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異世界BASARA-55


――ウェールズ・テューダーの愛の証を貰う――


松永は手に持った剣の切っ先をウェールズに向けてそう告げた。
「私の愛の証だと?」
「そうだ。ああ、だがその前にもう1つ……」
と、松永は懐に手を入れると何かを取り出した。
松永が取り出した物を見て、ウェールズの目が大きく見開かれる。
彼が出したのは1本の杖。それも、見覚えのある物だった。
父、ジェームズ1世の持っていた杖だ……
「卿の父から“誇り”を貰っていたのを忘れていた。しかし、既に朽ちかけの誇りだったのでね」
松永はジェームズ1世の杖を地面に放り投げる。そして


「もう飽きてしまったよ」
足で踏みつけ、杖をへし折った。


「貴様あぁぁ!!」
ウェールズの顔が、怒り一色に染まる。その様子を見ていた氏政は、はっと我に返った。
「いかん!そやつは一筋縄ではいかんぞ!焦るでない!!」
狡知に長けている松永久秀が真っ向から戦うとは思えない。
そう考えた氏政は、落ち着かせる為にウェールズの元へ駆け寄ろうとした。
が、次の瞬間。
鍾乳洞の天井が崩れ、上から何かが土煙と共に落下してきた。
落下してきたものは地面に着地すると、目の前にいる氏政を睨む。
降ってきたのは2・5メイル程ありそうな大男だった。
しかし、首から上は違う。
人の顔の代わりに、角の生えた大牛の顔があった。
「ミ、ミ、ミ」
ギーシュが口をパクパクさせて大男を指差す。


「ウルウゥゥオオオオォォォッッ!!!!」
「ミノタウロスだああぁぁぁーー!!」


ギーシュがその名を叫ぶと同時に、大男……ミノタウロスも咆哮を上げた。

「彼も獲物に惹かれてここに来たか、いや僥倖、僥倖」
ミノタウロスの姿を見て、松永は面白そうに笑った。
「では、私はこちらに専念するとしよう」
そう言って松永は視線をウェールズに戻し、剣を盾のように翳した。
その剣にウェールズの放ったエア・ハンマーが命中する。
衝撃で松永は後ろに下がるが、その顔には相変わらず笑みが浮かんでいた。


反対に、ミノタウロスと対峙している氏政は狼狽していた。
「グルルルル……」
「ななな、何じゃぁこの妖怪は!?」
氏政は目の前に立ちはだかる巨躯の怪物に、思わず後退る。
「逃げろウジマサ!そいつはミノタウロス、とても敵う相手じゃない!」
ギーシュが氏政に促す。
だが氏政が動くより早く、ミノタウロスが手に持ったウォーハンマーが襲い掛かった。
「ぐふえぇっ!」
丸太のような一撃に、氏政の意識は一瞬飛んだ。攻撃が胴に直撃したのだ。
着込んでいた鎧など、この怪物の力の前では何の役にも立たなかった。
「ぐ……こ、この妖怪めぇ……」
それでも氏政は震えながら立ち上がる。激しく咳き込むと、氏政の口から血が溢れた。
「ろ……老獪を……ゲホッ、老獪をなめるでないぞ!!」
血反吐を吐きながらも、氏政は槍を振り回して地面に突き刺す。地面から氷柱が生え、ミノタウロスに命中した。
しかし、鋼のような皮膚に阻まれ、氷柱は砕けてしまった。氏政、そしてギーシュの顔に焦りが浮かぶ。


だが次にミノタウロスが起こした行動に、ギーシュの焦りは絶望に変わった。

……ギーシュの目の前で、氏政が地面に倒れている。


ギーシュは我が目を、耳を疑った。
自分がおかしくなったのか、それともこの怪物に対する知識が足りなかったのか。
そう考えてしまう程、今起きた出来事が信じられなかった。
このミノタウロスは、氏政の氷柱を防いだその後……


エア・ハンマーを放ったのだ。


魔法を使えるミノタウロス?そんなの聞いた事ない。
知らなかっただけだとしても、そんな怪物に敵うのだろうか?
「……ウゥゥゥルルル……」
氏政を倒したミノタウロスは、低く唸り声を上げながらギーシュを見ている。
咄嗟に杖を振ろうとしたが、精神力が切れているのを思い出した。
ギーシュはミノタウロスに見下ろされ、ただ震えるしか出来なかった。
ミノタウロスはしばらくギーシュを見下ろしていたが、フンと鼻を鳴らすと視線を別の方に向けた。
その先では、ウェールズと松永が未だ戦っていた。

松永はウェールズが放つ風の魔法に、守り一遍の構えを崩さない。
(守りも兼ねる風……成る程、厄介な術だ)
そう考えながらも、松永の顔には焦燥の色は浮かんでいなかった。
と、ウェールズが一際強力な「ウィンド・ブレイク」を唱えた。
あまりの威力に、松永の剣は手を離れ、遠くに弾き飛ばされた。
「もらった!父上の仇!!」
ウェールズは続けざまに呪文を唱える。『エア・ニードル』だ。
ウェールズは光る杖を構えると、松永に突進する。
だが、松永は避けようとしない。ただ、左手を前に突き出した。
そして……


「ラグーズ・ウォータル……」


ウェールズがはっとした顔になる。しかし、もう遅かった。


「イス・イーサ・ウィンデ」


放たれた氷の矢が、ウェールズの胸を貫いた。

「な……ば、かな……」

自分の胸に突き刺さった氷の矢を見て、ウェールズは呟いた。
松永は……杖も持たずに魔法を唱えたのだ。

「ん?私は魔法を使えないなどと言った覚えはないよ?」

松永が馬鹿にするように言った。
ゴホッ!とウェールズの口から血が溢れ、地に倒れた。

「さてと……」
弾き飛ばされた剣を拾うと、松永は息絶えたウェールズに近づく。
そしてしゃがみ込むと、ウェールズの指から“風のルビー”を抜き取った。
「卿の愛の証……確かに頂いた」


「マツナガ様!船は押さえました。中にいた連中も捕らえましたよ」
松永が風のルビーを指にはめたその時、イーグル号の中からセレスタンが出てきた。
松永がウェールズと戦っている隙に制圧したのである。
「ご苦労、では出航させるとしようか」
「あいつはどうします?」
セレスタンが指差す方を見ると、ギーシュと氏政がいた。
「……捨て置け。今は望みの物を手に入れたからな」
松永はそう言うと、イーグル号に乗り込もうとした。
と、タラップを上ろうとした時、松永が足を止めてギーシュに向かって振り返る。


「……悔しいかね?悔しいならば、追ってくるがいい。卿が奪うに値する男であったら……その時はその誇りを奪い取ってやろう」


ギーシュに向けて、松永は静かに言う。
しかし、当のギーシュは動く事が出来なかった。



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