あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

もう一つの虚無と狂信者-01

アンデルセン達がルイズ達に召喚された頃。



多くの孤児達を抱え、彼らを年長者として切り盛りする一人の少女、ティファニア。
その容姿は可憐であり、その肢体は女性としての魅力に溢れ、
その心はアルビオンから湧き出る霧のように白い、全てにおいて完璧な美女である。
そんな彼女には一つだけ大事なものが欠けている。
友達
長く麗しい金色の髪から顔を出すその長い耳、エルフを表すそれはハルケギニア全土の
恐怖の象徴である。それは彼女を人との交わりから遠ざけていた。
同年代の友達
それは彼女の最大の望みであり、同時に決して叶わぬものであった。



鬱屈とした願望を燻らせていたある日のこと。彼女を世話するマチルダ、別名土くれのフーケより、
彼女から送られてきた手紙につけられた紙の束。そこに書かれていたのは魔法陣、呪文、注意書き
「サモン・サーヴァント………?」
使い魔を呼び出し、契約する魔法。ティファニアはその意図が分かりクスリとする。
「マチルダ姉さん……、ありがとう。」
友達のいない自分を心配してくれたのだ。そして彼女は想像する。
フクロウ、猫、サラマンダー、スキュア。
どんな生きものが自分の使い魔であれ、それはとても素晴らしい友達になるだろう。
どんな生きものであれ、彼らが見たものは自分でも見れる様になるらしい。
それなら私の代わりに世界を見て貰えるかも知れない。
彼女は期待に胸を膨らませ、準備を始めた。





準備を済ませ、彼女に俄かに緊張が走る。
(一体どんな生きものだろう?)
もし怖いものだったら?即座に契約を行わなければならない。
もし可愛かったら?うれしいわ。
「ティファニア姉ちゃん頑張れー」
その言葉に意識を取り戻し、呪文を唱える。
「この世界のどこかにいる私の使い魔よ」
取り巻きの子ども達が静かに見守る。
「私の求めに応じて」
杖を振り上げ、下ろす。
「私の終生の友と……なって下さい」
最後の最後でヘタれたが、呪文は成功した。
光る鏡が現れる。
そこから現れたのは。
「へ?」
黒と赤の塊
いやそう思いたかっただけかも知れない。
黒いものは長い髪と服だった。
赤いものは、血。
それは人のはずだった。
しかし、その体は胴から真っ二つとなり、中から何かが見えている。
それが何かは考えたくは無かった。
ようやく気を取り戻した子ども達は口ぐちに悲鳴を上げる。
阿鼻叫喚の渦となる静かな森。
しかしティファニアはその人間の顔を見た。
眼が僅か、ほんの僅かに動いていた。
彼女はポケットから指輪を取り出した。





母から受け取ったその指輪は彼女の傷を治し、その鼓動を取り戻した。今はベッドで寝ている。
「……綺麗……」
ティファニアは眠る彼女をみて、そう思う。自分達とは違う黄色い肌、漆黒の髪。
彼女の二の腕は自分と違い太く、逞しく、それでいてソフトだった。
「どんな人なんだろう。」
彼女が持っていた異国の字で書かれた書物、十時の形をした首飾り、そして見たことも無い剣。
彼女は怪我を負っていた、つまり戦っていたのだろう。
そこでふと気づく。
「もしかして…………コワい人?」
ティファニアの顔から血の気が引いて行く。
「ちょ、ちょっと待って!落ち付くのよ!ティファニア!」
彼女から貰った手紙を思い出す。
「そうよ!コントラクト・サーヴァントよ!」



あの執事に斬りかかり、逆に斬られた。
我ながら無様な死に方だった。
天井が見える。そうか辺獄にも部屋くらいあるんだな。
元から神の国にいけるとは思っていなかったから、しょうがない。
黙示の日まで、待つか。
ふと視界に何かが入る。
それは見たことも無いほどの美人だ。
天使か?
はは、まさか天国にいけるとは、神様!太っ腹!
その天使は目をつぶりながら私に近づき
キスした
………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………
「ちょっと待てーーーーーーーー!!!!!!!」





「一体どういうつもりだ!!堕天使!!神様の国で同性愛か?!!ふざけんな!!
それともあれか?!!これは神様を信じて死んだ者に対するご褒美か?!!でっけえ世話だ!!それならせめて男よこせ男!!
ていうかそれなら今日は野郎の方が多かっただろうが!あの世でも男女差別かこの野郎って手痛―――――!!!!!!!!!」
あまりの急展開に取り乱した彼女、何が何だか分からずに怯えるティファニア。
痛みの治まった彼女は壁に掛った愛刀を手に取る。そして抜き放ちティファニアに突きつける。
「冷静に考えたらここってあの世か?何かリアルなんだが………。おい堕天使ここはどこだ?」
獰猛な瞳は真っ直ぐにティファニアを睨み、首筋にヒンヤリと冷たい感触が触る。
その根源的な恐怖にティファニアの顔は歪み、泣き始めた。その無防備な泣き顔に彼女は焦った。
「ちょ、泣くなよ!ここはどこかって聞いただけじゃねえか!?」
剣を突き付けていうセリフでは無い。
「こ…ここは………グスン………アルビオンの………」
「アルビオン!?どこだそこは!!?」
「ヒイ!!浮遊大陸………」
「よし、ちゃんと答えないと喉突く。」
「ヒグ!!………ヒイッグ!!………本当………」
「チクッとするね」
「!ウエッ!ウア!」
どうも嘘を言っているようには見えない。質問を変える。
「ローマ、カトリック、ヴァチカン、イタリア、日本、聞き覚えは?」
「グス……………何それ?」
「まあ、あの世だからしょうがねえか。けど死人の相手したことはねえのか」
ふと窓の外を見る、そこに見えるは二つの月。少し感心した。
「どうやらマジであの世らしいなここは…………」
「あの世って………?」
「いや、あたし死んでここに来たんだろ?」
「グスっ……………ううん、サモンサーヴァントで呼んだの。」
「……………は?」
「…それであなたが来て死にそうだったから、私が治したの………。」
その時、扉が勢いよくあき、子ども達が押し寄せてくる。
「ティファニア姉ちゃんをいじめるなーーー!!!」





子ども達がワラワラと彼女に群がって来る。それにティファニアが慌てふためく。
「お願い!子ども達は…………子ども達は…………ううっ」
その姿はまさに強盗に我が子を殺さぬよう懇願する母親そのもの。
(おいおい…………完全に悪者じゃねえ?なんか話もまとまんなそうだし………
こういう時は………)
由美江は、寝た。
(んじゃ、由美子!あとよろしく。)



彼女の人相が変わる。それはあまりに分かりやすい変化である。
獰猛なものから、じょじょに弱弱しく、目は鋭いそれから丸くなる。
「ふえ!?ちょっと由美江?ズルイ!酷いよ!」
その変化に一同は呆気に取られる。
さっきまで人を殺そうとしていた彼女が急に汐らしくなったのだから当然か。
由美子は恐る恐るティファニアに訊ねる。
「あの………ここはどこなんでしょう。」
ティファニアはその由美子のおずおずとした態度に若干理性を取り戻した。
「ハルケギニアの………アルビオンです。」
「はあ、成程。では次にあなた私を治したと言ってましたがどうやって?」
「ま、魔法で………」
ティファニアは指輪を取り出した。
「この魔法の指輪はお母様から貰ったものです」
「はー、便利ですね。」
「ええ、でも無限には使えないの。この石が段々小さくなっていくの」
「そんな貴重なものを………」
「うん、でもお母さんが困った人は助けなさいって言ってたから。」
以上のことから導き出される結論。
由美江は見ず知らずの少女に命を助けられ、介抱された挙句、
この天使のような少女を脅し殺そうとしました マル



(やっちまったなーー!!)





しばらくティファニアと話をした結果、彼女の境遇、この世界の仕組みをある程度理解した由美子は本題に入る。
「それで、私はあなたに使い魔として召喚された訳ですけど……………。何をすればいいんですか?」
「へ?使い魔になってくれるの?」
「ええ、まあ命の恩人な訳ですし。行くあてもないですし」
(おい、由美子!私は嫌だぞ!こんなめんどいの!)(黙れ!!宇宙一めんどいくせに!いいから寝てろ!)
心の中で言い争いを始める由美子と由美江。それを他所にティファニアはもじもじし始めた。
「わ、私は………。その、友達が欲しかっただけで………。だからお友達になってくれませんか?」
由美子は完全に呆気にとられた。仮にも自分を殺そうとした人間にこうも無防備になるだろうか。
(まあ、何はともあれ、これで寝食に保証はついた訳か………)
どうやらここでこの少女は孤児院のようなことをしている訳で、由美子としては、
バーサーカーの由美江に体を使わせるような血生臭いことから逃れるとあらば願っても無い。
体を貸してたら死んでしまったという理不尽な出来事から救ってくれたこの少女に仕えてみるのも悪くは無いだろう。
無論自分の同居人は不満そうだが知ったことではない。
「それではよろしくお願いします。」
深深と頭を下げる由美子。
「あ、こちらこそ………あの所で。」
由美子の体がピクっとはねる。
「貴女はどんな人なんですか?」





私由美子。教皇庁特務局十三課イスカリオテ機関の仕事人。主な任務は異教弾圧と異教殲滅。
別人格由美江に体をつかわれて、神に仇なす異教徒共をこの刀でばっさばっさと斬り伏せておりました。
そしてイギリスはロンドンに侵攻するため、吸血鬼どもを狩る名目で軍を出し、その実罪も無い一般市民を
情け容赦無く空爆。その作戦失敗の後、最強の吸血鬼と一戦交えるも敗れ、恩人が執事に侮辱されたので
その執事に逆上して斬りかかったら返り討ちにあい、今に至る。



(パネエ………)
正直言葉にするとこれほどヤバい人物だったのか自分。
一般的な道徳規準に当てはめるならまず間違い無く極悪人及びお近づきにはなりたくない人間。
とりあえず当たり障りのないことから言い、これらの事実はオブラートに厳重に包まねばなるまい。
「ええと………私二重人格というやつでして………。」





「姉ちゃん………。この人危ないひとだよ………。」
やはり受け入れられない。まあ危ない人には別の意味で違い無いし、医学知識が発達している元居た世界でさえ
概ね似たような反応が普通ゆえに、中世レベルだろうこの世界ではまあ御の字である。
「うーん、でも嘘を言ってる様には見えないし。」
しかし、この少女は本当に大物らしい。あんな怖い目にあったのにもう忘れている。
けれどもとりあえずやるべきことはまずはこれか。常識で考えて。
(由美江)(あん?)(謝んなさい!)
人格を入れ替える。それだけなのに一目で解る変化である。人格は外見に影響する好例だろう。
その光景に子ども達もティファニアも彼女の言う二重人格を信じてしまう。
狂暴と狂気の人格、由美江はしばらく目を瞑っていたが、意を決して頭を床につけた。
謝罪のポーズ、土下座。
「此度は命を救われた挙句に斯様な凶行に及んだことを深く懺悔すると共に謹んで貴女の友、
使い魔として行動します。…………だからどうか許して下さい。」
最後の方は若干弱めになる口調にティファニアに思わず笑みが零れる。そして彼女と同じポーズをとる。
「こちらこそ、よろしくお願いしますユミエさん、ユミコさん。」
その後立ち上がり二人で握手する。子ども達も渋々ながら新しい家族に同意したようだ。
「とりあえず…………。ご飯にしましょうか。」
由美江は台所に駆けて行くティファニアを見送り、彼女の愛刀に視線を戻し、首を傾げる
(あれ?確かあの執事に壊されたんじゃなかったっけ?)
まあ思い違いかもしれないし、と思い直しそれをベッドの上に置いた。



それは主人を守る為の力として彼女に必要なものだった。それはこれより少し後の話。
それを行ったのは彼女の信仰する神の御業かブリミルの導きかは誰にもわからない。




パン、シチュー、サラダといった夕食にしては質素な料理。大きなテーブルに皆で座り、
ティファニアの隣には、由美江が座る。
「こらこら、皆、お祈りをしてからよ。」





それからされる祈りは思った通り自分の宗教とは違う。とりあえず自分は自分で祈り始める由美江。
シチューを一掬いして口に運ぶ。なかなかウマい。そして彼女の主人に目をやる。
顔、超美人。性格、超優しい。家事、普通にできる。胸、いや、これはマジで凄い。
(なんだ、完璧超人か)
既に女は捨てている由美江は妙に納得して食を進める。ティファニアがそんな由美江をじっと見つめる。
「………おいしいですか?」
「ん?まあな」
「良かった。」
パッと明るくなるティファニア。少しドキリとする由美江。
(こりゃ本気でソドムの使者か?)
しかしこの少女を前にすれば普通かもしれないなと感嘆する。それほどまでに綺麗で、無垢だ。
そんなことをとりとめなく考えながら、彼女は食を進める。しかし、ティファニアの由美江に対する
好奇心は止まらない。そこで一つ質問をしてみる。
「貴女のお仕事ってどんな事だったんですか?」
その言葉にパンを千切って口に運ぶ姿のまま静止する由美江。
全身から嫌な汗が流れる。
沈黙が辺りを包み一同は唖然とその姿に目を向ける。
彼女はパンを皿に置き、呟く。
「………由美子よろしく」
そしてパッチリとした瞳になり、頭を抱え、答える。
「…シスターをしておりましたわ」
「あらそうなんですか」
「「「「「うそつけーーーーーーーー」」」」」
ティファニアは誤魔化しきれたが、子ども達はダメだった。
「どうせ血生臭いことだろ!」
「メシが不味くなることだろ!」
「ソ、ソンナコトナイヨ?」
喧噪と共に夜は更け、そうして奇妙な共同生活が始まった。





時はしばらく流れる。




「マチルダ・オブ・サウスコーダの協力を得るため、ウエストウッド村のティファニアを攫ってくること………ねぇ」
「無論建前さ。」
人質をとって仲間にしたところで、役に立つ訳が無い。
「その子の持つマジックアイテムはね、有効回数がある代わりにどんな怪我も治すんだって。」
犬耳の少年、シュレティンガー准尉は対する人物に言った。低く重厚な女声が却って来る。
「それとってこいって?あんたも大概物好きだね。」
短く刈られた髪、歴戦の戦士らしい鍛えられた体躯。明らかに身の丈を超える長さの大鎌。
そしてそれらが全く印象に残らぬ程異常な右半身。
混然と、肌が見えぬ程の術式が描かれている。
生気を無くした右目が彼女を人成らぬ者ということを雄弁に示す。
「どうせ暇でしょ。そう言わないでよ、ご飯増やすからさ、ゾーリン。」

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