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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-06


6 伝説か見知らぬ者か

ああ、おはよう。そう椅子に座っているマーティンは言った。
先ほどの夢とは全く違う、気楽そうな姿である。
隣に座る黒髪のメイドと、楽しく談話していたらしい。

「彼女――シエスタ嬢がご飯を持ってきてくれたよ。食べられるかい?」

ただのシエスタで良いですよ。そういって笑う。
なかなか綺麗だった。からかい混じりで試してみようと、ルイズは口を開いた。

「ええ、大丈夫ですわ。マーティン陛下。ところで、ドラゴンファイアは灯せましたの?」

またもや時が止まる。ちなみに、ナイフも、ロードローラーも、
タンクローリーも周りには無い。

コホン、とマーティンは咳をした。シエスタ、と呼ばれたメイドは、へ、と口を開け、呆然としている。

「私の父である皇帝、ユリエル7世は、夢で未来を見る力があったと聞くが、君は過去を見る力があるらしい」

重々しい雰囲気で語るそれは、先ほど見た、豪華なローブを羽織っていた、皇帝のそれであった。

「おばあさんが見せたのだと思います。エルフのオカート総書記官と「誰か」が、塔に入ってきたドレモラを打ち倒す所で、時間切れと」

ヴァーミルナか。マーティンはそう口にする。夢を司るデイドラ王は、色々な夢を見せるからな。
そう言って、マーティンはふむ、と話についていけず、震えるシエスタの方を見た。

「え、えとその、わ、私、あ、あの…」

皇帝、と言う単語が引っかかっているのだろう。
おそらく、無礼を働いたのだと、彼女は思っているに違いない。
マーティンがゆっくりと口を開く。

「とりあえず、落ち着いて欲しい、シエスタ嬢。確かに、私は身分を偽ったが、司祭だったのは本当だし、
皇帝といっても、その作法なぞ全く知らないんだ。その、それを覚えるより、先にやることが大量にあってね」

にぃ、とマーティンが気楽な雰囲気に戻って笑う。ほっとして、シエスタは笑った。

「は、はい。その、何か失礼な事言ってすいませんでした、えーと、後、その」

「そう固くならなくていい。先ほどのようにマーティンさんと呼んでくれ」

あはは、とメイドが笑う。何故だろうか、平民が笑う事は良いことなはずだが、
どうにも気にくわない。ルイズは、とりあえず両手を振り上げて、二人をこちらに注目させる。


「お腹が減りましたの。陛下。食べさせて頂けますか?」

使い魔でしょ?と暗に言っている。ふふん、とどこかでルイズが笑っているのを感じながら、
マーティンは笑った。

「ああ、いいとも。だが、その、陛下と言うのはやめて欲しい。後言葉遣いも戻してくれないか?どうにもむず痒くて仕方がない」

皇帝なんだから陛下でしょうに。ルイズは笑って言う。

「というより、良いのですか?ここにいて。貴方様がやんごとなき身分であるのは理解できましたが、
そこからここに来て良い等とは、誰も思っていませんでしょうに」

敢えてそのままにして、ルイズは言った。
自分で呼んだ事を、棚に上げつつもそう聞いてみる。はっきり言って、
自分は、相当まずい事をしでかした。そうルイズは思っていた。
その事についてだが、そう前置きを置いて、マーティンはルイズにその後を簡単に伝え始めた。

「ドラゴンファイアを灯そうと、最高神の神殿に向かったが、全ては遅かった。
破壊の権化にして、悪しき4人のデイドラ王の一人、メイルーンズ・デイゴンが、
神殿の前に降臨していた。ドラゴンファイアは、オブリビオンとムンダス界の間に、
明確な境界線を敷く。しかし、一度入り込んだデイドラを、元の世界に戻す力はない」

悪しき4人のデイドラ王?それは何かとルイズは尋ねる。

「いわゆる定命の存在に対し、ある程度、それらを考慮して接する3人の『良きデイドラ王』と
全く考慮しない4人の『悪しきデイドラ王』、それとそれらを気分で変える残り9人のデイドラ王がいるんだ。
これには、司る事象は関係していないよ。例えば、裏切りと策略を司る『ボエシア』、
というデイドラ王がいるが、彼はダークエルフ、まぁまぁ、そんな顔はしないでくれ。
オカートが、エルフ族だったのを黙っていたのもあやまるよ」

いくらそっちの世界についてとやかく言うべきではない。と言っても、
宗教から忌み嫌っている者への、恐怖から来る敵意は、そうそう落とせない。
ルイズは、ごめんなさい。と言って話を続けて欲しいと頼んだ。

「ああ。で、彼はダークエルフの文化が発展するのに、とても貢献していたんだ。
それで、デイゴンは昔から、タムリエルに度々攻めてきては、様々な物を破壊するんだが、
その時々に現れる、いわゆる英雄や、人間に味方する何らかの神に敗れているんだ。
こちらからしてみれば、頼むから、来ないでくれと思うのだけれども、天災の様なものだと誰かがいって言たよ」

では、どうやってそのデイゴンをオブリビオンへ?当然な疑問をルイズは口にした。
シエスタはおとぎ話のような話を、ふんふんと聞いている。

「これは、一つの賭けだった。しかし、その時それ以外には何も思いつかなかった。
私が身につけていた王者のアミュレットは、聖アレッシアの魂が入った、魂石であり、
それと同時に、アカトシュの血によって生まれた物だ。
それと私の血を混じらせ、私の身体を寄り代にし、現世にアカトシュを召喚した。
おそらく、アカトシュを奉る神殿だったからこそ出来たのだろう。
しかし、まぁ、何というかだ、竜になるというのは、なかなか凄いものだった」


己の身体が消えていき、気が付けば身の丈30メイルの赤く燃えるワイバーンになっていたのだという。
眼前のデイゴンを睨み、オブリビオンに叩き返して後、疲れ果てた身体は、石となったとマーティンは言う。

「そして私は魂だけとなり、遠くからニルンの地を眺めていたのだが、気が付けばあそこにいたと言うわけだ。
これで、どうして最初、君を見たとき、エセリウスの神々の使いと勘違いしたか分かったかい?」

「ええ、分かりましたわ。分かりましたとも。一言いいかしら?」

ああ、どうぞ。とマーティンは言う。ルイズは笑った。

「無理です。信じられません」

マーティンは笑う。そりゃあそうだろうとも、と言って。いくらルイズといえど、今の話は神話が過ぎる。
特に、この男は前歴がある。それが場の混乱をむやみに呼び起こす為の物では無いと分かっているが、
しかし、今の話は荒唐無稽と言うか、何というか、信じられない。そんな事を口にしながら、
ルイズは、ドラゴンになって空を飛ぶのは気分がいいのだろうな。何て事も考えていた。

「凄い話です。皇帝で、しかも韻竜だったなんて」

シエスタは、マーティンの事を、もう、このハルケギニアでは絶滅したという喋る竜の化身だと、勘違いしていた。
いや、そうじゃなくて、とマーティンは笑って説明した後、ややあって、彼女は納得したようだ。

「しかし、ここが何処の世界かと言うのが一番問題なんだ。もし、ニルンの地で、今や伝説となっている大陸、
『アトモラ』か『ヨクーダ』ならば、歩いて帰ることも出来るのだが」

魔法の形態というのは、便宜上種類分けがされているだけであり、時代によって多少の変化がある。と、
彼はメイジギルドで習っていた。杖を使わなければ、使えぬ地、というのもおそらくあるのだろう。
それが一体何の系統なのかは、ある程度自分の知識で照らし合わせないと理解が難しいが。

「悪いけど、知らないわよそんな所。ブリミルの伝説にも載ってないし」

元の調子に何となく戻して、ルイズは言った。6000年前、エルフと戦って勝利したと言うこの地の伝説は、
聖アレッシアが、古代エルフ族アイレイドを倒した伝説に良く似ていた。
伝説とは地方によって変わって伝えられたりもするのではないか?と思ったが、
どうも当てがはずれたらしい。

「とすれば、やはり、まだ知られぬニルンの地か、それとも知られぬオブリビオンの世界か…」

「だからー、オブリビオンって、そんな怖い所にしないでよ。ここを」

いや、しかしだね。マーティンがそう言ってルイズに説明をする。シエスタは、
そんな二人を見て、ああ、そういえば仕事があるのでした。と言い、
分かった、と言って話を続ける二人に、頭を下げて席を立った。


「どうだった?皇帝陛下は」

シエスタの前にいる灰色の頭巾をかぶった男が、シエスタに背中を向けたまま言う。シエスタはふふーんと笑った。

「おもしろい方でしたよ。マスターが言った通り、タムリエルを平和にしてから、こっちに来たと言っていました。
それとここを、ニルンの地か、オブリビオンのどちらかだろうと、当たりをつけていました」

そうか、そうか。やはりその二つになるよな。と灰色頭巾は言った。

「けれど、よく分かりましたね、彼が皇帝だって。それに全て終わらせてからこっちに来たと。
マスターが『こっち』に来たのは2年前で、面識なんてないのでしょう?」

「まぁ、面識は無くても、情報はあった。それにお父上様によく似ているからな。
そして彼は、生まれ故郷と妻を助けてくれた。帝都のオカートが出兵すらしていない状況で、
そんな事する奴が、途中で消えてしまうわけはないだろうさ」

それに俺も、全部しくじって、そんな時に呼ばれたからな。と言って後、
さて、と灰色頭巾は振り向き、シエスタを見た。

「『土くれ』はどうしてる?」

「マチルダさんですか?ああ、宝物庫を狙っているようですよ。と、いうよりそこ以外、ここにめぼしい物置いていませんからね」

「ならさっさと、夜に鍵でも開ければよかろうに。あんな鍵すら開けられないとは、それで幹部なのだから、ああ、困ったものだ」

タムリエルじゃコソ泥だ、あいつなんか。とため息を吐く。まぁまぁとシエスタが宥めた。

「でも、凄いじゃないですか。どんな時でも大胆不敵で、ギルドの皆は慕っているし、妹さんだって凄く親しまれていますよ」

「格好だけ一人前なのだ。よけい面倒くさい。どんな時も気づかれずに入り、気づかれずに去るのがマスターシーフだ。
気づかれて、物壊して逃げるようなら3流なんだよ。ああはなるなよ、お前は。それと彼女の事だが、
そりゃあ平民からしてみれば『杖持ち』も『長耳』もそう変わらんだろうさ。むしろ優しくするだけあの娘の方がマシかもしれん。
まぁ、長耳なのを知っているのは、ギルドの連中だけだが」

高慢ちきなよく知る者より、ミステリアスで優しくて色々スゴイ、良く知らぬ者の方が、よほどマシと言うことだろう。
実際権威を盾に威張る貴族も、そう少なくはない。どこも変わらんな。そう灰色頭巾は思った。

「では、本当に仕事に戻らないと。マスター」

「ああ。しばらく、彼の様子とあのバカの様子を見ていてくれ。悟られるなよ?影の導きがあらんことを」

頭巾を取る。シエスタは一瞬はて、という顔をしたが、その男が「影のご加護を」と口にすると、
ああ、はいはい。それでは。と見知らぬ男に礼をして去った。



所は変わり、学院長室で、形勢逆転とばかりに威張るオスマンと、
縮こまるコルベール、そして、聞きたいことは粗方聞き終わったロングビルの三人がいた。

「なるほどのぅ、ガンダールブ、か。さっき来た報告によると、異国のメイジなんじゃったか?
それに気づかず契約させるとか、なかなか楽しい事しでかしてくれたの、え?」

先ほど、爆発によって二人が倒れた時に、マーティンが回復呪文で彼女らを治していたのを、
騒ぎに駆けつけた、ギトー教諭が見ていた。とりあえず、彼はマーティンに感謝すると共に、
その事を学院長に、報告してきた。

「い、いえ。その、彼は司祭で――」

「文化によって色々違うかもしれん、何故それに気付かんかったんじゃ。おろかもんが。
確かに呼び出され、契約によるルーンが出た以上、彼が呼ばれたのは間違いないがの。
後でねじ込まれたらやっかいじゃぞー?何せ先住魔法の使い手なんじゃろ?」

さっきの一撃の事を、それなりに根に持っているようだった。

「まぁまぁ、オールド・オスマン。その辺で」

ロングビルがそう言って、仕方ないのぅと、オスマンは言った。
ああ、ダメだ、燃やしたくなってきた。とコルベールは思う。

「今のところ仲良くやっとるんじゃろ?ヴァリエールの娘とは。もしかしたらあの娘も何らかの魔法が使えるようになるかもしれん」

魔法の才のみ無い彼女だが、努力家として、それなりに教師には好評だった。
コルベールは頷く。

「快く応じてくれましたからね。ミスタ・セプティムは」

はて、その名前、どこかで聞き覚えがあると、残りの二人は思った。




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