松永がイーグル号に乗り込んだ頃……
「うおらああぁぁぁっ!どけどけどけええぇぇーー!!!」
立ちはだかるレコン・キスタ兵を力任せに吹き飛ばし、ルイズを背負った幸村が港を目指してニューカッスルの城内を駆け抜けていた。
「がんばれよ相棒!あともうちょっとだぜ」
「おう!……っぐ……」
力強く返事をする幸村だったが、受けた傷に痛みが走り、脇腹を手で押さえる。
「相棒!?大丈夫か!」
「……な、なんの。これしきの傷、何ともござらぬ!」
心配するデルフリンガーに幸村は応えた。
「それに、拙者はここで膝をつくわけにはいかん」
立ちはだかるレコン・キスタ兵を力任せに吹き飛ばし、ルイズを背負った幸村が港を目指してニューカッスルの城内を駆け抜けていた。
「がんばれよ相棒!あともうちょっとだぜ」
「おう!……っぐ……」
力強く返事をする幸村だったが、受けた傷に痛みが走り、脇腹を手で押さえる。
「相棒!?大丈夫か!」
「……な、なんの。これしきの傷、何ともござらぬ!」
心配するデルフリンガーに幸村は応えた。
「それに、拙者はここで膝をつくわけにはいかん」
幸村は自分の背中で眠っているルイズを見る。
自分の為にデルフリンガーを届け、その結果ワルドの攻撃を受けたルイズ……
今、自分はそのルイズの命を背負っている。ここで倒れる事は即ち、ルイズの死を意味するのだ。
幸村は歯を食いしばり、傷の痛みをこらえる。
自分の為にデルフリンガーを届け、その結果ワルドの攻撃を受けたルイズ……
今、自分はそのルイズの命を背負っている。ここで倒れる事は即ち、ルイズの死を意味するのだ。
幸村は歯を食いしばり、傷の痛みをこらえる。
「主の命守れずして……何が武士か!!」
傷口から手を離すと、幸村は再び走り出した。
小さな、それでも勇気と優しさを持った主人を守る為に。
小さな、それでも勇気と優しさを持った主人を守る為に。
「どおおおりゃああぁぁぁーー!!!!」
扉を蹴破り、階段を駆け下りて、幸村は遂に港に辿り着いた。
だが、そこにイーグル号はなかった。
松永が既に船を出港させてしまったのである。
「な……そんな……!」
「……どうやら間に合わなかったみてぇだな」
「……!!……くそおおぉっ!!」
声を荒げる幸村に対して、デルフリンガーは静かに言った。
扉を蹴破り、階段を駆け下りて、幸村は遂に港に辿り着いた。
だが、そこにイーグル号はなかった。
松永が既に船を出港させてしまったのである。
「な……そんな……!」
「……どうやら間に合わなかったみてぇだな」
「……!!……くそおおぉっ!!」
声を荒げる幸村に対して、デルフリンガーは静かに言った。
と、デルフリンガーは見た事のある2人を見つけた。
「ん?ありゃあヘタレの坊主と爺さんじゃねぇか?」
デルフの言葉に、幸村も顔を向ける。
「ギーシュ殿ではないか!無事でござったか!!」
そこには膝を抱えているギーシュと、ボロボロになって地面に倒れている氏政がいた。
「あ、ああ君か……君も無事だったんだね」
「うむ、手傷は負ったがこれしき何ともない。しかしこれは……」
幸村は倒れている氏政を見て言葉を失う。
その幸村に代わってデルフリンガーがギーシユに問い掛けた。
「ボッコボコにやられてんなぁ、一体何があったんだ?」
「ミ、ミノタウロスがウジマサを……それに見た事ない服を着た男が……」
ギーシュが震える指で指差した先には、見覚えのあるブロンドの男が横たわっていた。
「ん?ありゃあヘタレの坊主と爺さんじゃねぇか?」
デルフの言葉に、幸村も顔を向ける。
「ギーシュ殿ではないか!無事でござったか!!」
そこには膝を抱えているギーシュと、ボロボロになって地面に倒れている氏政がいた。
「あ、ああ君か……君も無事だったんだね」
「うむ、手傷は負ったがこれしき何ともない。しかしこれは……」
幸村は倒れている氏政を見て言葉を失う。
その幸村に代わってデルフリンガーがギーシユに問い掛けた。
「ボッコボコにやられてんなぁ、一体何があったんだ?」
「ミ、ミノタウロスがウジマサを……それに見た事ない服を着た男が……」
ギーシュが震える指で指差した先には、見覚えのあるブロンドの男が横たわっていた。
それは、胸を氷の矢で射抜かれたウェールズであった。
幸村は驚いた表情でウェールズに駆け寄ろうとした。
だがその時、階上から怒号が響いてきた。レコン・キスタの兵達がここに近づいてきている……
「……ギーシュ殿、ルイズ殿を頼む」
と、幸村は背負っていたルイズをゆっくりと地面に降ろして横たわらせた。
「き、君……まさか戦う気なのか?」
「北条殿は動けぬし、お主も戦えんのだろう?ならば、拙者が迎え撃つしかあるまい」
「無茶だよ!相手の数は5万だよ5万!!それに君だって酷い怪我じゃないか!!」
「……たとえ無茶でも、勝ち目がなくとも……拙者はルイズ殿を守る。それが、武士としての務めにござる」
だがその時、階上から怒号が響いてきた。レコン・キスタの兵達がここに近づいてきている……
「……ギーシュ殿、ルイズ殿を頼む」
と、幸村は背負っていたルイズをゆっくりと地面に降ろして横たわらせた。
「き、君……まさか戦う気なのか?」
「北条殿は動けぬし、お主も戦えんのだろう?ならば、拙者が迎え撃つしかあるまい」
「無茶だよ!相手の数は5万だよ5万!!それに君だって酷い怪我じゃないか!!」
「……たとえ無茶でも、勝ち目がなくとも……拙者はルイズ殿を守る。それが、武士としての務めにござる」
幸村はふらふらと、おぼつかない足取りのまま入り口の前まで来た。
傷口は既に熱を持ち、大量に出血したせいか意識も薄れかけている。今の幸村はとても戦える状態ではなかった。
「結局こうなっちまうかぁ……短いつき合いだったなぁ相棒……」
「戯言を申すな」
「あん?」
「拙者はここで果てるつもりなどない。ルイズ殿もギーシュ殿も北条殿も……拙者が必ず守りぬく」
それを聞くと、デルフリンガーは嬉しそうにカタカタと震えた。
「いいねぇ!それでこそガンダールヴだ!よっしゃ、いっちょやるか!!」
幸村は傷だらけの体のまま、入り口の前に仁王立ちして敵を待ち構えた。
傷口は既に熱を持ち、大量に出血したせいか意識も薄れかけている。今の幸村はとても戦える状態ではなかった。
「結局こうなっちまうかぁ……短いつき合いだったなぁ相棒……」
「戯言を申すな」
「あん?」
「拙者はここで果てるつもりなどない。ルイズ殿もギーシュ殿も北条殿も……拙者が必ず守りぬく」
それを聞くと、デルフリンガーは嬉しそうにカタカタと震えた。
「いいねぇ!それでこそガンダールヴだ!よっしゃ、いっちょやるか!!」
幸村は傷だらけの体のまま、入り口の前に仁王立ちして敵を待ち構えた。
しかしその時……
ゴゴゴゴゴゴ、と足元から轟音が聞こえてきた。
何事か?と、幸村は地面を見つめる。
次の瞬間、地面が勢いよく爆ぜ、何かが飛び出してきた。
飛び出してきたのは巨大な槍……とても常人では扱えぬような槍であった。
何事か?と、幸村は地面を見つめる。
次の瞬間、地面が勢いよく爆ぜ、何かが飛び出してきた。
飛び出してきたのは巨大な槍……とても常人では扱えぬような槍であった。
「これは、もしや……!!」
幸村の脳裏に戦国最強の男の名が浮かぶ。
「…!!……」プルオォォォン!!
幸村のおもった通り、開いた穴から忠勝がバーニアを噴かせながら現れた。
よく見れば、忠勝の両肩にはキュルケとタバサの姿も見られる。
「嘘!?本当にここにいたわ」
幸村やルイズ達を見て、キュルケが驚いたように言った。
だが、驚いたのは幸村も同じである。
「忠勝殿!それにキュルケ殿も……何故ここに?」
「何故って……あなた達を追ってきたに決まってるじゃない」
「し、しかし、どうやって拙者達の場所を……」
幸村の脳裏に戦国最強の男の名が浮かぶ。
「…!!……」プルオォォォン!!
幸村のおもった通り、開いた穴から忠勝がバーニアを噴かせながら現れた。
よく見れば、忠勝の両肩にはキュルケとタバサの姿も見られる。
「嘘!?本当にここにいたわ」
幸村やルイズ達を見て、キュルケが驚いたように言った。
だが、驚いたのは幸村も同じである。
「忠勝殿!それにキュルケ殿も……何故ここに?」
「何故って……あなた達を追ってきたに決まってるじゃない」
「し、しかし、どうやって拙者達の場所を……」
「彼のおかげ」
キュルケとは反対の肩に乗っていたタバサが呟く。
すると、忠勝の背中からバッ、と誰かが飛び降りてきた。
「よぉ幸村!!大事ないか?」
半裸に近い服装に大きな三叉槍……前田利家であった。
「トシイエがあなたの匂いを嗅ぎつけてここまで来たのよ。ホント……犬並の嗅覚ねあなた……」
「おう、それがしは犬千代だからな!!」
利家は胸を張って自身満々に言った。
幸村は呆然とそのやり取りを見ている。
が、しばらくして状況を理解したのか、安堵の笑みを浮かべ……そして
キュルケとは反対の肩に乗っていたタバサが呟く。
すると、忠勝の背中からバッ、と誰かが飛び降りてきた。
「よぉ幸村!!大事ないか?」
半裸に近い服装に大きな三叉槍……前田利家であった。
「トシイエがあなたの匂いを嗅ぎつけてここまで来たのよ。ホント……犬並の嗅覚ねあなた……」
「おう、それがしは犬千代だからな!!」
利家は胸を張って自身満々に言った。
幸村は呆然とそのやり取りを見ている。
が、しばらくして状況を理解したのか、安堵の笑みを浮かべ……そして
ドサッ……と音を立てて倒れた。
「え?ちょ、ちょっとどうしたのよ!?」
突然倒れた幸村にキュルケは慌てる。
(相棒……やっぱ無理していたか……)
突然倒れた幸村にキュルケは慌てる。
(相棒……やっぱ無理していたか……)
「時間がねぇ!ここから逃げるぞ!」
主の手から滑り落ちたデルフリンガーは、カタカタと震えながらキュルケ達に向かって叫んだ。
「逃げるって、任務は?ワルド子爵はどうしたのよ?」
「手紙は娘っ子が持っている!あのキザ野郎は裏切り者だったんだ!」
主の手から滑り落ちたデルフリンガーは、カタカタと震えながらキュルケ達に向かって叫んだ。
「逃げるって、任務は?ワルド子爵はどうしたのよ?」
「手紙は娘っ子が持っている!あのキザ野郎は裏切り者だったんだ!」
「いたぞおぉ!!」
デルフが叫んだと同時に、階上から武装したレコン・キスタ兵が現れた。
「タダカツ」
だが、タバサが表情1つ変えずに忠勝に命令した。
忠勝の両肩から砲身が現れ、砲弾が発射される。
砲撃により、現れたレコン・キスタ兵の先陣は吹き飛ばされた。
「見ただろ?敵がそこまで来てんだ!」
状況を察知したのか、キュルケ達は負傷した幸村やルイズ、氏政を忠勝に乗せ、空いた穴から脱出した。
「タダカツ」
だが、タバサが表情1つ変えずに忠勝に命令した。
忠勝の両肩から砲身が現れ、砲弾が発射される。
砲撃により、現れたレコン・キスタ兵の先陣は吹き飛ばされた。
「見ただろ?敵がそこまで来てんだ!」
状況を察知したのか、キュルケ達は負傷した幸村やルイズ、氏政を忠勝に乗せ、空いた穴から脱出した。
夢を、ルイズは夢を見ていた。
夢の中でルイズは、池のほとりにある小船の中にいる。
うらぶれた中庭にある池…ルイズが「秘密の場所」と呼んでいる所だった。
夢の中でルイズは、池のほとりにある小船の中にいる。
うらぶれた中庭にある池…ルイズが「秘密の場所」と呼んでいる所だった。
――ルイズ殿――
誰かが自分を呼んでいる。
だけど、ワルドではない。いや、もう自分が憧れていた子爵様は来ない筈だ。
だけど、ワルドではない。いや、もう自分が憧れていた子爵様は来ない筈だ。
――ルイズ殿――
では、誰が自分の名を呼んでいるのだろう……
「ルイズ殿」
ルイズが顔を上げると、そこにいたのは幸村だった。
幸村はルイズの小船に近づき、そっと手を差し出してくる。
「泣いておられたのですか?」
幸村の言葉にルイズは子供のように頷いた。幸村は静かに微笑んで言った。
ルイズが顔を上げると、そこにいたのは幸村だった。
幸村はルイズの小船に近づき、そっと手を差し出してくる。
「泣いておられたのですか?」
幸村の言葉にルイズは子供のように頷いた。幸村は静かに微笑んで言った。
「泣かないで下され。拙者が、いつまでもルイズ殿の傍におりまする」
トクン……と、胸が高鳴る。
顔が、火のように熱くなる。
ルイズは幸村の差し出した手に手を伸ばし、そっと握り締めた。
ルイズの夢はそこで終わった。
頬に強い風を受け、目を覚ましたのである。
ルイズは自分が、タバサの使い魔の忠勝の背に乗っている事に気づいた。
頬に強い風を受け、目を覚ましたのである。
ルイズは自分が、タバサの使い魔の忠勝の背に乗っている事に気づいた。
「……ここは?」
「おぉぉぉ~?気づいたかルイズゥゥゥ~!?」
「おぉぉぉ~?気づいたかルイズゥゥゥ~!?」
忠勝の足にしがみついた利家が聞こえるように叫ぶ。
見ると、キュルケとタバサが忠勝の肩に、ギーシュは利家とは反対の足にしがみついていた。
見上げると、空が広がっている。自分は助かったのだ。
ワルドに殺されそうになった時、幸村が助けに来てくれた。
それから自分はデルフを幸村に届けたがワルドの風を受けて……それからずっと気絶していたのだろう。
自分が無事だという事は、恐らく幸村はワルドに勝ったのだろう。
しかし、ルイズは自分の使い魔の姿が見えない事に気づいた。
「ユキムラ……ユキムラは!?」
声を荒げて幸村の姿を探す。
と、ルイズの視線が忠勝の腕の中に向いた。
見ると、キュルケとタバサが忠勝の肩に、ギーシュは利家とは反対の足にしがみついていた。
見上げると、空が広がっている。自分は助かったのだ。
ワルドに殺されそうになった時、幸村が助けに来てくれた。
それから自分はデルフを幸村に届けたがワルドの風を受けて……それからずっと気絶していたのだろう。
自分が無事だという事は、恐らく幸村はワルドに勝ったのだろう。
しかし、ルイズは自分の使い魔の姿が見えない事に気づいた。
「ユキムラ……ユキムラは!?」
声を荒げて幸村の姿を探す。
と、ルイズの視線が忠勝の腕の中に向いた。
――そこで彼女は見た――
――炎のような色の服が、赤黒い血で染まった使い魔の姿を――