あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

スナイピング ゼロ-15



トリステイン魔法学園、本塔と火の塔の間。地平線の向こう側に、夕日が沈もうとしている時刻。
教師になって二十年になる炎蛇のコルベールは、研究室である小屋の中で、椅子に座って寝息をたてていた。たまに
「ぐふ、お年寄りがねぇ~・・・むにゃむにゃ」
 と、何の夢なのか分からない寝言を漏らしている。

 研究と発明で疲れ切った体を休ませている時、小屋の窓がガタガタと震えだした。その音に気付いたコルベールは、
瞼を擦りながら立ち上がる。
「・・・何事かな?」
 寝惚けながらも扉を開け、周りを見渡す。聞こえてきたのは、聞いた事の無い異様な音。しかも、その音は大きく
なってきている。余りの轟音に、手で耳を塞ぐ。
「なんなのですか、この音は!? 鼓膜が破れそうですぞ!」
 更に音が大きくなった時、音を発する物の正体が見えた。

 それは全体を黒く染めた、空飛ぶ物体。頭に付いた細い棒を、目に捉えられないほどの速度で回転させている。
その物体は腹の辺りから黒く丸い物を出すと、コルベールの目前に着陸した。離れた場所に、ウィンドドラゴンも着陸する。
 呆然としていると、脇腹の部分が開き生徒達が出てきた。

「凄いわね、タルブから学園まであっと言う間じゃない!」
「まさか本当に空を飛ぶとは思わなかったよ、竜騎士すら相手にならないだろうね」
 ワイン入りの袋を背負ったキュルケとギーシュが、嬉しさと驚きを混ぜた顔をしながら地面に降りた。地に足をつけた
キュルケがバランスを崩した所を、隣を歩くタバサが支える。

「あぁ、ごめんねタバサ。ちょ~っと飲み過ぎちゃったみたい」
「・・・みたい、じゃ無い。あきらかに、飲み過ぎ」
 タバサの目には、顔を真っ赤にしたキュルケが映っている。背負っている袋には、空になった瓶が一本入っていた。
帰りの道中に、少し味見したようだ。そんな生徒に、コルベールが話しかけた。



「え~と・・・君たち、これは一体なんだね? 出来れば、私に説明してほしいんだが」 
「私が説明するわ」
 左側の操縦席からリップが降りると、コルベールに説明を始めた。反対側の右側からセラスが降りると、背中に背負った
デルフリンガーから乗り心地を尋ねられている。説明を聞き終えたコルベールは、激しく知的好奇心を刺激された。

「これが君たちの世界では普通に飛んでおるのか、実に素晴らしい! 出来れば、今から私を乗せて飛べないかね?」
「え~とですね、実はその件に関してコルベールさんにお願いしたい事がありまして・・・」
 困った顔をしたセラスが、コルベールに説明を始めた。


「なるほど、この液体と同じ物を作る事が出来れば『ヘリコプター』は飛ぶんだね」
 小屋の中で、コルベールは小さなコップを持っていた。その中には、ヘリの燃料タンクから取り出したガソリンが入って
いる。臭いを嗅いだコルベールは、口を抑えて咳をした。セラスはコルベールの背中を摩る。

「あぁ、すまない。それにしても、温めなくともこのような臭いを発するとは、かなり気化しやすいようだ。爆発した時の
威力は相当なものだろうね、取扱いに注意しなくては」
「それで、どうでしょう・・・調合できますかね?」
 両手を擦り合わせながら、セラスは尋ねる。机に置かれた羊皮紙になにやらメモすると、コルベールは振り向いて笑顔を
見せた。

「出来ると断言は出来ないけど、なんとかやってみるよ」
「お願いします」
 ペコリと頭を下げ、セラスは部屋を出ようとする。そこへ、コルベールが声をかけた。

「セラス君、ちょっと質問があるんだが」
「あ、はい。なんでしょう?」
「君の故郷、英国と言うんだったね。そこでは、あのヘリと言う物は普通に飛んでいるのかね?」
 どう返答するか考え、セラスは取り合えず頷く。
「英国と言うか、世界中でヘリは飛んでますね。あとヘリの他にも、飛行機とか気球とか色々と」
「他にも飛ぶ物があるのかね? 君の世界では、本当に変わった世界なのだね」
 (コッチの世界の方が何倍も変わってますよ)とセラスが思っていると、背後で扉がノックされた。


「鍵は開いてるよ、入りなさい」
 コルベールが言うと、ゆっくりと扉が開かれた。隙間から顔を覗かせたのは、始祖本を持ったルイズだった。
セラスを見つけると、こっちに来いと手招きする。セラスが近づくと、耳元でボソボソと喋りだした。

「帰って来たなら主人に報告ぐらいしなさいよ、心配したじゃない」 
「す、すいません。ちょっとコルベール先生に頼み事をしたかったもんで・・・」
「ふ~ん・・・所で、リップはどうしたの? 姿が見えないけど」
 小屋の中にリップがいないのを確認したルイズが尋ねる。

「リップさんなら、ちょっと用事があって外出しました。日が沈むまでには帰るって言ってましたよ」
「用事?」
 不思議な物でも見るような目で、ルイズは頭を捻った。


リップバーン・ウィンクルは、魔法学園の外に広がる森の中にいた。折り畳み式の椅子に座り、丸型テーブルを挟んで
一人の女性と向かい合っている。女性の後ろには車両が停められており、仲間の人間が周囲を警戒していた。
リップは椅子から立ち上がり、女性に右手を差し出した。

「ようこそ、異世界の国へ。この旅は急な依頼に答えていただき、誠に有難うございます」
 女性は椅子から立ち上がり、リップの手を優しく握り返す。
「初めまして、リップバーン中尉。この旅はHCLI社に依頼していただき、感謝いたします」
 手を離すと同時に、横から眼帯を付けた黒髪の少女が現れた。ファイルから一枚の紙を取り出し、テーブルに置く。
女性は懐からペンを取り出すと、リップに手渡した。

「そちらが受領書となっています、内容の確認を。間違いが無ければ、サインを願います」
 さっと目を通してサインすると、リップは受領書を女性の側に戻した。女性は後ろに佇む白髪の男に手で合図すると、
テーブルに置いてあったペットボトルを手にした。表面には英語で『コカコーラ』と表示されている。

「なあ相棒の相棒よ、この女達は何者なんだい?」
 デルフリンガーが相手に聞こえないよう、ボソリと尋ねる。
「政府上層部や情報機関との関係を駆使し、合法・非合法を問わず武器を売る・・・死の商人よ」


振り返らず、リップは質問に答える。デルフは黙って、白いコートに白い髪の女性を見つめた。そして、テーブルの上に
置かれた箱に視線を移す。中には、ハルコンネンに使用する30mm弾が半分ほど入っている。

「なるほど。相棒が使ってる銃の弾はハルケギニアでは手に入らないから、売り手を呼んだって訳かい」
「その通り」
 一人と一本が話している間に、白髪の男が箱を抱えて戻って来た。テーブルの上に置き、蓋を開ける。中には30mm弾が
ぎっしりと詰め込まれていた。

「お求めの劣化ウラン弾と徹甲弾、確かに受け渡しました」
「感謝いたします、白き御嬢様」
 リップは再び立ち上がり、一礼した。その姿を、女性の隣に立つ少年がじっと見つめている。
その後ろでは黒髪の少女が手で煙を扇ぎながら、煙草を吸う白髪の男に怒鳴っていた。

交渉を終えたリップは、魔法学園への帰り道を歩いていた。右手に弾薬箱を、左手には女性から渡された名刺を持っている。
なんと書いてあるのか?とのデルフの問いに、リップは名刺を見つめながら答えた。

『HCLI社ヨーロッパ・アフリカ兵器運搬部門 現場担当 ココ・ヘクマティアル』
下の方には *(ハルケギニア大陸も担当いたします) と、書き足されていた・・・。


「と言う訳で弾薬の補充は可能よ。ご理解いただけたかしら、前スレ>>834と>>835のお二人さん?」
「リップ、誰に話しかけてるの?」
 棺桶に座って壁に話しかけるリップに、ルイズはツッコミを入れた。
 時刻は夜、明日に備えて眠る時間。ルイズはベットに座り、ブラシで髪の癖を直している。弾薬箱の中を見たセラスは、
驚いた表情をリップに向けた。リップは軽くウィンクした。

「良かったな相棒、これで弾薬の心配はいらねぇな」
「でも、凄いですね。どうやって異世界で30mm弾を手に入れたんですか?」
 入手方法に興味津々なセラスに、リップは悪戯っぽい笑みを浮かべると
「禁則事項よ♪」
 そう言って、誤魔化した。


そして灯りが消され、主人のルイズは夢の中へ旅立った。枕を強く抱き締め、静かな寝息を立てている。
セラスも棺桶の中で瞼を閉じているのだが、眠ることが出来ない。どうしたものかと思っていると、棺桶をノックされた。
蓋を開けると、そこにはリップがいた。

「眠れないの?」
 いきなり核心を言い当てられたセラスは、目を丸くした。
「・・・なんで?」
 自分が眠れないのが分かったんですか?との問いをぶつける。
「中から音がしてるから」
 分かりやすい答えと共に、クスリと笑われた。セラスの頬に、薄っすらと赤みがなる。

「聞こえてました?」
「えぇ」
「・・・すいません」
 そう言って頭を下げようとして、両頬に手を添えられる。何だろうと思い、顔を上げようとした時・・・口付けされた。

「んっ」
 舌で唇を開かされ、舌を無理やり絡みとられる。
最初こそ驚いたものの、されるがままに口内を蹂躙された。慣れとは恐ろしいと、セラスは思った。

 「「ちゅ、くちゅ・・・ちゅぱ・・・・・・んっ、あぁ・・・」」

 お互いの唾液が混ざり合う音が、密着した二人の唇から流れ落ちる。
小さくて可愛いルイズの鼾と、大きくて卑猥な二人の音。相容れない異なる響きが、部屋の中に染みていく。その時、
ルイズが寝返りをうった。

「う~ん」
 と言う寝言に、二人はサッと顔を離す。しばらく主人を注視するが、起きる様子は無い。

「はぁ、はぁ・・・」
 呼吸を整えながら、セラスはリップを見つめる。唇に付着した唾液を舐め取っていたリップは、笑みを浮かべた。
そして、蛇のようにペロリと舌を出す。


「落ち着いた?」
「・・・え?」 
 突然の問いに、セラスは返答に窮する。すると、リップは右手を前に突き出した。ゆっくりと、セラスの胸に触れる。
「ここは、落ち着いてるみたいね」
 そこは、胸部の左側・・・心臓の位置だ。

「そ、そうですね。何時の間にか落ち着きました」
「なら、もう寝なさい。夜更かしは肌の敵だって、隣の赤髪さんが言ってたから」
 そう言うと、リップは自分の棺桶に戻って行った。蓋が閉じられ、部屋は無音の空間となる。
自分の手を、心臓に当ててみる。口付けが原因なのか、平常通りの脈動を感じ取る事が出来た。

そんな状態に安心したのか、大きな欠伸をしながら、セラスは棺桶に入っていった。


同時刻、トリステインの王都トリスタニア。
すでに眠る時刻であるにも関わらず、アンリエッタは自室で書類に目を通していた。
ゲルマニア皇帝との結婚で一週間ほど城を留守にするため、その間の職務を先に終える必要があるためだ。

 文面を読んでは杖を振るって花王を押しの繰り返しに、アンリエッタは疲れていた。
そのうちに積まれていた書類は減っていき、残りが一枚となる。

「これで終わりね」
 そう言って杖を振るおうとした時、扉がノックされた。
「殿下、私です。入ってよろしいですか?」
 声の主は、枢機卿のマザリーニだった。
「構いません、入りなさい」
 了承すると、扉が開かれた。扉を後ろ手で締めると、マザリーニは真っ直ぐアンリエッタの元へ歩み寄る。
右手には、一枚の書類が握られていた。仕事の追加かと思い、アンリエッタは露骨に嫌な表情を浮かべる。


「ご安心ください、殿下の睡眠を減らすほど時間は取りません」
 安心させるような言葉と共に、机の横で立ち止まる。
「明日、艦隊旗艦のメルカトール号がアルビオンの客を迎えいれるのはご存じですな?」
「その事なら知っています、それが何か?」
 マザリーニは、机の上に書類を置く。

「その間に、外交会議を行う事が決定しました。ご了承のうえ、花王の捺印を願います」
「外交会議・・・ですか?」
 書類を手にし、書かれている文面を目で追う。最後まで読み終えると、溜息をついた。

「ただでさえ結婚の準備や、書類の整理で忙しいと言うのに・・・」
「仕方がありませぬ。同盟が控えているとは言え、他国との会議を疎かにする訳にはまいりませんからな」
 枢機卿の言葉に、アンリエッタは子供のように頬を膨らませた。黙って書類に花王を押し、書類を突き出す。

「分かりました、明日ですね。事前の準備は任せましたよ」
「分かっております。では、失礼」
 要件を終えると、マザリーニは部屋を出ていった。扉が閉じられると、アンリエッタは立ち上がって服を脱ぐ。
そして寝間着に着替えると、ベットに横になった。

「私の知らない間に、色んな事が決まっていくのね・・・」
 弱音ともとれる言葉を、ボソリと呟いた。







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