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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-10


10,犯人は君か

お、来た来た。とスケイルは、
隠れ家付近にまで近づいている、フーケ一行を見つけた。
曾祖父から教わった数々の『術』は、どんな時でも役に立つ。
ひいおじいちゃんが嫌っていた事以外にも、たくさん。
しかし、人数が多いですよ?フーケさん。と思うスケイルだった。

「おそらく、あそこですわ」

ミス・ロングビルは廃墟を指差した。長年使われてなさそうな家である。
盗賊ギルドの凄いところで、これで案外、内装はマトモなのだ。

「なら、中に誰か入らなければならないわけだな?ミス・ロングビル」

本当にあるかどうか。そしてフーケにも気を付けなければなるまい。と、
ギトーは言った。

「それに、罠があるかもしれませんね。こうした、一見人がいない所に何か置いてある場合、大抵そういうのと一緒ですから」

と、ギトーもいるので、丁寧なしゃべり方になるマーティン。
彼は、友と一緒に幾つかの遺跡や洞窟を周り、
ある程度、冒険家としての知恵も身につけてある。

「へぇ、相棒。こういう所、良く来るのかい?」

何となく、デルフのイメージにはないメイジ像に、ああ、まぁね、とマーティンは答えた。

「では、そうだな」

ギトーがどう動くかを決める。当然、学生達はここに待機。
学院長はああ言ったが、学生達に何かあったらまずいのは事実だ。
それに、ここにいても問題は無いだろう、とギトーは判断した。
廃屋から幾分か離れているし、それに貴族の令嬢を盗むような輩なら、
既に、無謀にも突撃をかましかけた、と言うヴァリエールの跳ねっ返りは、
この世にいないかもしれん。そう思いながら。

内心フーケは安心した。子供と言うのはどう動くか分かり難い、
特にこの桃色髪は、下手すればゴーレムに突っ込んでくる。
たまたま自分以外誰もいなかったから、攻撃しただけだが、
ルイズは二人にそう思われていた。


「だが、ふむ。ああ、『雪風』の。お前は確か、シュヴァリエだったか?」

風の系統の生徒を、二つ名で呼ぶのはギトーの癖だった。
自分なりの可愛がり方らしい。
コクリと頷く。なら、マーティンさんと一緒に中に入って欲しい、
とギトーは言う。自身の考えが間違っていないなら、
あの中にはフーケどころか、罠すらない。
私は、ミス・ロングビルと共に辺りにフーケがいないか、
捜索してくる。とギトーは言った。それとルイズとキュルケに、
釘を刺すのを忘れずに。

「なぁ、ルイズ。シュヴァリエと言うのは?」

この世界の勲章や、爵位に疎いマーティンに、ルイズは簡単に説明した。
実力者。と言うことである。

「なるほど。では、ミス・タバサが後衛。私が前衛と言うわけだな」

剣を構える。急に左手のルーンが光ったかと思うと、
まるで軽量化の呪文が掛かったかのように、体が軽くなった。

「ほう、これが『使い手』という事かな?」

「さーて、どうだったかね。その内思い出すんじゃねーかなぁ?」

覚えていて、言っていないのは分かった。
意志を持つ剣は、気位の高いのが多いと聞く。
おそらく、このデルフリンガーもその類なのだろう。
認められるまで、しばらく待つとするさ。
マーティンは、また解明しなければならない事が増えて、
内心嬉しかった。

「では、参りますかな?ミス・ロングビル」

まずい、確実に私がフーケだとにらんでいる。
しかし、そんな事はおくびにも出さず、
「フーケ」とギトーは捜索に出た。

「私たちも行くかな。準備はいいかい?」

コクリと頷く。マーティンがルイズに留守番よろしく。と言って、
ソロリと足下を見ながら廃屋に近づいていく。
落とし穴等の罠を警戒しての事だ。
以前遺跡では、何でもなさそうなスイッチを誤って押して、
毒ガスが充満した部屋で、危ない目に遭ったこともある。
こういうのは、慎重にし過ぎるくらいで丁度良いのだ。
タバサは、常に廃屋の方に目を配らせながら、
マーティンの後を着いていった。


「さて――もうよろしくはございませんかな。『土くれ』のフーケ?」

ああ、やはりバレてるんですね。怪しい雰囲気を纏った若きメイジ、
ギトーに連れられて少々、学生から離れた所まで連れて来られたフーケを見て、
スケイルはそう思った。

「あの、その――なんの事でしょうか?ミスタ・ギ――」

「お芝居は終わり、と言うことですな。どう考えてもおかしいでしょう?
そもそも、貴女の性格なら、まずはオスマン学院長に許可でも取るはずでは?」

「緊急事態だったでしょう。許可でも取っていたならすぐに逃げられましたわ」

「確かに、そうですな。それは失礼。では、さっき言っていたアミューゼイとかいう、
盗賊の風貌と、どこで会ったかを教えてもらえませんかな?」

う、と言葉が詰まる。トカゲ人間で、実は会ったことないんです。なんて言ったら
確実に魔法の餌食になる。

「ええ、ここより学院側に1時間ほどの、さっき通った橋の上で、たまたま見つけたのですわ。
暗くて風貌は分かりませんでしたが、声からして男だったと思います」

なんでも、グリフォンは彼が用意したのだとか、と付け加える。

「ほう、ほう。結構。結構」

では――と言った。さっきからギトーは気付いていた。微妙に違う空気の流れに。
どうやら、何故か分からないが、自分か、『シロ』らしいミス・ロングビルを、
狙っているらしい。と、

「貴様は何だ?フード被り!!」

フーケが着ているという服装を思い出しながら、
杖を振って違和感の方へ、ドットクラスの最も弱い呪文を放つ。
敵が玄人なら、そこで留まる。完全には位置を把握していないから、
それをされるとどうしようもない。しかし、
相手はこちらにバレたと思ったらしい。経験の差だった。


な!私が気付かれているなんて。
スケイルからしてみれば、完全な不意打ちである。
気配は消しきった。音も立てていない。
自己を完全に殺していたにも関わらずバレた。
惜しむらくは、未だ彼女が本格的に、
風のメイジとやり合った事が無かったのと、
自身の隠密術に過度の自信を持っていたのが災いした。
風のメイジはある程度周りの空気の流れに対して敏感である。
それは、クラスが上がると尚顕著になる。
ギトーは高慢なだけあってか、スクウェアクラスの風使いである。
故に、奇妙な違和感として、シエスタの存在が分かってしまった。
彼女が、ギトーとマトモにやりあえば、間違いなく彼女が消される。

彼女は闇から闇へ、影から影へ入る方法を、曾祖父から教わっていた。
彼は、シエスタに自身の才能全てを、引き継がせるだけの能力がある。と考え、
自分が生きた証を残すためにも、それらを教えたのだ。
逆を言えば、白昼堂々敵を倒す方法等教わっていないのだ。そもそも、
そんな事は教えたがらなかった。唯一それで教わったのは、
ダガーの扱い方である。もっともそれも、闇に紛れて消す方法の方が多かったが。

俺の様に、快楽にのまれるな、弱き者を救うあの、モラグ・トングの連中の様になれ。殺さないのが一番良いが――
それが、ひいおじいちゃんの辞世の句であった。
故に、彼の理念を引き継いで、「闇」から「夜」へ一文字変えた組織の頭となり、
「夜」の元ネタだった伝説の男の傘下に入ったけれど――
対メイジ戦略なんて、考えてませんでした。そもそも、やり合う前に逃げますし。
そんな事を思いながらスケイルは、フーケが造ったゴーレムの肩に乗り、
危なかった。と呟いた。


サングインのバラと、いかにも家宝と言えるだろう、
赤い宝石で出来たアミュレットを手に取り、
さて、出ようか。とタバサに言ったところ、
ズシン、ズシンとゴーレムが外で歩いていた。
しかも手にはロングビルが捕まえられている。
肩には、おそらくフーケなのだろう、女性らしきフォルムのそれは、
笑っているらしかった。本人は単に普段と違う景色を楽しんでいるだけだが。

「しくじった!フーケめ。ミス・ロングビルを狙っていたらしい」

彼女は平民だから、捕まえても問題は無いと判断したのだろう。
なかなか出来る盗人らしい。とギトーは言った。

「どうしますかな?ミスタ・ギトー」

「当然、助ける。私と共にいて盗賊に連れ去られました。等、口が裂けても言えんからな」

不敵に笑う。何か策があるらしい。

「マーティンさん。剣の腕前の程は?」

「ダガーでミノタウロス2体を切り結んだくらいでしょうか」

負けじと不敵に笑う。ちなみに、一体は友が弓か魔法で倒した。

「結構。時間を稼いでくれますかな?こちらの呪文は、少々唱えるのが長くて困りますからな」

剣を構え、走る。牽制代わりの氷の魔法を放つが、ゴーレムにはまるで効果が無い。
下手に範囲を広げたら、ロングビルまで巻き込んでしまう。
うかつに高威力魔法は、使えなかった。

「『雪風』よ、お前ならこの展開、どう凌ぐ?」

桃色と赤色の二人が慌ててギトーに駆け寄る中、タバサは答える。

「撤退。状況的に助けられない」

土のゴーレムは一度造られると面倒なのだ。
術者をどうにかすれば良いが、一々フーケは、自分の目の前当たりに
ゴーレムの腕を造り、そこにロングビルを捕らえている。

「駄目だな。貴様はまだまだ『風』を知らん」

カチンと来たらしい。何も言わないが、恐ろしく冷たい目で見る。
ちょうど、二人がギトーの元へ来た。

「ああ、来たか。お前達も見ていくと良い。では、教育してやろう。本当の『風』使いの戦い方という物を」

杖を出し、ニィとした獣の目でゴーレムとフーケを見やるギトーであった。


「なかなか精を出しますねー皇帝陛下」

のほほんと、かつ小さな声でフーケに話す。

「あいつが、あのマーティン・セプティム皇帝だったのかい!?てか、それなら何だってあんな小娘と?」

俺の妻を助け、俺の街を守ってくれた。と事あるごとに言っていた彼。
ギルドマスターグレイ・フォックス。恩義には熱いらしく、シエスタが、
それっぽい人が来たとマジックアイテムで連絡すると、
一晩で学院に潜り込んだ。元々、ヴァリエールのお嬢さんが、何か『虚無』っぽい。というのは、
盗賊ギルドの一部では良く言われる噂話だった。爆発しかしないって、
逆に凄くないか?という訳である。ミス・ノクターナルも呪文が使えなかったため、
そういうのもあり得るのだろう、とグレイ・フォックスは言っていた。
ちなみに、フーケはそこら辺の事は知っていたが、別段その為に入ったのではなく、
純粋にお宝目的である。『虚無』とか普通、盗賊にはどうでも良い事だ。

「さー?全部終わって、死んでしまったらこっちに来た、って言っていましたけど」

んじゃここは死後の世界なのかい?そうなんじゃないんですかー?
下では、必死で人が戦っているのに、のんきな物である。


「相棒、右だ!」

足が振り下ろされる。動きこそ緩慢だが、一撃当たれば致命傷は免れない。
30メイル上空では、よもや女の世間話が花を咲かしているなど思うはずもなく、
マーティンはギトーの為に、時間稼ぎとして、振り下ろされた足に、
剣を叩き込んでいる。錆びているのだ。切ろう等とは思ってはいけない。

「やれやれ、まるで素手でゾンビでも相手にしている気分だよ」

アンデッドは再生能力があるからね、こいつみたいに。と剣に軽口混じりで話す。
叩いても、叩いてもすぐに土が盛り返す。氷呪文を唱えるものの、低い威力では
一部が凍るだけだ。すぐに元に戻る。炎は土に効果が無いし、雷撃は吸収して地下に潜る。

「時間稼ぎなんだろ?そんでもって、何しでかすのかねぇ、あのメイジ先生は」


ギトーが楽しそうに喋ろうとするのを、ルイズは必死に止めていた。

「さて――この風のスクウェアスペルである『遍在』だが」

「いや、先生。喋らなくていいですから。マーティンがマズイですから!!」

と、ルイズに言われ、ん、と作り出した方でマーティンを見る。

「まだ、息は上がっていない。なるほど、どうやら本当にダガーでミノタウロスを殺ったらしいな。見事な腕前だ」

いやいやいやいや、とルイズが止めに入る。とりあえず黙れ。と言われた。
何でだろう。私普通だよね?とキュルケを見る。うんうんと彼女は頷いていた。
タバサは失望していた。こいつが言っていた『風』の戦い方とは言われなくても分かる。
遍在による多重攻撃を仕掛けるという事だろう。しかし、なら、せめて三体は出せ。
たった一体出して何になるのだ――


「何もならん。そう思うから、お前はまだまだ『風』を知らんのだ」

見透かされただと!こいつは一体何を考えている。
実は自分も師匠に教わったときにそう考えていただけだが。
そして、その師匠にも同じように言われた。
おそらくあの人もそうだったのだろう。

「風は矛にも盾にもなる。そして、自身の分身を創ると言うことは、こういう事も出来ると言うことだ!」

彼が、風しか知らないのには訳がある。生涯において絶対に越えねばならない存在が、この国にいるからだ。
生きた伝説『烈風』。若き日の彼(女だと知らない)はまさしく敵なしであったと聞く。
唯一彼と一騎打ちで戦い、生き残ったのはゲルマニアの傭兵だった。しかも、ただの平民上がり。
未だゲルマニアで一度限りの、烈風神話を打ち破る話だが、しかし、彼はこう思った。
ならば、私が次の伝説になってやろうではないか、と。
ならば、私こそが最強の『風』になってやろうではないか、と。

永遠に続くかのような、恐ろしいまでの修練の末、ついに、
彼は、教わったそれを進化させた。
遍在との合体魔法、風を合わせた最強呪文を。
一日にたった一度しか使えぬ、しかし、確実に敵を穿つ呪文。

「思い知れ。これが、オクタゴンスペルだ!」

『風』の八乗の呪文。長々と唱えるのは、スクウェア二つでは比べ物にならない程の、一撃必殺。
今度二つ名を変えるときは『暴風』にしよう。そうギトーは思っている。


「マーティン、マーティン大丈夫!?」

突然後から爆風が吹き荒れたと思ったら、いつの間にか気絶していたらしい。
ルイズの声で目が覚め、辺りを見る。惨状だった。
小屋が消え去っている。辺りにあった森の一部が完全になぎ払われていた。
ゴーレムは上半身どころか完全に破壊されたのだろう。自分が生きている理由が欲しい所だった。

「え、ええと、ルイズ、これは一体?」

そこでのびているミス・ロングビルを、アレはだめだ、
色々な意味で。と思いながら介抱しているタバサを見て、
マーティンは聞いた。ギトー先生がやったんだそうだ。当のギトー先生はと言うと、
気絶して、ツェルプストーが介抱しているらしい。惚れたんだそうだ。威力とかに。

「ああ、もう、風が最強だの、どうのでお母様とやりあいたいなら、いつでもいらっしゃればいいのに!」

こんな危ない呪文使わせる前に、杖取られて終わりよ普通!と、ルイズは完全にギトーが忘れていた欠点を指摘した。


「はぁぁぁ。生きているって、こんなに素敵な事なんですね、ひいおじいちゃん…」

以前、日の当たる世界での生をとても感謝しながら、ぶどう畑で働いていた曾祖父を思い出した。
勘だった。ここにいたらヤバイと、フーケもスケイルも気が付いた。
瞬間的に呪文を解き、土の防壁を造る。フーケはそうした。結果マーティンも助かった。
スケイルの場合、さらに勘だった。どっちに来るか、である。
右を選択した。だから左に飛んで逃げた。ありがたいことに当たりだった。それだけである。
二分の一で今頃粉みじんになっていただろう。やれやれ、割にあいませんよ。
とため息を付きながら、メイド服に着替えて、シエスタは学院に戻るのであった。


「おお、ありがとう。ありがとう…大丈夫かの、皆?」

一人が余計にやってくれたお陰で、
大分と疲れるハメになった皆は、一人以外首をブンブンと横に振った。
帰り、ロングビルが目を覚まさないため、
代わりにマーティンが馬を引いていた事もあって、
疲れていない人など赤い髪の女性以外いなかった。
ちなみに、ギトーはまだ寝ている。この野郎。

「まぁ、杖もアミュレットも戻って良かったわい。これわしは着けられないんじゃけどな」

そう言って、アミュレットを首にさげようとすると、
まるで嫌がっているかのように、手からすべり落ちた。
遺言で付けられる人がいたら、持ってってもらえと、
親父に言われたんじゃけどなー、と笑っている。

あ、マーティンはあの「赤さ」を何処かで見たのを思い出した。
いや、というよりも、もしかしたら着けられるかもしれない。
しかし、あれは壊した。いや、私も生き返ったからアレも生き返るのだろうか?
オスマンから借りて、首からさげる。何の問題もなく通った。

「おー?それ、そっちの物じゃったのか?このバラの杖みたく」

「え、ええ。その、私の家宝にも、似たような物があったなー、なんて思い出して」

さて、これが何かは分かった、しかし、オスマンさんは家宝と言ったのだから年代は古かろう。
なら、何故これがこんな所に、というよりアカトシュよ、貴方様はここで何をしたのですか。
誰に言う訳でもなく、マーティンは心の中で竜の神を問いただした。
これは、間違いなくアカトシュによって作られた「王者のアミュレット」と同じ品。
持ってってえーよ。君じゃし。飯美味かったしの。と快く頂いたマーティンであった。




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