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ゼロのアトリエ-15


夕日の差す学院長室に、二人の姿があった。
「そうですか…マザリーニ卿がの。」
「ええ。彼の有能さは買っているのですが…」
アンリエッタ王女とオスマン氏が相談を続けている。
「いいい、一大事です!オールド・オスマン!」
そんな中に、慌てた様子のコルベールが飛び込んできた。
「君はいつでも一大事だな。どうした、ミスタ・コルベール?」
「城からの知らせです!土くれのフーケが脱獄したと!手引きした者がいると!」
「わかったわかった。その件についてはあとで聞こう。」
オスマン氏がコルベールを退室させた後、ようやくアンリエッタが口を開く。
「アルビオン貴族の手の者でしょうか…城下に、裏切り者が…」
「そうかもしれませんな。」
オスマン氏は、まるで人事のように言い放った。
「トリステインの未来が掛かっているのですよ?もう少し、真剣に…」
「なあに、フーケならば、もう一度捕まえてもらえば良い。」
「彼女たち、ですか。」
「それよりも…何か、姫殿下には心配事がおありのようですな。」
見抜くような視線で、オスマン氏は言った。

「丁度良い、ヴァリエール嬢とヴィオラート嬢、双方にご相談なされたらいい。」
「しかし…いくらフーケを捕らえたとはいえ、この任は少々…」
言葉に詰まるアンリエッタ。これは、軽率に広めてもいい類の話ではない。
その様子を一瞥したオスマン氏は、一つ、話を始める。
「姫殿下は始祖ブリミルの伝説はご存知かな?」
「通り一遍の事なら知っていますが…」
「では、『ミョズニトニルン』のくだりはご存知か?」
「始祖ブリミルを導いた使い魔のことですか?まさか彼女が…」
オスマンはそれには答えず、言葉を接ぐ。
「彼女は、異世界から来た錬金術師だと。そう名乗っておりました。」
「異世界の、錬金術師…ですか?」
見たことも聞いたこともない職業、錬金術師。
「そうですじゃ。彼女ならやってくれると、私は信じております。」
その錬金術師に、多大な信頼を寄せているオスマン氏。
「なれば祈りましょう。異世界から吹く風に。」
やってみる価値はあるかもしれない。
アンリエッタは一つの決断をした。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師15~


その日の夜。ルイズは心ここにあらずで、部屋の中を徘徊していた。
「おーい、ルイズちゃーん。」
そう言って目前で掌をふるヴィオラートの呼びかけにも全く反応を示さない。
仕方なく、ヴィオラートは錬金術書を書くための作業に戻る。
そのまま、ノートの1ページがびっしりと文字で埋まるほどの時間が経過したその時。
規則正しいノックの音が、静かな部屋の中に浸み渡った。
「誰かな?」
ヴィオラートはルイズを促すが全くの無反応。
仕方なくヴィオラートは作業を中断し、深夜の客人を迎えに出た。

そこに立っていたのは、真っ黒な頭巾を被った少女。
少女はそそくさと部屋に入り、小さく杖を振った。光の粉が部屋の中を舞う。
「どこに目が、耳が光っているかわかりませんからね。」
光の粉がルイズの全身に付着した時、ようやくルイズが反応を示した。
「…ディティクトマジック?」
ルイズが向き直り、それを確かめた少女が頭巾を取る。
現れたのは、なんとアンリエッタ王女であった。
「姫殿下!」
ルイズが慌てて跪く。
ヴィオラートはとりあえずルイズのまねをした。
「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ。」
涼しげな、心地よい声が耳に届く。

次の瞬間、アンリエッタ王女は感極まった表情を浮かべ、ルイズを抱きしめた。
「ああ、ルイズ、ルイズ!懐かしいルイズ!」
「姫殿下、いけません。こんな下賎な場所にお越しになられるなんて」
ルイズは、かしこまった声で言った。
「ああ、ルイズ!そんな繁文縟礼を体現するような振る舞いはやめてちょうだい!」
「姫殿下…」
「ここには枢機卿も、母上も、友達面した宮廷貴族もいないのです!私達はお友達!お友達じゃないの!」
ルイズは顔を持ち上げた。
「幼い頃、宮廷の中庭で蝶を追いかけたじゃないの!泥だらけになって!」
はにかんだ顔で、ルイズが答える。
「ええ、お召し物を汚してしまって。侍従のラ・ボルト様に叱られました。」
「そうよ、そうよルイズ!ケンカになると、いつもわたくしが負かされたわね!」
「いえ、姫様が勝利をお収めになったことも一度ならずございました。」
ルイズが懐かしそうに言った。
「思い出したわ!わたくし達がほら、アミアンの包囲戦と呼んでいるあの一戦よ!」
「姫様の寝室で、ドレスを奪い合ったときですね?」
「そうよ、お姫様役の奪い合いで取っ組み合いになって、あなたのおなかに一発…」
「姫様の御前で私、気絶いたしました。」
それだけ言うと二人はあははは、と笑いあう。
「その調子よルイズ。ああいやだ、懐かしくてわたくし涙がでてしまうわ。」
アンリエッタはそう言って目を潤ませ、一つ息をついた。

怒涛の再会劇が終わり、ようやくヴィオラートが口をはさむ。
「どんな知り合いなの?」
ルイズは懐かしむように目をつむって答えた。
「姫様がご幼少のみぎり、恐れ多くもお遊び相手を務めさせていただいたのよ。」
王女は深いため息をついて、ベッドに腰掛けた。
「あの頃は楽しかったわ。何にも悩みなんかなくって。」
アンリエッタは窓の外の月を振り仰ぐと、本題を切り出す。
「ルイズ・フランソワーズ。結婚するのよ、わたくし。」
「…おめでとうございます。」
その声に悲しみを感じ取ったルイズは、沈んだ声で答えた。
「そして…これはヴィオラートさんにも。シュヴァリエの授与が、できなくなりました。」
ルイズとヴィオラートが、顔を見合わせる。
「従軍必須、貴族の忠誠心…理屈はありますが、結局の所管轄したいのでしょう、あの男は。」
あの男。玄関先で見た、あの痩せこけた男のことだろうか。
「あれの思い通りになるのは癪ですが…残念ながらわたくしには対案がないのです。」

「わたくしは、ゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事になるでしょうね。」
「ゲルマニアですって!あんな野蛮な成り上がりどもの国に!」
「野蛮?そうかなあ…」
ゲルマニアと聞くとキュルケが頭に思い浮かぶ。野蛮と言うか、
自由すぎるという点ではその通りかもしれないなと、ヴィオラートは思った。
「そうよ。でも仕方ないの。同盟を結ぶためなのですから」
アンリエッタは、ハルケギニアの政治情勢を説明した。
「そうだったんですか…」
「いいのよ、ルイズ。物心ついたときから覚悟はしていました。今日、ここに来たのは…」
それだけ言うと、ほんの少し…戸惑った後、透き通った声で呟いた。
「手紙です。」
そして、堰を切ったように目的の全てを告げる。
「アルビオン王家のウェールズ皇太子から、手紙を取り返して欲しいのです。」


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