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ゼロのしもべ第2部-14



 アルビオンの首都、ロンディニウム。
 その郊外にロサイムという町がある。王立空軍の工廠として有名な町である。巨大な煙突立ち並ぶ製鉄所、広大な木材置き場、
兵器工廠……ハルケギニア最強を唄われるアルビオン空軍の要である、ということはすなわちアルビオンの生命線であるというこ
とでもある。
 そこにひときわ目立つ大きな建物がある。空軍の発令所だ。かつて王立空軍の頭脳であったこの建物も、戦争終結によりレコン・
キスタに占有されてしまい、今は三色旗が翻っている。さらにひときわ異彩を放つのが、テントに覆われた巨大戦艦だ。レコン・キスタ
は鹵獲した戦艦「レキシントン」を改装中なのである。
 現在、ロサイムの町は完全封鎖体制、戒厳令の真っ只中にあった。
 通りを歩くのは巡回する警備兵のみである。
 その警備兵を見ていると妙なことに気づく。表情に生気がないというか、顔が妙に青白いのである。しかも、このハルケギニアでは
ありえないことに、機関銃らしきものを首からぶら下げているではないか。
 警備兵の動きをさらによく見ていると、ある建物を中心にして警戒していることがわかるだろう。それは見た目何の変哲もない建物
である。もともと空軍の戦艦の整備を担当していた、この街ではごくありふれた工房の一つに過ぎない。
 中に入っても、兵士がただならぬ様子で詰めていることを除けば、ただの工房にしか見えないだろう。だが、その工房の地下が問題
であった。工房の地下室にエレベーターが隠されている。そのエレベーターは地下50mにあって、水爆の直撃にも耐え切れるだけの
防御力をほこる秘密基地へと繋がっていた。
 すなわち、この工房はヨミの秘密基地への入り口の一つであった。
 現在その秘密基地はフル稼働中である。何かの胴体を思わせるものが次々と運ばれてくる。装甲にスクウェア級のメイジが数人
がかりで固定化の魔法をかけている。見たこともない複雑な回路が運ばれてきては、竜の頭部を思わせるもの、人間の頭を模した
ようなものにつけられている。
「なんとも大きく、頼もしいものですな。これが完成した暁には、さすがの3つのしもべも敵ではないでしょう。」
 アルビオンの新たなる指導者の地位に着いた、オリヴァー・クロムウェル皇帝は、供の者を引きつれその工事を遠方からはるばる
やって来た1人の男に誇らしげに解説していた。
 黒い、緩やかな衣に身を纏った男。顔の真ん中にX印の傷痕が残っている。黒く長いあごひげを蓄え、眼光は稲光のようである。
 ヨミだ。
「とうとうV2計画も大詰めだ。このぶんだと、あとひとつきもあれば、計画は完了するだろう。」
 満足げに工房を見学するヨミ。その顔には自信と余裕がみなぎっている。
「V2計画の進捗状況については、満足できるものであった。あとはトリステイン攻略についてだが…」
「それは、このあとの会議にて報告させていただきます。」
 まるで中国人のように礼をとるクロムウェルに「うむ。」と返すヨミ。アルビオンでは、普通このように拳と掌を合わせるような礼をとる
ことはない。いったい、なぜ。

「それではV2作戦の状況、およびA計画についての報告、血笑烏作戦についての会議を行う」
 ヨミがおごそかに宣告し、着席する。クロムウェルが威厳に満ちたようすで続く。他の人間も次々に着席する。
 クロムウェルの背後にはフーケと、ペド、そして幾人かの姿がある。中にはフードを目深にかぶった人間も。
 クロムウェルが、「まずはV2計画の進捗状況について説明いたします。」と起立し、挨拶をする。技術主任、と呼ばれた男が前に
出て、モニターを示しながら説明を始める。
「V2作戦はご存知の通り、ロプロス計画を発展させた計画であります。」
 映像が移り変わる。そこにかつてロプロス計画によって生産され、バビル2世と3つのしもべを苦しめたV号が映し出された。
「V号はみなさまご存知の通り、ロプロスと互角の力を持っています。ごらんのようにロプロスの体当たりにびくともせず、ポセイドンの
レーザー光線をも受けつけません。」
 さらに切り替わり、しもべの攻撃をものともせぬ姿があらわれる。
「さらに頭部から超高熱線を放ち、ポセイドンを尻尾で子ども扱いします。腹部からは爆弾を投下でき、サルダン国はじめ周辺国に
多大な成果を与えました。ですが……」
 さらに場面は切りかえって、苦しむ搭乗員の姿が映し出された。
「ロプロスの超音波振動攻撃により、搭乗員はヨミ様を除き全員気絶。最終的には…」
 画面には爆発炎上を起こすV号。
「爆弾投下口をレーザーで狙われ、墜落しバベルの塔に激突しました。また、同じようにここからロデムに進入され、内部のコンピュー
ターを狂わされてしまい、最終的には自爆を余儀なくされました。」
 おっほん、とセキをする技術主任。
「以上から、我々はV号の弱点であった、『搭乗員』『爆弾投下口』を排除し、簡略化。さらに効果の高かった『超高熱線』『体当たり』
を強化すべく研究に励みました。結果、超高熱線は特殊なマジックアイテムの使用により威力が1.7倍に、体当たりは『固定化』に
よって2.8倍にまで上昇しました。このデーターを用い、量産型V号、すなわちV2号ドラゴンの開発に取り組みました…。」
 映像は黒色をした、まさにドラゴンというべき機体に移り変わった。頭にはユニコーンのような角があり、顔は猛々しい。
「これは艦船護衛型のFタイプですが、都市攻撃型のBタイプは爆撃も可能です。また、V号の攻撃に加え、魔法の使用により火炎
放射を口から行うこともできます。操縦方法は原則頭部の人工頭脳によって自動操縦によりおこないます。」
 以上です、と礼をすると全員が一斉に拍手をする。
「見事だ。」と満足げなヨミ。
「それで、現在までの生産状況は?」
「現在13体が完成済みです。ひとつき後までには、あと5台は可能でしょう。」
「親善訪問へは何体が間に合いそうかね?」とクロムウェル。
「15体はまちがいなく出動可能です。」
 ヨミがにやりと嗤う。
「ふっふふ。この世界で恐れるものはバビル2世とそのしもべのみ。だが、これで空のしもべ、ロプロスは問題ではなくなった。よし、
ではサンダーはどうなっている。」
 はっ、と会釈しさらに画像を変えさせる技術主任。映し出されたのは、ポセイドンだ。
「これはご存知のように海のしもべポセイドンです。アルビオンはごぞんじのように空に浮かぶ国。他国に侵略しようとすれば、地上に
兵が降りて、その上で都市を制圧する必要があります。空の航路はドラゴンが確保するとして、問題は地上に降りた兵です。いくら
強力な兵隊やメイジであっても、ポセイドンにはおそらく歯が立たないでしょう。」
 そこで…とポセイドンの横に巨大ロボットを表示させる。
「ポセイドンに対抗しうるものとして、我々は巨大ロボットの開発を行いました。ただ、現在の我々の技術ではポセイドンを超えるロボット
の開発は不可能である、と判断しました。そこで、我々は量産により、多人数でポセイドンに対抗することを考えました。」
 ポセイドンの横に映し出されたのは、まるで古代ギリシャの兵隊のような姿をしたロボット。
「さらに空を飛べないポセイドンに対抗すべく、V2号サンダーは風石を装備し、ある程度の飛行能力を持ちます。これはアルビオンの
地形上の理由からも必要な装備でした。風石は30分で交換可能となっており、作戦に備えて現在量産中であります。また、風石は
V2号ドラゴンにも装備されており、移動をジェット噴射、浮遊を風石が行うことで、搭乗者のいない人工頭脳兵器ならではの、アクロ
バティックな動きが可能となっています。攻撃手段は、魔法を利用した全身からの発熱、格闘となっています。」
 満足げにヨミが頷いた。
「これでポセイドンも問題外となった。あとはロデムだが、ロデムもサンダーで充分に対抗できるだろう。そのために発熱機能を持た
せたようなものだからな。」

「次はA計画についてクロムウェルから発表します。」
 立ち上がり、技術主任と入れ替わってモニターの傍に立つクロムウェル。
「おほん。さて、A計画、すなわちアルビオン奪取計画ですが、王党派の駆逐に完全に成功したものの、いくつかの問題が出てい
ます。」
「最後の攻防戦で我々に多大な被害が出ているというあれか」
「はい。200ばかりの兵が篭るニューカッスルの城を、念を入れて5万の兵で攻め立てました。しかし、連中は火薬を用いて城を爆破、
そのどさくさにまぎれて脱出し、亡命政権を作りました。公式には我々は王党派が最後まで抵抗したため、こちらにも甚大な被害が
出たとしています。そのため連中を無視していますが、こちらに工作活動を行っているという情報もあり、多少手を焼いています。
が、内部の不穏分子の粛清も進んでおりますので問題はないかと。」
「問題はない?」
 ピクリ、とヨミの額が動く。
「問題がなくはないだろう。2万以上の兵がニュー・カッスルでは犠牲になったというではないか。おまけに呂尚も行方不明と聞く。
その上で部下をうしなうような行動はあまり感心できんな。」
 クロムウェルの顔が青ざめた。
「で、ですが、ニューカッスル攻略の指揮を執っていた呂尚様はヨミ様から…」
「それはそのとおりだ。ゆえに犠牲に関してはおぬしを責めはしない。だが、犠牲者についてなんの感慨も抱かず、おまけに部下を
殺していることを自慢するような態度は感心できない、ということだ。」
 恐縮し縮こまったクロムウェルが応える。
「も、もうしわけありません。今後、改めます…」
 だが、クロムウェルの命令は、自分たちの目の上のたんこぶを処分しようとする部下たちに無視される形となってしまう。新政権ゆえ
の猟官意識が起こした悲劇であった。
「だが、それ以外は完璧と言ってよいできだ。みごとだ。」
 ヨミの賞賛に、あっというまに豹変し喜色を浮かべるクロムウェル。
「ありがとうございます。血笑烏作戦にも全力をあげさせていただきます。」
「ではその血笑烏作戦について聞こうか。」
「はい。では続けて説明させていただきます。まずは皆様、この地図をご覧ください。」
 モニターにハルケギニアの地図が映し出された。その上に赤線が引いてある。
「これはアルビオン大陸の移動経路を示しています。ご覧の通り、アルビオンは地上に接点がありません。ほぼ唯一の経路というの
は、ラ・ロシェールという港町です。ですが、ここは山中にあり、守るに易く攻めるに難しい町です。重要拠点ということもあり、常に
兵が警戒していますし、万一バビル2世がここを守れば我々の被害は甚大となるでしょう。そこで……」
 地図が拡大された。ラ・ロシェールのとなり、タルブと描かれた村が映し出された。
「ここ、タルブに部隊を降下させようと考えています。ここは広大な草原が広がっており、身を隠す場所はなく、攻めるにたやすいと
いえるでしょう。また目的地のラ・ロシェールにほど近く、この村を占拠し、地上と空からラ・ロシェールを攻め落とすのが、作戦の
おおまかな概要です。」
「本来ならばSBC基地からラ・ロシェールに打って出、空との2面作戦をする予定であったな。」
「はっ。ですが、ご存知のようにSBC基地はバビル2世によって完全に破壊されました。そのための作戦変更です。トリステインは
始祖の祈祷書もあり、ハルケギニア進行においても重要な場所にあります。GR計画のためにも、ぜひとも落とさなくてはいけません。」
「またしてもバビル2世か。どこまでもわしの前に立ちふさがる男よ。」
 だが、と力強くヨミは立ち上がった。
「だが、今回はわしがバビル2世の相手をする。そこで決着をつけてやろう。」
 そして指をつきたて、部下に指示をする。
「よいか。バビル2世はおそらくまだこの世界の秘密に気づいていないはずだ。新月の2日前から超能力をなるべく使わせろ。その
ために被害がでてもかまわぬ!よいな!」
 全員が起立し、ヨミの命令に応えた。

 オスマンは王宮から届けられた一冊の本を、ルイズに渡しながら
『どう見ても、まがい物じゃなあ』
と思っていた。なにしろ文字さえ書かれていないのだ。噂には聞いていたが、まさか本当に真っ白と思っていなかったのである。
「これは?」
 怪訝そうに本を見つめるルイズ。なんとも言いにくいな、と思うオスマン。
「始祖の祈祷書じゃ。」
「始祖の祈祷書?これが?」
 王室に伝わる伝説の書物。国宝のはずだ。わざわざ召喚して、そんなものを渡されルイズは戸惑っていた。
 そんなルイズに噛んで含めるように王族の結婚式の作法を説明してやるオスマン。
「というわけで、姫は巫女に、ミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ。」
「姫様が?」
「その通りじゃ。巫女は式に備えて、この祈祷書を肌身離さず持ち歩き、詠みあげる詔を考えねばならん。」
 そのあと名誉なことだぞ、とルイズは説得されていたが、ちっとも聞いてはいなかった。なにしろ幼いころ共に過ごした姫様が、自分を
式の巫女に選んでくれたのだ断る理由などない。
 こうして、ルイズはゲルマニア皇帝とアンリエッタ王女との結婚式の巫女役に選ばれ、始祖の祈祷書を手に入れたのであった。

「始祖の祈祷書だって?」
 自分の頬をつねるバビル2世。夢ではないかと思った。なにしろ、デルフリンガーを脅して得た情報によると、虚無の魔法を目覚め
させるのに始祖の祈祷書とやらが必要だと知っていたからだ。その本が、よりによって虚無の魔法使いかもしれない少女の手に
握られているのだから。
「そうよ。王女様の結婚式で、わたしは巫女役になって詔を読み上げるの。それに必要ってわけよ、この本が。」
 えっへんと胸を張るルイズ。よほど光栄に感じているのだろう。
「で、その本を読んでみたのかい?」
 高鳴る胸を押さえながら聞くバビル2世。さすがにヨミがいる以上、いますぐ帰るわけには行かないが、いずれ帰らなくてはならない。
その鍵が、目の前にあるのだ。
「読んだかいって……言われてもね。」
 本をめくってバビル2世に示すルイズ。
「……真っ白?」
「そうよ。前にも説明したでしょ。王室に伝わる祈祷書は真っ白だって。」
 やれやれと肩をすくめるルイズ。たしかに、聴いた記憶がある。
「……で、特殊なメガネや道具はなかったのかな」
「この本しか渡されてないわ。」
 あっさりバビル2世の希望を打ち砕くルイズ。ガクッとバビル2世は肩を落とした。
 まあ、そんなにあっさり都合よくなにもかもうまく行くわけはないか。そう考えて、気をとりなおすことにした。あとでデルフを脅して、
どうやって読むのか聞けばいい。それで読めなければ、贋作ということだろう。
「で、詔を考えなきゃいけないんだけど……」
「ぼくはわからないよ。」
「でしょうね。異世界の人間だし。」
「残月なんかどうだい?」
 仮にも王族、仮にももと愛し合った人間。あるいみロマンティックだ。きっといいものを考えてくれるはずだ。
「却下。」
 吐き捨てるように却下された。
「あんな色情狂を頼るなんてお断りよ!」
 おっぱいフェチはゲラウトヒア。そう、ルイズの目が語っていた。
「なら孔明はどうだい?仮にもブリミルの使い魔だったらしいじゃないか。」
「それなのよね。ブリミル様がどんな人か聞こうと思って聞いていないし、いい機会と思って探したんだけど……」
 首を振って応えるルイズ。
「どこにもいないのかい?」
「そうなのよ。あのヒゲ親父、また街をほっつき歩いてるのかしら…」
 ブツブツ文句をたれるルイズ。おそらく情報収集をしているのだろう、と思いバビル2世もとやかく言わなかった。

「……コウメイ様。ウェールズさまがよこしてくれた、平民のあなただからこそ言います。」
 ここはトリスタニアの王城。アンリエッタの私室である。アンリエッタは、ここ最近何度も孔明を極秘裏に召喚していた。
「わたしはもう、魔法を使う人間が信用できなくなってきています…」
 悲しそうに、アンリエッタは言う。自分が使者として選んだ人間がよりによって裏切り者で、しかも愛するウェールズを殺したと思って
いるのだ。かなり、ショックだったのだろう。
「しかし、この国は始祖ブリミルから伝わるメイジの国。わたしの周りの信頼できる人間は、みなメイジ。そんなかたがたにメイジは
信用できない、などと誰がいえましょうか。」
 その言葉を黙って聞いている孔明。これまでは、孔明に話す内容は全て雑談か、ルイズたちの様子ぐらいであった。何度目かの招き
で、ようやく信頼できると確信したのだろう。アンリエッタは本音を話し出している。
「私は今、平民を貴族に上げようとすら考えています。それならば一気に悩みが解決いたします。しかし、理由もなく貴族の列に加え
ては、メイジたちの反発は必至……。なにか、良い方法はないでしょうか……。」
 にっこりと嗤い、孔明は頷いた。
「私のような人間に、そこまで打ち明けていただけるとは、恐悦至極。この孔明でよければ、ぜひお力添えにならせていただきます
ぞ。」
 優雅に一礼する孔明。
「ですが、まずは貴族に上げるに足る人材を見つけることが先決ではないですかな?すでに、心当たりはあおりかな?」
「……いえ、それは……」
 ふむ、と首を斜めにしてアンリエッタをジッと見る孔明。やがて、口を開いて
「よろしい。この孔明、全力を挙げて貴族にするに足る人材を在野から見出してきましょう。その上で、アンリエッタ様自身が、自らの
目で、己が信用できるか否か、お試しくだされ。」
「そうして、いただけますか?」
 はい、と答える孔明。
「また、貴族に素直にあげるに足る機会の件もなんとかいたしましょう。」
 アンリエッタは、素直に頼もしさを感じていた。やはりウェールズ様がよこしてくださったお方だわ。と感激さえしていた。
 簡単に騙されやすい王女様であった。



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