あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

第一話


 使い魔召喚の儀式。
 魔法学院で学ぶトリステインのメイジにとって、その一生を左右するほどとされる重要な儀式である。
 次々と己の人生を共有する友たる使い魔を召喚する生徒達。
 蛙を使い魔として、やはり自分は水の系統なのだと納得する者。
 土まみれの汚いジャイアントモールを召喚し、しかしそのことも周囲の目も気にせず抱きついて頬ずりを始める者。
 そして虎ほどもある見事なサラマンダーを召喚する者もあれば、まだ幼いとは言え正真正銘の竜を召喚する者。
 それらを見ていて、ヴァリエール家の三女であるルイズの心に緊張と焦りが生まれることはなかった、と言えば嘘になる。
 しかし、彼女には、ルイズには今日の召喚に確信といえる自信があった。目の前でサモンサーヴァントとコントラクトサーヴァントを成功させていく生徒達を見て感じる緊張と焦りも、なお己の中にある自信を奮い立たせてゆくのを感じるのだ。

(大丈夫。私は、今日……何もかもが変わる。変えてみせる)

 これほどの自信が心にあるのが不思議に思うこともない。期待と不安――いや、正直に言えば不安のほうが大きかった――を抱えながらも万全の体調で儀式に挑むために必死で眠りに付いた昨日の夜。
 しかし、夢から覚ました今日の朝……ルイズの心は生まれ変わったかのように晴れ渡り、その精神はどんな魔法ですら、スクウェアスペルすら成功できるのではないかと思えるほど冴え渡っていた。
 絶対に今日は上手くいく。その集中が途切れぬよう、朝から練習のための魔法すら使わずひたすらに集中を続けてきたのだ。絶対に、上手くいく。

「では、次はミス・ヴァリール」
 自分を呼ぶ声。我知らず目を閉じて集中していた心を覚醒させて返事もそこそこに広場の中央に進み出る。
「はい。コルベール先生」
 その様子を見てこの儀式を監督するコルベールは軽くほほを緩めて頷いた。
 ミス・ヴァリエール。生徒の――そして一部の心無い教師の――間でゼロとあだ名される、しかし誰よりも努力家である生徒。その努力家という姿を知っているコルベールは、ルイズが適度な緊張を持ちながらも落ち着いていることを先ほどの返事から感じ取っていた。
 今日こそこの生徒の努力が実を結ぶのではないか、そんな思いがコルベールの中にも芽生えた。
 とはいえ、今日の彼は儀式全体を監督する立場である。いくら普段気に掛けているできの悪い努力家の生徒であろうと不公平な態度はできない。改めて表情を引き閉め、ルイズに向き直る。
「では、サモン・サーヴァントの詠唱から」
 その言葉にルイズが頷き、サモン・サーヴァントの詠唱を始める。


 そして、大爆発が起こった。


 もうもうと立ち込める土煙。ばらばらと落ちてくる巻き上げられた土砂。恐怖で騒ぎ立て暴れる召喚されたばかりの使い魔たちと、それを必死で静止する生徒達の声で広場は大きな騒ぎになっていた。
 しかし、それを制する立場であるはずのコルベールとその元凶であるルイズはじっとその爆心地へ目を凝らしていた。
 二人は確かに見たのだ。爆発とともに何かが召喚されていたのを。
 ごう、と強い風が吹き立ち込める土煙と降り注ぐ小石と砂の雨を舞い上げる。生徒の一人、幼い風竜を使い魔とした小柄な少女だ。じっとルイズを見つめるその視線に軽く礼代わりに頷きを返して爆心地へ目を戻すルイズ。
 その先でわずかに、だがちょうど中心を漂っていた土煙が周囲の気流に乗って散って行く。
 そこにあったのは
「え……? なに、あれ……あれは」
「……」
 確かに使い魔が召喚されていたことを確認したものの、そこにある物が何であるのか理解できないルイズ。その隣でコルベールは無言で杖を握り締めた。
 二人の、そして落ち着きを取り戻しつつある生徒たちのの前にあった物。
 それは、一見すれば辺境の蛮族にも見えるみすぼらしい人間だった。
 だがしかし、はっきりと人ではないことを示す異形でもあった。手足の先と腰しか覆わない粗末な服、いや鎧というべきか、その下にある体。
 その右半身が、人間ではないのだ。
 ちょうど頭頂部から股間に向かってまっすぐに線が引かれたように体が分かれている。蛮人の姿をした左半身、そして右半身は……
「あ、悪魔だー!!」
「ゼ、ゼロの魔法が成功した! 悪魔を呼び出しやがった!!」
「悪魔なんてじ、実在するの!?」
 悲鳴のような声が上がって周囲の生徒たちがざざっと離れだす。が、コルベールが杖を掲げながら声を張り上げて恐慌状態に陥ろうとしている生徒たちを制する。
「落ち着きなさい! 皆さんも一人前になろうかというメイジでしょうが!」
 広場に響いたその声に生徒たちも戸惑いを残しながらもわずかに自制を取り戻す。それを確認すると、今度はルイズの方へコルベールは語りかける。
「さあミス・ヴァリエール、コントラクト・サーヴァントを」
「え……? でもミスタ・コルベール、あれは……」
 改めて自分が召喚した使い魔の姿に戸惑いを覚えているルイズ。しかしコルベールは首を振り、呼び出された「何か」への警戒は解かないままルイズの肩に左手を乗せる。
「ミス・ヴァリエール。周りの生徒の言葉など気にしてはいけません。悪魔など実在するかも分らない物を恐れるなど滑稽な事ですぞ。よしんば、あれが本当に悪魔だとしてもあなたの召喚に応じたことは事実。主を害することはまずないでしょうし、そうさせないためにも私がいるのです。さあ、あなたのサモン・サーヴァントの成果ですぞ。自信を持ちなさい」
 いつに無く饒舌なその言葉に、ルイズは朝から感じていた自信を取り戻す。そうだ、私はサモン・サーヴァントを成功させたのだ。今日から私は変わるのだ!
「はいっ! 行って来ます先生!」
 力強く頷いて使い魔のそばに駆け寄るルイズ。見れば見るほど奇妙な、いや寧ろ邪悪と呼んでいいほどの禍々しさである。特に異形の姿をした右半身は明らかに人ではありえない色と質感の皮膚を持ち、ねじくれた角すら生えている。さらにはぐぐぐ、と異様なうなり声をもらし、不気味な臭気を放つ煙を体から立ち上らせている。
 一瞬その姿を直視して嫌そうな顔をするものの、これが初めての魔法の成果なのだ。それに本当に悪魔であるならば、見た目は悪くとも力については申し分ないと思っていいかもしれない――実在するのなら、の話だが。
 よし、と心を決めて仰向けでうなりをあげる使い魔のそばで片膝を付いて呪文を唱え、口付けをする。と、程なく使い魔の左手に契約のルーンが描かれる。コントラクト・サーヴァントが無事成功したのだ。
「はい、成功です。よくできましたミス・ヴァリエール。今までの努力が報われたようでなによりですね」
 異形の使い魔を警戒していたものの何事もなく契約が完了したことに安堵するコルベール。そのねぎらいの言葉にルイズの心にゆっくりを歓喜が広がっていく。
 やった、ようやくやった。魔法が成功した、これでもう私はゼロではないのだ。
 そうして使い魔との契約を完了させた喜びをかみ締めていると、とんとんと肩を叩かれる。
「ミス・ヴァリエール。その、あなたの使い魔ですが……ずいぶんと弱っていませんか?」
 その言葉にあわててルイズは自分の使い魔の様子を確認する。不気味な臭いのする煙は収まっているものの、いまだにうなり声をあげる使い魔。もしかすると、うなっているのではなくて苦しがってうめき声をあげているだけ? そう思ってもう一度観察する。不気味な外見からそういう姿だと思っていたが、ところどころ体にあるのは鈍器で殴られた傷なのだろうか? そして、煙とともに漂っていた臭気で分らなかったが……血の臭い?
「こ、コルベール先生っ!確かに様子がおかしいです、もしかして……」
「落ち着きなさいミス・ヴァリエール。皆さん、私はミス・ヴァリーエルの使い魔の様子がおかしいので一緒に医務室へ連れて行きます!他の皆さんは次の授業に移動するように!……さあミス・ヴァリエール」
 そう言ってコルベールはレビテーションで使い魔の体を浮かせ、自分を急かせるルイズを伴って医務室へと急いだ。


 落ちてゆく。いや違う、消えていくのだ。
 『彼』ははっきりと感じていた、己の消滅を。
 滅びの賢者ホロビッツ、そして火の王を右腕に宿したセプター竜眼のゼネス。
 彼と同じミゴールであり、黒のセプターでもあるフォマルハウトに率いられ火の王のカードを手に入れるためにその二人に戦いを挑み……そして斃れた。
 たった二人のセプターを倒すために彼らミゴールの戦士が何十と挑み、彼自身も二人が呼び出すクリーチャーと切り結んだ。地と水の者をよく斃し、火と風の力では傷つかないミゴールの戦士たちは良く戦ったが、滅びの賢者の名を持つホロビッツの力は強大で、そのホロビッツと並び立つセプターの弟子であるゼネスも驚異的な力を持つセプターであった。百に届こうというほどいたミゴールの戦士が一人また一人と斃され、背後から襲い掛かろうとした彼もまた、即座に振り向いたホロビッツの拳を雨と受け天に舞い上げられたのだ。
 そして今、己の体が消えてゆくのを感じていた。
 まだ肉体的には戦える。頬骨が砕け、折れた肋骨が激痛を発し、右肘は感覚が無く、臓腑は拳の苦痛にのた打ち回っているが、それだけだ。
 震える足に憎悪を込め、無事な左腕に全霊を注ぎ、霞む眼を渇望で開く。
 しかし世界そのものから拒絶されるミゴールの肉体は崩壊を始めていた。既に、時間が来ていたのだ。彼らミゴールの終わりの時間が。
 せめてもう一太刀、そう決意し落下する肉体を矢として槍を構えるが、意識ごと力が抜けてゆく。視界を白と黒が覆い敵の姿が消えてゆく。左手の力が完全に抜け落ち槍が手を離れる。最期の一太刀、それすら与えられずに彼の体は大地へと吸い込まれ……

「……」

 目の前に人間の顔があった。
 殴る。
 打撃音。
 吹き飛ぶ人間。
 悲鳴。

 拳に確かに残る手ごたえを感じながら、そのミゴールは突然の覚醒の理由と今の状況を把握しようと跳ね起きると身構えながら周囲を窺った。
 跳ね起きる? ふと先ほどまで自分がいた場所を見ると、そこには白い布を敷いた台があった。
(寝台……? 俺は、ここに横たわっていたというのか、何故?)
 そして前を見ると、人間の魔法使いらしきものが二人杖を構えながらこちらを警戒している。一人は明らかに実践慣れしていないようだが、もう一方は明らかに戦士の目をしている。小さな人間――彼が覚醒一番に殴り飛ばした人間だろう――を庇う様に立ちながら彼に警告の声を発する。
「そこまでです! 貴方が何者であるかは分りませんが、貴方は彼女の使い魔として呼ばれ、傷の治療を受けておったのですぞ! その恩を仇で返すつもりですか!?」
 魔法使いの言葉を反芻する。
 助けた? 人間が、ミゴールである自分を? カルドラ世界の敵であるミゴールを助けただと?
 カルドラ世界の全てから拒絶され、僅かに存在する創造神の力の及ばぬ地を離れればすぐに世界から存在を削り取られるミゴールに、傷を癒し僅かな時を与えてやっただと……?
 ふつふつと彼の心に激しい感情が湧き上がってくる。敵である人間に情けをかけられ、あまつさえせめて戦士として討ち死にしようとした彼を無為に生き延びさせ、世界から拒絶され消える様を見物しようというのか……!
「ふざけるなっ! 人間風情がミゴールの戦士を謀ろうなど愚かしいにも程がある! 元より長く生きられぬ命、貴様ら人間の、カルドラの僕の命を一つでも多く道連れに消えるまでよっ」
 怒り、怒り、怒り。屈辱に激しい怒りが彼の中で燃え上がる。戦士の誇りを、ミゴール族の命をかけた戦いを辱められた怒りが、全身を駆け巡り左手に集まり光を放つ。ベッド脇にあった蜀台を槍のように構え、怒りの声を張り上げる。その裂帛の気迫、そして何よりも剥き出しの殺意と憎悪を叩きつけられて、立ち上がりかけていたルイズは涙目になって腰を抜かし再び崩れ落ちる。

 ペタリ。
 ルイズの腰が床に落ちる音、それを合図にするかのように使い魔が動いた。
 ダン、という音がしたと思った次の瞬間にはルイズから離れて杖を構えていた水メイジの右手が杖ごと蜀台の槍で壁に縫い付けられていた。悲鳴を上げるまもなくその下腹部に膝蹴りが叩き込まれ、悶絶する顔を角の生えた頭による頭突きがさらに歪ませる。
 自分の方へ襲ってくると思っていたコルベールが向き直ったときには、既に使い魔は気絶した水メイジの顔を左手で掴み盾のように構えていた。
(いかん……完全に主導権を握られてしまった)
 人質を取られた格好になってしまったコルベールはうかつに動けない。これでルイズがいなければもう少しやりようがあるのだが、まだ子供のルイズは使い魔の気に完全に飲まれて腰を抜かしている。それに、先ほど激しく顔を殴られた衝撃で足元や手元がおぼつかない様だ。
 お荷物を抱えた状態で人質まで取られている、ならばせめてミス・ヴァリエールだけでも逃がそうとコルベールは考え、部屋の中に視線を走らせながらにらみ合ってると、ぐいとコルベールのローブが引っ張られた。ルイズがコルベールのローブを手がかりに震える足元を支えながら立ち上がっているのだ。
「……ミス・ヴァリーエル、非常事態です。立てるのなら走りなさい。私が盾になります。何とか助けを……」
「そ、そこまでよアンタ!! えっと、ミゴールだっけ? ご主人様に逆らうなんてと、とんでもない無礼者ね!」
 空気を読まない絶叫が部屋に響いた。
 この場合は空気を読まないというよりは勇気を振り絞った叫びと言うべきか、震え崩れそうになる足をコルベールにしがみ付く腕の力で支えながら精一杯に使い魔へとルイズは向かい合う。
 コルベールは焦って引き剥がそうかとも思うが、そんな隙を目の前の使い魔が見逃すはずも無いだろう。動けないコルベールをよそに、ルイズは武器を探して視線をめぐらせる使い魔を睨み怒鳴りつける。
「止まりなさい! せっかく召喚してやったのに怪我して出てくるわ、手当てをしてやってたらお礼どころか殴り飛ばすなんて出来が悪いにも程がある使い魔ね! すぐ大人しくすれば少しは罰を軽くしてやるわ!!」
 ミゴールはそんなルイズの言葉に一瞥を返しただけで武器を探すのに戻る。部屋の奥、彼の後ろのテーブルの上にある小型のナイフを見つけ、それに右手を伸ばす。
「止まりなさいってば!あんたは私の使い魔なのよ、一生私に仕えなきゃいけないんだから!! あんまり暴れると処刑よ、そんなの嫌でしょ!?」
 キンキンと喚き続けるルイズ。その言葉に更なる怒りを掻き立てられたミゴールはナイフを手に取ると怒りの叫びを上げた。
「まだ言うか、人間が! 使い魔? 一生仕える? 笑わせるな!」
 そう言ってナイフを握る右手をルイズの方へ突きつける。
「見るがよい我が肉体を! 世界に拒絶されしミゴールの肉体を!! 世界に存在するだけで拒絶され、煙を上げて崩れ灰と消える肉体を!」
 憤怒と悲哀、ミゴールという種の絶望の篭った魂からの叫びだった。
 が、
「煙?煙なら止まったわよ」
 声に震えを残しながらもルイズが答えた。
「最初アンタを召喚したときは煙を上げて変なにおいがしてたけど、コントラクト・サーヴァントが終わってルーンを刻んだら収まったわよ。第一アンタ丸一日寝込んでいたけど、体が壊れるなんて様子無かったわよ!」
 精一杯虚勢を張って怒鳴るように言い返す。その言葉をミゴールは呆然と聞きながら消滅する様子の無い右手、そして自分の体を見つめていた。
 肉体が、世界から拒絶されていない? そんな考えが一瞬浮かぶが、即座に否定する。確かに周囲の精霊力の敵意を感じる。この世界は自分という存在を、ミゴールの存在を許していない。だが、何かが自分を守っている。いや、何かが自分に存在を許しているのだ。
「な、これは……一体……?」
 思わず左手の力を抜いてしまい、人質の体が開放され地面に叩きつけられる。だが使い魔はそれが眼に入っていないかのように呆然と自分の体を見つめている。
 「召喚した」「一生の僕として」……それはすなわち、存在し続けられるようにしたということなのだろうか?
先ほど怒りに任せて暴れたときに光を放っていた左手、そこを見ると奇妙な文様が刻まれている。これが、コントラクト・サーヴァントとやらの証、刻まれたルーンなのだろうか?
「これは……これを、お前が私に刻んだのか……」
 からり、と右手のナイフも取り落としながら呆然と呟く使い魔。突然敵意を失った様子に戸惑いながらも、コルベールは警戒を解かないまま答える。
「そ、その通り! そのルーンこそコントラクト・サーヴァントの成功の証、あなたがこのミス・ヴァリエールの使い魔となった証拠ですぞ! 教師であり儀式の監督を勤める私が証人です!」
「そうよ! 立場が分ったのなら跪いて許しを請いなさい!! アンタは私の使い魔なのよ!」
 呆然としていた使い魔は、ゆっくりと顔を上げてルイズを見つめる。

 緊張した顔で睨み返すルイズ。
 呆然と見つめ続けるミゴール。
 延々と見つめあい続ける二人。
 動く機会を見出せないコルベール。
 痺れを切らしそうになったコルベールが、一か八かルイズを突き飛ばして戦おうか、そう思ったとき、突如ミゴールの涙腺が決壊し文字通り滝のような涙を流し始めた。
「おお……おお…………おおおお!! なんという、なんという……!! バルテアス神よ、この奇跡に、運命を感謝いたします!」
 突然の豹変に呆然とするルイズとコルベール。ぼだぼだと涙を流すその姿にあるのは、歓喜。永い永い絶望と苦痛に苛まれていた囚人が、解き放たれた溢れんばかりの大歓喜。
 滝のように流れる涙を拭うこともせず、ミゴールはがくりと片膝を付き頭を垂れる。
「先の数々の非礼、我が命を百万遍滅しようとも購いきれる物でなないことは承知しております。我等が救世主よ」
「きゅ、救世主!?」
 先ほどまでの不倶戴天の敵扱いから一転しての救世主呼ばわりにひっくり返った声で返事を返すルイズ。おろおろと戸惑うルイズとコルベールだが、ミゴールは構わず続ける。
「我等ミゴール族の救世主たる貴女様は、創造主たるバルテアス神が父ならば我等が母神でございます。お望みとあらば我が胸を切り開き生き胆を奉げ忠誠の証と」
「いらないいらないいらないっ!!!」
 物騒極まりないことを言い出すミゴールにルイズは悲鳴のような静止の声を上げた。

 その後も非礼の罪を償うためと、自分の腕を切り落とそうとしたり舌を噛み切ろうとるすミゴールをコルベールと2人がかりで必死で押さえつけ、罪への罰をどうするかは後日決めるのでそれまで勝手に己に罰を与えることは許さないとルイズが命じるまで彼の自傷未遂がやむ事はなかった。

 ともあれ、こうしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはメイジとしての第一歩を踏み出したのだった。



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