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割れぬなら……-17




「何故?」

タバサは、賈言羽に訪ねた。
何故作戦を変更したのか?
一晩経った今でも、タバサの中にその問いに対する答えは無い。
賈言羽は笑って。

「感情というものは、存外馬鹿にはできぬものでしてな」

と、答えた。
その笑顔は『無理矢理作りました』とでも言いたげ代物だったが、
その笑顔は『計算高い謀略家』のイメージを『嘘のつけない不器用人間』のものへと変えてしまう。

「印象操作」

「左様」

つまり、今見せた不器用な笑顔も、土壇場で作戦変更をして見せた温情も、賈言羽にとっては同列の行動なのだろう。
悪印象を持たせるよりも、好印象を持たせた方が、何かと都合が良いのは間違いない。
情に流された訳でも、ヨシアの熱意に負けた訳でも無かったのだ。

「安心した」

賈言羽はやはり『計算高い謀略家』であった。
それを確認したタバサは、ほんの少しだけ賈言羽に対する警戒を弱めた。

「こちらもです」

タバサはたった一言で賈言羽の意図を読み取って見せた。
自分の想像以上の聡明さを有する少女を確認し、賈言羽は内心ほくそ笑んだ。

時刻は正午、村のあちらこちらから炊煙が上がっている。
翼人達の巣からも、同じような煙が見えた。

……それが、作戦開始の合図。
森に潜む複数の密偵が、同時に火薬玉に点火した。




賈言羽はあくまでも『自然出火』と言い張るつもりであった。
翼人を殲滅するのが目的だったのならともかく、和解をさせるのなら、対人感情も対翼人感情も悪化させてはならない。
共通の大敵は、あくまで第三のものでなくてはならない。
そうでなくては、全面戦争に突入しかねない。

火の廻りが速すぎてはいけない。
『誰かが放火したのでは?』と疑われてしまう。
火の廻りが遅すぎてもいけない。
人間、あるいは翼人達が、独力で鎮火してしまう。
速すぎず、遅すぎず、そんな神業的な火計を賈言羽は立案し、計画し、見事に実行の段階までもってきてみせた。
そんな綿密な計算の基に出火した炎は……



そんな綿密な計算の基に出火した炎は……開始5分で森全体にまで広がった。



「「消せるかっ!!」」

ヨシアとアイーシャが、それぞれ別の場所から同時にツッコミをいれていた。

タバサとシルフィードが、賈言羽に冷たい視線を浴びせた。
2人……もとい、1人と1匹に言われるまでもなく、賈言羽はこの異常の原因を探り当てていた。

「メンヌヴィルという男に間者達のまとめ役をやらせましてな……
 その男、焼けた肉の臭いを嗅ぐと恍惚とした表情になる異常性癖の持ち主でして」

タバサが溜め息を吐きだした。
それはもう盛大に吐き出した。

その瞬間『計算高い謀略家』のイメージは、一気に『呉学人』の域にまで急落した。



   ・
   ・
   ・



沸き立つ祝福 新しい門出

見守る人々は みんな目が死んでる

和解に賭けた作戦 けど みんな目が死んでる



シルフィードが陽気に、かなり悪趣味な歌を歌っていた、

賈言羽とタバサを含め、村の人々も翼人達も、死んだように眠っていた。
翼人の巣の付近だけはかろうじて死守したものの、森の半分以上が焼け落ちた。

あれから2人は、燃え盛る火炎の中で悦に浸っていたメンヌヴィルをとっちめ、
指揮系統の混乱により右往左往していた間者達を纏め上げ、その後はひたすら不眠不休の消火活動にあたった。
またメンヌヴィルの抵抗は激しく、タバサは全治1週間の火傷を負い、賈言羽は手持ちのマジックアイテムの半数近くを焼失した。

完全に鎮火するまでの6日間、全員が全員不眠不休。
特に作戦準備の為に前日を徹夜した賈言羽、メンヌヴィルと死闘を演じたタバサ、
そして力の限り飛び続けたシルフィードの疲労は言語を絶するものである。

4日後、村の広場でヨシアとアイーシャの結婚式が行われた。
しかし、いろいろな物を焼失した村の復興に追われていた村人達や賈言羽は当然のように寝不足であり、
式に出席していた者達のほとんどが、死んだ魚のような目をしていたという。



貴方と私は 同じじゃないけど

貴方と私は 同じ道を往く

だいたい そんな感じ



……しかしまあ、村人と翼人の和解だけはなんとかなった。
一組の男女が、大きな障害を乗り越えて結ばれた。
村人達も翼人達も、疲れ果てた体を奮い立たせてまで、2人の門出を祝おうとしていた。

ちょっとした手違いはあったが、一応作戦は成功したと言っても良いのではなかろうか?
タバサはそんな思いを抱えて、賈言羽の回復を待っていた。




作戦成功

タバサからの評価が下がった。
タバサとの関係が『警戒』から『用心』に変わった。

『呉学人』の称号を得た。




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