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虚无(ヤク)い使い魔-03


ハルキゲニアに召喚されて二日目
その日、八雲はルイズから言いわたされた洗濯物をかたづけた後、ルイズの授業に同行していた。
召喚の儀を終えて初めての授業は使い魔の顔見せの場でもある。 
生徒たちは自分の召喚した使い魔を連れており、その光景を八雲は物珍しそうに眺めていた。
「異世界だって分かってたつもりだったけど…こりゃスゴイな。」
トリステインからとても遠く離れた場所から召喚されたというヤクモにとって目の前の光景は珍しいものなのかもしれない…しかし異世界とは一体何のことなのだろう?

…だが今はそれどころではない
ただでさえ平民の使い魔を連れてきたことでただでさえ注目を引いているところに、ヤクモはまるで田舎者のようにそわそわとふるまっている… 
ルイズは恥ずかしくてたまらなかった。
彼女に芽生えたその疑問も周囲の目を気にする恥ずかしさの中に埋もれて消えてしまった。

「ちょっと、あんまりキョロキョロしないでよ。一緒にいる私まで恥ずかしいじゃない!」

「あら、ちょっと聞いたんだけどアナタの使い魔って遠くからいらっしゃったんでしょ… この学園が珍しいのも分かるわ、そんなみっともない癇癪をおこさなくてもいいじゃない?」
振り返るとそこに燃えるような赤い髪と小麦色に色づいた肌の女生徒が立っていた。
ルイズとは対照的になかなかメリハリのついた大人っぽい体系をしている。

「あら、ミス・ツェルプストー…田舎ものどうし共感するところがあるのかしら? けれど使い魔のしつけは主人の役目だから、人の使い魔を甘やかさないでほしいわ」
「そんなヒステリーおこしてるとあなたの使い魔さんに愛想つかされて逃げられちゃうわよ?」
赤毛の女生徒はルイズの嫌味を軽くあしらうと八雲に向って話しかけた。

「ハァイ 私はキュルケ、微熱のキュルケよ、よろしくね使い魔さん。」
「どうもヨロシク、俺は藤井八雲、ルイズの使い魔やってるけど、そっちの赤いのがアンタの使い魔サン?」
八雲が視線を投げた先には、尾に炎を宿した大きなトカゲがキュルキュルと声を立てている。

「それサラマンダーじゃないの!」
「そうよー。 しかもこの鮮やかで大きな尾の炎…火竜山のサラマンダーに間違いないわ。 ブランドものよ ブ ラ ン ド・モ・ノ」
ルイズはキュルケのサラマンダーを悔しそうに見つめていた。
それを見て八雲は、自分を召喚したことがルイズのプライドを傷つけてしまったのだと確認することになったのだ。



教室に入ってきた年配の女性…ミセス・シュブルーズはどちらかと言えば良い教師だ。
学園で使っている教科書のいくつかは彼女の著作であるし教え方も分かりやすい…しかしどこか生徒の気持ちに対する配慮にかけた教師でもあった。

「今年度からトリステイン魔法学院に赴任しましたシュブルーズです。属性は土、二つ名は赤土のシュブルーズ… これから一年間皆さんに土系統を講義することになります。」
ミセス・シュブルーズは軽い自己紹介を澄ましそのまま続けた。

「皆さん2年生への進級おめでとう。 さて皆さんは無事に使い魔と契約できたようですが、仲良くできていますか? 中には変わった使い魔を召喚した方がいるようですが…」
その一言が皮切りとなり、ルイズを嘲る野次が飛び始めた。

「流石ゼロのルイズはやることが違うよな…まさか平民を呼んじゃうとは思わなかったよ」
「いや…召喚できないんで、その辺りの平民を金で雇って使い魔のふりをさせてるのかもしれないぜ?」
「そいつはヤクいな! そう言えばあの男は乞食だってうわさ聞いたぜ。進級のために物乞いを雇って侍らせるなんてプライドってもんがないのかな?」

ルイズはその罵声に堪えられず立ち上がって叫んだ。
「ミセス・シュブルーズ! 風っぴきのマリコルヌが侮辱をしました!」
「何だと!僕の二つ名は風上だ! 大体僕は事実を言っただけじゃないか、ゼロのルイズの癖に。」
太っちょの男子生徒がルイズの挑発を受け反論すると、周囲に笑いの渦が巻き起こった。

「あなた方いい加減になさい!」
ミセス・シュブルーズが2人を叱って騒ぎを収める。
ルイズは悔しさではち切れてしまいそうだった。

ヤクモは何やかんやで言いつけた雑用もこなしてくれているし、ハズレの使い魔を引いたと落ち込む自分を気遣っている………それは分かっている
しかし周囲の目線と嘲笑を前に、つい自分の使い魔を恨めしく思ってしまう。
「アンタのせいよ…」
不条理なご主人さまのやつ当たりに対し、使い魔は「アハハ…」と笑ってごまかした。

落ち度のないヤクモに当たった自分を恥じ、ルイズは使い魔に申し訳なく思った。
「ご、ごめ(ry
「ところでサァ…あいつが言ってた『ゼロ』って何?」
前言撤回…やっぱりデリカシーの無いこいつが悪いんだから。


「え~皆さんもご存じのとおり、魔法には『火』『水』『土』『風』の四大系統と、失われた魔法である『虚無』が……   」
授業が始まるとルイズは熱心に講義に集中し、八雲は聞いているのか聞いていないのか分からない風だった。
実際、この世界のことを何かしら理解しようと耳を傾けるのだが、結局は意味が分からず右耳から左耳へとミセス・シュブルーズの熱意を聞き流すのだ。

「はぁ…俺高校中退だしなぁ、」
八雲がそうぼやいていると、ミセス・シュブルーズが生徒の注意を集めた。
どうやら魔法の実演をするらしい…

「土は万物の組成をつかさどる重要な魔法です、皆さんの暮らしにも直接関わってきます
それをまず知ってもらうため、基本である錬金の魔法を覚えて貰います」
そう言って杖を振ったかと思うと、教卓の上に置かれた石が違う物質に変容していき...
数秒後、石だった物質はコガネ色の金属光沢を持っていた。


「ゴールドですか!?ミス・シュブルーズ!」
キュルケが驚いたように声を上げる。
「いいえ、ただの真鍮です、私はトライアングルですから。金を錬金するにはスクウェア以上である必要でないと… 」
「なぁんだ…」キュルケは残念そうにため息をつくと着席した。

「さて、この錬金を誰かにやってもらいましょうか… そこのあなた、名前は?」
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールです。」
教室内が騒然とする。
生徒たちは目に見えて焦りはじめており、何を恐れているのかふるえながら机の下に潜り込んでいる者もいる。

「先生、危険です!ミス・ヴァリエールに魔法を使わせるのは…」
「ルイズにさせるのは止めてください!錬金は私がやりますからっ」
生徒たちの忠告にいまいち要領を得なかったミス・シュブルーズはこう返事を返した。
「安心してください…錬金は危険な魔法ではありませんよ。 できますか?ミス・ヴァリエール…」

「で、でも…(ry
「やります! やらせてください!ミス・シュブルーズ。」
それでも何か言おうとした生徒たちだったが、その言葉を遮ってルイズはミス・シュブルーズの要求に強く答えた。
部屋の中の不穏な空気は大きくなる、中には立ち上がってそそくさと教室を後にするものまであらわれている。
八雲はその空気を不審に思ったが、事の顛末を静かに見守ることにした。

(な…なによ、私だって...私だってやってやるんだから!)
ルイズは心の中でそう気合を入れると、おもむろにミス・シュブルーズのもとへと歩いて行った。

「おちついて錬金したい金属を頭にうかべるのです…」
ミス・シュブルーズのアドバイスを受けて杖を持って目を閉じた。
スーゥ …… フー …
そして深く深呼吸をすると杖を頭上に掲げ、気合いとともに振り下ろし…そして

八雲は見た。 カッ… と白い閃光がルイズの持つ杖から広がるのを… 次の瞬間、教室は爆発にのみこまれていった。

爆風がおさまり辺りが静かになると、薄れはじめた黒煙のなかから煤まみれのルイズが出てきた。
そしてルイズは何事もなかったかのように言ったのだった。
「ちょっと失敗したみたいね…」
傍らには黒コゲのミス・シュブルーズが目を回して倒れていた。




「いやぁ、凄い爆発だったな。」
2人は爆発によってめちゃめちゃに散らかされた教室のかたづけをしていた。
共に作業しているルイズに話しかけるけれど返事は帰って来ない。

「しかし大した怪我人が出なくてよかったよ」
幸い大事には至らなかった。爆発の近くにいたミス・シュブルーズは煤で真っ黒になったものの、突然の爆発に卒倒しただけで外傷はなかったのだ。

再び返事がない…
ルイズは目に見えて落ち込んでいる。
自分の起こした爆発(しっぱい)の罰として、めちゃめちゃになった教室の後始末を言い渡されたのだが、その作業もあまり手につかないようだった。
八雲は困ったように目を細めて頭をかく。

「気にすンなよ、誰にでも失敗はあるって!」
八雲のその言葉に初めてルイズが口を開いた。
「いい加減なこと言わないでよ! 使う魔法使う魔法失敗ばかり、ゼロって呼ばれてた理由分かったでしょ!魔法の成功率ゼロ! だからゼロのルイズ」

どうやら地雷を踏んでしまったようだ…
「系統魔法に目覚めないどころかコモンマジックすら成功したことがないのよ! 毎回毎回あの爆発ばっかり、私に魔法の才能なんてないんだわ! なのにあんなに偉そうにして…軽蔑したんでしょ!」

まずい…ルイズを怒らせてしまった。どうすればいいのだ?
八雲は手をワタワタと振ってパニックになる、何を言えばいいのか?
こんな時どうすればいいのか分からず、八雲は思いつく言葉を並べたてる。

「そそ、そんなこと無いって!あの爆発は本当に凄かったぜ! ルイズ絶対魔法の才能あるって、あんな爆発を起こせるんだから。あんな爆発ほかの誰も起こせナイよ!」
あれ?俺は何を言ってるんだろう?

そんな事を思っていると、ルイズが目の前で眉毛をピクつかせプルプルと震えていた。
「出て行けっ! それとアンタ今日ご飯抜き!」
ルイズに蹴っ飛ばされて八雲は教室を追い出された。



「はぁ…やっぱ俺まずいこと言っちゃったのかネ…」
そう呟きながら八雲はトボトボと歩いていた。
「けど…腹へったなぁ」
そもそも朝もまともに食べていない。 
平民の使い魔の為にふるまえる食事はこの程度だ、とパン一切れと水しかもらえなかったのだ。

「それどころかサンハーラの中で吹っ飛ばされて以来、何も食ってないんだよナァ」
彼に食事は必要ない。栄養不足で衰弱しようが身体は回復してしまうのだ。
けれど彼には人間だった頃の感覚は全て残っている。
食べ物がなければ腹が減るし怪我をすれば痛いのだ。

何か食べ物を得る手段が必要だ。
八雲は考えを巡らし、朝ルイズに連れていかされた食堂を思い出した。
たしか朝の食堂では何人もの平民(?)が、忙しそうにせっせと働いていたのだった。

「バイト雇ってもらえるかね…」
八雲は食堂へ向って歩きだした。


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