あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの工作員-02




 次に眼が覚めると執務室のような場所でフリーダは後ろ手に縛られ床に転がされていた。
先ほどの少女と男性二人が立っている。

「うむ。体は大丈夫かね?」
白くて長い髭の仙人風の男性が聞いて来る。
人を縛っておいてよくもぬけぬけと言えたものね。
「きつく締めすぎよ。体が痛いわ」
フリーダは二人をにらめつけながら答えた。
「…縄を解いてくれない?抵抗しないから」
 私の返答を聞いて彼等は拘束を解いたが眼に油断はない。
彼等の利き手はいつでも指揮棒を取り出せるようにポケットの中に入っている。

「あれだけ動けるならもう大丈夫のようじゃな。ところで自己紹介がまだじゃったな。ワシはこのトリスティン魔法学園の校長をしておる

オスマン。隣はジャン・コルベール教諭じゃ」
 トリスティンと呼ばれる企業や組織は聞いたことがないし、魔法学園とは意味不明だ。
何処かのマイナーな宗教団体だろう。宗教にも金が必要だ。
狂信者団体にでも拉致られたのだろう。
アリスと一緒に居た私をわざわざ拉致した時点で名前や住所などを知っているはずだ。
私が組織(コーポ)と繋がりがあるのを彼等が知っているかはまだ判らないので伏せておく。

「私はフリーダ・ゲーベルよ。どうして此処に居るのかしら?」
 オスマンを爪先から頭まで値踏みする。
「それには深い理由があってのう。ミス・ヴァリエール入ってきなさい」
 ドアから先ほど見たピンク髪の少女が出てきた。
不機嫌そうに腕を組んでいる。

「ミス・ヴァリエールが春の使い魔召還の儀でフリーダ君を召還してのう。その時君は死に掛けておったのじゃ。撃たれる相手に心当たり

はあるかね?」
「私は事故に巻き込まれました。助けてくださいました事に感謝します」
 本当はテロに巻き込まれたのだが、事故に巻き込まれたことに変わりない。
下手にアリスの名前を出して彼女を危険に晒すのは避けたい。
「それで事故はどうなったの」
 海賊を撃退しお祭り騒ぎのれジャイナの白昼堂々宙港ロビーで人が撃たれたのだ。更に拉致まで行なわれ行方不明者まで出ている。
ニュースになって紙面を賑わせているだろう。
「事故?さてなんのことじゃろうか。ワシが知っているのはフリーダ君が校庭で血だらけになって倒れていることだけじゃからのう」


 フリーダは違和感を感じ始めていた。
先ほどから一度もアリスに関する話題が出てこない。
あれだけの事件が起ったのを知らず、アリスの関係者であるフリーダを拉致し、彼女を治療した。
事件を知らないのは報道管制が敷かれていると考えるとして、アリスの話題を話さないのはおかしい。
私に話したところで逃がさなければいい。むしろそれを目的としなければ拉致する意味が無い。
彼等が暗殺しようとした勢力と敵対する勢力と考えたとしても話題にすら上げないのはおかしい。
もしかしたら本当に知らないのではないだろうか。

「うーむ、君も召還されたばかりで、混乱しているのだろうと思う。まぁ、茶でも飲んで落ち着きなされ」
 オスマンはコルベールにハーブティーとクッキーを持ってこさせた。
ハーブティーには唇だけ付けて飲む振りをし、クッキーには手をつけない。
麻薬や自白剤を入れられていたらたまらない。
 ヴァリエールはフリーダと一緒に出されたお茶を飲んでいた。
来たのに喋らせてもらえないのが納得いかないらしく、じたばたもがくのをコルベールになだめられていた。

「ここはハルケギニアのトリステイン王国。トリステイン魔法学園ですじゃ。フリーダ君は召喚されてから三日三晩、治療を受け続けてい

たのじゃよ」
 彼等には敵意も危険性も少ないようだ。そろそろ口を開くべきだろう。
「話をここで確認させてくれる?私が連れてこられる原因となった春の使い魔召還の儀とは何か説明してくれるかしら」
「はい。それは私から話そうと思っていたところです」
 コルベールにはフリーダの礼に欠ける言葉を咎める様子はなかった。
つまり、それは対等に扱っていることの現われでもある。

「トリスティン魔法学園では毎年春にメイジによる使い魔召還の儀式が行なわれます。そこで私の生徒であるミス・ヴァリエールが召還に

成功しあなたを呼び出しました」
「魔法?召還?」
 魔法学院と呼ぶからには魔法について学ぶ場所なのだろう。だが星々を旅慣れたフリーダでも魔法など一度も見たことがなかった。魔法

とは映画や小説の世界のものだ。
子供にあなたは召還で拉致されましたと言っても普通誰も信じないだろうが、語るコルベールの眼は大真面目だった。
「うむ。治療には召還主のミス・ヴァリエールが水の秘薬の治療費を出しての。家一つが買える値段だったのじゃ」
 高額な医療費はともかくとして三日三晩とは解せない。
フリーダの知る限りでは彼女の怪我を治すには絶対安静で3ヶ月以上は掛かるはずだ。
とすると私は新医療の実験台にされたのだろうか。
 それに先ほどから魔法と呼ぶ言葉が気になる。
3ヶ月以上掛かる怪我を3日で治療するとは確かに魔法だ。
魔法とはフリーダが知らないだけでこの星ではありふれた技術名称なのかもしれない。
魔法について当たり前のように話し、隠す気がなさそうなので聞いてみた。


「すいません。私は魔法を見たことがないのです。良かったら見せて下さいませんか」
 オスマンは頷くと答えた。
「ミスターコルベール。見せてあげなさい」
 コルベールが小声で呟き指揮棒を振ると空中に炎の蛇が現れ消えた。
もう一度呟くと床に円が現れ、土が噴出し小さな人型を形作り歩き出した。
更に杖を振ると人型は消滅した。
「見事じゃコルベール」
杖を使い呪文を唱え火や土を自在に操る。まるで本物の魔法使いではないか!

「その………魔法?を使い私を治療したのね」
「治療に使ったのは水の魔法じゃが。もしかして魔法を使ってはいけない体じゃったのかね」
「始めて見たから驚いたのよ。私の住んでいるところは田舎だったから」
「医務室には医療器具がなかったけど。魔法で治したのかしら」
「そうじゃ」
 私は洗脳で頭を書き換えられたのかと心配になる。
此処は精神病院だと言って欲しかった。

「あなたにはミス・ヴァリエールの使い魔になっていただきます。拒否権はありません。コンクラクトサーバントも終了しました」
「冗談じゃない!突然拉致してお前は奴隷だって!ふざけるのもいい加減にしなさい!」
 常識的な対応をしておきつつ冷静に考える。彼等は人身売買を商売にしていると判った。
もし、組織に無許可で人身売買をしているなら彼等は粛清を受けるはずだ。
アリスを操る手駒として私を使おうとしていたジョンソンも潰しに掛かるだろう。

 コルベールが不思議そうに眉毛を歪める。
当たり前の話しを否定され驚いていた。
「この国では平民は貴族に逆らえません。契約の印となるコンクラクトサーバントも付いています。右手を見てください」
「ルーン文字が掘り込まれていますね。これが証拠です」
 手の甲には文字らしき痣があった。
「契約はどちらかが死ぬまで解除されません。新たな使い魔を呼び出すのも不可能です」

 貴族云々に関してはこの国の身分制度のとして判った。
人身売買も納得できる。フリーダ自身も売られた存在であるのだから。
「この痣にはどういった意味があるのかしら」
「使い魔に知能、特殊能力、主人への忠誠を与えます」
 なるほど。手の文字は識別番号で、所有印か。
洗脳効果もあるらしいが目の前のピンク髪に欠片も恐怖や忠誠、愛情さえも感じないので失敗したと見るべきだ。
記憶や経験、感情に直接作用する自身の脳に埋め込まれている記憶媒体に似たものを感じる。


「どの程度の知能が与えられるの?」
「ワシのモートソグニルの場合、人間の言葉が判る程度になったのう。他の使い魔達も言葉が判るようになっておる」
 オスマンはそう言って手元の白い鼠をなでた。

 鼠に言葉を理解させるなんてたいしたものね。
少なくともフリーダの知る限りでは人間以外の動物に即席で知能を持たせる技術は存在していない。
洗脳は思ったより高度なものかもしれない。
フリーダ自身、ヴァリエールに何の感情も抱いてない現状では、洗脳されていると知覚出来ないから恐ろしい。

「いいわよ。使い魔になってあげる」
 ヴァリエールの不機嫌そうだった顔が明るくなる。
ややあって、ふん当然よといった顔をしてふんぞり返っていた。
「でも条件があるわ」

 ヴァリエールがビクリと固まる。
「な、なによ。いってみなさい!」
 弱気を隠すため虚勢を張っているのがバレバレだ。
「ひとつ、私の衣食住を保証する。
 ひとつ、私にこの星についての情報を速やかに教える。
 ひとつ、私の所持品を全て返す。
 ひとつ、私と雇用契約を結ぶ。
 ひとつ、私を帰すために学院、ヴァリエール家の力で研究する。
 ひとつ、私と彼女の契約を彼等が保障する」

 ヴァリエールは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「使い魔を返すなんて受け入れられるわけないじゃない!」

 フリーダは微笑で答える。
「あら?人を拉致しておいていえる言葉?使い魔も使役できない貴族だなんて家名に泥を塗るわね。
お父様やお母様はどんな顔をなさるのかしら。進級できない名家の貴族なんて前代未聞ね」

 耳まで赤くしてグッと口を閉める。
「うっ」


 更に追い討ちをかけるフリーダ。
「私を殺すのも論外ね。呼び出した使い魔を一日で殺すの。学校の由緒ある伝統行事で呼び出した一生者のパートナーをよ?
クラスメイトはどんな顔をするのかしら」

「どうしてそれを!」
「私の寝ているベッドの横であなたが話してくれたわ」
 少女の目には涙まで溜まってきている。
「………うう」

 魔法を使わないためにも予防線を張っておく。
「魔法を使って私に無理やりいうことを聞かせる手もあるけど、あなたの望む結果にはならないわね。出来るなら既にやっているでしょ?」

「受け入れなければ私だけで生きてゆくわ。あなたに頼る必要。ないもの。」
 実際、フリーダは一人でもやっていける。
各地の任務では単独潜入が多かったから。
「あなたに選択権はないわ。私を使い魔にしなさい」

 もはやどっちが主人なのかわからない

 少女はプルプルと震えながら
「わ、わかったわよ…使い魔にすればいいんでしょ」
と小声で呟いていた。

「話しの腰を折って悪いがの~ちょっといいかの?フリーダ君の持ち物じゃが興味深いことがあってのう。研究に使わせてくれんか?受け

入れてくれたら学園でフリーダ君がいた場所に帰る研究が出来るのじゃがのう」
「いいわ。だけど大事なものだから物は貸せない。知識やノウハウを教えるのなら最大限協力するわ」
「うむ。それでいい」



 その日の夜。
フリーダはバックパックから取り出した銀色の保温シートを体に撒きつけ床に横になりながら溜息をついた。
ベッドには騒ぎ疲れて寝息を立てているヴァリエール「本人はルイズ様と呼びなさいと言っていた」が眠っている。
「また………人と一緒に暮らすことになるなんてね…。もう一生無いものとおもっていたけど…」
眼鏡をかけて、ルイズのずれていた布団を直す。
<いつからこんなに面倒見がよくなったの?殺して逃げればいいじゃない>
 頭の中の<<偽人格>>達が彼女を責める。
フリーダは偽人格を黙殺し眼を瞑った。
<帰るために利用するだけよ。彼女の力は必要よ>

<甘くなったわねあなた>




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