あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロ 青い雪と赤い雨-02


青く光る、巨大な輪が浮かんでいる。
視界に入りきらないほどの大きな光る輪。
自分の尾を噛んで輪を作る龍。
始まりも終わりも無く、すべては繋がっている。





――――― ウ ロ ボ ロ ス ―――――





その輪の中から巨大な無数の飛行物体が押し寄せる。
その姿を見た者は一様に驚愕の表情を隠せない。
その理由はその姿にあった。
巨大な頭にいくつもの顔があり、表情がある。
そして細長い手足が頭から直接生えている。
まさに『異形』の一言に尽きる。

しかしそれらが輪から出る事は無い。
いや出来ないと言うべきだろう。
なぜなら、光の巨人とでも言うべき物がそれらを抑えつけているからだ。

やがて輪と共に巨人も含めたそれらは何かに吸い込まれるように消滅し、辺り一面に雪を降らせた。
それは青く、淡く、光り輝く雪だった。






(ここはどこだよ・・・?)



気付けば見慣れない草原に立っていた。

見慣れない風景。遠くには中世の城の様な建造物が見える。
目の前にはチェリーブロンドの少女が一人、年の頃はミホと同じか少し上くらいだろうか。
まわりにはハゲと大量のガキ、それからファンタジーの世界に出てくるような化け物がうじゃうじゃと居る。
位置関係から見て自分をここへ引きずり出したのは、目の前の少女だろう。
右腕の端末で現在地を調べるが、果てしなく遠い時空らしい。


(チィ・・・存在が安定しねぇ・・・、体に力が入らねぇ)


疑似観測者はおろか、アトリを認識する者すらいないこの時空では
量子的存在であるアトリの存在は安定しえない。
度重なる戦闘でレイズも大量に消費している、消えるまでもう幾許も無いだろう。

とにかく何よりも今は情報が欲しい。とりあえず目の前の少女に問うてみる。


「俺をここに連れてきたのはお前かよ、ガキ・・・」

「そうよ!あんた貴族?ご主人さまにそんな口聞いていいと思ってんの?」
偉そうなガキだ。貴族?ご主人さま?あの城といいこの時空のベースは中世に近い物なのだろうか。
「どういう事だよ」

「あんたは私に召喚されたの、だから私の使い魔になるのよ!」
「ふざけるなよ」
一瞬キレそうになる。
腹いせに傍にいるハゲを吹っ飛ばしてやろうかと思ったが、
突拍子も無い事を言い出す姿に見知った姿を見つけて、認めたくないが落ち着いた。
しかし少女は、こちらを見たまま固まっている。
一瞬の殺気に当てられて完全に怖気づいてしまっていたのだ。

(チッ、完全にビビってやがる・・・。これじゃぁ話にならねぇじゃねぇか)


その殺気に反応したっぽい運良く生き延びたハゲが、少女と自分の間に入る。
ハゲ曰く、
  • この時空は魔法により社会が成り立っている。
  • 俺が呼び出されたのは召喚の儀式による物。人間が呼び出された前例はなく、今回も悪意があって呼び出した訳では無い。
  • この儀式はこいつの進級を決める大事な物であり、その結果如何で一生を左右される場合もある。
  • 少女(ルイズというらしい)はなぜか魔法が殆ど使えず、何度も失敗してやっと成功した。
  • 今回はイレギュラーであり、本来他の時空と繋ぐ魔法は存在しない。よって元の世界に返してやる事は出来ない。


(なるほどねェ・・・)


異世界からの来訪者と聞いてギャーギャー煩いハゲを無視して少し考えた後、自分を召喚した少女を見る。
少女は立ったまま俯き、肩を震わせている。
嗚咽しているのだろう。
どうにも泣かれるのは苦手だ。





「チィ、泣くなよ・・・。うざってぇ」





少女の頭に手を置く。
以前ミホにした様に。
不思議と心が安らいだ。

もう自分は消えるだろう。
最後に消える前にミホに会いたかったが、
トビの様に時空間操作が出来る訳でも無い自分では自力では帰れない。
ならここで一人で消えるよりは、どこか面影のある少女の傍で消えるのもいいかもしれない。

(チッ、俺もヤキが回ったもんだぜ・・・)

「俺はもういつ消えるか解らねぇが、お前の使い魔になってやるよ」
泣きやんだ少女の笑顔を見るのは、悪い気がしなかった。







―――――契約の儀式は少女とのキスだった。

(ありえねぇ・・・・)

フクロウでは無いがそう思った。
なってやると言ってしまった先ほどの自分をぶん殴ってやりたい衝動にかられた。
しかしそれ以外に方法がないと言う。
どうしようもないので諦め受け入れる事にした。


左手に焼かれる様な痛みが走り、文字の様な物が左手に刻まれる。


(なんだと・・・!!!)


驚いたなんて物ではない。
痛みにでも、文字が刻まれた事自体にでもない。
左手にルーンが刻まれたその瞬間、自身の存在が安定した事に驚きを隠せなかった。
失われたレイズも補填されている。
体が軽い。
どういう事だ、この文字にはそんな効果もあるのか?
俺はいつまで消えないで居られる?
疑問は止め処なく溢れてくる。

(まぁいいか。今は気分がいい、先の事なんか考えてもしょうがないぜぃ・・・)



本当に気分がよかった。
傍でハゲが勝手に手の文字をしこしこスケッチしてるのも気にならない程に。
スケッチし終わったハゲの号令で生徒達が一斉に浮遊し、城の方に帰っていく。
ハゲの言ったとおりこの時空は魔法が生活の一部になっているらしい。


どうやら飛べないらしい暗い表情を浮かべているご主人様に、
文字の礼と脅かした詫びのつもりで、部屋に帰るついでに空の散歩に連れて行ってやった。
風が気持ちがいい、空気が澄んでいる。
ご主人様も喜んでいるみたいだ。
今ならいくらでも速く飛べる気がした。





暫く空の散歩をした後部屋につくと案の定、質問の山。


とりあえず、質問については並行世界、量子力学、観測者(認識)による存在の確定。
説明しても解らない事だらけだし、自分もそんなに詳しく知っている方でも無い。
何よりめんどくさい。そしてウザったい。
なのでハゲに言ったのと同じ様に単純に『異世界』とし、端的にわかりやすく説明してやった。
本当に簡単に、だが。


チビガキは説明を聞くと考え込んでしまった。
かなりいい加減に、もとい簡単に説明したつもりだったんだが、それでも小さなご主人さまには容量オーバーらしい。
ぶつぶつ言っていたが、暫くするといきなり寝てしまった。





やれやれ・・・と窓から夜空を眺める。
夜空では2つの月から柔らかな光が滴り落ちている。
ここは本当に遠い時空なのだろう。
地球形成時に衛星が2つになった場合の時空。
何十億年も前に分岐した時空。


様々な事を考えながら、瞼を閉じる。
瞼の奥から心地よい眠気の波が押し寄せてくる。
薄れゆく意識の中記憶のページが捲られていく。





俺は未来を守れたんだろうか――――――――






     ―――――――――――『あいつら』元気にしてるんだろうか





サラ――――――――――――









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