あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

真夜中のルイズ

「宇宙の!」
  ドッカーーン!
「何処かにいる!」
  ドッカーーン!
「清くて!」
  ドッカーーン!
「美しい!」
  ドッカーーン!
「史上最強の!」
  ドッカーーン

春の使い魔召還の儀式。
そこでルイズは何度も何度も失敗して爆発を巻き起こしていた。
「おいおい、どれだけ爆発を起こせば気が済むんだよ。」
「所詮、ゼロはゼロなんだから、いい加減に諦めろよ。」
 キッ!
完全にルイズを見下したヤジに殺気を込めた視線を送る。
監督係の教師、コルベールは発言をした生徒の評価を下げる事を心の中で決めてる。
そしてすまなそうにルイズに話しかける。
「ミス・ヴァリエール。他の生徒の召還が残っていますので…」
「わかっています!でも…。いいえ、私は向こうでやっていますから、お願いします!」
ルイズのまさに『必死』と言って良い表情にコルベールも言葉が詰まる。
彼は知っている。ルイズの座学は非常に優秀である事を。
魔法理論において誰よりも努力をしている事を。
そして本来、魔法に失敗しても何も起こらない事を。
「わかりました。あなたが努力家である事は知ってますからね。」
「あ、有難う御座います!」
ルイズは盛大にコルベールへ頭を下げた後、向こうへ走って行った。

既に他の生徒全員が召還を終えていたが、ルイズだけは爆発を起こし続けていた。
当初は鬼気迫る表情で魔法を失敗し続けるルイズに思う所があったのか他の生徒もヤジを飛ばさず見ていた。
しかし、時間が経つ内に厭きだしてコルベールに部屋に戻って良いかどうか聞き出していた。
コルベールは当初、渋い顔をしたが、ルイズがいつまで経っても成功しそうに無い事から、認めるしか無いのであった。
一人、一人、この場から生徒がいなくなる事は気配でわかったが、それでもルイズは召還魔法を唱えては爆発を起こし続けていた。

日も暮れだした頃、その場に残っていたのはコルベール、キュルケ、タバサの三人だけであった。
ルイズの姿は酷いものであった。服はボロボロ、顔は埃まみれ、腕からはところどころ血を流している。
満身創痍としか言いようが無かった。
「どうして、どうしてなのよ!!」
悲痛な叫びと共に杖を振るう。
  ドッカーーン!
巻き起こるは非情にも爆発。
「はは、ははははは」
ルイズは笑った。しかしその笑みは虚ろで、何の感情もこもっていなかった。
そしてルイズは何処か晴れ晴れしてた表情でコルベールに頭を下げて言った。
「コルベール先生、有り難う御座います。もう、いいです。」
「…そうかね、ご苦労だった。ミス・ヴァリエール。部屋で休みたまえ。」
「はいっ!」
言ってルイズは走り出した。両目いっぱいの涙を浮かべながら。
「ちょっと、ルイ…」
キュルケの言葉はコルベールによってさえぎられた。
タバサはそんな二人を興味深そうに見ている。
「先生…。」
「ミス・ツェルプストー、ミス・ヴァリエールの事を思うなら今は一人にしてあげましょう。」
真剣なコルベールの表情に軽く頬を染めて、うっとりしながらキュルケは頷く。
タバサはルイズを心配しながら,そんな友人に呆れていた。


ルイズが目を覚ますと真夜中であった。枕もシーツも涙で濡れている。
部屋に戻ってからずっと泣いた。
泣き疲れて眠ってしまい、夢の中でも泣いた。
  くぅ~
どれだけ悲しくてもおなかは空く。
食堂は閉じているだろうが何かつまめる物は探せばあるかもしれない。
そう思い、ドアを開ける。
するとナプキンが掛けられ、中に何かが載せられているのがわかる大きめの皿とワインとグラスが置いたトレイがあった。
ナプキンを取ると冷めても食べられるサンドイッチが置いてあった。
誰かが…、キュルケあたりだろう…がメイドに頼んで置かせたのだろう。
トレイを持って部屋に戻り、ワインをグラスについでからもそもそとサンドイッチを食べ始める。
するとルイズの瞳にまた涙が溢れる。
感謝か情けなさか自分でもわからない。

ワインをかなり飲んだがまるで酔いがまわって来ない。
しばし呆然としながら,ルイズは窓から空を見上げる。
今も双月が静かに輝いている。
「この場所から見える月も、これが最後か…」
召還の儀式は進級の試験を兼ねているのだ。
それに失敗したとなれば名家の恥として実家に呼び戻され、一生閉じ込められる事になるだろう。
  悔しい!
ギュッと杖を握る。無駄だと分かっていながらも口語の呪文が口から零れる。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我が“運命”に従いし、“使い魔”を召還せよ。」



ゲートが、生まれた。



そりゃあもうあっさりと。
もともとゲートは開けますが何か?と言わんばかりである。
ルイズは呆然となる。
それはそうだ。今日何十回…いや、何百回と言える程唱えては失敗した魔法が成功したのだ。
驚かない方がどうかしている。
 ゴクッ…

ルイズは思わず息をのむ。
今このゲートの向こう側に自分の属性にあった動物か幻獣がいる筈である。
「な、なにが出てくるのかしら…。」
 バサッバサッ
ルイズの言葉に応えるように大きな羽の羽ばたきが聞こえてくる。
音の出どころは…ゲートだ。
そして、ゲートから現れたそれは高らかに笑いながら名乗った。

「ふはははは!」
「ふはははは!」
「私は!私は!」
「夜の帝王!!」


現れたそれを一言で言うならば…『かばこうもり』であった。
かばのように巨大な顔、それに対して体は余りに矮小であった。
いや、こうもりの体に比べればずっと大きいが、巨大な顔に対し不釣り合いな大きさであった。
ルイズは混乱の極みにあった。
召還に成功した事実による驚愕。
目の前にいる存在を今まで見た事が無い事。
それがなんと喋った事。
人間の言語を喋る動物は『韻獣』と呼ばれ、希少な存在として知られている。
更に言うなら目の前にいるかばこうもりは自分自身を『帝王』と言ったのだ。
そこまで自分を大きく言うには自信が無いと出来ない。

だが、そんな事よりも、ルイズは、深刻で、どうしても、聞かねばならない事があった。
「ねえ、あんた。自分の事を『夜の帝王』って名乗ったわよね。」
帝王は帝王らしく尊大に答えた。
「うむ。そのとおりだ。」
「ちなみに昼間は?」
やはり帝王は帝王らしく(以下省略)。

「寝てます。」

  ツュドム!!

後日、ヴァリエール家に二通の手紙が届いた。
一通はルイズから二年生へ進級の知らせ。
もう一通は、トリステイン魔法学校からルイズによる女子寮半壊に対する請求書であったそうな。


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