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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-08


8.悩みの種は喋る剣

わいわい、がやがや。トリステインの城下町を二人は歩いている。
二人とも、馬に乗るのは慣れていたので、何処かの誰かのように、
腰を痛めたりはしなかった。

適当な服屋に入って、衣装を買う。ルイズは、お金はある。
と言って、いかにも彼に皇帝とした服を買おうとしたが、
いやいや、頼むから待っておくれ。とマーティンが止めた。

「司祭で通っているのだから、それらしい服装の方が良いだろう?」

と言うマーティンに、しぶしぶそれらしい、控えめなローブを何着か買った。
んー、とルイズはうなる。せっかく来たのだからマーティンが好きそうな、
「何か」を買うべきだろう。しかし、何が好みだろうか。

「ダガーナイフとか、ダメだろうか?」

あなた、メイジなのにそんな物を使うの?と尋ねるルイズに、マーティンは言う。

「価値観の違いだよ。価値観の。忘れたかい?それに、案外手慣れた物でね。
物によってはミノタウロスも倒せる。かもしれないな」

「またそんな事言ってー」

ルイズは本気にしない。いざとなったら彼がどれほど強いかを、まだ見ていないからだ。

「しかし、精神力か、それが切れた時の防衛手段は必要だ。ただ、倒されるくらいなら一矢報いるくらいが、ちょうど良いとは思わないか?」

正論であった。それに、まだお金は残っている。なら、武器屋に行きましょう。
そうルイズは言って、雑踏の中に入り込んだ。


「あーあー、やってらんねーな」

「とりあえず、落ち着けや、なぁデルフ」

そう言って笑う男は、どこにでもいそうな武器屋の亭主だった。ちなみに、話相手は剣である。

「ったくよぅ、何で俺を使うのがメイジなんだー?ありえねーぜ、おい」

彼の店もまた、影に味方している。つまり、そう言うことだった。

「しっかしながら、お前、伝説のガンダールブの『左手』だったのか。
俺の若い頃、お前のお陰で色々世話になった。今更だが、ありがとうよ。良い夢、見させてもらったぜ」

「へ、よせやい。今更んなこと言ったって、何も始まらねーよ」

店主は傭兵だった。もう戦うことが出来なくなった後、
首都に一軒の武器屋を構えて、商いを始めたのだ。
デルフリンガーとは、互いに命を支え合った相棒である。
研究目的で、3000エキューで買おうとするメイジにも、帰っていただいた。
そんな仲だった。

「何か涙出てきやがった。くそぅ」

「おいおい、ばらしたらだめだろそこは。お、そろそろ来るみたいだぞ?じゃ、前言ったとおりにな」

そう言って剣は黙る。ああ、と商人は涙をぬぐい、努めて明るく振る舞う。
客が来た。こちらが何かいう前に、そっちの男が言った。


「すいません。ダガーナイフ下さい」

「へいへ…」

間違いなくこいつだ。昨日来たあの『やり手』の手紙には、桃色髪の貴族娘同伴。と書かれていた。

「旦那様、大きな剣とか、ご入り用では――」

「置く場所もないしね。それに、すぐ取り出せるように、常に身につけておきたい」

それにああいうのは高い。と笑って言う。

「では、あー、こういうのは、いかがでしょうかね?」

さっと鉄のダガーを取り出す。どうしようか、筋書きが全く違う。
デルフを見る。何とかしてくれ、と剣は言いたそうだった。

「ふむ、悪くはない。もう少し見せてもらってもいいかな?」

「いえね、お客さん。もしかして貴族様か何かで?」

この姿でよく分かるね、とマーティンは言う。
ルイズはあまり分からないので、店の中を歩いていた。

「まぁ、この国でもメイジらしいから、おそらく私もそうなるのだろう。それが何か?」

「ええ、いえね。そんな異国のメイジ様なら、喋る剣とか、いかがかと思って」

そう振るのか?――背に腹は代えられねぇ。違うか?
結構な間に培ってきた友情は、言葉を交わずとも話す事が出来るようになっていた。

「喋る剣!?本当にあるのかい?しかし、高そうだな」

「はん、誰がてめーみてぇな野郎に使われてやるもんか」

いいぞ!デルフ――へへっ、あたぼうよ。
もうこの剣は、この商人の物にしておけばいいのではないか、というぐらい馴染んでいた。

「おお、本当に喋る。意志のある剣なんて聞いた事はあったが、しかし、ふむ…あ、すまない。これはいくらかな?」

「100エキューで結構でさ。いつもいつも、そうやって客に無駄口叩きやがるもんですから、客足が遠のいていけねぇ」


勿論、値段なんて付けられないが、今後、彼にとって必要となるのだろう。
ちゃんと見送らなければ。そう商人は思い、破格の値段を付けた。
マーティンが手に取る。剣が、何度も練習してきたあのセリフを言う。

「おでれーた。見損なってた。てめ『使い手』か」

うん?と男は手に取った剣を見る。さび付いていたが、どうも、普通のサビではなさそうだった。

「『使い手』とは…?それに、君の名前は何かね、剣君。私は、マーティン・セプティム」

「何だったっけなぁ。なんせ、長い時間生きてるんで忘れっぽいのよ。おれの名はデルフリンガー。よろしくな、相棒」

ルイズ、これを買ってもいいかい?と、その男は言った。金は貴族のお嬢さんが握っているようだ。
どこかで見たことあるような。そう商人は思った。

「さびてるじゃない。たしかに、あなたのところじゃ、しゃべるの珍しいかも知れないけど、もっと綺麗なの買いましょうよ」

俺たちの努力無駄にするんですかい?と、すこし商人と剣は悲しくなった。

「いや、いや、ルイズ。その意見は的はずれだ。しゃべる剣が普通なはずないじゃないか。
珍しい。どういう構造なのか調べてみたい…ダメかい?」

なんでこう、皇帝なのにねだり方が上手いのだろうか。
そう思いながら、ルイズはいくつかの鉄のダガーと共に、そのさびた剣を買ったのであった。


「毎度ありー」

デルフの鞘を渡し、扉から出て行く二人を見続ける。二人が出て行くと共に涙が、溢れる。

初めて会った時、珍しいからと買ったあの日。そういえば、俺も奴を100エキューで買った。
あの日売ってくれたじいさんも、俺みたいなのだったのか。それからあれで戦場を周り、
そして、認めてサビを取ってくれた。野心のままにゲルマニアへ赴き、
トリステインとの国境沿いで、烈風と死合いしたあの最高の一戦は今でも忘れられん!
ついには、あの、まさか女とは思っていなかったが、それと引き分け、最高のメイジ殺しとして名を馳せた。
傭兵としての最高期は過ぎ、やがて、歳を取り、デルフを振るえなくなって泣きそうになった傭兵晩年期。
そして、隠居してここに武器屋を構え、あれとたわいなく、くっちゃべっていた――
誰もいないのだ。泣いていいじゃないか。と表に店じまいと出して、一人、カウンターで泣く。

「行かれたのですね」

いつの間にか、影の君がそばに立っていた。

「おお、ミス・ノクターナル。ええ、行きやがりました。あいつ、俺の手を離れて…」

肩を優しく叩き、麗しき君は店主をぎゅっと抱きしめる。

「どうぞ。私はただの影ですから。ここには誰もいらっしゃいません」

大きな声で、泣いた。よしよし、と影の影は頭を撫でる。
まるで、全て包み込む暖かな風のように。
こうして伝説は受け継がれる。人から人へ。新しい、時代の風に乗って!


鼻歌でも歌いそうな気分で、色々と質問をデルフにぶつけるマーティン。

「いや、だからさ相棒。6000年生きてても覚えてない事は言えないって」

「覚えていない、か。何かショックでも与えれば思い出すかも知れないな」

ショック?物騒な事をいう新しい相棒はちょっと怖い。そんな感想を思いながら、
敢えてどのようなショックが入るかは、聞かなかった。怖かった。うん。
そんな事はつゆとも知らずに、マーティン達は学院へと帰るのであった。


「エレーヌ。エレーヌどこー?」

可愛らしい声で、大きな廊下を走りながら、青い髪の女の子が言う。
にぱーっとした顔で、件の「エレーヌ」は近くの扉から出てきた。

「あそぼ。おねーちゃんとあそぼ」

その特徴的な青い髪を持つ、ガリア王家の麗しき姫君達、といってもまだ幼く、
可愛らしい子供、と言うべき二人。

「お二人とも!お勉強の時間は終わっていませんぞ!」

執事のペルスランが言った。おねーちゃんは舌を出す。

「ばーかばーか。ぺるすらんのばーか」

「馬鹿で結構!全くまたどこかの使用人からその様な事を…イザベラ様、貴方は――」

「バーカバーカ」

「エレーヌ」まで言い出した。ああ、もう。と思いながら二人を諫めるペルスランであった。

珍しく、虚無の曜日に、友人が何もねじ込みに来なかった。
いつの間にか、本を読みつつタバサは眠っていたらしい。学術書は眠くなる。
昔の夢を見ていた。楽しかった夢。いつからだろうか、彼女が私を嫌いになったのは。
何故かは知っている。魔法だ。私は使えて、彼女は使えなかった。
それだけだった。でも、皆にとってはそれだけじゃなかった。
そう言えば、何をしているのだろう。とタバサは思う。
学院に入ってからという物、全く呼び出されていないのだ。
元気だといいのだけれど――また会って物投げられるのは嫌だな。と思い、
口直しにイーヴァルディの勇者を読み始めた。


土くれのフーケ、と呼ばれている盗賊がいる。
ちょっと前まで盗賊業界では人気者だった彼女だが、最近、どうも落ち目である。
強力すぎる。というより、ありえぬ神業を持った男が現れたからだ。
その名は、グレイ・フォックス。勘違いしないで欲しいが、決して痛みを欲したりはしない。

フーケと違い、名前も、派手な大立ち回りもしない。むしろ、それを良しとしない。
にも関わらず、いつの間にか誰も彼もが口にする。彼の名を。
物乞いを使えよ、お前は。とフーケに彼は言って笑った。自分の腕を自慢する、名前残しは2流だ。
物壊して逃げるなら3流だ。いつの間にか物を取って、誰かに噂を流させて、初めて1流。と言って。

「あんな事いわれちゃあ、やっちまってはダメなんだろうがねぇ」

どうしても、扉が開かない。アンロックの魔法は使えないし、ピックは前に全て壊した。
ちなみに20個。難易度は簡単なはずである。いい加減オスマンのセクハラがウザイし、
潮時だと思ったのだ。と、いう訳で、土のメイジの本文を発揮しようと塔の壁を歩き、
固定化が弱くなっているところを探す。魔法なんて人が掛ける物だ。
ある程度の均一化は図れるが、それは完璧ではない。ほころびはある。
コツッと、他とは違う感覚を足の裏に感じる。にぃと笑う。

「ようやく、おでましかい。ほころびさんよ」

位置を記憶。杖を握り、ゴーレムを創りあげる。

「さーて、さて、ほんじゃま、始めますかね!」

飛び退き、一撃の下にほころびを叩かせる。思った通り、穴が開いた。
さて、さて、あの二品はどこですかねー。と穴に潜ると、はて、何か様子がおかしい。
何か先に物取りに入られた所に入ってしまった、ヌケサクと言うか。そんな感じだった。

「遅かったな」

妹が召喚した男の声を聞く。あれ?おかしいなー、
今、こいつはトリスタニアにいたのではなかったか、と思う。

「あまりに、アレ過ぎる。お前は。監視は気付かないは、後片付けはしないは。本当に盗賊やる気――あるのか?」

えげつない言いようだった。というか監視って何。誰かいたのかい、そんなの?

「ああ、もういい。とりあえずめぼしい物は全て盗ませてもらった。後はお前が欲しがってる二品くらいだろ?」


おお、流石はギルドマスター。話が分かる。と、一々ガラス内に展示されているお目当ての品を取った。
さて、行くぞ。とマスターがフーケのゴーレムに乗り込もうとしたとき、
たまたま、帰ってきたルイズ達の攻撃を受けた。別段どうと言うことはないが、
下手に動くと下の桃色髪が死にかねない。マーティンはとりあえず距離を置くために、
ルイズをゴーレムから引き離そうとしている。

「どうすんのさ、マスター?」

「こうする」

右手を掲げる。どこからともなくグリフォンが現れ、二人の前に止まる。
乗れ!と格好良く言うグレイ・フォックスの後に座り、グリフォンは空へと舞う。

「さて、ギルドマスターから、お前に任務を授けたいと思う。やるよな?拒否権ないからな。今のお前には」

ようやくあたしを認めたね!さーどんな事でも聞こうじゃないか!
グリフォンの後で、そう活気づく。フォックスは切れた。

「その二つ。お前が盗んだことがバレないように返して来い!!!この愚か者が!」

出来ないからって物壊す癖やめろ!と怒っている。あうぅ、と妹には見せない仕草でさめざめと泣く、
ロングビルこと土くれのフーケ、またの名を、マチルダ・オブ・サウスゴータであった。




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