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世紀末使い魔伝説―虚無の拳―

ガリアの王都リュティス。
人口三十万を誇るハルケギニア最大の都市である。
その東の端の森に面した場所に美しく偉大なヴェルサイテイル宮殿が存在した。
現在の宮殿の主はジョゼフ一世は、その中心部のグラン・トロワと呼ばれる美しい青色の大理石で組まれた建物で政治を行っている。
しかしながら、ジョゼフの評判はあまり良いものではない。
『無能王』。これがハルケギニアでのジョゼフの一般的な評価だ。
ガリア王家の長兄として生を受けながら魔法の才能を持たず、治世面でも意欲があるわけでもなくただ無為に時を過ごす。
そのためにこの国の民衆の大半はこう思っている。『オルレアン公さえ生きていれば』と。
長兄とは違い、幼い頃からメイジとして天才と呼ばれ、そのくせそれを鼻にかけるわけでなく人柄は温厚で優しく周りからの人望は非常に高い。
そんな人物だったからこそ、次の王位は彼だと言われていたのだが、五年前に狩猟会に出たとき馬から落馬し死んだ。
もっとも、落馬して死んだというのは表向きの発表で誰も信じてなどいない。
この国の者ならオルレアン公は暗殺された。そう思っている。

その宮殿の中を少々細いが美しい青い目と目の色と同じ青みがかった珍しい髪の色を持つ一人の少女が歩いていた。
肩まで伸ばした青髪と前髪を持ち上げる大きく豪奢な冠からその少女がこの国の王女である事が分かる。
ジョゼフ王の娘。名をイザベラというが、こちらも城に仕える…特に侍女からの評判はすこぶる悪い。
この王女、顔立ちは美人と言ってもいいのだが、性格が悪いのだ。
なにかにつけて召使である侍女達をこっ酷くイジめていた。
ただ、二年程前からその頻度が収まってきており侍女達は胸を撫で下ろしている。
それでも、持ち前の癇癪はそう抑えられるものではない。

遂には広い廊下を歩きながらまくしたてはじめた。
「まったく、父上も酷いわ!わたしだって王家のお役に立ちたいのに、よりにもよって北花壇警護騎士団の『副団長』任務だなんて……!」
無数の花壇が存在するこの宮殿は別名『薔薇園』とも呼ばれており
それにちなんだ方位を示す騎士団が存在する。東に東薔薇警護騎士団、西に西百合花壇警護騎士団という具合にである。
しかし、北には花壇が存在せずイザベラが言った北花壇警護騎士団は表向きには存在しない。
国内外で起こる汚れ仕事を専門に引き受ける影の騎士団。イザベラは二年前からその副団長任務に付いていた。
本来ならば非公式の北花壇騎士団といえど団長になるはずだったが、二年前にジョゼフがどこからか連れてきた男が団長を勤めている。

イライラしながら歩を進めていたが、前から聞こえてくる少しづつ近付いてくる足音を聞いて我に返った。

――来た。

急いで深呼吸し苛立ちを抑えると窓に映った己の顔を見る。
異常無し。さっきまでの歪んだ顔はどこへ行ったのか、本来の気品ある顔立ちが写っていた。

「おい、お前。俺は美しいか?」
徐々に近付いてくる足音と共に聞こえてくるそんな声にイザベラが内心ウンザリした。
もう数えられないぐらい聞いたやり取りだ。次に聞こえてくる言葉は決まっている。
「はい。お美しゅうございます」
その答えに満足したのか男が再び前へと歩を進める。

その問いも妙だったが、その男の姿も妙だった。
目立つ赤い髪は自分よりも長く伸ばされ、その髪の一部は三つ編に編みこまれていた。
その上、顔に化粧を施しているのだ。
それだけならただの優男に聞こえるが、男の背丈は高く身体も全騎士団員の誰よりも鍛え込まれているというのは大きな矛盾であろうか。
服装もガリアでは見られない物で、肩に防具を付けた物を着てメイジの象徴たる紫色の長いマントを付けている。
だが、もう一つの証たる杖は持ってはいない。
近国のゲルマニアならば平民出の貴族というのも存在するが、ここはハルケギニアで一,二を争う魔法大国ガリアだ。そんな物は存在しない。
それなのに、召使はもちろん衛兵……今では他の騎士団員からも恐れられている。
王女であるイザベラも例外ではなく、この男だけは敵に回したくないと思っているのだ。

二年前の事になる。
退屈と怠惰の日々に身を任せていた無能王ことジョゼフ一世だったが、そう言えばまだサモン・サーヴァントを試していなかったなと思い出した。
昔から魔法が一切使えなかったためやろうとも思わず、またやりたくもなかった。
それが、今になって試そうという気になったのは、最近になって自分の系統が失われた系統である『虚無』だと気付いたからだ。
だが、そう分かった時には意外にも何の感情も沸いてはこなかった。
分かるのがもっと早ければどうなっていたかとも思ったが、すぐに考えるのを止めた。
考えたところで弟が還ってくるわけでもなし、退屈も紛らわせそうに無い。
とにかく、退屈が紛れるのであればとやってみる事にした。
失われし『虚無』の使い魔であるのならば当分は飽きはしないだろう。
そう思い、椅子に座ったまま形どおりの詠唱を行うとあまり使われる事のなかった杖を振った。


「……ぬぅ」
唐突に襲われた眩暈を振り払うかのように頭を振ったが、気が付けば妙な事になっていた。
なにやら見たことも無い場所で見た事も無い人間、それも結構な人数がこちらを見ている。
先ほどまで己の居城で水浴びを済ませポージングを取った後、女達に何時もの台詞を言い、鏡の前で化粧をしていたはずだった。
それがどういうわけか、こういう状況に陥っている。
椅子に座っている男を見たが、この上なく退屈そうな顔をしていた。


虚無と言ってもこんなものか。
さて何が出てくるかと多少の興味はあったが、出てきた物はマントを付けた男だったからだ。
マントを付けているという事はメイジなのだろうが、メイジなど珍しくもない。
ジョゼフからすれば己に従うメイジなど腐るほどいる。
椅子の横の紐を引き
「つまらぬ」
と小さく呟くと扉が開き衛兵が数人入ってきた。
「御呼びでしょうか陛下」
「賊だ。連れてゆけ」
賊と聞くと慌てた一人の衛兵が外へと出て行ったが、残りが召喚された武器を構えながら男を囲んだ。


「貴様、ガリア王たるジョゼフ一世陛下の居室に忍び込むとは不貞な輩めが!」
「おのれ陛下のお命を狙った暗殺者か!」
「シャルル派の手の者だな!」
椅子に座る男が紐を引くと男達が入ってきて、どういう事か知らぬが囲まれ、暗殺者だのなんだのと言われている。
ある意味間違いではないのだが、まずどういう事かと考える事に専念する事にした。

まず、ここは何処だ?その答えは出ない。なにしろ全く見覚えが無い。
この男に拉致された?Noだ。眩暈はあったが気絶などしていない。
第一、近隣の軍閥にガリア王ジョゼフ一世など聞いたこともないし、今のところ自分にそんな事をする者が見つからない。
長い髪を一度かき上げて考えたが、どうにも答えに辿り着く材料が足りなさ過ぎる。
そうしていると、さっき出て行った男が後ろから二~三人程の……なぜか全員手に杖を持っている男達が続いてきた。

再び退屈そうに事のなりゆきを眺めていたが、一つ思い付いて言った。
「余の命を狙ったのだ。そうだな、余は心臓を突かれたた人間がどう死ぬのか興味がある」
それなりに期待していたのに期待外れだったのだから、その命で愉しませて貰おう。
少なくとも今の退屈は紛れそうだ。そう思うと少しだけジョゼフの口元が歪んだ。

「その役目はわたくしにお任せを。不貞な害虫など我が風の魔法で一突きにしてご覧にいれます」
騎士の一人が男の正面に立つと魔法の詠唱を始める。
少しすると騎士の杖が青白く光った。
『エア・ニードル』
回転する空気の渦が鋭利な切っ先となり人一人の身体を貫くには十分な威力を持つ接近戦用の魔法だ。
それを見ても男は微動だにしない。囲まれ絶望的な状況にあるにしろ、魔法を使うため杖を抜くなりするはずだ。
少し不審に思ったが、どうせ逃げられはしない。
的確に心臓を貫こうとしたが、それよりも疾く男の腕が持ち上げられていた。

「ふっ……愚か者が!そんな物で俺を倒せると思っているのか?貴様がその杖一本なら俺は指一本で十分!」
男がそう言うや否や、己に杖を突きたてようとしていた騎士の目の前に逆に指を突き出す。
そしてその指をゆっくりと……いや他者の目にはそう見えるだけで実際にはとんでもない速度で振り下ろした。

         南斗紅鶴拳

『南 斗 鷹 爪 破 斬』


指を突き出した腕を上から下へと振り下ろす。それだけだ。ただそれだけで騎士が動きを止めた。
なにやらメリメリと何かが裂ける音が聞こえてくるが、騎士を正面から見ている他の騎士や衛兵にはそれが何か分からない。
唯一背後から見ているジョゼフには何が起こったのか分かった。

程なくして残りの騎士にも音の理由が分かる。
「か、体が……そんな馬鹿な……!触れてもいないのに体が背中から裂けている!」
まるで魚を開くかのように騎士の体が二つに分かれ始めているのだ。
「ぐぎがが……おろるらぁ……あろわ!」
一際大きく断末魔を残すと、騎士の体が綺麗に真っ二つに裂け辺り一面に血をブチ撒けた。

さすがのジョゼフもこれには少々驚いたようだが、すぐに持ち直した。
これは当たりかもしれぬ。柄にもなくそう思う。
「余の使い魔にならぬか?」
さっきまで賊として殺そうとした事などなかったかのように男に問うた。


ここでこの男が指一本で人間を真っ二つにした事について少し説明せねばなるまい。

天空に輝く二つの極星。即ち北斗七星と南斗六星。
その北斗と南斗の名を冠する恐るべき暗殺拳が存在する!
一つを北斗神拳。そしてもう一つを南斗聖拳という。

『南斗聖拳』

外部からの肉体の破壊を真髄とし地上のどんな物質をも力で打ち砕く一撃必殺の拳法!
その南斗総派一〇八派の頂点に立つ南斗六聖拳の一つ、南斗紅鶴拳!
あまりの拳の速さに衝撃は背中へと一気に突き抜ける!
返り血で身を赤く染めた紅鶴に名を喩えた艶やかな殺人拳である!

そして現在の南斗紅鶴拳正当伝承者こそが南斗六星において最も強く美しく輝く妖星を宿星に持つ者。
妖星のユダ。今そこで返り血を浴びたばかりの男である。

少しばかり難解な状況におかれているユダだが思考は冷静で頭の中はエンジン音が鳴らんばかりに回転を続けていた。
性格に少々難があるが、普段から知を売りにしている彼である。
椅子に座っているジョゼフとかいう男や周りの連中が言っていた事を即座に纏め上げると己なりに結論を出した。
(使い魔というのが気に入らぬが……どうやらあの男に魔法とやらで呼び出されたらしいな。それにこの場所……少なくとも地球ではあるまい)
魔法など普段の彼からすれば一笑に付するところだが、現実問題として目にしているのだから認めざるを得ないし納得するだけの理由もある。
一つは、廃墟を利用した己の居城とは違う大理石造りの中世の城のような豪奢な造りの部屋。
二つは醜いと言ってもいい己の部下達とは違う、周りの統制と理性を保った男達。
三つ……これが最大の理由だが、窓から見える澄み切った空と遠くの鬱葱と茂る森の存在だ。
全世界を巻き込んだあの戦争によって世界は核の炎に包まれ暴力が支配する世となったのだ。
僅かに残った水と食料を奪い合い、殺し合いをするような世界である。
大気圏外まで巻き上がった粉塵の影響でまだ空はどこか薄暗いし、森など核の炎で全て消し飛んだ。
少なくとも己の知る限りではこんな場所は存在しないのだから、そう考えるのが妥当だと判断した。

(クク……面白い!)
支配する土地と部下達から引き剥がされた状態で使い魔とやらになれという状況だというのに面白いと考えるのも訳がある。
実際のところ彼にとって部下というのはチェスの駒に等しく、支配地と言っても荒れ果てた荒野と廃墟があるだけで何もない。
基本的に美しい物を好むユダにしてみればむしろ好機というやつだろう。
元々、同じ六星拳である聖帝サウザーに動かされた事をきっかけに南斗の乱を引き起こし
そのまま南斗二十三派を引き連れ世紀末覇者拳王ことラオウの配下となったのだ。
サウザーやラオウと違って誰かに従う事に抵抗は無いし、配下になれと言うのであれば己の紅鶴拳と知略を精々高く売りつけてやろう。そう決めた。
無論、この場で全員を皆殺しにする事も容易いのだが、そこは知略のユダ。
世紀末ならともかく、ここは一定の秩序が保たれている場所で、ここで王を殺したとしても何もならない事ぐらいは理解している。
いかに南斗紅鶴拳の使い手とはいえ一国家と真正面から戦うのは下策中の下策と言えよう。

「それなりの使い手だったのだがな。詠唱も無く倒すとは余も初めて見る。で、どうだ?」
指一本で人間を真っ二つに切り裂いた事に興味を持ったのか先ほどまでのどうでもよさそうな顔はしていない。
「南斗聖拳の前では、そのような物ゴミクズ同然。ジョゼフとか言ったか。このユダ様を配下にしたいのであれば相応の地位を用意してもらわねばな」
ゴミクズ呼ばわりされた事に周りの連中がざわつき始めたが、玉座に座るジョゼフは気にした様子も無く楽しそうな顔をしている。
「……なるほど。余は余と同じ王を召喚したようだな。ふむ、王たる者に使い魔になれというのも失礼というものだ」
実際のところ、軍閥を率いていたのだからその認識は間違ってはいない。
順調な結果に良しと思いユダが笑みを浮かべたが、そこにジョゼフが付け加えてきた。
「ただし、余と同格足り得るか証明してもらわねばな」
一人の騎士に短く告げると部屋の外へ出て行ったが、すぐに戻ってきた。
またしても手に杖を持った騎士達が今度は六人程入ってきたが、その後ろに見慣れない物が続いてきた。
石像らしき物が動いている。

「南薔薇警護騎士団の者達とガーゴイルだ。これを全て倒してもらおう。
  ただし、ガーゴイル以外は殺してはならぬ。名が示すように余の警護も兼ねているのでな」
さて、目の前の紅の王はどうでるかとジョゼフが人の悪い笑みを浮かべていたが、ユダがそれ以上に妖しい笑みを浮かべ一歩前に進んだ。
「よかろう。その目に焼き付けるがいい!この妖星のユダ様の美しい姿を!!」
ユダがそう叫び背のマントを放り投げるとジョゼフの視界からその姿が消える。

南斗聖拳。特に六聖拳の修練の量は人間を止めたと言ってもいい程に尋常ではない。
例えば、同じ六聖拳である南斗水鳥拳の伝承者候補は、正統伝承者となるために闇闘崖と呼ばれるものに挑む。
その内容は、崖の間に張られた棒の上に十日間立ち続けるというものである。
当然、紅鶴拳でもそれに匹敵するような修練を行うのだ。それを全て克服した人間の動きをメイジと言ってもただの人間が捉えられるはずがない。
騎士達が上に飛んだと判断し杖を構えた時には、もう既に一体のガーゴイルが鋭い手刀により貫かれていた。

この男の攻撃範囲は精々手が届く範囲。そう判断したのか男がガーゴイルを切り刻んでいる間に騎士達が距離を取る。
距離にして約八メイル前後だが詠唱を終わらせるには十分な時間だ。
だが、一人の騎士が詠唱を終えようとした瞬間に杖を持った方の腕に異様な熱さを感じ視線を腕にやると愕然とした。
「あ……うわぁあ…あ!う…腕が!」
肘から先が鋭利な刃物で斬られたように無くなっていたからそうなるのも無理はない。
だが、赤い男はまだ離れた場所に居る。残りの騎士達が慌てながらも詠唱を続けようとしたが、そこに何かが裂けるような音が近付いている事に気付く。
見ると床に裂け目を作りながら何かが飛んできて、今度は別の騎士の左脚を襲った。
風の魔法『エア・カッター』かとも思ったが相手は杖を持つどころか詠唱すら行ってはいない。
ただ腕を下から上に振り上げていただけだ。

   南斗紅鶴拳奥義

『伝 衝 烈 破』


「ヒャッハー!切れろ切れろ切れろ切れろ切れろぉーーーー!!」
そう叫びながら手刀により生み出される不可視の衝撃波の刃を無数に繰り出す。
ユダが得意とする技で離れた敵にも攻撃する事ができる。衝撃波による斬撃を真髄としている紅鶴拳の奥義の一つだ。
この距離だからこそあの程度で済んでいるが、もう少し近ければそのまま体を真っ二つにしている。

呻き声をあげ地に倒れ伏した騎士達を見てようやく伝衝烈破を放つのを止めたが、ユダからすれば当然の結果だ。
いかに魔法が強力だろうと詠唱が終わる前に倒してしまえばメイジでも普通の人間でも大した違いは無いのである。
もっとも、仮に魔法が放たれたとしてもそれに当たるつもりも無いが。

時間にして20秒足らず。その僅かな時間の間でガリアが誇る南薔薇警護騎士団のメイジとガーゴイルをあっという間に血祭りにあげてしまった。
平民の中にもメイジ殺しという対メイジ戦に特化した人間は居るが、それでも正面から戦うという事は絶対にしない。
それを杖も用いるどころか、まして武器すらも使わずにだ。ガリア……いや、ハルケギニアの常識を遥かに超えている。

紫色のマントを再び拾い華麗にかけ直すと余裕を持ってジョゼフの方へと歩を進める。驚いた事に息を乱すどころか汗の一つすらかいてはいない。
「貴様の言ったように殺してはいない。だが、あのままでは死ぬかしれんなぁ」
ククと口元を歪ませてユダがそう言うと、ふむ、とだけジョゼフが呟き短くジェスチャーを取ると倒れた騎士達が運ばれていく。
「何をするのか知らぬが、このユダ様が『知と力を貸して』やろう」
おおそよ召喚された側、しかも一国の王に言うような台詞ではない。
その言葉にその場のほぼ全員が言葉を失ったが、唯一の例外が心底愉快そうに口を開いた。
「うむ。面白い、気に入った」
「ふふ……ははは……」
「……はっはっは」
『気に入った』という言葉にユダが笑い出すとつられるかのようにジョゼフも笑い出し
数秒もすると二つの笑い声が完全に一致し一つに重なる。
「「フハハハハハハハハハ!」」
ユダの超ナルシストという点を除けば、この二人結構似たタイプだ。

これがハルケギニアにおいて異例中の異例とも言うべき、使い魔契約を行わずに契約が結ばれた瞬間であった。

時を再び戻す。
その日から南斗紅鶴拳のユダは北花壇騎士団の団長という地位を与えられている。
裏舞台の騎士団の団長だが、副団長を王女のイザベラが勤めているのだから、実際の権限はそれ以上というところだろう。
もちろん、あのイザベラが黙っているはずもなかったが、ある日を境に何も言わなくなった。
その目で見てしまったのだ。南斗紅鶴拳の恐ろしさを。

ユダにヴェルサイテイル宮殿を案内してやれとジョゼフ直々に言われ、内心怒りながら渋々説明をしながら歩いていた時だ。
いくら父上が言うからといっても、なんで王女のわたしが副団長で、杖も持たないこいつが団長なのかと。
歯をギリギリと鳴らんばかりに噛み締めたが、それもすぐ終わる。
昨日のうちに、手頃な下級貴族を二人見繕い、金と地位をやるからあの成り上がりを始末しろ。と命じておいた。
貴族と言っても世の半数の貴族は領地を維持するだけで精一杯だ。
まして王女直々の命令である。そんな下級貴族がその誘惑に耐えられるはずもない。

元々人払いをしておいた目立たない場所の庭園に着くと、建物の影から二人のメイジが杖を持って現れた。
それと同時にイザベラが凶悪な笑みを浮かべる。
これでこいつが無様な姿を見せれば、父上も考え直すだろう。
さて、後はじっくり見物させてもらおうかと、二歩後ろに下がった。

もっとも、ユダからすれば血祭りにする相手が二人増えただけにすぎない。
もう少し力を誇示しなければこういう輩がいくらでも沸いて出てくる。そう考えたが、一人のメイジが言った言葉を確かに聞いた。
「妖精だと?その顔で妖精か。平民が二つ名を持つだけでも許されぬのに妖精とはな!」
妖星と妖精。同じ読みだからこそ勘違いされているが、見逃す事のできない言葉を確かに聞いた。
「な…んだと……?」
「聞こえなかったか?もう一度言ってやる。その顔で妖精な……」
その言葉が突如途切れる。顔面を手で掴まれ指の隙間から見えるユダの顔は言葉を失う程恐ろしかった。
「い、言ってみろ!この世で一番美しいのは……誰だぁぁぁぁぁ!!」
必死になって離そうともがくが一向に離れない。
「この俺だろうがぁぁぁぁぁ!!」
ユダがそう叫ぶと掴んでいた手を引き抜くかのように離すと、一瞬遅れてメイジの顔に五本の切れ目が入る。
そしてその切れ目が広がると断末魔の悲鳴をあげる間もなくメイジの頭が五等分されていった。

「ひぃっ!」
その惨劇を見て逃げようとしていたもう一人のメイジだが、やはり逃げる前に後頭部を掴まれた。
「た、た、助けてくれ!雇われただけなんだ!」
雇われたと聞いてイザベラがギクりとしたが、当のユダはそんな事聞いちゃいない。
彼にとって己の美しさを否定する者は、万死に値するのである。
「お前もかぁ~!言ってみろ!?」
「あ、あ、貴方様はお美しゅうございます!い、言ったでしょ?だ、だから助けて、ね?」
それでもまだユダの怒りは収まりそうに無い。どれぐらいの怒りかというと身体から闘気が湧き出てくる程だ。

「ほう…それでは何があっても俺を美しいと言えるのだな?」
「それはもう、もちろんでございます!」
メイジがそう言うと、指を一本顔の前に出し告げた。
「ならば南斗の処刑を受けても言えるはずだな」

『南斗殺指葬』

相手の体に一本づつ指を突き立てていくという南斗聖拳の処刑であり主に南斗十人組手に敗れた他流派の者に行われる!
常人なら一本目で死に至るという恐るべき処刑法である!!

「ご、ご冗談を……」
そのままメイジの胸に指の先を突き当てる。
「何本目に死ぬかなぁ~?」
ズブリと指を突き立てるとメイジが声にならない悲鳴をあげる。
さらに深く指を突き入れるとサディスティックな声でユダが言った。
「さぁ~~~死ぬ前に言ってみろ!俺は、このユダ様は美しいか?」
「おごがぁぁぁ!ゆ、ゆゆゆ、ユダ様は…あぎゃあああ!う、うつ、うつつく」
「なにィ~~~~!聞こえんなぁぁぁぁぁ!!」
「う、うつししし……しむら!」
そう言うと同時に一気に指を根元まで突き入れると指を曲げ思いっきり抉る。
妙な断末魔をあげるとメイジの体から力が抜け落ちていった。

その時の光景は二年経つ今でもたまに夢に見る。
正直、自分の名前が出ていたらと思うと今でも震えが止まらない。
あの時ばかりは本気で始祖ブリミルに命があった事を感謝したぐらいだ。
「おい、俺は美しいか?」
そして、また聞こえてきた同じ質問に、もう何度目になるか分からないため息を吐いてイザベラが自分の居室へと戻っていった。

さて、一方のユダだが、この生活に不満は無い。
前のように常に美女達が傍いるわけではないが、彼にとって美しい女とはこの世で一番美しい自分を愛する事が許された存在にすぎない。
何よりこの美しい宮殿を気に入っている。あの世紀末の世に比べれば女の事など些細な問題である。
それに、力よりも知を好む彼にとっては己の知略を存分に振るえるこの世界が気に入った。

実際、この二年間知略を駆使しハルケギニアに乱を起こしている。
この地で調べた文献で見つけたのだが、『アンドバリの指輪』という物が存在する事を知った。
死者に偽りの生命を与えるマジックアイテム。それだけではなく人の心をも操る事ができる。
そして、アルビオンという国の情勢が不安定である事。
さらには、リュティスの酒場で見つけたアルビオン王家に恨みを持つクロムウェルという地方司教を見つけた時、妖星が輝く。

アルビオンの貴族派が王党派を打ち倒しトリステインと戦争状態に入ったが、その一連の流れは全てユダが仕組んだものだ。
その後、トリステインの女王が指輪の力で蘇ったアルビオンの皇太子によって攫われそうになった事もそうだ。
皇太子を利用した事にトリステインの女王はアルビオンに攻め込むことを決意したらしい。
策はクロムウェルに授けてあるが、万が一敗れたとしてもこちらに損害は無い。
ジョゼフも一枚この件に噛んでいるが例によって退屈しのぎの一つのようでどっちでもいいらしい。
本格的に侵攻が始まればも自らもアルビオンに渡るつもりだが、その前に一つやっておく事がある。

グラン・トロワから離れたプチ・トロワと呼ばれる薄桃色の小宮殿の中にイザベラの居室がある。
今のところユダが団長だが、実際の団長任務はイザベラが行っている。
イザベラからすれば理不尽極まりないのだが、稀にユダ自身が出動している上に、前の件があるので何も言えないのだ。
昨日もエズレ村に住み着いたミノタウロスと、その騒ぎに便乗した人攫い達を四分割にして帰ってきた。

そんなイザベラだが、今はベッドの上でぐったりしている。
本来なら『人形娘』が来るまで召使をイジめている所だが、その気力も沸かない。
あのやろぅ……わざわざ人の部屋の外にミノタウロスの死体を並べなくてもいいじゃないか。
なにせ、朝起きて窓の外を見たらでーんとミノタウロスが綺麗に切り裂かれ並べられていた。内臓とかちょっと見えてたし。
ミノタウロスは風の魔法ですら通さない鋼鉄のように硬い皮膚を持つのだが、演舞と称してさらに死体を八分割にしやがった。
食べた物を吐き出さなかっただけマシというものだろう。
珍しくイザベラの無茶な命令が無く召使達がユダにちょっと感謝していると、呼び出しの衛士の声が響いた
「七号様!おなり!」
はぁ、と溜息を付く。あの物騒なナルシストを相手にするぐらいならまだ人形娘の相手した方がマシだ。
そう思うと何時もとは違う少しだけほっとしたような笑みを浮かべた事に自分では気付けていなかった。

『七号』。北花壇警護騎士団の団員は名前ではなく番号で呼ばれる。
そして、その七号とは亡きオルレアン公の娘、シャルロットである。
己の身を守るため進んで北花壇騎士団に身を投じた、同騎士団でも屈指の使い手だ。

変わらない一定の無表情で部屋に入ってきたシャルロットをイザベラが見たが、今日は突っ込む気にもなれない。
早いところ任務を言い渡そう。と思ったが、今になって伝えるべき任務が無い事に気付いた。
今回の任務は公式なものではなく、あくまでイザベラの私的なものだ。
その内容が、世界七大美味の一つに数えられる極楽鳥のタマゴ、しかも季節外れの物を取ってこさせるつもりだったのだが
どこかの誰かが窓の外で盛大にミノタウロスの解体ショーをやらかしてくれたもんで一気に食欲が無くなった。

任務無しでそのまま返すのも癪だしどうしようかと頭を悩ませていたが閃いた。
「任務って程じゃないけど、あんたにはアレの始末をしてもらうよ」
そう言って窓の外を指差す。さすがにそれが何なのか分からないシャルロットが珍しくイザベラに口を開いた。
「アレは?」
「ああ、あんたは会った事なかったね。団長様の仕事の後始末さ。あんた一人で片付けるんだよ」
何なのか確認するために窓の近くにシャルロットが近付いたが
繋ぎ合わせると全長2.5メイルになろうかという肉の塊だと分かった。
頭と思われる箇所からは二本の巻貝のような角が見て取れる。
この特徴を全て含む生物はシャルロットの知る限り一つしかない。
「……ミノタウロス」
「そうさ。随分と派手にやったみたいで、早く片付けないとこっちにまで臭いが移ってきそうだよ」
そう言うとイザベラがベッドの上に寝転びシャルロットが無表情のまま出て行く。
だが、表面上はともかく、内心は驚愕している。
ミノタウロスといえば風の刃を受け付けない事で知られる種族だ。
それをこうも容易く切り刻むとは……
どうやらイザベラを差し置いて伯父王のジョゼフが酔狂で任命した団長というのは相当の使い手らしい。
厄介な事になったと歩きながら思う。ジョゼフの首を狙う時、その団長が敵になれば目的を果たす事が難しくなる。

プチ・トロワの前庭に出ると獣臭と血臭が混じった悪臭がシャルロットの鼻を直撃した。
確かに、これは少しばかり辛い。イザベラがわざわざ自分を呼びつけたのも納得できる。
手間取れば腐敗臭が加算される。そう思い手早く片付ける事にしたが、大きい影が上から降りてきた。
一体の青い幼生の風竜が降りてきている。

「おねえさま、シルフィ凄い事聞いちゃったのね……ってなにこの臭い!」
この年齢で風竜を従えている事も驚くべき事だが、今の言葉は紛れも無くその風竜発せられたものだ。
これにはさすがに慌てたシャルロットも竜の頭を手に持つ杖でどついた。
ただの風竜ではなく、絶滅したと考えられている風韻竜である。
ここで正体がバレでもしたら間違いなく実験室送りなのだから、そうなるのも当たり前だ。
幸い、この悪臭のおかげで辺りには人の姿も気配も無い。
窓の外から見られても使い魔である事は知られているのでなんとかなるだろう。
「きゅい、ごめんなさい。でも凄い事聞いちゃったのね」
それでもなお小声で韻竜…シルフィードが続ける。
余程の情報だろうかと思い、「短く」と続きを言うように促した。
「あのね、あのね。北花壇騎士団の団長さんってのは杖どころか武器すらも持ってないらしいのね」
ありえない。風の刃や銃弾すら通さないミノタウロスの皮膚をどうやって切り裂くのかと
これ以上は黙るように言おうとしたが、突如後ろから妖しい声がした。

「ほう……竜、それも韻竜というやつか」
「!」
気配も無くいつの間にか背後を取られている。しかもシルフィードが韻竜だという事もバレてしまったようだ。
どうするかと、必死に考えたが、騒ぎを起こすのも拙い。かといってこのまま放置するわけにもいかない。ここはヴェルサイテイル宮殿だ。
完全な手詰まり状態に為す術がなかったが、背後の男はいつの間にかシルフィードに近付くとその姿をまじまじと見ている。
「ふむ……中々に美しい」
美しいと言われて少し気を良くしたシルフィードだったが、男の姿を見て気付いた。
赤く長い髪、顔に施された化粧、肩に付けられたプロテクター、杖はおろか武器すらも持たない男。聞いた内容と完全に合致する。
「こ、この人なのね、さっき言った団長さんは!」

未だ身構えた様子のシャルロットを見たが、ここでは話もし辛いだろうし、何より醜い物がある。
付いて来いと促すと、警戒しながら後ろに付いてきた。
一応騎士団の団長と隊員である、特に疑われもせず与えられたでユダの私室まで辿り着けた。

部屋に着くなり、シャルロットがディテクトマジックを唱える。反応は無い。
回りくどい真似をしたからにはなんらかの理由がある。
「用件は?」
と短く尋ねたが、軽く笑いながらユダが言った。
「先王の次兄オルレアン公の娘、名はシャルロット。ジョゼフの首を狙っている」
その瞬間シャルロットが杖をユダに向け魔法の詠唱を始めた。
時間にして数秒。ユダが今まで相対したメイジの中で最も早い詠唱を終わらせると杖の先に大きな氷の槍が出来上がり、即座にそれを放つ。
「いい腕だ。殺すには惜しい」
そう言いながらユダが手を振り下ろすと氷の槍……ジャベリンが切り裂かれ勢いを失い床へと落ちていった。

ククと笑いながらユダが一歩前に踏み込むとシャルロットも一歩下がった。その顔には今まで見られなかった焦りの色が見て取れる。
あれだけ太い氷の槍を素手で切り裂かれたのだから、驚かない方がおかしいだろう。
それに外ならともかく、ジャベリンを撃てたとしても後一発ぐらいだ。空気中の水分がほとんど残っていない。
また一歩踏み込むと今度はシャルロットは下がらずに呪文を唱えた。
シャルロットの前に氷の壁が現れる。
『アイス・ウォール』の呪文だ。
これで時間を稼ぎシルフィードの元まで辿り着き即座に撤退する事にしたようだがユダは対照的に焦った様子も無く淡々と氷の壁に近付いている。

「ふむ……攻撃だけではなく、防御も可能か。良い物を見せて貰った、その礼に俺の奥義を見せてやろう」
そう言いながらユダが氷の壁の前に来ると同時に両腕を鳥の翼のように広げた構えを取った。
「南斗紅鶴拳奥義!血粧嘴!!」

南斗紅鶴拳奥義

『血 粧 嘴』


氷の壁の後ろのシャルロットに何かを削り取るかのような音が一つ聞こえた。
何かと思ったが、すぐに分かった。ユダが拳を繰り出す度に目の前の氷の壁が削り取られている。

『血粧嘴』

その拳は名が示すように血で化粧を施した紅鶴の嘴と化す!
無数の突きとそれに伴う衝撃波の刃で相手の体を鋭い嘴で突くかのように削り取る恐るべき奥義である!!

チーズのように穴が開いていく氷の壁を目にして思考が飛びかけたが、どこかで聞いた事がある単語を確かに聞いた。
『南斗紅鶴拳奥義』と。
知識を得るために無数に読み漁った本の中で、似た言葉を見たような気がする。
ほんの少し考えたが思い出した。そしてその答えを小さく呟く。
「南斗聖拳」
思いもよらぬ、恐らく自分以外使う事が無いであろうと思っていた言葉を聞いてユダが止まった。
「……エルフが住まう地よりも東のロバ・アル・カリイエに遥か昔から伝わる技」
氷の壁がガシャリ、と音を立てて崩れ去ったがシャルロットは構わずに続ける。
「ミノタウロスやわたしのジャベリンを切り裂いたのもそれ」
「ほう……まさか南斗聖拳を知っていようとはな。何処で知った」
「ロバ・アル・カリイエの事に書かれている本を読んだ時、一度だけ見た」
小さく、信じられなかったけど。と付け加えてきたがユダも納得はした。

南斗聖拳は一子相伝の北斗神拳や、唯一の例外である南斗鳳凰拳とは違い分派が認められている。
『陰』の北斗神拳。『陽』の南斗聖拳と喩えられているのかこのためだ。
己の例がある。どこかの流派の南斗聖拳伝承者が召喚されていても不思議ではないだろう。

ロバ・アル・カリイエについてもある程度調べ上げてはいる。
東方と呼ばれ、こちら側との交流はあまり無いようだが稀にその品が流れてくる。
紅茶とは違う、緑茶のよのような物があるらしい。
なるほど。確かにそれなら東方のロバ・アル・カリイエに遥か昔から伝わると、その本に書かれていてもおかしくはない。
南斗聖拳の源流は北斗宗家だが、その北斗宗家も中国より生まれた。
西洋に値するハルケギニアからならば、確かに中国も東方だろう。

「なにが目的?」
値踏みするかのようにシャルロットを見ていたユダに問う。
本気で殺すつもりであれば恐らく自分は生きていない。それをしないのであれば何か理由がある。
「お前の母親は毒を盛られたそうだな」
その言葉にピクリ、とシャルロットが少し動いた。
「本来なら、毒が仕込まれた料理を、お前の身代わりとして口にして精神を狂わされた。クク……美しい親子愛だ」
瞬時にシャルロットの表情が氷のように冷たいものへと変わる。この男は一体何が言いたいのかと。
「用が無いなら――」
冷たく言いながら部屋を出ようとしたが、後ろから聞こえてきた声はその足を止めるに十分すぎるものだった。
「その毒の解毒剤。俺が手に入れてやってもいい」
シャルロットの額を汗が伝うが構わずにユダが続ける。
「エルフとかいうやつらの毒だそうだ。実際にジョゼフはそいつらと繋がりがある」
「……対価は?」
短くそう呟くがユダからの返事は無い。小さく笑いながら部屋から出て行った。


「ふふ……全てはこのユダ様の手の内よ」
仕込みはこれで整った。
この国の内情もよく理解している。
シャルル派と呼ばれる者達は、あのシャルロットこそが真の王位継承者だと見ている。
本人さえその気であるならば決起も辞さない連中だ。
そんな忠誠心の高いやつらであるからこそ、ユダにとっても御しやすい。
シャルロットにその気がなくとも、きっかけを与えれば暴発する可能性が高い。
もちろん、それだけで謀反が成功すると考えているわけではない。
その時ジョゼフに止めを刺すのはこのユダだ。
頭さえ失えばどうという事は無い。次期王位を巡って争いが起こる。
イザベラかシャルロットという事になるのだが、王位はイザベラに移すというのが考えだ。
シャルル派がシャルロットを持ち上げるかもしれないが、その時は国王殺害の罪で皆殺しにしてやればいい。
シャルロットに関してはどっちに転んでも手を出すつもりはない。
ここは世紀末ではないのだ。民衆の感情にも目を向ける必要がある。
シャルロットまで排除して余計な火種を作ることはない。今までと同じか、例の毒の解毒薬をくれてやって反抗の芽を潰しておくのもいい。
無能王と呼ばれているジョゼフだが、ユダが見たところアレは自分と同じで恐ろしいまでの知謀を持っている。
放置しておけば後々厄介な事になる。だからこの乱に乗じて始末する事に決めたのだ。

誰かに従う事はあっても、決して臣従する事がないというのが妖星の本質。
そのまたの名を、常に人を欺き騙す『裏切りの星』
そう、全てはこの世界に『UD』の旗を掲げるために。

「人は裏切りの星と呼ぶがそうではない!妖星は、天をも動かす美と知略の星なのだ!!」


虚無の拳―次回(嘘)予告!

テーレッテー
南の空に妖やかしの星が美しく輝く!妖星は、やはり乱世を望むのか!?
次回、虚無の拳!『俺は妖星!紅鶴は血に塗れてこそ美しい!』

「妖星が告げておるわ!神が俺を選んだと!」



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