがる。
 腰みのだけで飾られた腰は、一般人の可動範囲を遥かに超えてクニクニとうねっている。BGMも豪華になっていた。

 二人はオヤジから離れようと後ずさりした。目の前に広がる悪夢のような光景に怯え、鏡の存在も忘れて。
 そして――

「うわああぁぁ!」「きゃああぁぁ!」

 数歩下がったところで、鏡の中へ消えてしまった。次の瞬間には鏡も消え、オヤジとギップルだけが残った。


「おや、お二人とも消えてしまいましたぞ? ここからが見所なのですが」
「どちらに行かれたのでしょうか――あれ? どこにもいらっしゃらない!?」

 ギップルの能力をもってすれば、風のつながる限り地球の裏側であろうと、勇者たちの存在を感知できる。しかし、鏡が消えた際に全く気配を感じなくなってしまった。
 となれば、彼らが行った先は地面の奥深くか、異世界か、魔力が遮断された領域か。あるいは、移動先で完全に消滅してしまったのか。

「これは、大変なことになってしまいました……」
「うむ、そうですな。せっかくの特別なキタキタ踊りを、ほんの少ししか見れなかったのですから」

 ギップルは姿を消し、闇魔法結社に急ぐ。

(ギリの残党の仕業でしょうか? それとも、まさかギリが復活を……?)


~~~


 学院の生徒達が冷ややかな目で見つめる中、ルイズはサモン・サーヴァントの呪文を詠唱した。
 何回もの失敗のため、辺りにうっすらと黒煙がたちこめていたが、その煙をさらに濃くする結果となった。
 しかし、強烈な爆発とともに、ルイズは今までの数多の失敗とは違う手ごたえを感じていた。
 煙の中に、何かが見える。

(やった……ついに魔法が成功したわ!
 まだよく見えないけど、このルイズが召喚したんだから、きっと強力な使い魔よね!)

 ゆっくりと煙が晴れていく。そこには、金髪の少年が横たわり、いびきをかいていた。
 頭に布を巻き、安っぽい服を着ている。腰には短剣を帯びている。

「あの格好、どう見ても平民……」
「ああ、平民だね。どこからどう見ても間違いなく。
 おや? あそこにもう一人いるみたいだね」
「ホントだ。それにしてもひどい煙だよ、まったくゼロのルイズには困るなあ」

 太った生徒が文句に続けて呪文を唱え、杖を振る。草原に風が吹き、完全に煙が晴れた。
 そこに現れたもう一人は、三つ編みの少女だった。彼女も寝息をたてている。
 二人とも、学院の生徒たちより少し年下に見えた。

「おい、女の子の方は、貴族じゃあないか?」

 少女の着ている服は、黒地に白い線が入った妙な模様のローブだ。すぐそばには、長さ1メイルほどの杖も落ちている。
 貴族とその従者を召喚してしまったのだろうと、ルイズを含めそこにいた人々は考えた。

「ミスタ・コルベール、もう一度召喚させてください! これは何かの間違いです!」
「それはだめだ、ミス・ヴァリエール。この儀式は神聖なものなのだ。やり直しは認められない」
「でも、人間を使い魔にするなんて、聞いたことありません! それに、この子は貴族じゃないですか!」
「確かに人間を、しかも二人も召喚するのは異例のことだな。しかし、使い魔召喚の儀式はあらゆるルールに優先する。
 この二人の少なくとも一人に、使い魔になってもらわなくてはならないのだよ。」
「そんな……」
「その少女は貴族に見えるが、少年は平民のようだね。貴族を使い魔にしたくないのであれば、こちらの少年とコントラクト・サーヴァントを行えばよいだろう。
 君が最後なのだから、早くしたまえ。次の授業が始まってしまう」

 コルベールにせかされたルイズは、召喚された二人をもう一度眺め、そして考える。

(こんなデザインのローブ見た事ないし、外国の貴族かも。そんな貴族を使い魔にするのは、色々と面倒なことになりそうね。
 そうすると、こっちの平民と契約するしかないのかしら……。
 まあ、仕方ないか。せっかく初めて魔法が成功したのだから、これで手を打ちましょう。
 貴族ならば儀式の重要性は理解してるはず。平民の一人ぐらい、事情を話せば手放してくれるわよね)

 ルイズは、平民の少年を使い魔にすることを決心した。


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