あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロ 青い雪と赤い雨-01



雪が降っている。
淡く、青く、光る雪が。
あの日、私が初めて魔法に召喚に成功したあの日。
今思い返して見れば、あの日が全ての始まりだった。




トリステイン魔法学院では現在春の使い魔召喚の儀式の最中。
それは二年次に進級する生徒達が使い魔を召喚、契約し、自身の魔法属性と専門課程、
そして何よりも儀式の成功の如何によって進級も決まる。
その為、私ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールにとってとても重要な儀式なのである。



「なんで!!なんで!!何でなのよっ!!!」


周りを見渡せばみんな自分が召喚した使い魔と笑顔でスキンシップを取っている。
なのに私は、呪文を何度唱えても爆発が起きるだけ・・・使い魔どころか召喚ゲートすら現れない。
今日の為、しっかり予習もしたし自信はあったはずだった。


「いつまで待たせんだよ!!!」
「メイジとは違うのだよ、メイジとは!!」
「悲しいけど、これって失敗なのよね・・・」
「ルイズにつきあっていられるか! 」
「ゼロのルイズは伊達じゃない!」
「聞けば誰もが思うさ!君の様で在りたくないと!」


容赦の無い罵声や嘲笑が飛んでくる
普段なら気にも留めないけど、今は言い返さずには居られなかった。


「うるさいわね!見てなさい!あなたたち全員でも及ばないほど神聖で美しく そして強力な使い魔を呼び出してみせるわ!」


「大見得切った以上次こそこの子より凄い子を召喚できるのよね、ルイズ」
キュルケが嫌な笑顔でこっちを見ながら言う。
その手で撫でているのはサラマンダー、火の魔法が得意なキュルケにお似合いの使い魔だ。
悔しいけど『大物』の部類に入る。

「当然でしょ」


いよいよ引き下がれなくなってしまった。
虚栄や見栄ではなく、本当に召喚してやる!と思って言った事だったのだが
今までの十に届くであろう儀式の結果、爆発しかしていないのである。不安は拭えない。



(お願い・・・!)



強く念じて杖を上げ、呪文を詠唱する。

「宇宙の果てのどこかに居る私の僕よ!神聖で・・・美しく、そして強力な使い魔よ!
 私は心より求め、訴えるわ!・・・我が導きに応えなさい!」

何度目かの爆発、その目に見えるのは立ち上る砂塵。
その耳に聞こえるのは轟く爆音とその反響、それに続いて嘲笑。

(なんでなのよ!勉強だって、練習だって頑張ってるのに!なんでなのよ!!!)
立ったまま俯き涙が出そうなのを必死に堪える。
泣いてしまえるのならどんなに楽だろうと思う。
でもここで泣いてしまったら、心が折れてしまいそうだった。
二度と杖を握れなくなるような気さえした。


徐々に霧の深くなる彼女の心境とは真逆に、爆発で巻き上げられた砂塵が徐々に晴れていく。
そしてそれに伴って嘲笑に驚愕の声が混じってゆく。

何事か、と顔を上げて見てみれば青い雪が降っていた。
今は春である。目を擦ってもう一度見たがやはり降っている。
淡く光る季節外れの雪。
その中に細身ながらも身長190サントはあろうかという人間がいた。
フード付きの黒いマントを纏っている、メイジなのだろうか。
フードを被っている為長く延びた金髪が覗く以外は顔を見る事はできない。
しかし、明らかにこちらに対して警戒心を露わにしている。


(成功した!!!!でも・・・・・・)


魔法が成功した事は素直にうれしかった。我慢していた涙が溢れてしまいそうになる程。
しかし、人間の使い魔等聞いた事も無いし、何よりあまり体のいい物では無い。
(やり直しがしたい・・・)

コルベール先生を呼んで必死に掛け合ってみたが、結果は良くなかった。


(私だって決まり位解ってる。でも人間の使い魔だなんて・・・)


諦めに心を浸しながらも「どうしよう・・・」と頭を抱えていると、不思議な音が響いた。
ビリビリと細かく空気が震えるような、痺れるようなその音のした方へに目を向ける。
すると、フードを取っていたその人間、いや男が酷く不機嫌そうな表情で私を見下ろしていた。


「俺をここ連れてきたのはお前かよ、ガキ・・・」

(ハァ・・・、これからこれが私の使い魔なのね・・・。)
「そうよ!あんた貴族?ご主人さまにそんな口聞いていいと思ってんの?」
(これから私がご主人さまなんだから!立場の差と言う物を解らせてやるんだから!)

「どういう事だよ」

「あんたは私に召喚されたの、だから私の使い魔になるのよ!」
腰に手を当て男を指を刺し、堂々と言ってやった。

しかしその男は鼻で笑い、そして言った
「ふざけるなよ」




―――空気が変わった


男から危険な空気を感じた。
ドクン――――と心臓が強く脈打つ。
胸を抑える。


怖い。
逃げたい――――でも怖くて体が動かない。


その時、私と男の間にコルベール先生が割って入った。
何か話している。
何を話しているかなんて耳に入らない。
ただ、怖くて、あの男から目が離せなかった。

自分が情けない。
進級なんてもう無理だ。
怖い。
涙が溢れてくる。止まらない。

――――助けて。






「チィ・・・泣くなよ。うざってぇ」





ハッ・・・と我に還る。
私の頭に、誰かの手が置かれる。
優しい、暖かい感じがした。
見上げると、私が召喚したあの男。
表情が和らいでいる様に見えた。
さっきまでの危険な空気はもう感じない。

「俺はもういつ消えるか解らねぇが、お前の使い魔とやらにになってやるよ」
ぶっきら棒にそう言い放った男の表情は、困っている様で、それで居てどこまでも優しかった。





コントラクト・サーヴァントは無事済んだ。
なんと一発成功である、私だってやれば出来るんだから!
契約方法には戸惑っていたようだが、諦めた表情をした後屈んでくれた。

(何なのよ!!私がキスしてあげるっていうのにその態度は!!)
と少しムカッとしたがここは抑えた。

終えた後何か驚いた表情をしていたが、きっと左手にルーンが刻まれたせいだろう。


名前はアトリと言うらしい。
なんだか可愛らしい名前に少しニヤけてしまう。

「さてと、じゃぁ皆教室に戻るぞ」
先生の号令がかかる


「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」


みんなそう言って私を笑いながら帰っていく。

一人で歩いて帰る時間が嫌いだ。
とてもみじめな気持ちになる。
何より今は召喚したばかりの使い魔に情けない姿を見せたくない。
でも飛べないのだから歩いて帰る他無い。

「行くわよ」
使い魔にそう告げて寮へ歩いて向かう。

「お前、飛べないのか?」
(ご主人様に対してお前・・・!?)

口の利き方もそうだが、いきなり一番言われたくない事を言われて少しムッときた。
「う、うう、うるさいわね!練習中なのよ!!」

「そうかよ」
そう言うか言わないか という所でアトリは私をマントに包んだ。体が浮き上がる。

「え?」

アトリはあたしを抱いて、空に一気に上昇した。

「えええええええ~!」

みんなの姿があっと言う間に小さくなる。
私の叫び声に振り替えった人も居るみたいだが遥か上空に居る私達に気付かない様だ。
風を受けながら空を行く。
初めて空から学院を見た。
ハルケギニアを美しく照らす夕焼け。
その光を受けて森はきらきらのビーズを零したように輝いている。
私は空からの眺めに夢中になった。

「部屋、どこだよ」

もう少し空からの景色を見ていたかったが、
心無しか機嫌が良さそうな私の使い魔に、部屋の位置を説明する。
するとゆっくりと下降して、開けっ放しにしていた部屋の窓に向かう。
そして体重なんて無いみたいに、部屋の中にふんわりと降り立った。
先ほどの不思議な音を短くした様な音が響く。
どうやらこの音は彼の足音だったらしい。



「あんた飛べるの?魔法が使えるの?」
「消えちゃうって何よ!」
「あんたの足音なんなのよ!あんた人間じゃないの?」
「あんた何なのよ!」

部屋についてまずアトリに言いたかった事、聞きたかった事全て言った。
アトリはやれやれと言った表情を浮かべたが、すぐに穏やかな表情で答えてくれた。
しかし、その内容はとても信じられない物ばかりだった。

『ラクリマ』という名の異世界から来た事。
特殊な存在ではあるが、人間である事。
貴族などでは無く、軍人である事。
飛べるが、魔法は使えない事。
理由は聞けなかったが、しばらくは消える心配は無さそうである事。(しばらくって事はいつか消えるってことなの!?)

と説明してくれたが、とてもじゃないが信じられない。
しかし、足音といい姿といい、飛べる事といい。
何もかもがハルケギニアの常識とかけ離れている使い魔の姿を見ると信じる他は無かった。


―――なんて物を呼び出してしまったのだろう。
考えれば考えるほど思考の袋小路に追い込まれていく。


あー!もう!


頭を抱え髪をぐちゃぐちゃにする。
とこういう時は寝るに限る。
どんな悩み事も寝て起きたら意外と何でも無かったりする物だ。

私は使い魔に「おやすみ」と告げて夢の世界へエスケープするのだった。


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