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虚無と狂信者-12




朝もやの森を疾走する巨大な狼、大尉。
その上では長いマスケット銃を持った女性がぐったりとしていた。
「しっかしとんでもないな!あの吸血鬼は!それにあの男!あれが聖職者って嘘だろ!」
ナイフ、地下水はぶつくさと文句をつける。
はっきり言って大尉にとっては何をいまさらといった話なわけだが。
「おい、嬢ちゃん!何寝てやがる!起きろやとっとと!」
リップバーン中尉はぐったりしたままか細い声を上げる。
「ごめんなさい……もっと寝かして……」
正直彼女は限界だった。
あのアーカード達を引きつける任務。その間に邪魔ものを地下水が始末。
そして大尉がバックアップ。余った面子でアンデルセンも何とかする。
無茶もいいとこの作戦とも言えない作戦だったのだが、アーカード及びセラスの参戦は全く予期せぬことだったので仕方がない。
本当は全力でアンデルセンを討伐する予定だったが完全に狂った形だ。
そして彼女は自分を殺した冗談のような化け物を引きつけるだけで精神的な何かを全て使ってしまったのだ。
大尉が落ち合う場所に来た時、彼女は隅っこで蹲り、心の中の何かに熱心に謝罪していた程だ。
そんな彼我の戦力差の中で当初の予定通りアンデルセンをルイズから分断できたのは、
ひとえにこの自分を運ぶ大尉の力である。実質一人で自己と同等の力を持つ二人を相手に
戦ったこの気高き軍人である大尉を頼もしく思う。
そして彼がアーカードと闘ったのは自分が不甲斐ないからなのだ。
しかし、そんな彼女の感謝の心でもどうしようもなく
この獣の上は、揺れる。それはもう。
「すいません大尉……、吐きそう……。」
それを聞くや大尉は急ブレーキを掛けた。
慣性の法則に従い放物線を描きながら吹っ飛び、木に叩きつけられる中尉。
そして吐瀉物を吐き出した。美人が台無しのその姿に、大尉は目を逸らしてあげた。
「いや、お前のせいだろ?」
ナイフがツッコむも、それは完全に無視された。



世界樹の上で一同は集まった。
キュルケ、シエスタ、ギーシュ、アンデルセン、アーカード、そして
「しくしくしくしく」
泣きながら喚く、棺桶。中に入っているのは吸血鬼セラス・ヴィクトリア。
何事かと通行人は見やるが、アーカードとアンデルセンが怖いため誰も何も言わない。
「どうにかならんかね。」
ギーシュはアーカードに聞くが、吸血鬼は流れる水を渡れないのだからしょうがない。
とにかく、こうしている場合ではない。
「ワルド子爵が裏切り者かもしれない。」
アンデルセン神父により、この疑いが掛けられる。
そう多くはいない風のスクウェアであることも一つ。
また、敵が明らかにこちらの分断を狙ったこと。そして早すぎる出航。
漏れていたこちらの行動がこの疑惑を信憑性の高い嫌疑とした。
「もしそうだとしてもどうやって包囲されているニューカッスルまで行くの?」
キュルケの問も最もだ。王党派はもはや貴族派に完全に包囲されている。
「空からシルフィードを使って。」
「NON 大陸最強のアルビオン竜騎士にこんな大勢乗せた風竜が勝てる訳がない。」
「少数精鋭を持って、中央突破」
「NON 外交問題に発展するし、何より城が私達を入れてくれるかしら。」
「僕のウェルダンテで穴を掘るってのはどうだい?」
一同静止する。
「場所は解るの?」
「水のルビーのある場所なら解るはずだ。」
「それで行こう。」
セラスの棺桶のロープを咥えたシルフィードに、代わりにウェルダンテを咥えさせた。
そして風韻竜は空高く飛び立った。



こちらギーシュ・ド・グラモン、風竜の上の空気が最悪です。
ただでさえアーカードとアンデルセンの仲は悪いと言うのに、自分の命令を無視され、
勝手に退却する敵を殺そうとしたことと、それを邪魔したとはいえサイトを殺そうとした
ことで、キュルケとシエスタが怒っている。女性二人の怒りの余波はギーシュの胃を痛めた。
当のアーカードはどこ吹く風でにやにや笑っている。
「んで、サイトさんを如何したんですかアーカードさん?」
特にシエスタは怒り過ぎてなにやらオーラが見える。恋する乙女は恐ろしい。
「耳が吹き飛んだだけだが。」
アーカードは左手を落とされ喉に銃剣を刺されたのだからあいこにしても不釣り合いなのだが、
シエスタはさらに怒りを強めたようだ。恋慕の力はげに恐ろしい。
「全くパパとママの愛情が足りなかったんですかね?」
シエスタの背後にはもはやなんらかの生き霊が出始めていた。
確かにどう考えても、逃げる敵を殺そうとした味方を止めたサイトに非は無い。かといってアーカードだってそれなりに、
それこそ自分よりは活躍したのだから、そう責めてやることもあるまい。
などとギーシュが色々考えて気を揉むもアーカード自身があまり気にしていない。
でもこのままでは自分の胃の方が危ない。そんなこんなでギーシュは唸った。
そんな彼らを完全に無視し、アンデルセンとアーカードは語る。
「宿敵。あの少年は確かにただの日本の高校生に過ぎんのだな?」
「ああ、戦ったことも、命の危険に遭ったことも無い、ただの子どもだとも」
「くく……そうか、だとすれば何とも面白い男だ、見かけや表面上なんぞよりずいぶんとおもしろい男だ。
双月の輝く空の下で、貴様と伊達男の戦闘の回りで、雲霞の如きグール共と吸血鬼との対峙で、
嵐を呼ぶ風竜の目の前で、あの男は何をし、何を選択したのか。」
アーカードは狂気を孕んだ目でアンデルセンに笑いかけた。
アンデルセンはそれにあの凶悪な笑みで応える。
それがギーシュにはなぜか、息子の成長を喜ぶ父親に見えた。


「あれ?サイトってばそんな凄かったっけ?いやーん惚れちゃいそ」
「な?!ちょっと駄目です!それはダメです!」
じゃれあう二人の少女を見て、話題が変わりほっとするギーシュ。
ふと、シルフィードに咥えられたウェルダンテを見て思い出す。
「何か忘れてないかね?」

「しくしくしくしくしくしくしく」
そのころ港では女性の泣き声が漏れる棺桶に黒山の人だかりができていた。
(ひどいですよ、マスター……タバサお嬢様大丈夫かな……)
今の主君の身を案ずるセラス。少し状況を整理してみる。
向こうにいるのはサイト、ルイズ、タバサ、隊長、そして裏切り者の可能性の高いワルド。
もしアンデルセンの予想通りなら状況はかなり悪い。そしてアンデルセンが予測を外す確率は低いだろう。
せめて自分がいれば、そう思って後悔するのは大尉との戦闘。
はっきりいって彼我の戦力差は拮抗していたはずだ。かなり危なかったとはいえ、
自分は彼に勝利したのだから。そして彼の存在に思い当たる、ベルナドット。
自分は彼の血を吸った。そして命を吸収したはずだ。その彼が今、生きて実体を持ち、存在している。
おかしい気もしたが、別に悪いことではないし、置いておこう。
それにベルナドット自体の有能さは、自分の聊かのパワーダウンよりも大きい。
彼はただの人間であるが、人間に過ぎないゆえの強さを持っているのだから。
(頑張って下さい。ベルナドットさん)
自身の相棒に、彼女は絶対の信頼を持っていた。

土くれのフーケは待ち合わせの酒場で仮面の男を待っていた。
あの男に差し出された手紙に書かれたのは、あの村の詳細な場所。
それだけで彼女を屈伏させるには十分であり、むしろ連中の不気味さを物語っていた。
「ティファニア……」
約束の時間を三時間過ぎても彼はこなかった。水を呷って店をでる。愛しい人の待つ家へ。
「もし、あの子達に手をだしたら、ただでおくかい」



「ん?」
サイトが目を覚ました時、見知らぬ牢屋で、ルイズ、ワルド、タバサ、ベルナドットが、
自分を見ていた。一体どうしたことかと皆に尋ねた。
「空賊に襲われてね……。」
どうも自分が寝ている間に貨物船は空賊に拿捕されたらしい。その間自分はずっと寝ていた事実に愕然とする。
「ごめんな……。神父の代わりに守るって約束したのに。」
そう謝罪するサイトにルイズは真赤な顔で指を立てる。
「別にいいわよ。あんたみたいな只の平民が貴族の私を守れるわけ無いんだから。」
そう言うルイズにサイトはずっこける。
「ただのって……」
「ただのよ!アンデルセンくらいならともかくあんたは普通の人なんだから無茶しなくていいの」
ベルナドットが、ルイズの怒りように困惑するサイトに耳打ちする。
「この嬢ちゃんお前が旦那に立ち向かったって聞いた時無茶苦茶心配したんだぜ。」
「そうそう、わんわん泣いて大変だったぜ。おまけにおめえ起きねえからなぁ」
「うっさいわねボロ剣。爆破するわよ。」
サイトは驚いてじっと彼女を見る。ルイズはさらに顔を赤くする。
「大体あんた無茶しすぎなのよ!聞いたら無謀な戦いばっかして!死んだらどうすんの!?
アンデルセンだってそうよ!なんであんな化け物と闘うの?馬鹿じゃないの?!」
アンデルセンという言葉を聞き、サイトの表情が曇る。そして疑問が湧いた。
「神父はともかく、なんでお前そんな心配すんだ?俺のこと。ただの平民なんだろ?」
その言葉にルイズははっとして横を向く。そして苦しげに口を開く。
「あんたが……命の恩人だからよ!それ以上でも以下でもないわ!」
言ってしまって自分で後悔する。なんでもっと可愛らしく言うことができないのだろう。
しかもサイトはそれで納得行ってしまったらしい。
「そっか…でもいいんだぜ?そんな気にしなくてもよ?」
サイトはそんなことを言って笑った。そして今度は視線をタバサに向け、謝り始めた。
「悪い!俺のせいで危険な目に!」
「あなたのせいじゃない。私が未熟だから」


「でもやっぱり……。」
タバサはしばし考えて人さし指を立てる。
「一個貸し。」
「分かった!絶対返す!」
その後話し合う二人をルイズは嫌そうな顔で見つめる。
「焼きもちか?」
そう言ってくるベルナドットをルイズはぽかぽか殴った。
「んなわけないでしょ!あんな馬鹿に!」
「そうかい?まあ、サイトにはシエスタがいるからいまさらだが。」
その言葉にルイズが頬を膨らませる。彼は頬を指で押し、空気を抜いてやる。
「なにすんのよ!」
「そうそう、そうやって元気よくいきゃ大丈夫だって。まあでも俺はタバサ嬢ちゃんを応援するがね。」
タバサはベルナドットを無視してサイトに訊ねる。
「服まで治っているのは、何故?おしえて。」
「き、禁則事項です(ハート)」
何故か嫌な汗を流しながら、人さし指を口にあてるサイト。しばらくの静寂。
「自分でも解らないのね」
やっちまったとでも言うように俯くサイト。
ふいに空賊の一人が牢にやってくる。
「でな!お頭がお呼びだ。」

船長室にいたのは、浅黒い髭面の男だった。筋肉質で逞しいそのあらくれが聞いた。
「貴族派につく気はないか?」
「誰が汚らわしい連中の仲間になるもんですか!」
サイトは慌ててルイズを制する。しかしルイズは聞かない。
「何よ!こんな恥知らずの言い成りになれっていうの!?」
「時と場合ってもんがあるだろ!」
ルイズは憮然として横を向く。そして重く口を開いた。
「アンデルセンは……退かなかったわ。アーカードにも人狼にも…。私はあいつの主人よ……。
あんたが吸血鬼に退かないのと同じようにね……私も退けないのよ!あいつに胸張って会うために。」


その言葉を聞き、空賊の頭目が大声で笑い始めた。そして自分の髭に手を掛ける。
するとそれがべりべりと剥がれだし、さらにバンダナとカツラを取り外すと金髪の美男子が現れる。
呆気にとられる一同、タバサの表情だけが変わらない。
「アルビオン皇太子、ウェールス・デューター!トリステインの大使達よ、度重なる非礼を許して欲しい。」
呆然とするルイズ達を件の皇太子は見回す。するとタバサを見てハッとした様子を見せた。
「君は……いや。君にも事情があるだろう。」
またもポカンとする一同。ルイズに至っては完全に静止している。
「とにかく遠路遥々御苦労だった。白の国へようこそ諸君!」

「おお硫黄ですか!これで貴族派の連中に目にものを見せつけてやれますな!」
ルイズは部下を労うのを終えたウェールズに訊ねる。
「王党派が勝つ可能性はないのでしょうか?閣下」
「無いよ。我が方は三百に対し敵は五万。万に一つも勝ち目はない。」
その言葉を聞き、ルイズはウェールズに泣きついた。
「ならば閣下、トリステインに亡命なさいませ!おそらく女王陛下もそれを望んでいます。」
ルイズがその言葉を口にした瞬間、サイトは何故かワルドの方を見た。
今まで全く目立たなかった彼の存在感が急に際立ったのを感じたからだ。
「いや、そうする訳にはいかない。亡国の王子が亡命したとあっては同盟締結に問題が生じるだろう。」
その言葉に一同はハッとする。この男は滅びの途にあってもそこまでの情報を手に入れていたのだ。
「あのレコンキスタと名乗る連中は聖地の奪回などという馬鹿げたことを言っている。
それによって流れる民草の血を考えていない。我々はハルケギニアの貴族として彼らに
目にものを見せねばならない。
そして…………。」
ウェールズは向き直った。その眼には悲壮な決意が込められている。
「これは我々ハルケギニアの人間全体、いや知性ある者全体の問題なんだ。
君達に見せよう、そして伝えて欲しい。彼らがこの世界の何を如何しているかを。」



ウェールズに連れられ一同は城の地下に連れられた。
「暗いな。幽霊でもでそうだ。」
サイトが何気なく言った一言にタバサがビクりとした。
「ん?どうした。」
「………」
「ああ、タバサ嬢ちゃんはお化けが苦手なんだよ。」
タバサは杖でポカポカとベルナドットを殴った。その反対の手でしっかりとサイトのコートを握りながら。
才人は聖書の一節を口にし、煩悩を追いやる。
「幽霊か………。それだったらどれだけマシか。」
ウェールズの呟きの後、サイトの鼻孔が捉えたそれは覚えのあるものだった。
「以前貴族派に夜襲を受けた部隊があってね……。生き残りが一人いて彼をこの城に運んだ。
治療も間に合わずに死んでしまう。それだけなら良かった。」
奥に一際頑丈そうな扉があった。ウェールズはそれを開け、明かりをつける。
目の前には牢獄があり、そこには囚人らしき人がいる。
それを見てタバサはふらりとサイトに寄りかかり、ワルドは口を押さえ、ベルナドットは舌打ちし、
ルイズは卒倒しサイトに支えられる。それはもはや人では無い。
ただの動く、肉の腐った、死人。
サイトは歯軋りをし、吐き捨てるように呟く。
「グール」
「知っているのか?」
「俺達の世界の吸血鬼が作る化け物です。グールは吸血鬼によってどこまでも増えます。
そしてグールに殺された人間もまたグールに、そうやって無限に増えるんです。」
ウェールズが嘆息する。
「そうなのか…、これがレコンキスタの吸血鬼どもが生み出すとは知っていたが……。」
サイトは壁に拳を叩きつける。もし、これが大量に出回れば………。


その後、ウェールズに吸血鬼に関する持ちうる知識全てを伝えたサイトは、彼に頼んだ。
「構わんが………。」
ウェールズは牢のカギを開ける。
サイトはその中に入り、襲いかかるグールの心臓に銃剣を突き立てた。
「一度こうなった人間を……元に戻す術は無い。情けをかけては……いけません。」
そう言い、顔を拭った。拭ったのは血か、それとも他の何かか。

「レコンキスタの長、オリヴァー・クロムウェルは一介の司教に過ぎなかった。」
城の一室でウェールズとルイズ達が話を始めた。紅茶を出されているものの皆口をつけていない。
「それが短期間でこれだけの勢力になったのは、我々王家の体たらくもあったが、それだけではない。
どうも三つほど理由があるらしい。」
元々大貴族であるサウスコーダ家を取り潰した辺りから、貴族達の間で危機感が広がっていた。
また、財政難による徴税過多により、領民の不満も高まっていたという。
だが、アルビオンの大多数や他国の貴族までにレコンキスタの信奉が増えたのは他にも理由がある。
「一つは、彼らは他を吸血鬼とする力を持つという。実際に神官や、平民を吸血鬼に変えて見せている。」
そのやり方にサイトは拳を握り締めた。あの哀れな村も彼らの仕業なのだろう。
そこで、ベルナドットがウェールズに質問する。
「なんで貴族じゃなくてそんなどうでもいい奴らを吸血鬼にするんだ?」
その言葉にタバサが代わりに答えた。
「貴族は自分勝手」
成程、吸血鬼にしちゃうと言うことを聞かなくなるわけかと、ルイズを見てサイトは納得した。
「何よ?じろじろと。」
「別に。」
ウェールズが咳ばらいを一つする。
「もう一つ、クロムウェル自身が吸血鬼とはまた違った化け物だという。」
「もしかして人狼ですか?」
「人狼……それが何かはわからんが……。まあ、これは風聞ゆえ信憑性は薄い。問題は次だ。」
ウェールズは一拍置く。
「虚無の伝説はご存じかね?ミス・ヴァリエール?」


「始祖ブリミルが行使したといわれる五番目の系統でしょう?それがどうしたというのですか?」
ウェールズは溜息をついた。
「クロムウェルはその虚無の担い手らしい。なんでも死人を蘇らせるとか。」
一同が静まり返った。そしてサイトはクロムウェルという男を想像する。
曰く吸血鬼を生み出す力を持ち、曰く吸血鬼並の化け物であり、
曰く伝説の系統の使い手であり、曰くその魔法は死人を蘇らせる。
なんという巨大な敵だろう。さらには政治家としての資質もかなりのものと見ていい。しかし、
(あんなものを作りだしておいて、ほっとく訳にもいかない、か)
思い出す、あの哀れなグールの群れ。あんなものが各地で生み出されている。
どれだけの人が死に、死に損なっているのだろう。
サイトの中には、黒い怒りが渦巻いていた。
見るとルイズもまた震えている。それは恐怖だけではないだろう。
「…………許せない。」
消え入りそうな言葉を聞き、サイトは嬉しくなった。この少女をどこか遠い人だと思っていた。
けれど、実際は自分と同じく、憤っている。それだけでこの少女を近しい者に感じた。
「やっつけてやるさ。」
ウェールズはそんなサイト達をみて嬉しそうに微笑んだ。
「これらは僕が残せる最後の情報だ。どうかアンリエッタに聞かせて欲しい。
そしてレコンキスタの野望を打ち砕いてくれ。」

タバサはさっき見たグールを思い出し、虚ろな心境になる。
人として憎むべき相手。吸血鬼。
そして何より、彼らはあれを憎んでいる。
タバサの目的、母を治すことともう一つ。両親の仇。
強大すぎる敵を撃つ力。それを手に入れるということと、その代価。
自分は人ではなくなってしまう。
化け物となり、彼の、彼らの敵となる。
彼女の心は復讐と、それ以外の何かの狭間で揺れ動いた。







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