あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

プレデター・ハルケギニア-23


ルイズ達が立ち去った後の廊下。暗い廊下の所々から浸水した海水に水滴の落ちる音が響く。
不意にその廊下に大きな着水音が響いた。あの『破壊の銃』で天井から大穴が開いた箇所だ。
そしてその着水音の主はゆっくりと、そして力強い歩幅で水浸しの廊下を進んでいった。
歩くたびにその巨大な足に細い電流を纏わせながら。


ルイズ達が甲板に出ると途端に強い雨に打たれた。
荒れ狂った海原からは大波が打ち寄せルイズ達に飛沫が降りかかる。

「姉さま、どうすれば!?」
「今、竜を呼ぶわ!」

そう言うとエレオノールが指を咥え口笛を吹いた。
竜は亜人に屠られた他にももう一頭連れてきていた。
船から鎖に繋がれた竜は口笛の一つですぐさまやってくるはずだ。
後は魔法で鎖を外してやればいい。

口笛を吹いて数秒、羽音がした。この力強い羽ばたきは紛れも無い竜の物だ。
一同が希望を湛えた眼差しで空を見上げる。そこには確かに竜の影が見えた。
そしてもう一つ、竜にまたがる人影を。

「遅かったな!悪いがこいつは俺が使わせてもらうぜ!」

竜に跨りながら先程の隊員がニヤリと笑いながら言い放つ。

「このッ……!」

エレオノールが顔を歪ませ歯噛みする。
一同の顔は再び絶望の色へと染まっていた。

男が手綱を振り竜が空高く舞い上がった。
その時だった。舞い上がった竜の頭部に何かが被弾し頭部を木っ端微塵に吹き飛ばしたのだ。
ルイズ達は見た。巨大な竜の頭を粉々にした青白い光弾を。

海へと落下する竜の死体から素早く飛び上がり隊員は甲板へと舞い戻った。

「クソったれ!……貴様等か!?よくもやってくれたな!」

隊員が怒りに身を震わせながら一同に向かい杖を向ける。
その時、一同の視線はもはや隊員を見てはいなかった。
彼のすぐ後ろ、彼がまだその存在に気づいていない彼を遥かに上回る圧倒的な存在を。
一同の顔は更に絶望の色を濃くしていた。

「何だってんだ!ふざけやがってこのッ……」

彼の言葉はそこで途切れた。巨大な黒い刃によってその体は胴から真っ二つに切断されたからだ。
生き別れとなった胴と脚が血を噴出しながら甲板に崩れ落ちる。

隊員の胴を踏みつけそれは一同の前に出た。右手に持たれた巨大な一枚刃の武器を収縮させ背中へと装着する。
鋼色のマスクの細長い眼が一同を見据える。亜人はその装備を自身の体に取り戻し再びルイズ達の前へと立ったのだ。


「クッ!」

エレオノールが亜人のあの装置を身構えたその瞬間だった。
亜人の肩の銃は火を吹き青白い光弾を発射した。それは真っ直ぐにエレオノールへと被弾した。
甲板に小さく爆発音が響く。

「グゥゥッ!?」

エレオノールが苦痛に表情を歪めながら呻いた。

「姉さま!?」

慌てて駆け寄ったルイズの足に何かが当たった。
その正体を確認しルイズは驚愕した。
床に落ちているのはあの装置を握ったまま吹き飛ばされた実姉の右腕だった。


エレオノールの右腕は肘からあの光弾によって吹き飛ばされてしまったのだ。
血管ごと焼き切れてしまったのか出血は殆ど無い。しかし痛みは想像を絶する物だった。

「ウワァァッ!!」

うずくまる姉と自身の目の前に落ちている腕を見て、ルイズは咆哮と共に手に持った剣で亜人へと飛び掛った。

「バカ、やめろ!」

ルイズに握られた剣が叫ぶ。飛び掛ったルイズの剣は亜人の胸部へと振り下ろされた。
しかしそれは亜人の体に触ることはなかった。剣が当たるよりも先に亜人の裏拳がルイズの頬を捉え
ルイズは一直線に船べりまで殴り飛ばされた。船べりに叩きつけられルイズはそのままその場にぐったりと倒れこんだ。


殴り飛ばしたルイズには眼もくれずに亜人はエレオノールへと歩み寄る。
吹き飛ばされた腕を爬虫類のような手で拾い上げると装置を手から引き剥がし
腕を海原へと無造作に投げ捨てる。

装置を大腿部に装着すると亜人の右腕から鉤爪が伸び、左手がエレオノールの髪を握りしめ引っ張り上げる。

その光景を見ながら、テファニアは動けなかった。逃げる場所も無くただその場に腰を抜かして子供たちと共に座り込むことしかでき無かった。
あまりの恐怖と絶望に逃げることも立ち向かうことも出来ない。

(ここまで……かしらね……)

エレオノールが諦めたような表情で亜人の鋼色のマスクを見る。

亜人が鉤爪を振り上げる。その時だった。
不意にどこからか青白い炎が飛来し亜人の肩部に直撃した。

左手にエレオノールを持ったまま亜人が喉を鳴らしながら振り向く。

その時その場にいる全員が大きな羽音を聞いた。
再び、力強い竜の羽音を。

船の上空には竜籠に乗ったコルベールとオスマン、シルフィールドの背に乗った
キュルケ、タバサ、ギーシュがいた。

竜籠からコルベールが甲板に降り立つと他の者も一斉に飛び降りた。

「ルイズ、大丈夫かい!?」
「……ギーシュ?それにみんな、先生たちまで!」

ギーシュがルイズへと駆け寄り肩を貸す。

「船が落ちたって街の方で大騒ぎになったんだ。もしかしたらと思ってね」

二人が話している間にもキュルケ等がテファニアと子供たちを竜籠へと誘導している。

そしてコルベールとオスマンは亜人の前に立ちはだかっていた。

「その女性から手を離すんだ!」

コルベールが亜人に杖を向けて叫ぶ。
しかし亜人を睨みつけるコルベールを制するようにオスマンが手を上げつつ前に出た。


「下がっていなさいミスタ。勝てる相手では無いぞ。君が一番よく知っておろう」

オスマンの言葉にコルベールはあの日の事を思い返す。そして自身の腹部で未だ生々しく残る傷を。

「しかし学院長……」
「下がりなさいミスタ・コルベール!」

食い下がろうとしたコルベールをオスマンが一喝した。

突然の一喝に唖然とするコルベールを尻目にオスマンが更に前に出る。
同時に亜人の肩の銃がオスマンへと狙いを定め、オスマンの額に赤い光点が揺らめく。

その時、不意にオスマンが奇妙な行動を取った。
自身の右腕の袖を巻くし上げ腕を露にしたのだ。

「60年前のあの日、君らにも話していないことがある」

オスマンがエレオノールを見つめながら言う。

その右の前腕部分には奇妙な物があった。何か火傷で爛れたような跡が模様のように刻まれているのだ。
亜人はそれを見ると驚いたように喉を鳴らした。

「私の話を聞いてくれるか?戦士よ」

オスマンが亜人の眼を真っ直ぐに見据えながらそう、問うように言い放った。
亜人は数秒程オスマンの右腕を見つめるとエレオノールを甲板へと放り投げた。
同時にオスマンの額から光点は消滅していた。



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