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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-05


5、ドラゴンファイアを知る

ルイズは眠っている。気絶から本格的な眠りに入ったルイズは、
シュヴルーズが目覚めた後も、眠り続けていた。
今日の朝からどうにも、ルイズは夢を司るデイドラ王、ヴァーミルナに気に入られたらしい。
老婆の姿で、ヴァーミルナは杖を持ち、何を見せるか己の姿を変えながら考える。
眠ってしまった後は、どのような生物だろうと彼女の元へ行かねばならぬ。
そこは、いわゆる夢の世界という奴であり、そこに行かずに済むには眠らない以外方法がない。
人は眠りながらにして、常に異世界、オブリビオンへと足を踏み入れているのだ。
だが、殆どの者は入ったことすら忘れ、時たまに悪夢を見た!という衝撃だけを覚え、目覚める。

彼女は悪夢こそがその本領だが、しかしたまには変わった夢を見せるようだ。
これなんかが良かろう、とルイズに夢を導く――


物々しい鎧を着た赤黒い肌の男が言う。ゲルマニア人らしい風貌のそいつは、
見たことも無い盾とやはり見たことのない片手剣を携えていた。

「陛下、オカート総書記官殿がお待ちです。帝都にお着きになられたことが、お耳に入ったようで」

赤と紺を基調にし、銀糸や金糸をふんだんに使っているだろうローブを着こなし、
赤い大きな宝石のついたアミュレットを付けた男に、丁寧な言葉遣いで話す。
どうやら、このゲルマニア人はいかにも高貴そうな、この男の配下らしかった。
しかし、同名とは。オカートという名前はよくあるのだろうか?とルイズは思った。

「よかろう。決着を付けるとしよう」

はっとする。この声は聞き覚えがある。しかし、どこでだ?
ルイズはええと、ええと、と考えているが、
どうしても記憶にもやがかかって、思い出せない。
夢の中での行動なぞ、大抵そんな物だが、
その原因はヴァーミルナが、とりあえず考えずにそのままに見ろ。
と、言っているからだろう。物事を考えながら見ると、
どうにも、主観というものは変わってしまうのだ。

そうこうしている内に、彼らは大きな塔の中へ入っていく。
ゲルマニア人の戦士と、高貴そうな男。
そして、はて?確かに「誰か」がいるのは間違いないが、
それが何かルイズには認識が出来なかった。
ただ、見えている。しかしそれが何か分からない。
薄気味悪い感覚を、可愛らしい少女のヴァーミルナに、
笑われているとも知らず、ルイズはおっかなびっくり、彼らの後をついて行く。

白銀の塔と呼ばれるそれは、タムリエル帝国の、
中央に位置する、シロディール地方の政治の中心部である。
その摩天楼、というべき高さのそれは、古代エルフである、
アイレイドの失われた旧文明を利用した物だ。
ロストテクノロジーなので、当然、作れ。
と言われても今の彼らには、新しく、同じような物は出来ないだろう。

塔に入ったルイズは、その重厚な造りに驚く。
今まで入った建物の中で、おそらく一番立派だと思えた。
真ん中のホールへの扉が開いている。
外から見ると大きな円卓状のテーブルを囲むように、
たくさんの椅子が並んでいる、会議場なのだろう。
そこに、一人のローブを着た誰かが立っていた。
ルイズがそこへ入ると、認識できない「誰か」が、
赤いローブを着た…エルフ!?何、耳の長いあれが
オカートというの?


ルイズの思考は混乱する。しかし誰も気に止めないまま
オカートは「誰か」に話しかける。

「待っていたぞ。既に元老院全員で、マーティン様の皇帝への即位について、討議は終えてある」

ハァ?ルイズは声を上げるが、誰も気にもしない。
夢の中での追体験なのだ、当たり前だろう、と老婆姿でヴァーミルナは笑う。
もっとも、彼女の姿は最初からルイズには見えていないが。
マーティンが皇帝?あんなので、皇帝ってできるのかしら?
というより司祭から地方領主に無理矢理ならされるんじゃ。
ルイズは、食い違いにますます混乱している。
皇帝として相応しい、服と装飾品を着こなすマーティンの前に、
オカートが跪く。マーティンがルイズにやったのと同じ様に。

「マーティン・セプティムよ、元老員を代表し汝の皇帝への即位を認めます。戴冠の儀は出来る限り早い日取りで――」

「オカート総書記官殿!オカート総書記官殿!」

厳かな空気は一人の乱入者によって阻まれる。
先ほどのゲルマニア人とは違う鎧を着ている男が、叫びながら走る。
こちらの方がポピュラーらしい。彼が連れてきた、
何人かの兵士も、同じような鎧を着ていた。

何が起こったというのか。ルイズは急ぎやってきた彼の話を聞こうと、
柱の影からオカートと彼らを見ていた。

「総書記官殿!街が襲撃されています!オブリビオンの門が開き、城壁の内側にデイドラが!衛兵達もやられています!」

悲痛そうに訴える。オブリビオンの門?異世界への門が開いたというのか?
そう言えばマーティンは以前その世界を見たことがあると言っていた。
まさか――

「勇気を出せ、新しい皇帝陛下が導いて下さる」

オカートは元気づけるようにそう言った。少し、兵士の感情は癒されたらしい。
オカートがマーティンの方へ振り向く。

「陛下、ご命令を!衛兵隊を宮殿まで下げましょうか?」

しかし、マーティンは強く否定する。やたらと格好が良い。これがあのマーティンか?

「いいや、宮殿に追い込まれたら打つ手が無くなってしまう。直ちに最高神の神殿へと向かわねば」

神殿に行って、何をすると言うのだろう?ドラゴンファイアについて、
何も知らない彼女は、 そう思うのも無理はない。


不意に辺り全てが闇となり、『誰か』が言った。老婆ではない。少女でもない。と、いうより、
一時的に彼女の領域から離れたらしい。ルイズには、分からないことだが。

一つの話を聞いて欲しい。人間が、人間としての自由を手に入れるために戦った話を。


タムリエルのある世界、ニルン。
そして、そのニルンを含めた、全てを包むムンダス界と、
異世界オブリビオンは、はっきり言って昔、地続きと言っていいくらいに、
境界が曖昧だった。神話の時代の話だが、実際の事である。
深淵の暁紀(またはただ、暁紀)と呼ばれるその時期は、様々なデイドラがニルンを歩き、
デイドラ王達が、直接に信者達と触れあっていた。

しかし、その時代、タムリエルの中央、シロディール地方では、
超魔法文明を持つアイレイドが、人間を奴隷として利用していた時代でもある。

彼らは、生まれながらに持つ豊富な魔法力を用いて、
大量のデイドラや死霊(異世界から呼び出したか、人間を使ったのか、または、どちらともかもしれない)
を兵隊として使役し、人間を楽しく虐殺し、奴隷とした。
確かに、誰でも魔法を使える世界である。
しかし、考えて欲しい。恐ろしい護衛付きで、虚無の系統をマスターした連中に、
それ以外の系統魔法のドット・ラインクラスのメイジ単体が敵うだろうか?
彼らにデイドラを合わせた戦力と、普通の人間の差とは、だいたいそれぐらいの物である。
だから、彼らほどの力を持っていない人間はそれに従うしかなかったのだ。

ある時、アレッシア族(アイレイドから都市を取り返して、後はシロディール族とも)
と言われていた、今はインペリアルと呼ばれる、人間族の祖である女性の一人が、
ニルンから遠く離れた異世界、エセリウスに住まう神の一人、「時の竜神」
アカトシュに助けを求めた。マーティンのとても古いご先祖様である彼女は、
今日、人々を救った救世主である、聖アレッシアとして知られている。
アカトシュは、エセリウスに住まう、デイドラと違って死ぬ可能性がある神々、
「エイドラ」を統べる善き神であり、彼はその願いに答えた。
死ぬかもしれない彼らが、一人の人間の願いに答えることはとても稀である。
やはり己の命が大事なのは命を持つ存在の宿命なのだろう。

アカトシュは、もだえ苦しむ人間を哀れみ、自らの心臓から、
かけがえのない血を絞り出すと、その血でアレッシアを祝福した。
そして、アレッシアの家系が竜の血族に誠実であるかぎり、
アカトシュはオブリビオンの門を閉じ、彼らの敵であるアイレイドの手には、
デイドラと死霊の軍隊が渡らないようにする、という契約を交わしたのだ。

これの証として、アカトシュはアレッシアとその子孫に、
「王者のアミュレット」という赤い宝石と、
「帝都の永遠なるドラゴンファイア」を授けた。
この赤く大きな宝石は、とても特殊な魂石と呼ばれる物で、
その内に生きた生命の魂を内包させる事ができるのである。
聖アレッシアの死後、彼女の魂はこれに入り、八個の宝石で、
縁取りのされているアミュレットは、真中の赤き魂石、
「レッド・ダイアモンド」と共に九つの神を表し、後の、現在より少し前の、
第三記の帝国皇帝の家名であるセプティム家の象徴となった。
そして現在最高神殿にて安置されているドラゴンファイアの燭台について、
アカトシュはこう言った。と聖アレッシアの試練には記されている。

「おまえとその子孫が王者のアミュレットを身につけるかぎり、
この永遠なる炎、ドラゴンファイアは燃え続けるだろう。
われらの誠実さをあらゆる人と神に示すために。
ドラゴンファイアが燃え続けるかぎり、
おまえとその子孫に対してわが心臓の血がオブリビオンの門をきつく閉ざすと誓おうぞ」


アイレイドは、元々粗野で野蛮だった。と伝えられている。壊滅後、
彼らは殆どが、タムリエルの南にある、サマーセット諸島に住まうハイエルフに合流するか、
タムリエルのほぼ全域に流れ、今では、ワイルドエルフとして知られる種となった。
ワイルドエルフは、現代文明を疎み、世間の目を避けて、古き法を守ることを選ぶ種族である。
その為、今となっては、アイレイドがどのような存在だったのか殆ど知ることができない。
しかし、彼らは少なくとも同族への仲間意識より、同族をどう殺して成り上がるか。
それを考えるのが好きだったようだ。

アレッシアが、アカトシュに願いを言ったとしても、アイレイド自体に堅牢な絆があれば、
はっきり言ってどうしようもない事だっただろう。デイドラ達を使役できなくなったとはいえ、
莫大な力を、彼らは持っていたからである。消費した魔法力を、即座に回復できる、
天空から来た、というウェルキンド石。魔法の効果がなくなった武具を即座に、
元の強力な魔法具として復活させる、やはり天空からの恵みだと言うヴァーラ石。
淡き魔法力の光を放つその石は、一度の魔法力消費が多いアイレイドの使う呪文にとって、
欠かせない品だったのは間違いない。未だ大量に残るアイレイドの遺跡の中に、
それらは時折見受けられるが、何と、彼らはそれらを明かりとして使っていた。
何らかの量産方法を発見したと思われている。そのことについて、近年、
ある学者が文字通り『草の根分けても』探した結果、ある論文が発表されたらしい。
いずれ、どこかのメイジがそれを話す機会があるかも知れない。

さて、そんな物を持つ連中が人間族を本気で襲えばどうなるか、
誰だって分かるだろう。滅亡していないだけ人間は運が良かったのだ。

しかし、彼らは協力よりも服従させるか、暴虐な虐殺によって起こる血の滴りが好きだったらしい。
アイレイド達が同族争いを起こしている中、聖アレッシアは反逆を開始した。
自分たちと、その子孫のために。マーティンがハルケギニアに来る約4250年前
人間による時代、竜に認められし血族が、支配者となる、帝国第一紀の始まりであった。

シロディールより北方にある、スカイリムという地に住む、ノルド、という頑強な人間族とも手を組み、
アイレイド達を追いつめ、やがて彼らは壊滅した。同族争いで力を使いすぎた節があった。
彼らは歩兵をデイドラに頼り切っていたため、屈強な戦士はいなかったとされる。
デイドラ王の一人と契約し、不死の命を手に入れた、羽を失いしウマリルのような例外も、多数あるのは間違いない。
また、エルフ族の特徴として、子供は20歳を越えていないと一切作れず、生涯において、
4人以上出来ることがほぼない。1000年の寿命を持つ彼らの繁殖力は、とても乏しい物だった。

アイレイドと闘い英雄となった人々は多い。その中で有名なのは、光り輝く『左手』で敵を討つ、
ペリナル・ホワイトスレイクだろう。彼についてはペリナルの歌、という本の事を、マーティンにでも聞くと良い。
暁から第一記にかけての社会情勢などもある程度分かるはずだ、彼が知っていればだが――



時間が巻き戻り早送りされる。ルイズは、ドラゴンファイアと、神殿の重要性について何となく理解していた。

「仰せの通りに!衛兵!隊列を組んで陛下をお守りしろ。目指すのは最高神の神殿だ!」

オカートが叫ぶと同時に異形の国の魔人が二人、唸りを上げて、外から入ってくる。
二人のドレモラの内、一人の前には「誰か」が立ちふさがり、もう一人はオカートに切り掛かった。
オカートは、背中に掛けていた長杖を、軽く回しながら片手で持ち、雷鳴を放つ。
風の系統魔法である「ライトニング・クラウド」によく似たそれを、
しかし、完全な無詠唱で放ち、同時に、ほんの少し呟き、杖を持たぬ左手から、人を飲み込む大きさの炎球を、
手負いの怪人に放った。瞬間の出来事である。ルイズが、何が起こったかを認識する前に、二人は敵を倒していた。
何と熟練した戦士達だろうか。その勇ましい、命を掛けて進む彼ら、その後ろ姿を見ながら、
彼らの後をついて行こうとする、ルイズの前に突然老婆が現れた。お別れの時間だという老婆の言葉に、
またもわけがわからなくなるルイズ。パンと老婆が手を叩くと、たまに見る医務室の天井が見えた。





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